ランドスケープ・エレクトリック・アップライト・ベース 人気4モデルを小栢伸五がインプレッション!

JAZZ LIFE誌の転載記事です。

【特集】

CLOSE-UP!

ランドスケープ・エレクトリック・アップライト・ベース

人気4モデルを小栢伸五がインプレッション!



【クレジット】

取材:早田和音

撮影:桧川泰治

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【ミュージシャン】

SOUND CHECKER

小栢伸五

(Shingo Ogaya/from DEZOLVE)

1993年11月生まれ、鳥取県出身。高校卒業後、音楽学校メーザー・ハウスに入学。エレクトリック・ベースを大野淳一、櫻井哲夫、ウッド・ベースを佐藤慎一に師事。現在の活動の中心は、山本真央樹(ds)、友田ジュン(kb)、北川翔也(g)と組んでいる4人の若手フュージョン・バンドDEZOLVE。2018年2月にキングレコードからアルバム『ポートレイ』 でメジャー・デビュー、さらに2019年2月に2ndアルバム『エリア』をリリースした。DEZOLVEの他に、ジャズ、フュージョン、ラテン系のセッション・バンド、ヴォーカリストのサポート、バック・バンドなど幅広く活動中。

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【最新アルバム】

『エリア』DEZOLVE

キング(King)KICJ-817 

発売中

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【ミュージシャン見出し】

「プレイアビリティに優れたミュージシャン・マインドを

持ったエレクトリック・アップライト・ベース」 小栢伸五

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近年、ジャンルを問わずその存在感をますます増しているエレクトリック・アップライト・ベース(以下EUB)。その中で、“オーガニックな楽器の製作”をコンセプトにして楽器開発に取り組んでいるブランド、ランドスケープが展開しているのが“SWB”シリーズだ。2月に最新作『エリア』を発表したインストゥルメンタル・フュージョン・バンド“DESOLVE”のベーシスト、小栢伸五にその魅力と可能性をリポートしてもらった。

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SWB-STD

ピエゾがふくよかさを出してマグネティックが彩りを加える印象

 EUBというと、一般的に華奢な楽器をイメージされる方が多いと思いますが、ソリッド・ボディのSWB-STDはずっしりとした安定感があります。楽器のボディと演奏者の胴体をコンタクトさせるボディ・アームが付属品としてセットされていますが、この取付け位置と角度が絶妙ですので、演奏するのがとても楽。EUBは身体と接する面積が少ないため、左手で支えなければならないモデルが多く、長時間演奏する場合に左手への負荷が問題になることが多いのですが、このボディ・アームのおかげでそのストレスが大幅に解消されています。左手の親指を添えるだけで安定してくれますし、EUBでは弾きにくいと言われるハイ・ポジションでも楽に弾くことができます。今回試奏した4機種すべてに用いられているメイプル製ネックもとても握りやすくてありがたいですね。弦のテンションはやや柔らかめですが、指離れがよいので、速いパッセージでも楽にフォローできます。

 次にサウンド面ですが、4モデル共通のランドスケープ・オリジナルのPB-Uマグネティック・ピックアップ(以下PU)と、このSTDに取り付けられているフィッシュマン・アンダー・トランスデューサーというピエゾ・タイプPUのふたつが搭載されていて、マスター・ヴォリューム、バランス、ロウ、ハイの4つのノブで音色をコントロールします。ピエゾがふくよかさを出して、マグネティックが彩りを加える感じ。それにしても音色の幅広さは驚異的です。僕は若干ピエゾに寄ったくらいのバランスが好きですが、バンドのサウンドによって幅広い対応が可能です。フュージョンはもちろんですが、ビッグバンドからアコースティックとエレクトリック両タイプのピアノ・トリオまでフォローできそう。もっと細かく言うと、フェンダー・ローズとウーリッツァーの音色の違いにも応えてくれる感じがします。サウンド・メイクが楽しくなる楽器です。


SWB-Artist

音の重心が低く、高音もふくよか。

生音に近い広がりのあるサウンド

 PUとそれに関係するノブなどは、STB-STDと基本的に同じスペックなのですが、最大の違いは胴。トップがスプルース単板、バックとサイドがメイプル合板というホロウ・ボディになっているので、音の重心が低くなりましたし、高音もふくよかさを増しています。生音に近い広がりのあるサウンド。一段とコントラバスに近付いています。自分の音を体で感じながら演奏できるので、プレイヤーにとってはとてもありがたいですね。特に細かなグルーヴが要求される曲では威力を発揮しそうです。音の情報量が増していますので、演奏する音楽に合わせて繊細な調整ができる点も嬉しいですね。


SWB-Master

「ディープ・アングル・ジョイント」

により音に艶と張りが魅力

 ボディの形状はSWB-Artistと同様ですが、さまざまな点に特徴が出されています。材質面ではバックとサイドがメイプル単板になっており、音のふくよかさがさらにアップしています。またPUは、ピエゾ側にフィッシュマンBP-100を搭載。ふたつのPUそれぞれヴォリューム調整ができるスタイルになっています。そのようにいくつかの違いがあるのですが、最大の違いは。「ディープ・アングル・ジョイント」というネックの取り付け角度。コントラバスのネックのように角度が付けられています。その分、弦のテンションは高くなりますが、音に艶と張りが増しており、演奏する感覚はほぼコントラバス。ですから、EUBをエレクトリック・ベースの延長として考える方はSWB-Artist。コントラバスの延長と考える方はSWB-Masterという考え方が成り立つと思います。


SWB-Gamba/R

リアリストPUにより、ピチカートは

もちろん、アルコの音も素晴らしい

 このモデルは、ヨーロピアン・ジャズ・トリオのベーシストであるフランス・ヴァン・デル・ホーヴェンが開発に協力しているということで、さまざまな点にプレイヤーならではの配慮が窺えます。最大の特徴は、生音自体の説得力。シンメトリー・デザインにしたことでボディの容積がさらにアップし、より豊かな響きが得られています。またネックの取り付けにもSWB-Master同様に角度が付けられており、張りと艶のあるサウンドで、低音から高音までしっかりと鳴ってくれます。中音域がたっぷり出ているので、音色がとてもふくよか。限りなくコントラバスに近い印象を受けます。またコントラバスと同じDポジション位置でのネック仕込みになっているのもこだわりの特徴です。ピエゾPUには、コントラバスPUの定番となっているリアリストWoodtoneを搭載。ピチカートはもちろんですが、アルコの音もしっかりと拾ってくれ、素晴らしいですね。クラシック音楽でも使えるクオリティですね。エフェクターとの相性もよいので、コントラバスらしいサウンドを活かしつつ新たなサウンドを見つけ出したいと思っている方には最適の楽器だと思います。


■試奏を終えて

細かな配慮が感じられ、コントラバス&エレベ奏者どちらにもお薦め

 4モデルを試奏して感じたことは、どのモデルにも細かな配慮が感じられ、コントラバス奏者はもちろん、エレクトリック・ベーシスト両方に試してほしいブランドです。最初にお話ししたボディ・アームの他にも、スウィッチやノブの取り付け位置も絶妙です。操作しやすく演奏のじゃまにならないというのは、簡単そうで実はなかなか両立しないのですが、どのモデルもプレイアビリティに優れています。ミュージシャン・マインドを持ったブランドだと思います。■

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【製品概要】

SWB-STD

価格:¥200,000+税

SPEC ●スケール:42.5インチ ●ボディ:アルダー・ソリッド ●ネック:メイプル3プライ/ボルト・オン ●ヘッド:オリジナル・スクロール ●指板:エボニー ●糸巻き:GOTOH GB2/クローム ●ピックアップ:ランドスケープ・オリジナルPB-Uマグネティック、フィッシュマンUSAアンダー・トランスデューサー ●ブリッジ:メイプル ●テールピース:メイプル ●弦:SWB専用弦(HP610) ●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ) ●カラー:アンティーク・ヴァイオリン ●アクセサリー:ボディ・アーム、ギグバッグ




ピックアップは今回試奏した4モデル共通のオリジナルPB-Uマグネティックと、STDにはフィッシュマンUSAアンダー・トランスデューサー(ピエゾ)を装着。


コントロールは、マスター・ヴォリューム、バランサー、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ) を搭載。

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SWB-Artist

価格:¥320,000+税

SPEC ●スケール:42.5インチ ●ボディ:トップ=シトカ・ソリッド・スプルース・アーチトップ、バック&サイド=メイプル・プライウッド ●ネック:メイプル3プライ/ボルト・オン(スロー・アングル・ジョイント) ●ヘッド:オリジナル・スクロール ●指板:エボニー ●糸巻き:GOTOH GB2/ニッケル ●ピックアップ:ランドスケープ・オリジナルPB-Uマグネティック、フィッシュマンUSAアンダー・トランスデューサー ●ブリッジ:メイプル ●テールピース:エボニー ●弦:SWB専用弦(HP610) ●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ) ●カラー:アンティーク・ヴァイオリン ●アクセサリー:ボディ・アーム、ギグバッグ


ピックアップ構成はSTDと同様、PB-Uマグネティックと、フィッシュマンUSAアンダー・トランスデューサー(ピエゾ)が取り付けられている。


ボディ・トップには、上質のシトカ・ソリッド・スプルース・アーチトップを採用。さらにコントラバスと同様のf穴加工が施されている。

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SWB-Master

価格:¥380,000+税

SPEC ●スケール:42.5インチ ●ボディ:トップ=シトカ・ソリッド・スプルース・アーチトップ、バック&サイド=ソリッド・メイプル ●ネック:メイプル3プライ/ボルト・オン(ディープ・アングル・ジョイント) ●ヘッド:オリジナル・スクロール ●指板:エボニー ●糸巻き:GOTOH GB29/ゴールド ●ピックアップ:ランドスケープ・オリジナルPB-Uマグネティック、フィッシュマンUSA BP-100ピエゾ・ピックアップ ●ブリッジ:メイプル ●テールピース:エボニー ●弦:SWB専用弦(HP610) ●コントロール:マグネティック・ヴォリューム、ピエゾ・ヴォリューム、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ) ●カラー:アンティーク・ヴァイオリン ●アクセサリー:ボディ・アーム、ギグバッグ


Masterのピエゾ・ピックアップには、ワンランク上のフィッシュマンUSA BP-100を採用。良質のサウンドと扱いやすさで人気のピックアップだ。


コントロールは、幅広いサウンドメイクが可能なマグネティック・ヴォリューム、ピエゾ・ヴォリューム、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ)。

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SWB-Gamba/R

価格:¥420,000+税

SPEC ●スケール:42.5インチ ●ボディ:トップ=シトカ・ソリッド・スプルース・アーチトップ、バック&サイド=ソリッド・メイプル ●ネック:メイプル3プライ/ボルト・オン(ディープ・アングル・ジョイント) ●ヘッド:オリジナル・スクロール ●指板:エボニー ●糸巻き:GOTOH GB29/ゴールド ●ピックアップ:ランドスケープ・オリジナルPB-Uマグネティック、リアリスト・ウッドトーン・ピエゾ・ピックアップ ●ブリッジ:メイプル ●テールピース:エボニー ●弦:SWB専用弦(HP610) ●コントロール:マグネティック・ヴォリューム、ピエゾ・ヴォリューム、2バンドEQ(Lo-EQ/Hi- EQ) ●カラー:アンティーク・ヴァイオリン ●アクセサリー:ボディ・アーム、ギグバッグ


最上位モデルのGamba/RのピエゾPUには、多くのコントラバス奏者に愛用されている人気モデルのリアリスト・ウッドトーンが装着されている。


コントラバスと同じDポジション位置でのネック仕込みにより、コントラバス奏者が演奏しても、ピチカート、アルコ弾き共に違和感を感じさせない。

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