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Universal Audio : Volt と iPad 版 Logic でできる「完全プロ仕様」の音楽制作

iPad のための本格音楽制作アプリ Logic Pro と、高音質かつリーズナブルな Universal Audio のオーディオインターフェイス Volt。この2つが揃えば、たとえパソコンがなくても、本格的な曲作りやレコーディングが行えるプロ仕様の制作環境が手軽に実現します。

気軽に曲作りが始められる快適な制作環境を作る!


「さぁ、曲を作ろう!」。いざ気合を入れてみたものの、なかなか腰が重くて作曲に取りかかれないなんてことはありませんか? その原因は様々だと思いますが、筆者の場合は、曲を作るためにデスクに向かってパソコンの電源を入れてから、周辺機器の設定や、さらに音楽制作ソフトウェアを起動してレコーディングを開始するといった、作曲前の儀式ともいえる準備作業が、大きなストレスの一因となっていました。

そこで、今回はそんなストレスを解消すべく、登場以来大きな話題となっている iPad のための本格音楽制作アプリ Logic Pro と、iPad と組み合わせることでミニマムかつ高音質なオーディオ環境を実現する Universal Audio Volt(USB オーディオインターフェイス)を使用して、もっと手軽かつ気軽に作曲を始められる快適な制作環境を作ってみたいと思います。実際の作曲やレコーディングシーンでの活用方法なども紹介していきます。

iPad で本格的な音楽制作が行える Logic Pro が登場


ついにリリースされた iPad 版 Logic Pro は、多くのアーティストやプロデューサーからも愛用されている Apple の Mac 専用音楽制作ソフトウェア Logic Pro を、iPad 用に最適化したユーザー待望の音楽制作アプリケーションです。iPad のポータビリティとマルチタッチスクリーンの利点を活かせるように再構築されており、クリエイターは iPad 1台でプロフェッショナルな音楽制作が可能となりました。

Logic
▲iPad 版 Logic Pro は縦表示(左)と横表示(右)の両方に対応している

Logic Pro には直感的なインターフェイスと、Mac 版直系の強力な音楽制作機能が搭載されており、多機能なシンセサイザーやエフェクトプラグイン、サンプラーなど、豊富な音色とエフェクトを駆使した曲作りが可能となっています。さらに、iPad 内でリアルタイムにミキシングやマスタリングを行うこともできます。

以前から、iPad 版の GarageBand がリリースされていましたが、Logic Pro はオーディオやMIDIデータを扱う自由度の高さと、本格的な音楽制作機能の充実、そして何より Mac 版 Logic とのプロジェクトデータの互換性の高さなどが大きな違いとなっています。GarageBand から、「もう一歩踏み込んだ制作環境へステップアップしたい」という方にも最適です!

しかも、Logic Pro の利用料金は月額700円(年額7,000円)からとなっており、多額の投資をしなくても本格的なレコーディング環境をリーズナブルに導入できるのが嬉しいところ。1ヶ月の無料体験期間も設けられていますので、未体験の方はぜひチャレンジしてみてください。だだし、Logic Pro の対応モデルは、iPad Pro 11 インチ (第1世代)以降、iPad Pro 12.9 インチ(第3世代)以降、iPad Air(第3世代)以降、iPad(第8世代)以降、iPad mini(第5世代)以降です。

Logic
▲ソフトシンセやエフェクトなどプロ仕様の音楽制作機能がフルに使用できる

iPad に最適なシンプルなオーディオインターフェイス Volt


本格的な音楽制作を行う上で欠かせないのが、オーディオインターフェイスです。iPad には音声入出力端子が設けられていませんので、快適にレコーディングやモニタリングを行うためにもオーディオインターフェイスが必要となります。もちろん Logic Pro は、USB オーディオインターフェイスの接続もサポートしていますので、外部デバイスとのシームレスな連携が可能です。

今回の記事で紹介する Volt は、Universal Audio が開発した、シンプルで高品質な USB オーディオインターフェイスです。コンパクトながらパワフルな性能を持ち、音楽制作や録音作業において優れたパフォーマンスを発揮します。USB ケーブル1本で iPad と接続が可能なため、最小限のコストとセットアップで、プロユースにも対応可能な音楽制作環境を構築できます。Volt シリーズはルックスも可愛くて、価格が1万円台からと非常にリーズナブルなので、Logic Pro とのマッチングにも最適です。

Volt
▲1イン/2アウトの Volt 176。高音質なだけでなく、レコーディング時に豊かで充実したサウンドをもたらすビンテージ・マイクプリアンプ・モードと、パンチと存在感をもたらす 76 コンプレッサーを搭載している

Volt には入出力数の異なる Volt 1Volt 2Volt 4 と、それぞれにコンプレッサーが追加された Volt 176Volt 276Volt 476Volt 476P という複数のモデルがラインナップされており、用途や環境に合わせて選択できます。本記事では、作曲シーンにおいてはミニマムな構成を目指して Volt 176 を、バンドメンバーとのレコーディングでは、スタジオでのマルチ録音なども行えるよう、4基のマイクプリアンプを備えた Volt 476P を使ってみます。

アプリ起動から曲作り開始まで最短15秒!?


では早速、曲作りのための制作環境をセットアップしていきましょう。とはいっても、準備は iPad と Volt 176 を USB ケーブル1本(別売の USB-C ケーブル)で接続するだけで完了です。あとは、Logic Pro を起動すれば自動的に Volt 176 が認識されます。プロジェクト画面の各トラックのオプション設定欄に表示されるオーディオルーティングの Input および Output に、[Volt 176 1/2]という表示が確認できればデバイスが正しく認識されていますので安心してください。

手順1
▲Volt を接続すると、オーディオ入力のチャンネル欄に[Volt 176 1/2]が設定できる。これでマイクや楽器の録音が可能になる

曲を作り始めるにあたって、まずは Logic Pro に内蔵された豊富なループ素材の中から、ドラムやベースなどの演奏データをトラックに並べてリズムパートを作成します。

トラック作成
▲ドラムやベースのループ素材をドラッグ&ドロップでトラックに配置する

次にマイクを Volt 176 につないで、アコギとボーカルをレコーディングをしてみました。録音したいトラックの[R]ボタンをオンにして、録音を開始するだけなので、操作も至ってシンプル。iPad ならではの指先による直感的な操作感は、DAW に不慣れなユーザーにも優しく感じられるはず。

マイク録音
▲今回はアコギとボーカルの録音に、UA のダイナミックマイク SD-1 を使用した。SD-1 は、ローカットやミッドブーストといった音質調整がマイク本体で手軽に行えるので、録音ソースや好みに合わせて最適な音作りが可能

ボーカルを録音する際、Volt 176 に搭載されたビンテージ・マイクプリアンプ・モードと、同社の 1176LN をベースに開発された 76 コンプレッサー(ボーカル/ギター/ファスト/オフを選択可)を有効にすると、パンチがありつつも暖かみのあるファットなサウンドで収録できます。また、Volt 176 に搭載された INST ボタンをオンにすると、エレキギターやエレキベースなどを直接入力できるのも、とても便利でした。シンプルな制作環境にも関わらず、録音の段階から幅広い音作りの選択肢があるので、様々な音楽ジャンルやユーザーの好みに対応可能です。

ビンテージプリと76コンプ
▲ビンテージ・マイクプリアンプと 76 コンプレッサーはボタンで手軽にオン/オフできる。コンプの設定は VOC / GTR / FAST の3種類から選択できるので、ひと通り試してみて演奏しやすいものを選ぶといい

持ち運びもラクラク! 本格マルチマイク録音に挑戦


さて、自宅での作曲作業を気持ちよく終えた後は、楽曲をバンドメンバーと共有し、外のスタジオでの録音にも挑戦してみたいと思います。Logic Pro では、iCloud を介して他のデバイスやユーザーとプロジェクトを同期することで、バンドメンバー間で曲データなどを手軽に共有できます。プロジェクトデータを共有すれば、各メンバーが自宅でパート録音を行うことも簡単です。

レンタルスタジオなどでバンド録音をする場合、楽器だけでなく多くのレコーディング機材も一緒に持ち運ばないといけないのが、とても面倒です。でも、軽量・コンパクトな iPad と Volt 476P の組み合わせであれば、バックパックの空いた隙間に詰め込むだけでOK。スタジオに到着したら、楽器やマイクをセッティングして、iPad と Volt 476P を接続するだけでレコーディングの準備は完了。すぐに本格的なスタジオレコーディングが行なえます。手間をかけずにサッと練習や録音が始められると、おのずとメンバーのテンションも上がります!

Volt 476P
▲マイクプリアンプを4基搭載した4イン/4アウトの Volt 476P。ビンテージ・マイクプリアンプと 76 コンプレッサーの設定がチャンネルごとに行えるので、好みの音が追求できる。ヘッドホン端子が2つあり、2人で同時にモニターできるのも嬉しい

今回のスタジオ録音では、Volt 476P に高品位なマイクプリアンプが4基も搭載されているので、ベースとドラムの一発録りに挑戦してみました。ベースはライン録り、ドラムはマイク3本で録るグリン・ジョンズ・テクニックと呼ばれる手法を利用して、マルチマイクでレコーディングします。バスドラムにはダイナミックマイク、左右2ヵ所にはステレオレコーディングに最適なペアのコンデンサーマイクを使用。ドラムは Volt 476P のビンテージ・マイクプリアンプ・モードをオンにし、ベースはさらに 76 コンプレッサーをファストに設定するだけで、機械の苦手な私でも自分好みのサウンドを素早く実現できました。

これまでなんとなく難しそうに思っていたドラムとベースの一発録りですが、Logic Pro と Volt 476P の組み合わせにより、あっけないほど簡単にリアルで迫力のあるリズムトラックを収録でき、大満足の結果となりました。

ドラムとベース
▲今回はステレオペアのコンデンサーマイク SP-1 を使用し、スネア上方とフロアタム側の2ヵ所に、スネアから等距離でマイクを立てるグリン・ジョンズ方式でドラムを録音
キック
▲バスドラムにはダイナミックマイクの SD-1 を使用した
マルチトラック録音
▲バスドラム、スネア上方、フロアタム側、ベースをマルチトラックでレコーディングしておけば、Logic Pro のミキサーやエフェクトを駆使して、柔軟なミキシングが可能になる

Logic Pro + Volt の大きなメリット


みなさん、いかがでしたでしょうか? 冒頭でも書きましたが、iPad 版 Logic Pro と Volt を組み合わせることで、曲作りやレコーディングを始めるまでに立ちはだかる面倒なハードルを、とてもシンプルにクリアできるのがおわかりいただけたと思います。

アプリ起動から間髪入れずに、まさに秒で曲作りを始められるのは、iPad 版 Logic Pro だからこそ実現できる大きなメリットです。このストレスフリーな制作環境を一度体験してしまうと、従来型のパソコンを使った音楽制作環境に戻るのがちょっと面倒になるほどです。ぜひ、皆さんも iPad 版 Logic Pro と Volt を使って音楽制作を楽しんでみてください!

写真・文:内山秀樹
モデル:香焼志保

内山秀樹(HIDEKI "uchy" UCHIYAMA)

ライター、カメラマンをはじめ、音楽制作/原稿執筆/WEBなど、マルチなフィールドを主軸としながら活動するフリーランサー。コンテンツ制作のみならず、iPhone や iPad などのガジェット系ハードウェア&アプリのレビュー、ソーシャルマーケティングやITコンサルティング、WEBサイトの企画・制作などにも幅広く携わる。

香焼志保

1994年11月21日生まれ、千葉県出身。高校生の頃より弾き語りライブを始める。シングル3枚、アルバム2枚を自主制作し、ストリートを中心に活動。2022年にトライロジックレーベルよりアルバム『Shiho Koutaki』をリリース。等身大の女性像を歌った楽曲が好評を得ている。YouTubeでは香焼志保チャンネルを展開、カバー曲を中心に60曲以上を弾き語りで演奏している。

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