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GoranGrooves : シンプルでとにかく音がいいドラム音源 Handy Drums v2.0

GoranGrooves の Handy Drums v2.0 を紹介します。筆者自身、1年半前に導入してから生系のドラムは全て Handy Drums で制作するほど"推し"のドラム音源です。また、最近v2.0へとアップデートされて様々な機能やサウンドが強化されました。v2.0のトピックを交えつつ、Handy Drums の魅力についてお伝えしたいと思います。

推しポイント① 超ハイクオリティな生々しいサウンド


これまで様々なドラム音源を使ってきましたが、クオリティの高い製品はたくさんあれど、スタジオ収録の生ドラムと聴き比べるとどうしても聴き劣りすると感じていました。その点、Handy Drums はスタジオ収録の音質にかなり近く、生々しい空気感や質感がとても気に入っています。

GoranGrooves は元々、楽器のレコーディングやミックスのサービスを提供しており、そのノウハウが生かされている音だと感じます。また、Low成分が豊富にあるので、小編成の密度の薄いアレンジでもしっかりとした存在感で音楽を支えてくれます。逆に密度の高いアレンジの場合は、EQ等でしっかりめに調整した方が、オケに馴染んで良い結果になると思います。さらに、v2.0でハイハットの表現力が向上しており、CC4によってハットの開き具合をコントールできるため、生演奏に近いニュアンスを再現することができます。

Handy Drums

開き具合をシミュレートしてるドラム音源は意外と少ないので、この機能追加はめちゃくちゃ嬉しいですね。さらにv2.0では「Studio Legend」「Rock Legend」という2つのKitのミックスがイチから調整し直されており、より自然でオケに馴染みやすいサウンドにブラッシュアップされているのもありがたいです。

推しポイント② 必要最小限のパラメータと機能


他のドラム音源において、あたかもレコーディングエンジニアがマイキングをするかのように、自由度の高い音作りを行える製品があります。確かに、細かく調整して理想の音を追求できることは魅力的ではあるのですが、オペレーションの難易度が高かったりして、上手くいかないままドツボにハマり、気がついたら何時間もドラムを弄ってる…ということも起こりがちです。

その点、Handy Drums は音に関する調整パラメータはVolume、Pan、Pitchのみとかなり割り切っています。つまり、最初から完成されたサウンドが鳴ってくれるので、調整に悩んで時間を費やしてしまうことが全くないです。リバーブの調整はできないのですが、スタジオで録ったような程よいルーム感が入っているため、あとはホール系などのリバーブを曲に合わせて別途足すだけでナイスなサウンドに仕上がります。基本的に微調整くらいで事足り、節約した時間は作曲・アレンジ作業に費やせるので、私としてはとても有り難いですね。

音源の中でのエフェクトインサートはできませんが、パラアウトしてDAW側でエフェクトをかけることが一般的に多いと思いますので、特に問題になりません。また、キーマッピングやMIDIループブラウザ、ミキサーなど痒いところに手が届くアップデートがv2.0でなされており、より使い勝手が向上しています。

推しポイント③ 様々なジャンルに対応する豊富なKitバリエーション


私はゲームの音楽制作に携わっているため、様々なジャンルの曲を作らなければいけないことが多いです。そのため各ジャンルの特徴をしっかり押さえた Handy Drums のラインナップにはかなり助けられています。民族系のアプローチが必要なことも多いので、パーカッション系のKitも一通り揃っているのもポイントが高いですね。v2.0でカホンやジャンベ、ティンバレス等の楽器が追加されたので、これからガンガン使っていきたいところです。私がよく使っているKitをいくつか紹介したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

Studio Legend

前項でも触れましたがv2.0でブラッシュアップが行われ、より洗練された音になりました。Yamaha Recording Custom がサンプリングされており、まさに「スタジオの音」という印象です。汎用性の高い音色でどんなジャンルにも使えるので、悩んだらとりあえず Studio Legend をトラックに追加しています。明るくハッキリした音が欲しい場合は Studio Standard を使うこともありますね。

Retro Custom

公式Webによると「70年代の暖かくパンチのあるサウンドで、R&Bやオールドスクールに最適…」という宣伝文句ですが、私は暖かくて深みのある音色が、ローテンポの今っぽいバラード曲にも合うなと思ってよく使っています。金物系の落ち着いたやや陰りのあるサウンドもメランコリックな雰囲気を出すのにとても良いです。

Jazz Standard

ジャズドラムではライドシンバルが非常に大事なのですが、そのサスティン感が非常に自然かつ気持ちよく鳴ります。また、ベロシティを小さめで鳴らした時の、繊細なニュアンスも解像度高く表現されており、ソロでもしっかり聴かせられるクオリティです。

World Percussion, Latin Percussion

よく使われるパーカッションが一通り揃います。数あるパーカッションライブラリーの中から、目当てのパーカッションを探してサンプラーに読み込み、質感を整える…、意外と時間が取られる作業なんですが、HandyDrums のおかげでその手間から解放されました。もちろんサウンドも最高です。

ここまで Handy Drums の推しポイントを伝えてきましたが、総括すると「シンプルで音がとにかく良い」ドラム音源です。ドラムに詳しくない人でも気軽に扱えて、ドラムにこだわりがある人にとっても納得頂ける高いサウンド品質ですので、この記事で興味を持って頂けたらぜひお手に取って頂ければ幸いです。

文:北谷光浩

株式会社バンダイナムコスタジオのサウンドチーム所属。これまでに、BLUE PROTOCOL、ACECOMBAT、鉄拳、アイドルマスター、サマーレッスン、太鼓の達人など様々なタイトルで音楽制作や実装、効果音、ボイス等のサウンド開発業務に携わる。
https://x.com/M_Kitadani

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