こんにちは。AT-Music の辻です。
今回はエレキギターのアンプレコーディングをテーマにお届けしていこうと思います。
最近ではアンプシミュレータなども進化をしてきていて、かなり好みのイメージに近いサウンドが作れるようになってきていますが、実際にアンプで鳴らしたサウンドの奥深さはやはり魅力が尽きないものだと思います。
今回は12インチのスピーカーを搭載したコンボアンプ Two-Rock Studio Pro 35(オープンバック)にテレキャスター T-bone Guitars Telecaster (弦はダダリオ 0.10〜0.46)を接続して、そのサウンドをコンデンサーマイク sE2200 (単一指向性、Padスイッチは-10dbに設定)で収録した音を例に説明を進めていきたいと思います。今回も演奏では渡辺具義さんにご協力いただいております。
それでは始めていきましょう。
マイク1本を使ったセッティングについて
その1
一般的によく用いられる方法の一つとしてスピーカーとマイクのダイアフラムを平行にセッティングする方法が挙げられます。スピーカーとマイクの距離も10cm~15cmくらいでかなり近い位置に立てるようにします。
※テレキャスターのフロントピックアップを使用した、指弾きによるサウンド
その2
次に私がよく用いる方法をご紹介したいと思います。
上記方法との差はマイクの角度や距離にあります。
マイクのダイアフラムはスピーカーに対して45度くらいの角度に、スピーカーとマイクの距離は20㎝~30㎝くらいに(音色や音量などに合わせて調整します)、そしてスピーカーの中心から少し外れた辺りにマイクをセッティングします。
なぜこのようにするかというと、演奏者は大抵アンプのスピーカーに対し直線上にいることは少なく、角度がついた位置で音作りや演奏をしているためです。ですのでスピーカーと演奏者との角度をイメージしてマイクにも角度をつけ、演奏者がイメージしているサウンドに近いものが録れるように考えているのです。実際に収音されるサウンドは少し角がとれたような印象になっているかと思います。
※テレキャスターのフロントピックアップを使用した、指弾きによるサウンド
ポイント!
スピーカーの中心や外側などマイクを立てる位置よっても音色に差が生じてきます。
以下にテレキャスターのセンターポジションでピック弾きしたクランチ系サウンドでそれらの差を感じてもらえるサンプルを準備しましたのでお聴きください。
※スピーカーの中心にマイクを合わせて収録したサウンド
※スピーカーの中心から少し外れた位置にマイクを立てて収録したサウンド
※スピーカーの外側にマイクを立てて収録したサウンド
マイク2本を使ったセッティングについて(オープンバックタイプのアンプの場合)
今回の例で使用しているようなオープンバックタイプのアンプの場合には前面からのサウンドの他、背面からのサウンドも合わせて収録すると、より豊かなサウンド収録が可能になります。
前面に立てるマイクのセッティング方法については上記で説明したものと同様。背面側のマイクについては、スピーカー部を中心に前面側マイクと逆方向の位置、距離に立てるようにします。そしてマイクプリのフェーズスイッチなどを使用して位相を反転させるようにします(背面側マイクに角度はつけません)。
※クリーン系サウンドのサンプル
※クランチ系サウンドのサンプル
いかがですか?
今回ご紹介したサウンドそれぞれに差があることを感じていただけたでしょうか?
とくに、前面と背面それぞれにマイクを立てる方法の場合、各音量比を調整していくことでさらに音色調整などが可能です。日本の住宅事情ではなかなかアンプを鳴らすこと自体が難しいと思いますが、リハーサルスタジオなども利用しながらぜひともアンプレコーディングにも取り組んでみてもらえたらと思います。
次回はベースやドラムなどといったテーマで引き続きお届けしていきたいと考えています。
sEマイクで始めるホーム&スタジオレコーディングのテクニック:#7ドラムレコーディング【2本のマイクによるドラムレコーディングについて】>
渡辺具義(わたなべともよし)
Musicians Institute (Hollywood校) 卒。
アーティストやタレントのライブサポート、レコーディング、アレンジ等で活躍。 (SMAP、つのだひろ、つるの剛士、城南海、LiLiCo、松下奈緒、南里沙、すみれ、野沢香苗、 等)
リットーミュージックより多数のギターの教則本を出版。
アコースティックギターアルバム『眠れる森のJazz Guitar』をitunes storeにて発売中。
辻 敦尊(つじあつたか)
音楽家・クロスメディアアーティスト
中学時代より作曲とギターを始め、20歳からプロとしての音楽家活動をスタート。
また、音楽家としての活動と並行しながらコンピュータ系のエンジニアとしても長年活動。
企業向けに音を中心としたコンテンツ制作や開発協力などをおこなう事が多く、ここ数年では音楽分野以外にも3Dコンテンツ制作に関する執筆業やサラウンドや立体音響コンテンツ制作、映像コンテンツ制作、プログラミングなど幅広いジャンルで制作プロジェクトに関わっている。
AT-Music 代表