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Universal Audio : Just Blaze への10の質問

プロデューサーとしての仕事について、そしてローエンドの形成や生演奏とサンプルのシームレスなミックスについて、Just Blaze が語ります。

Just Blaze は極上のヒップホップを生み出す術を知っています。ニュージャージーに拠点を置く彼は、Jay-Z の BlueprintThe Black Album といった作品で台頭してきました。最近では、Beyonce の Lemonade、Snoop Dogg 、Ghostface Killah、Kendrick Lamar、Drake、Eminem をはじめとするヒップホップ・ロイヤルティの作品でその名を目にすることができます。いかにして強力なローエンドをトラックに注入するのか、また生演奏とサンプルとのシームレスなミックスや、次々とヒットを生み出すにあたりどのようにUADを活用しているかについて、語ってくれました。

1.プロデューサーとしての仕事をどう表現されますか?

俺の役割は作品を完成させ、それを届けること。プロデューサーは忙しく動き回って、あらゆる楽器をこなして...と思われがちだけど、実際はそうじゃない。Michael Jackson の Thriller では、Quincy Jones はスタジオに入らず、自身でなにも演奏しなかった。彼は Michael のビジョンを理解し、ドラムプログラミング、ストリングス、アレンジ、そしてコライトにおいて、最適な人材を集めたんだ - 目前のタスクを片付け、素晴らしいアルバムを作り上げるという最高の仕事をやってのけたってわけさ。

2.ビートメイカーとプロデューサーの違いとはどういったものでしょう?

プロデューサーはフックとなるアイデアや曲の構造を持ち込む。ビートメイカーは「さぁ!これにラップしてみよう」と言うだろう。誰しも5分もあればサンプルループやピアノサウンドと一緒にキックやスネアを組み合わせることはできるけど、それは誰かを動かすということではないよね。良いプロデューサーは、様々なコード、サウンド、テクスチャーを駆使して、感情やダイナミクスをトラックに注入することができる。テンポを意識することも重要だね。

例えば、スネアが余分なリバーブテイルを含んでいてアップテンポでは使えないと思えるサウンドがあるとする。140~150あたりのBPMでスネアに過剰なリバーブテイルが含まれている場合、その成分がトラック全体を包みこみ、エネルギーを引き下げてしまう可能性があるんだ。良いプロデューサーや良いトラックメイカーは、そんな場合でも最良のチョイスをし、結果、大事な一瞬をちゃんと捕える方法を知っている。経験に基づくサウンドセットを用意しているんだ。


3.愛用のDAWを教えてください。テンプレートを作ったりしていますか?それとも、毎回ゼロから始める?

95%は Logic Pro X を使ってゼロから始めてるけど、時々、Ableton から始まることもある。作曲の時はゼロから始めてるよ。ある例外を除いてね。昔はシーケンサー兼サンプラーとして Akai MPC シリーズを使っていたんだ。Logic に移行することを決心した時、一緒に仕事をしていた何人かで3つの MPC から全てのシーケンサーのノリを Logic にインポートしていった。Logic にはクリックトラックへ他のシーケンサーのグルーヴをインポートし、そのスウィングを再現するために内部クロックを調整する機能があるんだ。

すべてが1と0ではあっても、プロセッサーやシーケンサーごとに僅かな違いがあるからね。長年 E-mu SP-1200 が愛されてきたのも、他にはない固有のスウィングを持っているから。同様に、Akai MPC3000 が愛されるのもユニークなシーケンスのノリがあるからだよね。俺にとって、インポートされたグルーヴは、空のセッションを立ち上げた時にウォームアップが完了したことを確認できる唯一のものだと言える。スウィングの違いは絶妙なものだから、バラエティがあると良いと思うよ。仮に SP-1200 で3連の16分音符を演奏しても、MPC3000 や MPC2000 と全く同じタイミングと感じることはないからね。

4.Jay-Z、Kendrick Lamar、Beyonce、いずれにおいてもあなたの仕事の多くはコラボです。よきコラボレーターとなるためには、どのようなことが重要なのでしょうか?

俺はいつも、レコードに利益をもたらすのであれば、関係する人が多いほど良いと考えている。エゴは捨てないとね。コラボにおいて最高なことの1つ、それは他の人の仕事を見られること。見て学ぶんだ。

5.先日、UAのスタジオ610でブルックリンの Phony Ppl のレコーディングをされましたね。プロデューサーとして、アンサンブルを録るのに必要不可欠なこととは何でしょう?

やっぱり準備は大事。「いつものようにやってみて」ってよくバンドに言うんだ。トラックと寝食をともにする、みたいな感覚、それを繰り返す。曲を家に持ち帰り、整理をつけて、翌日また取り組むんだ。ボーカリストにとっては特に重要だね。Phony Ppl は洗練されたバンドで、豊かな才能を持ち合わせていたよ。

まずはじめにやったのは、ドラムに正しくマイキングして、求めるサウンドをオーバーヘッドでちゃんと捕えられているかを確認することだった。もちろん、ボーカルがフラついているなら率直にそのことを伝えたりもする。でも全体的にはその日のベストなパフォーマンスをうまくレコーディングして自分のスタジオに持ち帰り、曲を完成したレコードとして落とし込むことが俺の仕事だったね。

6.あなたはよくライブバンドのテイクをサンプリングしてそのプロダクションに使うことがありますね。この場合でもやっぱりバンドにはしっかり練習をしてきて欲しいですか?

そうだね。俺は皆が同様に陶酔するようなマジカルな4~8小節をみつけたいんだ。非の打ちどころのない「ベストな」ドラムトラックをベストなギターやベースと単に合わせればいいってものじゃないんだよね。

7.有望なプロデューサーたちから聞く「間違いあるある」とはどのようなものでしょう?

オーバーコンプレッション。俺も若いころはそうだったよ。コンプレッションの本質についてはあまり知られず、ただ皆が使っているっていうことが知られてるんだよね。サウンド作りの面において素晴らしいツールに成り得るのと同時に、生命力、ソウル、ダイナミクスを吸い取ってしまうものにも成り得る。

8.ベースラインにおいて、コンプレッションとともに使うテクニックがあれば教えてください。

ラインで録った生ベースのトラックからサブベースを取り除いてそこにシンセをレイヤーしたり、メロディーをダブルにしたり、特定のトーンを強調してよりパンチとレゾナンスを加えることで、低域を強くしていくことかな。


9.鮮明さとパンチを強調するためにはどのようにコンプレッションすればよいのでしょうか?

ベースやキック、あと時々スネアを SPL Transient Designer に通すことがある。これはコンプレッサーじゃないんだけど、そのコントロール性に驚くよ。パンチを与えてくれるだけに留まらず、リバーブプラグインを使わなくても自然な残響感を扱える、スネアサンプルを作るのにもってこいのパーフェクトなツールなんだ。グルーヴを作ることも壊すこともできる。コンピューターでのレコーディングに移行する際、本当にUADプラグインが活躍してくれたよ。初めてボーカル処理で使ったハードウェアが Manley VOXBOX と Massive Passive EQ、そして Teletronix LA-2A だったりするんだけど、これらのUADバージョンは俺のメインプラグインさ。

10.あなたに憧れるプロデューサーたちへアドバイスをお願いします。

あきらめないで、時間制限を設けないこと。俺はプロになろうと思った時、猶予は1年と決めたけど、その後、もう1年を加えることにしたんだ。その2年が終わろうとするころ、俺はインターンとしてアシスタントエンジニアをしていたがうまくいかず、実際は何も起きていなかった。普段の生活に戻って大学の学位を修了するつもりで研究を始めた翌日に最初のレコードが売り出されたんだけど、ついにはそれが50万枚売れ、ゴールドディスクとなったんだ。1ヶ月早くあきらめていたら、俺はここで話をしていないだろうね。粘り強くあれ。

- Michael Gallant / Darrin Fox

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