Apollo 付属の "Realtime Analog Classics" プラグイン・バンドルの実力

プロデューサー Joey Waronker が、Apollo と 付属の UAD プラグイン・バンドルを使って A.C. Newman (The New Pornographers) の演奏をレコーディングし、その実力に迫ります。

Joey Waronker は、Beck や R.E.M. のドラマーとして禅のような流麗さと躍動感溢れるパフォーマンスで有名ですが、同時にエレクトロニックビートのプログラミングとラディカルなプラグインの使用法を探求する人物でもあります。また、Yeasayer や Other Lives といった最先端のオルタナバンドのプロデュースを手掛け、Radiohead のシンガー Thom Yorke のプロジェクト:Atoms for Peace では、ドラマーとしてそのサウンドを刺激的な新領域へと押し上げました。

私たちは多忙な Waronker に会い、彼のドラムや制作に関する哲学、お気に入りの UAD プラグイン、そして Universal Audio が有する Studio 610 で Apollo インターフェイスと Realtime Analog Classics プラグイン・バンドルを使ってプロデュースと演奏を行った The New Pornographers の A.C. Newman のセッションについて、話を伺うことができました。

- Apollo によるリアルタイム録音や UAD プリアンプ、EQの活用は、昔ながらのアナログレコーディングを思わせる、オールドスクールな芸術的マナーを復権させるものでしたか?

そう思うよ。アナログレコーディングがもたらす魔法は、あまりにも選択肢の多いデジタルの世界では曇ってしまいがちだからね。Apollo と UAD プラグインを使ったトラッキングはその歩み寄りとなるんだ。実際、オリジナルのハードウェアと同じように反応する UAD プリアンプとEQには心底驚いたよ。素晴らしいね。

Apollo と UAD プラグインのおかげで自分好みのフルスケールのミキシングボードを作れるわけだから、プロジェクトスタジオにおいても高級スタジオ同様のフィーリングとサウンドを手にすることができる。もし Apollo 8 を持っているなら、8つの各入力チャンネルに UAD Neve 1073 Preamp & EQ Collection をセットしておくことで、まさにそれをアウトボードコンソールのように活用することができるだろう。もし誰かが自分のスタジオで僕と仕事をしたいと言ってくれるとして、彼らが Apollo を持っていてくれるんならハッピーだよ。

- A.C. Newman の楽曲 "Colossus of Rhodes" の収録で、あなたは Apollo に標準でバンドルされている UAD Realtime Analog Classics のみを頼りにしました。それに含まれる 610-B Tube Preamp & EQ、1176 Classic Limiter、Teletronix Limiter プラグインについて聞かせてください。

A.C.と僕は、"Colossus of Rhodes" をちょっぴりサイケデリックな感覚と都会的な洗練さとともに、「カントリーポリタン」と呼ばれる60年代から70年代初期にかけてナッシュビルから出たカントリーレコードに見られるようなスタイルで録りたかったんだ。そんなわけで「1976年のスタジオにはどんな機材が揃っていたのかなぁ」って考えていたよ。

- だから 610-B、1176、LA-2A プラグインを使ったんですね。それらのプラグインの音はいかがでしたか? 

これはかなり大規模なマルチトラックの ProTools セッションだったけど、フロントエンドに使った 610-B と 1176LN プラグインにリズムセクション全体を通すことで、ベースとドラムの一体感を得ることに繋がったよ。あと UAD Teletronix LA-2A のトーンを静めるアプローチも気に入っていて、特定のソースへ多用したんだ。

- 610-B はかのようにシンプルなプリアンプですが、フェーズスイッチを使ってトーンを作る場面もありましたね?

スネア裏のマイクの位相反転は僕にとって、そして一緒に働いたことのあるほとんどの人にとって間違いなく必要なものだよ。よく知られるように、基本的にスネア裏のマイクは明るさを加えるためのもので、もし位相がズレていたりするとサウンドが薄くなったり、消え去ったりしてしまうことがある。適切な位相状態になっていればちょっとしたミッドレンジが加わってイイ感じのスネアになるよね。

誰かが自分のスタジオで僕と仕事をしたいと言ってくれたとして、彼らが Apollo を持っていてくれるならハッピーだよ。

- ドラムを録る際のお気に入りについて教えてください。

いくつかある:キックとスネアを狙ったモノラルのオーバーヘッドマイクの音がすごく好きなんだ。かなりアグレッシブにコンプレッションされたね。最終的なミックスの中では控え目にされるかもしれないけど好きだね。また、Electro-Voice 666 のような古いダイナミックマイクにも魅了されていて、これはキックに最高だよ。

古いダイナミックマイクの多くはすでに個性豊かなサウンドキャラクターを持っているから、後でEQやコンプレッサーで弄りまくる必要はない。むしろミックスダウンの最中にそれらを削り取ろうとしないで、Apollo コンソールアプリ内の UAD プラグインのように、マイクから「テープ」に至るまでの過程で多くのものを得ることができるんだ。

- あなたのドラムサウンドの扱いは、アーティスト、プロデューサー、コラボレーターとして最大の名刺のひとつとなっていますね。サウンドを捉えるためのレシピを教えてもらえますか?

僕はよくキックとスネアをアイソレートしたくなるから、Neve 88RS Channel Strip を使って各ドラムにゲートを掛け、サンプルみたいに聴こえるようにするよ。これで余分な響きやノイズを気にすることなく処理に入ることができる。

あとは UAD Neve 1073 Preamp プラグインをキックとスネアでほぼ一貫してEQのために使っている。UAD Moog Multimode Filter は歪みと、ドラムサウンドの角を取って、より音楽的なものにするため使うことが多いね。

より冒険的な方法でドラムサウンドを歪ませてゲートを掛け、サウンドを整えていくには、UAD Valley People Dyna-Mite limiter プラグインを使うよ。これは本当にリアル。本物のサウンドさ。

- アンビエントエフェクトとしてはどのようなものをお使いですか?

リアンプものでは、以前は文字通りトラッキングルームにスピーカーを置き、トラックを取り出してからそれを収録してたんだけど、今じゃルーム/チェンバーエフェクトとして UAD Ocean Way Studios プラグインを使うだけで済むようになった。UAD EP-34 Tape Echo はボーカルにはテッパンだね。あとは何といっても UAD EMT-140 Classic Plate Reverberator が気に入っている。ドラムに使う場合は普通より気持ち明るめにし、ほとんどの低域のブームを取り除く。 音の良さもさることながら、その調整幅も本当に素晴らしい。これら3つで何の問題もなくセッションを遂行することができるよ。大好きなんだ。

オリジナルのハードウェアと同じように反応する UAD プリアンプとEQには心底驚いたよ。素晴らしいね。

- プロデュースとドラム演奏、2つの仕事についてどのようにバランスを取っていますか?

Yeasayer の Amen & Goodbye や Other Lives の Rituals でそうだったように、プロデュースと演奏を同時にこなす場合、自分のドラム演奏をズタズタにして再構築するようなことはよくやるよ。これは本当に自分を満足させられるプロセスなんだ。結果的に、ドラムを生で演奏するというよりもプログラミングをしている感覚の方が強くなる。これこそが僕がプロデュースしてきたものの多くが創造的に成功した方法だと言えるだろうね。

- より伝統的な手法で生演奏を収録することが恋しくなったりもしますか?

正直言って、セッションミュージシャンとの純粋な生演奏の収録はとてもリニアなものになりがちで、個人的にはいささか平凡なものに感じることがある。「なんてこった - 悪くはないけど、普通だな」ってね。しかしほとんどの場合、実験に興味を持ち、リスクを負うことを恐れないアーティストと関わることが多い。作曲のアイデアにしても、一部はサウンドやエフェクトの独創的な使い方に基づいて生まれたものもあるんだ。

- ドラマーは主にコラボレーターとなりますが、プロデューサーは最終決定権を行使する立場でもあります。それぞれにおける理念についてはいかがでしょうか?

僕はいつも自分をコラボレーターだと感じているよ。一緒に仕事をするアーティストは必ずしも公式なプロデューサーではないかもしれないけど、実際には、彼らは - 彼らの楽曲はプロダクションのアイデアありきとなっていて、今日これはますます一般的なことになってきているよね。これは僕にとってとても喜ばしいことなんだ。アーティストとあれこれやり取りすることが好きなんだよ。自分じゃ考えもつかなかったことが起きたり、その逆もしかりで、有益で楽しいものだからさ。

何かをフィックスするかのようなプロデューサー的視点ではなく、ともに働く皆と挑戦的になれることが僕にとって最高にクールなんだ。バンドにいた時、いつも壮大なアイデアを持ってスタジオ入りしても、プロデューサーから「俺はレコードの作り方を知っているから、それに従ってくれよ。」と言われ、すっかり意気消沈してしまった苦い経験がある。たとえアーティストのアイデアが完全に形作られていなくても、それをスクラップして自分のやり方を押しつけるのではなく、彼らがアイデアをうまくモノにできるようその方法を見つけ出すことが自分の役割だと感じているんだ。何百万ドルもの印税を得ているわけじゃないけど、とても素敵な時間を過ごせているよ。

- James Rotondi

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