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Universal Audio : UAD Ruby '63 Top Boost Amplifier を使いこなす

Universal Audio のアンプペダル、UAFX Ruby '63 Top Boost Amplifier をベースに開発された UADx プラグインが、UAD Ruby '63 Top Boost Amplifier です。VOX AC30 が元になったアンプで、3種類のチャンネルを選択でき、さらに BOOST や ROOM で細かくサウンドメイクができます。

ブリティッシュサウンドを代表するギターアンプを忠実に再現


VOX AC30 と言えば、THE BEATLES や QUEEN、U2 などに愛用されたアンプで、中域に特徴を持ち、芯の太いクリーンサウンドやエッジの立ったドライブサウンドが持ち味です。一見、歪まなそうなアンプと思われがちですが、ボリュームノブを上げていくと太くサスティンのあるオーバードライブ・サウンドが出せる、ブリティッシュサウンドを代表するギターアンプです。

そんな名機の特徴を忠実に再現した UAD Ruby '63 Top Boost Amplifier(以下 UAD Ruby)について、まずはUI(ユーザーインターフェース)から紹介します。

中段エリアの左側で「アンプのチャンネル選択」と「ブースト」、右側で「スピーカーキャビネットとマイクの選択」が行えます。まずはここから見ていきましょう。

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アンプチャンネルの選択

上の画像の赤枠で囲んだエリアで「アンプチャンネルの選択」を行います。NORMAL(ノーマル)、BRILLIANT(ブリリアント)、VIB-TREM(ビブラート)の3つから選択します。

NORMAL チャンネルは1961年の AC30 をベースにしていて、クリーンサウンドから荒々しいオーバードライブ・サウンドまで出せます。1ボリューム/1トーンのシンプルなツマミで音作りができます。BOOSTとの相性がとても良く、ツマミを上げていくと、さらにドライブサウンドを強化できます。

BRILLIANT チャンネルは1963年の AC30 Top Boostをベースにしていて、クリーンから激しいオーバードライブ・サウンドまで、1ボリューム/3トーンで幅広い音作りができます。クリーンサウンドからボリュームを上げていくと、9時以降からドライブサウンドになり、12時以降はさらに歪みにねばりが出て、ミッドローが強調され、太さも加わっていきます。ハイゲインのディストーションサウンドとまでは言えませんが、オーバードライブにブースターを加えたような厚みが出て、リードサウンドに十分使えるドライブサウンドになります。一番使い勝手が良いチャンネルです。

VIB-TREM チャンネルは1963年の AC30 Top Boost をベースにしていて、音揺れを加えることができます。ビブラートエフェクトとして使われがちなチャンネルですが、VIBRATO スイッチをオフにしてアンプとして使えることも忘れられがち。この使い方はある意味、裏技です。VIB-TREMチャンネルで、ボリュームをフルテンにすれば、NORMAL チャンネルのフルテンと比べてローがなくなり、ミッドとハイが強調されたサウンドとして使えます。

スピーカーキャビネットとマイクのセッティング

水色の枠で囲んだのは「スピーカーキャビネットとマイクのセッティング」を選択するエリアです。キャビネットとマイクがセットになっています。

6種類のセッティングとダイレクト1種類の7種類から選択します。セッティングの内訳は以下の通りです。

  • Silver:57 でマイキングされた2x12のレアな 15W Celestion Silver Bulldog スピーカー。温かみのあるレンジの広いミッドが特徴のサウンドです。NORMAL チャンネルと組み合わせると QUEEN のサウンドに近づきます。
  • Blue:57 でマイキングされた2x12オリジナル Celestion Blue Bulldog スピーカー。芯のある硬めなミッドにハイがプラスされたサウンドです。BRILLIANT チャンネルと組み合わせると THE BEATLES や U2 のサウンドに近づきます。
  • Green:160 リボンマイクでマイキングされた 2x12 Modern Celestion G12H スピーカー。レンジが広がった温かみあるミッドと抜けのよいハイが特徴です。
  • Blue Mod:57 でマイキングされた 2x12 Modern Blue Bulldog スピーカー。ハイミッドが強調されたサウンドです。
  • Match:57 でマイキングされた 2x12 Celestion G12H スピーカー。力強いミッドローが強調されたサウンドです。
  • Gold:421 ダイナミックマイクでマイキングされた 1x12 Celestion Gold スピーカー。レンジが狭く、中域が前に出る太いサウンドです。

ブースト

黄緑の枠で囲んだのが BOOST のスイッチとツマミです。ツマミ横のスイッチでオン/オフし、ツマミを時計まわりに回すとブースト量が増え、歪みが増してきます。

BOOST の効果はチャンネルによって異なります。

NORMAL チャンネルでは Dallas Rangemaster のゲルマニウム・トレブルブースターのサウンドが得られます。オンにするだけでドライブ感が加わり、ツマミが最小でもザラついたサウンドになります。ツマミを上げていくとミッドブースト・サウンドになり、さらに上げていくとミッドがブーストされながらも、ハイとローもしっかりと感じられるオーバードライブ・サウンドになります。

BRILLIANT チャンネルでは MAESTRO / ECHOPLEX EP-III プリアンプのブーストサウンドが得られます。オンにしてツマミを上げていくと音の芯がしっかりと立ってきます。低めの設定では滑らかなサウンドになり、オケとのなじみが良くなります。ブースト量を上げていくと音が分厚くなり、ハイミッドが持ち上がります。ただ NORMAL チャンネルのブーストよりはドライブ感が少ないので、いわゆる ブースター 感覚に近いと言えます。

VIB-TREM チャンネルでは、歪みを加えずにクリーンゲインを追加するブーストとして機能します。ツマミを上げていくとミッドとハイが強調されていきます。クリーンブースターの感覚に近いです。

TONE ツマミは時計回りでカットされていく


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下部にはアンプのツマミが表示されています。UAD Ruby は全てのチャンネルが1ボリューム仕様です。TONEツマミは選択するアンプチャンネルによって変わってきます。

NORMAL チャンネルでは1トーン(CUT)のみです。

BRILLIANT チャンネルのみTREBLEとBASSとCUTの3トーンです。

VIR-TREM チャンネルは1トーン(CUT)で、ビブラート用の SPEED と VIB-TREM のツマミが表示されます。

これらの TONE ツマミは注意が必要です。通常のアンプのツマミとは逆で、時計回りに回すとカットされていきます。例えば TREBLE ツマミを上げていくと、通常は高域が上がっていきますが、このアンプでは高域が下がっていきます。あくまでカットするノブなのです。

ROOM ツマミで音抜けを調整し、ミックスしやすくする


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上部には、左からインプットレベル、プリセット名、部屋鳴りを調整する ROOMツマミ、一番右にアウトプットレベルがあります。

ROOM ツマミで部屋鳴りを調整します。上げていくとルームマイクのアンビエンスが加わっていきます。12時の位置から、好みに応じて調整してみてください。アルペジオや白玉コード、クリーンのソロではツマミを上げ気味に、カッティングや速いパッセージ、歪んだギターソロではツマミを下げ気味にすると、音抜けの良いミックスしやすいサウンドになります。

プリセット

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プリセット名をクリックすると、左側にブラウザが表示されます。プリセットは33種類あります。

TYPE から Clean/Crunch/Lead などの音色や、NORMAL/BRILLIANT/VIB-TREM というチャンネルがソート可能で、選択すると対応するプリセットが表示されます。初心者の方は、まずはこのプリセットからサウンドを見つけるのがオススメです。気に入ったプリセットからツマミをいじったり、チャンネルを変えたりしてみると、いいサウンドが作りやすくなります。

まとめ


UAD Ruby はミッドに特徴を持つギターアンプです。

3チャンネルある中で、歪ませる範囲が広く、かつTONEノブが豊富な BRILLIANT チャンネルを使う人が多いと思います。クリーンからリードに使えるドライブサウンドまで、変化の幅が一番大きいチャンネルだからです。

とても扱いやすいチャンネルですが、個人的には NORMAL チャンネルの BOOST を使うサウンドメイキングや、より歪みが欲しい時にオーバードライブ/ディストーション・ペダルを加えて NORMAL チャンネルのサウンドメイクを極めていくと、その魅力をより深く知ることができると思います。さらに VIB-TREM チャンネルのビブラートをオフにした状態で、BOOST を併せて使っていくと、より UAD Ruby のサウンドに魅了されると思います。

「VOX AC30 は扱いが難しい」と感じているアマチュアのギタリストは多いと思います。ブリティッシュサウンドが好きなプロミュージシャンに愛用されることが多いアンプでありながら、リハーサルスタジオに常設されることが少ないからです。

コントロールノブがシンプルなため本来は扱いやすいのですが、チャンネルの個性を理解した上で設定をしないと、こもったような音ヌケの悪いサウンドになったり、気持ち良いドライブサウンドにならなかったりします。さらに CUT ノブがサウンドメイクを難しくしている要因かもしれません。

UAD Ruby の特徴を理解するには、キャビネット&マイクを Blue に固定し、その上でチャンネルを変えたり、VOLUME や TONE、BOOST をいじってみてください。そうすることで音の違いがよりわかりやすくなります。それがわかったうえで、キャビネット&マイクを変えていくと、より求める音が作れるはずです。そうすると AC30 のサウンドメイクも簡単になります。

UAD Ruby で AC30 の3つのチャンネルの特徴的な中域を体感し、CUT ノブの効果を確認して、BOOSTノブやROOMノブでディテールを感じ取り、自分の求めるサウンドメイキングを構築していってください。

文:井桁 学

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