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Universal Audio : より良いボーカルを録音するために不可欠なテクニック

優れたリードボーカルが録れると、楽曲のクオリティは飛躍的に向上します。しかし、現代の音楽制作では多くの楽器パートを重ねるため、ボーカルをうまく録音できなければミックスの中で際立たせることが難しくなります。プロクオリティーのボーカル収録に必要なテクニックと、より洗練されたテイクを得るためのプラグインの使い方をご紹介します。

目次

部屋の響きを抑える


素晴らしいレコーディングは、決して恵まれているとは言えない環境でも行われています。言い換えれば、部屋の響きに問題があったとしても、そのことが創作を阻害する理由にはなりません。しかし、録音の準備をする前に、自分の部屋を簡単にチェックしてみてください。床はフローリングですか? 壁は石膏ボードですか? 窓はありますか? これらの表面はすべて音の反射の原因となり、不要なアンビエンスや周波数の上昇をもたらし、サウンドを濁らせる原因となります。

安価な対策としては、壁や窓にラグや毛布を掛け、部屋の反響を軽減することが有効です。これによって、レコーディングの明瞭度が大幅に向上し、不快な高音域や室内音を抑えることができます。

マイクを選ぶ


ラージダイアフラムのコンデンサーマイクは、ダイナミックマイクやリボンマイクよりも広い周波数特性を持ち、人間の声のニュアンスにより敏感に反応します。つまり、隔離されたブースでのボーカル録音に適しています。

予算に関しては、あらゆる価格帯で優れた選択肢が豊富にあります。目安としては、お金をかけずに買える最高のマイクを選び、さらに汎用性を高めるために、選択可能な指向性やパッドスイッチなどを備えたマイクを検討してみてください。

マイクの「指向性」とは、様々な角度からの音に対する感度のことです。1人のボーカリストがブースに入って録音する場合、バックトラックをヘッドホンで聴きながら歌だけを録音するなら、指向性は「カーディオイド」が好ましいです。カーディオイドは、マイクの感度を真正面の音に集中させ、不要なルームノイズを減らすのに役立ちます。

ヒント : ライブなどでバックバンドとボーカルを一緒に録音する場合は、マイクの後ろや横にいる他のパートの被りをさらに減らすために、ハイパーカーディオイドのマイクを検討してください。

マイクをセットする


感動的なボーカルパフォーマンスを実現するには、快適な環境が必要です。シンガーが最高のパフォーマンスをするために必要なものがすべて揃っていることを確認し、シンガーの口から10〜20cmの位置にマイクの面を配置します。コンデンサーマイクを使用する場合は、マイクとシンガーの口の間にポップフィルターを設置して、吹かれが発生しないようにしましょう。

次に、マイクをXLRケーブルでオーディオインターフェイスに接続します。ファンタム電源が必要なラージダイアフラムのコンデンサーマイクを使用する場合は、インターフェイス側の48Vスイッチがオンになっていることを確認してください。あとは、信号がDAWのトラックに入力されるようにルーティングして、プリアンプのゲインを設定し、録音して、歴史を作るだけです。

参考動画 : UA Apollo インターフェイスの設定と録音方法

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▲技術的な問題でせっかくのテイクを台無しにしてはいけない。レコーディングの前に、ルーティング、プラグインチェーン、モニターミックスがすべて調整されていることを確認しよう

キューミックスの重要性


録音済みのトラックにボーカルを重ねる場合、最高のパフォーマンスを発揮するには、必要なトラックだけをモニターしながら歌うことが重要です。「キューミックス」や「モニターミックス」とは、レコーディング中のシンガーの耳に届ける独自のミックスのことを指します。DAW内の UXトラックを経由したり、インターフェイスのヘッドホンアウトやラインアウトにルーティングされた専用のミックスとして使われます。

参考動画 : LUNA と Console アプリでキューミックスを作る

プラグインを使ってプロクオリティに仕上げる


オーディオインターフェイスの Apollo を使っているなら、クラシックなマイクプリアンプやコンプレッサー、リバーブなどのエミュレーションプラグインがバンドルされています。これらのプラグインは、数え切れないほど多くのヒット曲でレコーディングやミックスに使用されており、アナログのあたたかさやキャラクターを瞬時にトラックに加えることが可能です。

UAD プラグインでリアルタイムに処理する


ここでは、ライブボーカルを録音する際に現場で起こりがちな問題を、UAD プラグインでどのように解決するのか、より深く掘り下げて紹介します。

一般的なデジタルレコーディングでは、ライブレコーディング中にボーカルにリバーブやコンプレッサー、ディレイなどのプラグインをかけると、レイテンシーが発生してしまいます。レイテンシーは、歌いづらさや違和感の原因となり、多くのビギナーの悩みの種となっています。

ですが、Apollo にはDSPが内蔵されており、エフェクト処理の負荷からコンピュータを解放することで、UAD プラグインをかけながら、ほぼゼロレイテンシーで録音することができます。このリアルタイムの UAD プロセッシングは、プラグインを使ったボーカルのレコーディングやモニタリングの仕方を変えるでしょう。

参考動画 : UADプラグインとAuto-Tuneでボーカルを録音する

Unison テクノロジーの使い方


Unison™ テクノロジーにより、Apollo のマイクプリアンプは、アナログハードウェアのようなサウンドと挙動を実現しました。Unison 対応の UAD プラグインをレコーディング時に使用することで、Neve®、API、SSL、Manley などの伝説的なマイクプリアンプのスタジオクオリティのトーンや透明感、レスポンスを得ることができます。

Apollo の Console アプリや LUNA で、Unison対応のUADプリアンプ・プラグインを Unison インサートスロットにアサインすると、プリアンプのインピーダンスが物理的に変更されます。この機能は Apollo にのみ搭載されており、複数のプリアンプを素早く切り替えながら試聴して、マイクや曲、ボーカルスタイルにマッチした完璧なトーンとキャラクターを見つけることができます。

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▲ApolloのUnisonテクノロジーにより、Neve、®API、®Manley、®SSLなどのクラシックなマイクプリアンプのエミュレーションを利用して、トラックを作ることができる

まとめ


リードボーカルの録音は曲の出来を左右します。しかし、事前の準備や、適切なマイクの選択とセッティング、そしてレコーディング中にプラグインを使用することのメリットを理解することで、よりプロフェッショナルなサウンドのボーカルをすぐに録音することができます。以下に、そのポイントをまとめました。

  • 部屋の残響を消しましょう。毛布やラグなどで床や壁などの表面を覆うことで、不要な残響音や色付けを減らしながら、レコーディングを行うことができます。
  • アーティストが最高のパフォーマンスを発揮できる、快適な環境を作りましょう。暖かい飲み物を用意したり、部屋の照明を落として、よりムードのある雰囲気を作りましょう。
  • ヘッドホンモニターのミックスを刺激的なものにする。キューミックスにリバーブやディレイ、コンプレッサーなどのプラグインをかけて、シンガーの自信を高められるヘッドホンモニターを用意しましょう。

― McCoy Tyler

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