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Universal Audio : 5分で知る UAD プラグイン ①1176 Classic Limiter Collection

伝説的なコンプレッサー/リミッター、Universal Audio 1176。音楽制作に携わる人なら、一度はその名を耳にしたことがあるでしょう。1967年の登場以来、数え切れないほどのヒット曲にその「パンチ」と「キャラクター」を刻んできたこの名機が、UAD プラグインとしてどのように進化してきたのか。その魅力と使い方を徹底解説します。

1176 の歴史:オーディオ界の「巨人」が遺したもの


オリジナルの 1176 は、UA の創始者であり「オーディオ・ルネッサンスの巨人」と称されるビル・パットナム Sr.氏によって開発されました。当時のリミッター技術において、1176 はまさにマイルストーンでした。世界で初めてFET(電界効果トランジスタ)をゲインリダクションの要素として採用。これにより、真空管時代には不可能だった20msという超高速なアタックタイムを実現したのです。その後、ノイズを劇的に減らした「LN(ローノイズ)」モデルの登場など、40年以上にわたり13回ものリビジョン(改良)を重ね、現在の地位を確立しました。

2001年には、最初の 1176 プラグインエミュレーションである UAD 1176LN がリリースされ、アナログエミュレーション・ソフトウェアに革新をもたらします。2013年にはすべてのモデリングを見直し、現在では3つの異なる 1176 ユニットをエミュレーションした 1176 Classic Limiter Collection として発売されています。

個性豊かな3つのラインナップ


UAD の 1176 Classic Limiter Collection には、40年以上にわたる進化を象徴する、キャラクターの異なる3つのモデルが含まれています。

1176 Rev A "Bluestripe"

  • 1176 の原点。青いストライプが目印。
  • 高い歪み成分と、FET特有のアグレッシブなキャラクター。
  • ゲインリダクションをかけなくても、通すだけで音がクリップしやすく、荒々しい質感を加えたい時に最適。
    1176 Rev A

    1176 Rev E "Blackface"

    • 70年代前半のLN(ローノイズ)回路を再現。
    • 比較的リニアなレスポンスで、よりクリア。
    • 最も汎用性が高く、ボーカルから楽器までどんなソースにも馴染む。
    1176 Rev E

    1176AE "Anniversary Edition"

    • UA 40周年記念モデルの再現。
    • 2:1という低い圧縮比と、10msの「スーパースロー」アタックを搭載。
    • 1176 をより繊細に、スムーズにかけたい時の「隠し味」。
    1176 Rev AE

    基本操作:逆回転のダイヤルに注意!


    1176 の操作はシンプルですが、独特なルールがあります。

    • INPUT:コンプに入るレベルを上げます。時計回りに回すほど、コンプレッションが深くかかります。スレッショルド値は固定ですが、低レシオでは低く、高レシオでは高めに設定されています。
    • OUTPUT:最終的な音量を決めます。
    • ATTACK & RELEASE:ここが最大の注意点。時計回りに回すほど「速く」なります。 一般的なコンプレッサーと逆の感覚なので、初心者の方は要注意!
    • RATIO:コンプの強さを選びます。
    • HR(ヘッドルーム):感度を調整することで、歪み始めるポイントをコントロールできます。
    • MIX:プラグイン内でパラレルコンプレッションが可能。原音の芯を残しつつ、コンプのパンチを加えられます。
    • サイドチェインフィルター(リリースノブの/):低域にコンプが反応しすぎるのを防ぎ、キックやベースでの不自然なポンピングを回避します。
    コントロール

    1176 を使いこなす秘伝のテクニック


    ① 伝説の全押しモード

    レシオボタンをすべて同時に押し込む裏技です(プラグインではShiftキーを押しながらクリック)。 サウンドは過激に歪み、アタックとリリースが複雑に絡み合います。ドラムのルームマイクや、ボーカルを前面に張り付かせたい時に魔法のような効果を発揮します。

    ② トーンボックスとして使う

    レシオボタンをすべて解除(Shift+クリック)すると、コンプレッションをオフにできます。しかし、信号は 1176 のアンプ回路を通るため、「1176 の質感だけ」を付与する贅沢なプリアンプとして活用できます。

    レシオ
    ▲レシオのマルチボタンモードの様々な例。左端がすべて解除、右端が全押しモード

    ③ 最速設定で歪みを加える

    アタックとリリースをあえて最速(右に回し切る)に設定してみてください。音が瞬時に歪み、ガッツのあるサウンドに変化します。ベースやリードボーカルにエッジを立てたい時に非常に有効です。

    ミックスに「魂」を吹き込む 1176


    UA 1176 は、単なる音量調整ツールではありません。トラックにエネルギーを与え、ミックスの中で音をソリッドにするためのツールです。どのモデルを使えばいいか迷うという方は、まずは Rev E (Blackface)で基本の音作りを覚え、より個性が欲しい時に Rev A (Bluestripe)を試してみるのがおすすめです。Rev Aで荒々しく、Rev Eでパワフルに、AEで繊細に。あなたのミックスに、歴史を作ったあの「パンチ」を加えてみませんか?

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