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Expressive E : Touché SE レビュー - 革新的でクリエイティブなコントローラー

幼少期、ピアノを習っていた僕にとって「タッチ」で音色を意のままに操ることは魅力的で憧れの一つでした。ピアノの鍵盤では難しくても、Expressive E Touché SE なら簡単に、より自由に実現できます。(文 : 冨岡皓雲)

象徴的なタッチプレート「スキン」で生み出す3次元のサウンド


Touché SE は4方向の動きに対応した MIDI コントローラーで、「スキン」を撫でたり、タップしたり、揺らしたりといった直感的な操作が大きな特徴です。付属のサウンドライブラリーで有機的なサウンドを簡単に生み出したり、サードパーティ製プラグインのあらゆるパラメーターをアサインして自由自在にコントロールすることも可能です。1次元的な普通の鍵盤や2次元的なXYパッドでもできない、さらに深い表現をリアルタイムで味わうことができるわけです。

シンプルを極めたデザイン


頭から爪先まで黒一色、スタイリッシュな印象でどの機材と合わせてもしっくり来るデザインです。マグネット式のスキンを外すと、フニフニしたシリンダーと横軸方向の剛性を調整するスライダーが出現。目盛り付きで分かりやすく、上へスライドするほど固くなり、下へスライドするほどプリンのように柔らかくプルプル震えやすくなります。スライダーの上下には Expressive E と Touché SE のロゴが確認でき、スキンに隠れてさり気なく刻まれている控えめさが好印象です。本体下部には圧力の感度を8段階で調整する「エンコーダー」があり、演奏中でもサッと回して柔軟に切り替えることが可能です。背面には USB の接続端子1つのみ。別途電源を用意する必要もなくケーブル1本で手軽に使えるため、持ち運んで外出先でも活用しやすいのではないでしょうか。全体的に素晴らしい質感で、洗練されたガジェット感が心をくすぐります。

▲黒一色のスタイリッシュな筐体
▲スキン下のシリンダー、スライダー
▲USB接続端子

Touché SE をフル活用するための頭脳


Touché SEに付属する専用ソフトウェア「Lié」は、任意の VSTi を読み込んで自由にアサインしたり、各パラメーターの範囲やカーブを細かくカスタマイズすることができます。また入力した演奏データをリアルタイムで視覚化してくれるので、複雑な演奏やアサイン状況でも分かりやすく理解することができます。加えて Lié には200以上ものプリセットサウンドが付属しており、どれも即戦力で使えるクオリティと Touché SE の表現力を体感するには十分すぎる内容です。

Lié のパラメーター

革新的で無限の可能性


僕の大好物は、EDM 調の電子音をベースに生楽器が生き生きと乗っかるような音楽です。電子音は特に単調になりやすいので、様々なオートメーションを緻密に、複雑に動かして表情を変えていく必要があります。シンセサイザー内部のフィルターや LFO、局所的な空間系や Lo-Fi 系エフェクトなど、今まではフィジカルコントローラーも持っていなかったのでマウスで一つひとつ書いてきました。しかし Touché SE があれば素早くオートメーションを記録できるだけでなく、マウスで書くような単純な動き以上の、複雑で有機的な表現も簡単に記録できます。生楽器の打ち込みも同様で、繊細なアーティキュレーションをマウスだけで再現しようとするのは非効率だし限界があります。これも Touché SE ですぐ解決できます。例えば、僕が使っている DAW 付属のストリングス音源は、正直実用的なクオリティではありません。しかしこれに Touché SE で表情をつけてあげるだけで、リアルさが一気に格段に向上しました。

Lié を通して VSTi にアサインする以外にも、Touché SE から直接 MIDI データを取り出してエフェクターや BPM なんかをコントロールしてみたり、音楽に留まらず照明や VJ にも活用できるかもしれない。2台使ってみたら、あるいは指ではなくマレットや他の物で演奏したらどうなるか、スキンを大きな鉄板に付け替えたら何ができるか。Touché SE は革新的だからこそ多くのインスピレーションを与えてくれるコントローラーだと感じています。

冨岡 皓雲

5歳からピアノを習い始め、12歳のときにDSゲーム『メイドイン俺』がきっかけで編曲を始める。すぎやまこういちや Snail's House に影響され、表情豊かなコードや FutureBass のエッセンスを組み込んだ音楽を得意とする。
また音楽に留まらず、グラフィックデザインや映像制作の経験・実績も持つ。

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