Hookup,inc.

MeldaProductions : 脱初心者!! MDrumStrip で1ランク上のドラムミックスを!

自宅でデモを仕上げたり、ファイナルミックスを完結させることがプロアマ問わず行われていますが、ミックスに関するプロセスは専門的な知識が多く必要で、特にDTMを始めたばかりの初心者は何をどうすればいいかがわからないことも多いのではないでしょうか? そこでミックスのプロセスの中でも特に複雑な、ドラムミックスに役立つプラグイン MDrumStirp を紹介しようと思います。(文:PABLO)

DAW上でドラム専用のチャンネルストリップを構築する


まずはDAW上のキックやスネアを立ち上げたチャンネルに、個別に MDrumStrip を挿し込みます。MDrumStrip を起動すると、音作りに必要なイコライザーやコンプレッサーなどがドラムのサウンドごと(スネア、キック、タムなど)に最適化された状態でプリロードされます。MDrumStrip は各サウンドに対応したイコライザー、コンプレッサー、ゲート、リバーブ、サチュレーターなどがワンセットになっているチャンネルストリップなので、個別に立ち上げる必要がなくCPUへの負荷も軽めです。左側に並んだデバイス一覧から、キックには Bass drum を、スネアには Snare drum を選択して、ドラムの各トラック上にチャンネルストリップを構築していきましょう。

MDrumStrip
▲左側のデバイス一覧から、パーツごとのチャンネルストリップを選択する

EQセクションでドラムサウンドの多彩な音響特性を学ぶ


Snare drum を例に、基本的な仕様を見ていきましょう。まずはEQの中に BODY、2ND、3RD...と各ポイントが設定されており、それぞれブースト/カット、オン/オフなどが可能です。ビジュアライザー(下画像内①)に表示されている縦線が各イコライザーのポイントとなっており、ブーストやカットをすることで、どのようにスネアに作用するのかが把握できます。アタックがどの帯域で表現されているかや、余韻がどこの帯域で感じられるかを学ぶこともできます。また FUNDAMENTAL(下画像内②)の値を設定することで基準となるポイントを変更できるので、曲に合わせたイコライジングを素早く作れるところも魅力です。

DEPTH(下画像内③)はDRY/WETのような機能で、曲の仕上げの段階でイコライジングが少しオーバー気味に感じたらその効果を弱めるなど、微調整が効くところも嬉しいですね。各ドラムサウンドに適したイコライザーの設定がされているので、キックやタムなどの様々な音響特性を学ぶことができるでしょう。

MDrumStrip Snare
▲中央にあるのがEQセクション

個別のコンプレッションとゲートで躍動するドラムビートを!


DYNAMICS(コンプレッサー)の項目はとてもユニークでパワフルです。3つの異なるコンプレッサーとトランジェントのキャラクターをミックスしてサウンド作りが可能です。スネアのDYNAMICSを構成するのは POP / COMP / SQUASH(下画像内①)で、これらを組み合わせた左下のビジュアライザ(下画像内②)をマウスでドラッグすることでコンプレッションを決定できます。

アタック重視のスッキリしたサウンドから、ハードでスローリリースなパンピングサウンドまで、難しいコンプの数値と睨めっこしながら作る必要はありません! コンプレッションで好みのサウンドが得られたら、ゲートを使って必要のない余韻はカットしてしまいましょう。うまく活用することで曲の雰囲気に合った音の長さとなり、躍動感を表現できます。

また MDrumStrip には AUTO INPUT 機能も付いており、コンプレッションやゲートが適切に作動する値まで入力レベルを上げてくれるので、初心者の方はぜひそちらも活用しましょう。

MDrumStrip BASS DRUM
▲中央下部に DYNAMICS のセクション、その左に GATE、左上に AUTO INPUT がある

ドラムマスターバスで迫力のあるドラムサウンドへ!


ここまで紹介した機能はキックやタムやルームなどでも共通の仕様になっており、それぞれに適したチャンネルストリップを簡単に構築できます。EQとDYNAMICSを繰り返し調整することでイメージしたサウンドメイクへ到達しやすいのが MDrumStrip の最大の魅力と言ってもいいでしょう。

個々のサウンドをしっかり構築したら、最後は各ドラムサウンドを1つのチャンネルにアサインして、MDrumStrip の Parallel と Master を挿し込み、ドラムサウンド全体のパラレルコンプとマスターコンプを調整していきましょう。パラレルコンプは先ほど紹介したコンプレッサーと同じ仕様になっていますから、コンプレッサーのタイプとDEPTHをうまく活用して調整していきましょう。この段のリバーブの設定で距離感を作ることができ、ビッグなドラムからタイトなドラムまで演出することができます。

最後に MASTER で全体的なサウンドを調整すれば完成です。MASTERセクションのコンプレッサーは2バンドのパラレルコンプ MB GLUE と、滑らかなかかり方のトータルコンプ GLUE に分かれており、ここまで構築したサウンドをひとつにまとめてくれる役割を担います。

MDrumStrip
▲MASTER セクションには MB GLUE と GLUE という2種類のコンプが用意されている

非常に強いコンプレッションを得られるので、ここでもDEPTHを活用しましょう。EQは7バンド・グラフィック・イコライザーになっており、今までのイコライザーとは違うタイプですが、不要な帯域と強調したい帯域を曲全体のサウンドを聴きながら微調整すると、曲全体に馴染むようなサウンドメイクができるでしょう。

より本格的なミックスから生ドラムのレコーディングまで対応


ここまで駆け足で紹介してきましたが、各チャンネルには生ドラムの録音に対応したレゾナンスキルやブリードキルの機能まで網羅されています。

MDrumStrip はこれひとつでドラムサウンドメイクに必要な機能が網羅されていると言ってもいいほど、多機能かつ高クオリティのドラム専用プラグインです。特に初心者がより凝ったドラムミックスに挑戦したい時にオススメします。イコライザーやコンプレッサー、ゲート、マスターセクションが、ドラムサウンドにどう作用するのかを詳細に知るきっかけになるからです。また個別にプラグインを設定する必要もないので、かなりの時間の節約にもなります。プロのアレンジャーや作家の方々のデモ音源作りにも強くオススメできるプラグインです。

PABLO

2006年に Pay money To my Pain のギタリストとしてデビュー。様々なアーティストへの楽曲提供やツアーサポートを担っている。自身のバンドである Redorca や The Ravens でも精力的な活動を行なっている。

関連記事

ページトップへ