Mick Guzauski (Daft Punk, Pharrell, Eric Clapton) への10の質問

錚々たるアーティストの名盤を多数手掛けるエンジニア Mick Guzauski が語る、お気に入りのUADプラグインといくつかのTips、そしてメッセージ。

2013年、世界的な成功を収めた Daft Punk のアルバム Random Access Memories のミックスを終えた後、UAは Mick Guzauski に話を伺うことができました。(当時のインタビュー記事はこちら)
まさに「ランドマーク」となるこの作品は、ざっと名前を挙げただけでも Prince、Barbara Streisand から Pharrell、Eric Clapton 等、彼の過去30年以上に渡るマルチ・プラチナの内のハイライトのひとつと言えるでしょう。 

浮き沈みの激しい、結果が重視されるこの世界において、彼はその卓越したミキシングスキルを武器に、自身を伝説的なまでの成功へ導き、多くのグラミーを獲得しています。 

ここでは、彼のお気に入りのUADプラグインといくつかのTips、そして若いミキシングエンジニアに向けての大切なメッセージが語られています。

1.あなたはライブミックスからそのキャリアをスタートされました。このことは後に役立ちましたか?

そう、かなりね。大編成物をかなりやったよ。様々な楽器を大きなPAに通していく事で、バランスや各楽器がどう鳴っているのかを学ぶことができたんだ。

2.ミックスの感覚を磨くためにはどの様にスキルアップをしていけば良いのでしょう?

ミキシングを真に理解するための方法として、「プロジェクトのスタートから参加する」ということが挙げられるね - ミキシングの時だけではなく、プロジェクトの最初から最後まで - マイクのセッティングから録音、そしてファイナルミックスまでを通して、だね。 

そのサウンドがなぜ、どのようにして録音されているかを知ることによって、さらに良いミキサーになれるんだ。ブースに入ってみてドラムやギターが本当はどんな音を出しているかを聞く。ブースの向こう側にいるだけじゃダメだよ。

3.先日、ここUAのスタジオ "610" で Big Data の楽曲の録音とミックスを行われましたね。その工程を語っていただいてもよろしいでしょうか。

もちろん。"New Body" という楽曲のソングライティングと録音を行う3日間のセッションだったよ。 
Big Data は UA でのセッションのために数日前にやってきた。その時にはまだサビのボーカルと Ableton Live で作ったバッキングトラックが少しあるくらいだったね。本当に才能豊かなミュージシャン達と、Lizy Ryan というシンガーとともにやってきたんだ。そして彼は各パートを書いていき、僕は Apollo 8p を3台使ってそれを Pro Tools に録音していった。最近はミックスに専念していたよ。(プロジェクトの)初期の段階から参加して、録音とミックスまで楽曲の全てにおいて携われることができて楽しかったね。 

"重要なのは、楽器やスタジオ機材に関わらず特定の何かひとつに固執するということではない。全体をどうフィットさせるかということなんだ。"

4.セッションで使われたUADプラグインについてお伺いします。どのプラグインが、どのようにして使われたのでしょうか?

ドラムの録音には、 Neve 88RS Channel Strip Collection と API Vision Channel Strip を使ったよ。 
オーバーヘッドとタムには 88RS。プリアンプとEQセクションがとてもスムースで、まさにハードウェアみたい。キックとスネアには API Vision だ。APIがキックとスネアに与えてくれるパンチが好きなんだよね。ボーカル録りには、UA 610 Tube Preamp & EQ Plug-in Collection の中から 610-A プラグインを使ったよ。 

5.LA-2A と 1176、まったくタイプが異なるこれらのコンプレッサーをあなたはどのようにして使い分けているのでしょうか?

Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection は僕の大好きなコンプレッサーのひとつを再現してくれている見事なセットだ。LA-2A Silver はベースとボーカルにスムースでウォーム、控えめなコンプレッションが欲しい時に使うかな。 実際に LA-2A はバラードには最適で、本質的にはスローなコンプレッサーだよね。 
でも早いコンプレッションが LA-2A シリーズで欲しい時にはグレーのモデルを選んでいる。ほんのちょっぴり早く信号を抑えることができるんだ。 

一方で、情報量の多いミックスの中でボーカルをしっかり安定させたい場合には 1176 Classic Limiter Plug-In Collection に入っている 1176 Rev E を使う。アタックとリリースタイムを調整できるから一言一句をより明確にできるんだ。ボーカルに対するディストーションや色づけにはブルーストライプの 1176 プラグインを使ったりするよ。 

6.LA-2A と 1176 は非常に"カラフル"なコンプレッサーです。もし、より透明感のあるものが必要な場合、どんなモデルを求めますか?

Precision Limiter プラグイン は、ドラムやパーカッションのトラック、またサブグループのピークをコントロールするのにとても便利で、処理済みのオーディオと未処理のオーディオの聴覚上のレベルを合わせることが簡単なんだ。 

例えば、ピークを抑えつつも音量はキープしたい、といった時には Precision Limiter のインプットレベルを求めるリミッティング量 - 例えば+6としよう。そうしたらアウトプットレベルを同じくらいかちょっぴり僅かに...そうだな、-5から-6dBくらいにセットする。これはファイナルミックスバスにおけるオーバーコンプレッションやオーバーリミッティングを防ぐことに繋がるよ。

7.ミックスバスにプラグインを挿すことはありますか?

Manley® Massive Passive EQ プラグイン をいつもミックスバスに使っているよ。16kをシェルフモードにしてブーストした時にとてもエアリーで素晴らしいトップエンドになるんだ。こんな個性的な表現ができるプラグインは僕の知る限り他にはないね。 

8.どの時点で Massive Passive をミックスバスにインサートするのでしょう?また、どのような調整を行いますか?

ミックスのバランスとトーンが掴めた時点で一度インサートする。いつもミックスを終えるまでに途中で何度か調整してるね。ミックスにイイ感じのプレゼンスを得るために、かなり幅広く4.7kをブーストすることもある。時には180か270Hz辺りを僅かにカット。こもった感じがクリアになるよ。また、ローエンドのパワー感を出すために 47Hzを持ち上げることもある。ハイパスフィルターはサブソニックを除去するのにも役立つね。 

9.あなたのミックスには空間を活かす素晴らしいセンスを感じます。リバーブはどのようにしてピックアップしますか?

EMT® 250 Classic Electronic Reverb プラグイン は、ボーカルにも使うけど、それ以上に楽器でよく使う。250はユニークかつリッチなサウンドがするリバーブで、実機同様に少し帯域幅的に限りがあるところが気に入ってるよ。 

EMT® 140 Classic Plate Reverberator プラグイン を使う時によくやるのは、それをふたつのチャンネルに置き、一定のEQを設定したプレートAと、僅かに異なるプリディレイを設定したプレートBをうまく組み合わせていくという手法かな。こうすると単体で使うよりもさらに濃厚でリッチなリバーブサウンドが得られるんだ。 

パーカッションでは AMS RMX16 Digital Reverb プラグインをよく使うよ。例えば、バラードでタンバリンが2拍、4拍と鳴らされ空間の多くを満たすような場合、RMXはハイエンドのディケイにおいて素晴らしい表現をしてくれるんだ。実際、RMX16の実機を持っているけど、もう使わなくなっちゃったよ!

10.ミキサーを目指している方々へアドバイスをお願いします。

自分自身が楽しんで聴くことのできる音楽を作るようトライして欲しい。 
オープンマインドでいる事も大切だね。プロジェクトはそれぞれが異なるものだから、ミックスを変な方向にねじ曲げて、目指すべき姿から離れてしまうようなことはしないように。

- Darrin Fox

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