なぜ LA-2A は「魔法のコンプ」と呼ばれるのか?
オリジナルの LA-2A ハードウェアは、Teletronix の創業者であるジム・ローレンス氏により、1960年代初頭に開発されました。最大の特徴は、T4 フォトセルという光学素子を使った独特の仕組みにあります。
- プログラム依存の動作:入力される音の大きさや長さに応じて、アタックとリリースのタイムが自動で変化します。
- 音楽的なリリース:最初の50%は素早くリリースされ、残りは数秒かけてじわじわと戻る「多段リリース」により、コンプ臭さのない、極めて自然で滑らかなサウンドが得られます。
その特許技術を取得し、長年に渡り LA-2A の製造を行ってきた Universal Audio が、LA-2A をソフトウェアでモデリングし、UAD プラグインとして初めてリリースしたのは2001年のこと。その後、さらに細部までこだわり抜いて再設計を行い、現在では3機種のLA-2Aユニットを忠実に再現した LA-2A Levler Collection として、リアルなエミュレーションを実現しています。
3つのモデルをどう使い分ける?
このコレクションには、歴史的に重要な3つのバージョンが収録されています。それぞれのキャラクターを理解するのが使いこなしの第一歩です。
Teletronix LA-2A Silver
- 1960年代後半のモデル。3つの中で最もアタックが速いのがこれ。
- ドラム、パーカッションなど、立ち上がり(トランジェント)をしっかり制御したい楽器に最適。

Teletronix LA-2A Gray
- 最も有名な定番モデル。アタックとリリースのバランスが絶妙な、平均的なレスポンス。
- 迷ったらこれ! どんな楽器にも合うが、特にベースやアコースティックギターとの相性が抜群。

Teletronix LA-2
- 1960年代初頭の初期モデル。アタックとリリースが最も遅く、サウンドは非常にメロウ(豊潤)。
- ボーカル、ストリングス、管楽器などに最適。音を優しく包み込みたい時に魔法のような効果を発揮する。

基本操作は2つのノブだけ!
LA-2A の操作は驚くほどシンプルです。
- PEAK REDUCTION:右に回すほどコンプレッションが強くかかる。まずはVUメーターを Gain Reduction にして、針が−3〜−5dBくらい動くところまで回してみよう。
- GAIN:コンプで下がった音量を補うための最終出力調整を行う。

知っておきたい LIMIT / COMP スイッチ
- COMP:緩やかな比率(約3:1)。自然に音を整えたい時に。
- LIMIT:高い比率(無限に近い)。音量をしっかり抑え込みたい、あるいは質感をより強調したい時に。

見落としがちな調整機能
実機の背面にある調整ネジも、プラグインではしっかり再現されています。
HF(R37エンファシス)
パネルにあるこの小さなネジを反時計回りに回すと、高域にだけ敏感に反応するコンプになります。低域のブーミーな音にコンプを反応させたくない時や、ボーカルの刺さるような高域を抑えたい時に有効です。

MIX
これは現代のプラグインならではの機能。原音とコンプ音を混ぜる「パラレル・コンプレッション」が簡単にできます。ガッツリ潰した音を少しだけ混ぜることで、迫力と生々しさを両立できます。

LA-2A であなたのトラックに温もりを
Teletronix LA-2A は、単なる音量調整ツールではありません。通すだけで真空管アンプ特有の暖かみと、シルクのような滑らかさが加わる、音を良くするためのツールです。
- パキッとさせたいなら LA-2A Silver
- 万能にこなすなら LA-2A Gray
- うっとりするような滑らかさなら LA-2
この3台を使い分けて、あなたのミックスをワンランク上のプロサウンドに引き上げましょう。
また、Apollo インターフェイスを使用すれば、Teletronix LA-2A をリアルタイムにかけながら録音することも可能となります。LA-2A の魅力は、適当にツマミを回しても音楽的に聴こえるという、魔法のような操作性にあります。Apollo と組み合わせることで、その魔法を録音の瞬間から適用できるのが最大の強みです。
