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Nektar Technology : Jimmy Waldo が選んだライブのためのMIDIキーボード・コントローラー

ライブステージで Nektar のキーボード・コントローラーを長年愛用する Alcatrazz のキーボード・プレイヤーのジミー・ウォルドが、WARLORD のメンバーとして来日。サウンドチェックの合間の時間を借りて、その身軽なライブ用のキーボードシステムについて話を聞きました。

Impact GX61 は弾きやすいのはもちろん、ツアーで楽に持ち運べるのも魅力


- ヘヴィメタルのキーボードというと、大きなステージオルガンがメインというイメージがあったので驚いたのですが、現在の機材はどのような構成なんですか?

もちろんシカゴの自宅には Hammond B-3 もあるし、以前ステージで使っていた Hammond SK-1 やいろいろなビンテージ・シンセも持っているけど、ツアーでは Mac にインストールした Apple MainStage(ライブ用音楽アプリ)を使っていて、それを2台の Nektar Impact GX61 で鳴らしているんだ。MainStage を使い始めて10年になるかな。Nektar のキーボード・コントローラーはもう7年は使っているよ。

- Nektar のキーボード・コントローラー、Impact GX61 をチョイスしたのには何か理由がありますか?

以前は他のブランドのコントローラーを使っていて、もちろん打ち込みもやるけどもライブ・パフォーマンスで弾きやすいものを探していたんだ。それでいくつか試したんだけど、特にキーベッドのクォリティに差があったんだよ。シンセで有名な某メーカーのコントローラーはキーごとに高さがバラバラで、楽器としてライブ演奏に使うには充分ではなかったね。それは打ち込みをやっている友達にあげちゃったよ。で、たまたま通販で見つけた Impact GX61 を買ったんだけど、これが弾きやすくて。今ではツアー用に2台、シカゴの自宅に3台、ドイツにいるマネージャーのスタジオにも2台置いてあるよ。

- Nektar には多機能なものもラインナップにありますが、GX という最もシンプルなものを選んだ理由は?

ライブ演奏重視だったから弾きやすいのはもちろんだけど、ツアーで楽に持ち運べるのも魅力だね。Gator のキーボード用セミハードケースに Impact GX61 を2台、プチプチに包んで入れているけどとても軽い。昔は Minimoog の実機をフライトケースに入れてツアーをしてたんだからね。重いし、デカいし、ずいぶんと飛行機の超過料金をとられたものさ。他に何台もキーボードを運んでいたからね。今じゃバックアップも含めて MacBook が2台とステレオタイプのオーディオインターフェイス(MOTU)とモニター用の小さなミキサー(Behringer)、それとカスタムで作ってもらったキーボード・スタンドで世界中をツアーできるんだ。

- そのスタンドですが、2台の Impact GX61 を隙間がほとんどないように重ねていましたね。

そうなんだ。GX のノブも取り外して、なるべく厚みをなくして重ねているんだけど、これは上段のキーボードで音を伸ばしながら、すぐに下段のキーボードも弾けるようにするためなんだよ。主に上段はアナログシンセのサウンドでソロをとるし、下段はオルガンでバッキングをすることが多いかな。

Impact GX61
▲ステージ上の Impact GX61 と MacBook Pro。2台の Impact GX61 はほぼ隙間なく重ねて設置されている

- ハードウェアの音源を使わないというのはトレンドなんでしょうか?

普段は自宅スタジオでプリプロダクションを行うのも Logic だし、ソフトウェア音源に慣れているというのもあるね。とにかく最近のソフトウェア音源は素晴らしいよ。この前使った IK Multimedia のオルガン音源、Hammond B-3X なんてサイコー。レコーディングではレスリーの実機を通して鳴らしたけど、本物と区別がつかないと思うよ。

- MainStage を使うメリットは他にもありますか?

うん、曲ごとにいろいろな音源を一度に鳴らすから、オルガンといっても MainStage の音源だけではなくて2~3種類は重ねているし、そういったセッティングが簡単だね。しかも曲ごとに使うサウンド、主に2つのパートだけど、それをセットにして曲名で管理をしている。それをさらにステージごとのプレイリストに組めるから、昔のように曲ごとに各キーボードメモリーを呼び出すことも不要だしね。

MainStage
▲Jimmy が使用している MainStage の画面。左側のブラウザに曲ごとのパッチリストを用意している

- MainStage からの音とそれ以外のモニター返しをミキサーに入力して、イヤフォンでモニターしていましたね。

うん、バランスを簡単に変えられるからね。

- しかも今回の WARLORD のサウンドチェックを拝見していて驚いたんですが、ギタリストもベーシストもアンプシミュレーターで音を作り込んで、ラインで FOH へ送っているんですね。皆さんイヤモニで。

ベーシストだけは音圧を感じたいのでベース・アンプのキャビネットでもモニターしているけどね。だから実際にステージ上で出ている音は、ドラムとボーカルだけといっていい。静かなもんだよ。これが Alcatrazz のツアーだと、でっかいギター・アンプを大音量で鳴らすから、モニターが大変なんだよ。

- 今後、キーボード・コントローラーを変更する予定はありますか?

うん、Impact GX61 もだいぶ使い込んできたからね。昨日フックアップの事務所に行ったときに弾かせてもらった Impact GXP61 はいい感じだね。キーベッドのアクションが格段によくなっている。帰国したら考えてみるよ。

Jimmy Waldo

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