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Universal Audio : 5分で知るUADプラグイン(17)Studer A800 Multichannel Tape Recorder

「最近のミックス、音は綺麗だけどなんだか冷たいな…」 「トラック同士がバラバラで、一体感が足りない気がする」 そんな悩みを持つプロデューサーたちにこよなく愛されるプラグインがあります。それが、Studer A800 Multichannel Tape Recorder です。 今回は、Universal Audio が世に送り出したこの伝説的マシンのエミュレーション・プラグインについて、その魅力と使いこなし術を徹底解説します!

Studer A800 とは? なぜ今「テープ」なのか


Studer A800 は、1978年に発売された2インチ・マルチトラック・テープレコーダーの金字塔です。Metallica や Stevie Wonder など、数え切れないほど多くのアーティストの名盤がこのマシンで録音されました。

今のデジタル録音は非常に正確ですが、正確すぎて「遊び」がありません。Studer A800 を通すことで、以下の3つのマジックが起こります。

  • 温かみ(Warmth): デジタルの尖った高域が滑らかになります。
  • まとまり(Glue): バラバラの楽器が、まるで一つの音楽として馴染みます。
  • パンチ : 低域に心地よい厚みと密度が加わります。

音作りの要! メインコントロールをマスターしよう


Tape Speed (IPS)

テープが回る速度を選びます。これが音の「キャラクター」を決めます。

30 IPS
最もクリア。高域の伸びが良く、マスタリングや繊細な曲に向いています。

15 IPS
黄金の速度。低域の厚みが増し、ロックやポップスの定番です。

7.5 IPS
あえて音を汚したい時に。Lo-Fiな質感や強烈なサチュレーションが得られます。

Tape Formula (磁気テープの種類)

使うテープそのものの銘柄を選びます。

250 / 456
クラシックな質感。暖かく、少し歪みやすい。

499 / GP9
モダンな設計。レンジが広く、クリーンでパンチがあります。

 

一歩先の音作りテクニック


Path(信号の通り道)を選ぶ

Input
テープを通さず、内部アンプ回路の質感だけを足します。

Repro
録音・再生ヘッドをすべて通したフル・テープサウンド。基本的なpathです。

隠しパネルの「Secondary Controls」

右上のバッジをクリックすると開くパネル。ここには Bias や Noise の Hum / Hiss 、EQ を調整できるコントロールがあります。

HF Driver  (Bias)
歪みの量を微調整できます。少し上げると、よりジリッとしたアナログ感が強調されます。

Noise
Hum / Hiss の調整が可能です(Hum ノイズ:主に電源やモーターの干渉による低音の雑音 / Hiss ノイズ:テープ表面の磁性粒子や回路などから生じる高い雑音)。Hum はテープヘッドの信号に、Hiss はテープ回路の後に加わります。

デジタル環境に「アナログの呼吸」を


Studer A800 は、単なるエフェクターではなく、ミックスの土台を作る楽器です。

まずはドラムバスやマスターに挿して、Input / Output のツマミで少しだけ歪みを足してみてください。音がスピーカーから一歩前に飛び出してくる感覚を味わえるはずです。

完璧すぎるデジタルに飽きたら、ぜひこの Studer A800 で、音楽に血を通わせてみてくださいね。

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