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Universal Audio : 5分で知る UAD プラグイン(6)Galaxy Tape Echo

70年代に登場し、テープによる温かいディレイ音とスプリングリバーブの組み合わせで、ピンク・フロイドからダブ、レゲエ、現代のロックまで数え切れないほどの名盤に使われてきた名機、Roland RE-201 Space Echo。そのサウンドを驚異的な精度で再現した UAD プラグインが Galaxy Tape Echo です。

アナログの揺らぎと温かみを加える最高のスパイス


Galaxy Tape Echo は、1973年に発売された Roland RE-201 Space Echo をエミュレートした UAD プラグインです。オリジナルの実機が持つ下記の3要素を、物理的な挙動レベルで再現しています。

テープエコー
磁気テープならではのサチュレーション(歪み)と、ワウフラッター(回転ムラ)によるピッチの揺れ。

スプリングリバーブ
バネを振動させるアナログリバーブ独特の「ビシャッ」とした響き。

アナログ回路
入力段でのクリッピングやノイズフロアを再現。

これにより、古き良きアナログの揺らぎと温かみをトラックに加えるための、最高のスパイスとなります。

音作りの心臓部となる Head Select


最大の特徴は Head Select ノブです。オリジナルの実機には3つの再生ヘッドがあり、これらをどう組み合わせるかでリズムやグルーヴが変わります。以下の12種類のモードから選択可能です。

1〜4(Echo)
テープエコーのみ。ヘッドの組み合わせでリズムが変わります。

5〜11(Echo + Reverb)
エコーとリバーブを同時使用。最も Space Echo らしいサウンド。

Reverb Only
エコーを切り、スプリングリバーブ単体として使用。

どのヘッドを使うかでディレイの跳ね方が変わります。例えば、ヘッド1はショートディレイ、ヘッド3はロングディレイとなり、これらを組み合わせた「タタッ、タタッ」というリズミカルなエコーは、デジタルディレイでは出せない味があります。

ヘッドセレクト

主要なコントロール


ただツマミを回すだけでも楽しいですが、各機能の意味を知ると音作りがもっと自在になります。

Input Vol
単なる音量調節ではなく、音の太さと歪みを決めます。上げるとテープや回路が飽和し、太く歪んだサウンドに。下げるとクリーンなサウンドに。

    Echo Rate
    テープの速度を調整してディレイタイムを決めます。実機同様、操作するとピッチが「ギュイーン」と変わります。

    Feedback
    繰り返しの回数。上げすぎると自己発振が起き、強烈なノイズサウンドを作れます。ダブやサイケデリックな演出に必須!

    Tape Age
    テープの古さを決める、プラグインならではの面白い機能(実機ではテープ交換が必要)。Newでは新品のテープのクリアでパキッとした音となり、ナチュラルなボーカルトラックに最適。Oldでは使い古されたテープのように高域が落ち、ワウフラッター(揺れ)が激しくなり、不安定でローファイなサウンドになります。

      Splice
      テープのつなぎ目(スプライス)がヘッドを通過する際の、音飛びや乱れを再現するスイッチ。あえてオンにすることで、より有機的で予測不能な効果を得られます。

      コントロール

      プラグイン版ならではの便利機能


      オリジナルの不便な点を解消し、現代の制作環境に合わせた機能も搭載されています。

      Tempo Sync
      DAWのテンポ(BPM)にディレイタイムを同期させる、実機にはなかった機能。リズムにカッチリはめたい時に重宝します。

      Wet Solo
      原音(Dry)をカットし、エフェクト音(Wet)だけを出力。センド/リターンで使用する場合にONにします。

      Bass / Treble
      エコー音に対してかけるEQ。リバーブやドライ音には影響しません。

      おすすめの使い方


      ボーカルに薄くかける
      スラップバック(短いエコー)気味にかけ、Tape Age を古めに設定。ヴィンテージなロックやソウルの雰囲気が一瞬で出ます。

      ギターソロに
      Input Volを突っ込んで歪ませ、スプリングリバーブを深めに。70年代のプログレやサイケロックのような壮大な空間を作れます。

      ダブミックスに
      ドラムのスネアやハイハットにかけ、オートメーションで Feedback と Echo Rate をぐりぐり動かして発振させる。これぞスペースエコーの真骨頂です。

      デジタル臭さを消す楽器のようなプラグイン


      Galaxy Tape Echo は、単にやまびこを作るだけのエフェクトではありません。トラックに空気感、時代感、そして音楽的な汚れを加えるための楽器のようなプラグインです。クリーンすぎるデジタルの音に飽きたら、ぜひこの Galaxy Tape Echo を通して、宇宙的な揺らぎを体感してみてください。

      Galaxy Tape Echo は単体での販売の他、Apollo X Gen 2 シリーズに標準でバンドルされています。Apollo のDSPを利用して、レコーディング時にリアルタイムで使用すれば、テープエコーの独特な揺れやフィードバックを感じながらギターや歌を演奏できるため、パフォーマンスの質をより高めることができるでしょう。テープ特有の温かみのあるコンプレッション感や、心地よい歪みを録音ソースに付与できるのも、大きなメリットとなります。

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