Townsend Labs : 多くの顔を持つ 414

By Chris Townsend | November 27, 2018

414 は、スタジオマイクロフォンとしていつの時代においても愛されてきたモデルの1つですが、その長い歴史の中で様々なバージョンが生まれ、それぞれが異なる質感と個性を持っています。AKG は最低でも10回、この 414 をリメイクしています。

日々変わる流行の中でも、414 は幅広い用途に使用される主力のマイクロフォンとして変わらず高い評価を得ています - ドラムのオーバーヘッド、スネア、ホーン、アコースティックギターなど、スタジオ/ライブ収録を問わず多くのエンジニアたちが 414 を選んできました。本記事では、なぜ Sphere L22 に4つものバリエーションの 414 が用意されているのか、その理由についてご紹介していきたいと思います。

414 の歴史は、伝説的なマイクロフォン C12 から始まります。最初の設計では同じ真鍮製の CK12 カプセルが用いられており、この時代の 414 は、前身である C12 を彷彿させるサウンドを持っています。しかしカプセルこそ表向きは同じでしたが、それ以外の部分 - ボディーシェイプから電子回路に至るまでの全てが異なるものでした。

以下の表は、C12 と真鍮製 CK12 カプセルを装着した C414 EB とのカーディオイド指向、オンアクシス(1m)での周波数比較(垂直軸は1dB刻み)です。ご覧の通り、2つの特性は酷似しています。もちろん、オンアクシスの周波数特性は実際に耳にする音のほんの一部分に過ぎませんが、サウンドキャラクターの鍵となる重要な要素であることは間違いありません。

真鍮製のカプセルを使用した C414 EB は史上最高のマイクの1つであり、製造コストを削ったにも関わらず、C12 を彷彿させます。無論、414 には C12 のようなチューブの魅力はありませんが、同じカプセルを使用している点はそのサウンドクオリティーに大きく寄与しています。

ただし同型のマイクロフォンでも、製造上のばらつきや経年変化によって、その周波数特性が大きく異なる可能性があることを覚えておいてください。Townsend Labs では、同じ型のマイクロフォンを何本も測定し、その代表(典型)的な質感がいかなるものかを把握するようにしています。ここでの表は、私たちがその型を代表する質感だと思えるものの結果を挙げており、測定された他の C12 マイクのいくつかは、CK12 カプセルの 414 と比べ周波数特性に大きな違いがありました。

Sphere の LD-414 Brass モデルを使用したサウンドサンプルをお聴きください:

では、違う 414 も見ていきましょう。

1970年代半ばから後半にかけて、AKG は 414 EB のカプセルを CK12 からより安価なナイロン製(テフロンと呼ばれることもあります)のマウントリングを使用したカプセルへと切り替えました。写真から分かる通り、2つのカプセルは全く異なります。

下の表は、CK12 とナイロンカプセルの 414 EB のカーディオイドの周波数特性を比較したものです。

ご覧の通り特性は全く異なり、CK12 のハイエンドの輝きの大部分が新しいカプセルにはありません。しかし多くの方が古いカプセルのサウンドを好む一方で、ナイロンバージョンの方は多くのソースに適するよりニュートラルな反応を示します。驚くべきは、このような仕様変更が顧客へ一切の告知なく行われたことです。内部が大きく異なるマイクロフォンであっても、モデル番号や外観は全く同じままだったのです。この違いを確認する唯一の方法は、マイクロフォンを分解するか、グリルを懐中電灯で照らして覗き込むしかありません。

先ほどと同じソースに LD-414 Nylon モデルを使用したサウンドサンプルをお聴きください:

その次に生まれ変わった 414 では引き続きナイロンカプセルが採用されているものの、新たな外観を与えられ、モデル番号も C414 EB-P48 へと変更されました。以前の 414 は12~48Vのファンタム電源で駆動できましたが、この新しいバージョンでは48Vが必須となります。そして P48 を経て、おそらくこれまでで最も遍在するバージョンであろう C414 B-ULS が登場しました。ここではわずかな変更が加えられ、引き続き同じナイロンカプセルが採用されています。

以下の表では、カーディオイド、オンアクシスでの周波数特性が、さまざまなナイロンカプセルの 414 の間で非常に近いものであることが見て取れます。もしかすると、この差異は製造上のばらつきによるものかもしれませんが、数十ものマイクを検証しなければ確実なことは言えません。

比較のために、(414 ULS に基づく)LD-414 US モデルを通したサウンドをお聴きください:

1993年、AKG は C414 B-TLII をリリースしました。これは古い CK12 ブラスリングカプセルのサウンドを再現することを試みたものですが、現代の「ナイロン」スタイルのカプセルのバリエーションが用いられています。よって、TLII が良いマイクであることは確かですが、CK12 を備えるオリジナル 414 のサウンドを複製したようなものではありません。ちなみに、"TL" とはトランスフォーマーレスの略であり、このモデルが初めてトランスレス回路に移行した 414 でもあります。これによってある程度の歪みの軽減は得られましたが、サウンドの改善としては広く受け入れられませんでした。

次の表は、CK12 EB と TLII とのカーディオイド、オンアクシスでの特性を比較したものです。周波数特性は全く異なり、かなりサウンドの違うマイクロフォンのように見て取れます。最も大きく異なるのは 100 Hz ~ 1 kHz の帯域で、TLII の方が中低域が豊かです。

Sphere のコレクションに含まれている LD-414 T2 のサウンドサンプルも用意しました。お聴きください:

その後 AKG は、いくつかの点でもう少し CK12 に近い C414 XLII をリリースしましたが、全体的にはまだかなり異なっています。

ここで紹介した以外にも多くの 414 が存在しますが、ここではカプセルを基に大きく3つのバリエーションに分けました。最初が CK12 カプセルの 414、次にナイロンカプセル(Gen 1)の 414、そして3つ目が TLII や XLII などの第2世代のナイロンカプセル(Gen 2)が採用された 414 です。

このように、414 には多くの選択肢がありますが、あなたはどれを選びますか?Sphere マイクロフォンモデリングシステムのバージョン1.2には、4つの 414 モデルが含まれています。つまり、実際に 414 をコレクションしなくても幅広い 414 のサウンドを得ることが可能であり、Sphere マイクを通して収録したソースであれば、後で最適なものを選ぶことさえできるということです!

414に関するさらなる情報、オーディオサンプルについては、Sonic Scoop の記事(英文)もご覧ください:
Curing Condenser Confusion: An Audio History of the AKG C 414

本記事に記載の全てのブランドと製品名はその権利帰属者の商標であり、Townsend Labs とは一切の協賛または協力関係にありません。

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