Universal Audio : Mumford & Sons のツアーにて、UAD-2 Live Rack とともに

Mumford & Sons のFOHエンジニア Chris Pollard が、UAD-2 Live Rack と UAD プラグインを活用し、満員御礼の彼らのライブサウンドをいかにして彩っているかについて語ります。

ブリティッシュ・フォーク・ポップ・バンド Mumford & Sons は、"I Will Wait"、"Little Lion Man"、"Ghosts That We Knew" など、トップチャート⼊りし世代の賛歌となりつつある楽曲によって、U2 のような普遍的地位をわずか10年で築き上げています。バンドの⻑年のFOH(フロント・オブ・ハウス)エンジニアを担当している Chris Pollard も、⼩さなクラブ時代から巨⼤なアリーナに至るまでをバンドとともにし、成⻑してきました。

それに合わせ、Chris Pollard の入力リストも、数本のアコースティックギターと古びたキックドラムから、繊細にブレンドされるブラス、キーボード、バイオリン、トリガー、複数のボーカル、その他多くを含むリストにまで発展しました - そこで Pollard は、優れた SSL L500 コンソールを中⼼に、ビンテージサウンドのカラーパレットとなる2台の UAD-2 Live Rack ユニットを組み合わせ、彼らのますます豊かで繊細になりつつあるスタジオレコーディングのサウンドを再現しています。

「UAD Neve 1073 とEL8 Distressor を使⽤して全てのライブ・ミックスを重ねれば、万全な態 勢でライブに挑めますよ。」

- UAD-2 Live Rack と UAD プラグインをどのようにして SSL の卓と組み合わされていらっしゃいますか?

MADI 経由でスムーズにできますよ。私が使う Mac mini は Thunderbolt で Live Rack と接続されています。プラグインの操作は、Live Rack アプリ専用としてコンソール脇にセットしているモニターディスプレイを⾒ながら行います。Live Rack を2台使うことによって利⽤可能なDSPが倍になるので、UADプラグインを場所を問わず、必要なだけ使えるようになったと言えますね。

- 機能が豊富な卓を使⽤する中で、UAD-2 Live Rack がもたらす役割とはどのようなものでしょう?

基本的に、2台の Live Rack を使えば、バンドがスタジオで使⽤したものと同じ32チャンネル分の UAD プラグインをFOH用のミックスで使えてしまうんです - これは本当に素晴らしいですよ。

スタジオ知識の豊富なバンドが増えてきていることもあり、どんな UAD プラグインが使用可能かを聞かれることもあるんですよ。なぜなら彼たちもレコーディングに使用したものであり、Live Rack となら、すぐに同じ設定が行えますからね。

また、非常に安定している面も大きいです。UAD-2 Live Rack を使⽤してドロップアウトしたことは⼀度もありません。FOHの仕事において、その安定性はとても重要ですよ。

- Mumford & Sons のFOHミックスにおいて困難な点は何ですか?

とてもダイナミックなミックスを求められますから、何かしらのソースによって突然混乱させられないようにするため、使えるツールはすべて使います。

「リード・ボーカルをダイナミックにするのはとても重要。UADプラグインは頼りになりますよ。」

- 1本のアコースティックギターだけでも、激しく刻めばミックスバランスを崩してしまいますよね。

ええ、Marcus Mumford はアコースティックギターをまるでスネアドラムでも叩くかのようにかなり激しく演奏しますし、もちろん、ギターを弾きながらキックドラムでビートを刻むことは有名ですよね。

ですが彼たちの代表曲の多くはそれを基に構築されていますから。実際、アコースティックギターがスネアのリズムで演奏されているんです。⾔うなれば、スネアとバスドラの組み合わせですよね - ただし、アコースティックギターがスネアの役⽬を果たしている。

そこで私は、1176 Classic Limiter CollectionUAD Manley Variable Mu Limiter CompressorPultec Passive EQ CollectionMaag EQ4Emprical Labs EL8 Distressor といったプラグインとともに、UAD Precision De-EsserUAD Sonnox Oxford Dynamic EQ を使って、ミキシングのダイナミクスをコントロールします。これらのおかげで、ビンテージ機材が山ほど積まれたラックを持ち回らずに済むんですよ。

UAD-2 Live Rack を使⽤してドロップアウトしたことは⼀度もありません。FOHの仕事において、その安定性はとても重要ですよ。

- それらはAUXチャンネルあるいはサブグループに使われていますか?それともチャンネルインサートとしてお使いですか?

ボーカル、そしてとくにアコースティック楽器の入力へはダイレクトに使っています。もちろん、ドラムやエレキギターなどのサブミックスグループにはコンプレッションを加えたりもしますよ。私は UAD EL8 Distressor を多⽤するのですが、UAD Neve 1073 Preamp & EQ と UAD EL8 Distressor については、ベース、ギター、あとはドラムといった入力のセットアップ時に真っ先に頭に浮かんでしまいますね(笑)。

とにかく、Live Rack に 1073 と Distressor があれば万全ですよ!UAD EL8 Distressor は本当に素晴らしく、まさしく本物のように聴こえるんです。

- ドラムは Mumford & Sons のサウンドにおいて極めて重要なパートですが、どのようなプロセッシングを行っていらっしゃいますか?

まずは EL8 Distressor と Neve 1081 で個々のドラムチャンネルを調整し、その後ドラムバスに Fairchild 670 Compressor か、最近では Manley Variable Mu をよく使います。ドラムグループにおいて素晴らしい音質をもたらし、風通しを良くしてくれるんですよ。あくまでさりげなくですが、ドラムバス全体をスムーズにしてくれます。

10年以上に渡り、Mumford & Sons のFOHミキシングを手掛ける Chris Pollard。

- エレキギターの⾳創りにはどんなものをお使いですか?

とくにギターソロや⼤きな盛り上がりが欲しい時、サウンドの周りに空間と広がりを与えるには UAD Brainworx bx_saturator V2 プラグインが最適です。ギターが焦点となるうえに、サウンドを広げてもくれるんですから。本当に素晴らしいツールですよ。

- Mumford & Sons の持つオーガニックなサウンドの中で、リバーブをどうお使いか、興味があります。

Live Rack を使い始める前から愛用していた UAD プラグインの中に、EMT 140 Plate Reverberator があります。これはとてもシンプルですよ。ソースに加えて微調整すれば出来上がり、です。今でも「アコースティックギターの⾳にもう少し輝きが欲しいな」っていう時に短めの EMT プレートを使うのが大好き。バイオリンやブラスのような他のアコースティック楽器も同様です。

⼀⽅、UAD Dreamverb Room Modeler は対極と呼べるものですよね?調整できるパラメーターもたくさんありますし。私はそれをドラム、バッキングボーカル、キーボード、その他多くに使っています。また、エレクトリックギターにおいては、奥行きや空間での位置感覚を与えてミックスの中であるべき所に落ち着かせるために、UAD Ocean Way Studios プラグインをうっすら使ったりもします。

UAD EL8 Distressor は本当に素晴らしく、まさしく本物のように聴こえます。

- リードボーカルに関してはいかがでしょう?

リードボーカルについてはダイナミクスをいかに捉えるかが重要です。そこで私は UAD プラグインを頼りにしています。Marcus のボーカルチェーンでは、たいてい Neve 1073 をちょっとしたEQに使い、空気感を得るために PrecisionDe-Esser と UAD Sonnox Oxford Dynamic EQ を Maag EQ4 とともに使っています。

ボーカルでは、自然でありながらもPAが扱いやすいようにコントロールされた中でダイナミクスを管理していくことが大切です。Marcus はとてもパワフルなシンガーで声量もしっかりあり、ゲインが⾜りないなんてことはありません - そのエネルギーで⾷らいついてくるんですよ。ですから、私はその瞬間に合わせてコントロールをするだけです。これって、とても「ライブ」なことですよね。

- ギグのどの面で最もやりがいを感じられますか?

Mumford & Sons のショーでは、いつも心を揺さぶられます。決して惰性の演奏ではありませんし、単純な見世物としてのライブでもありません。そのため、アリーナでのパフォーマンスも含めてプロダクションを発展させていこうとする中で、それがただの⾒せ掛けではなく、皆さんと繋がることができる一種のオープンな体験となるよう努⼒を続けています。

例えば、ショーの⼀部でバンド全員が1本のマイクの周りに集まることがあります。ボーカルからアコースティックギター、とにかくすべてが1本のマイクを通ることになりますよね。もちろん、私には彼たちがそれをステージのどこで演るのか、客席の中で行うのかは分かりません。狂ったようなフィードバックが起きないよう、臨機応変に素早くイコライジングを行う必要があります。しかしこれによって、⼤きなプロダクションの局面から少し離れ、オーディエンスとシンプルに、直接的に繋がることができるのです。

この仕事を始めて10年が経ちますが、⼩さなクラブでの演奏から始まったバンドが今⽇の地位に⾄るまでを⾒続けてきてもなお、自分たちがやっていることに興奮させられますね。それは演奏とエンジニアリングはシンプルに、そしてプロセッシング、プロダクション、ミックスは⼊念に、というコンビネーションによるアプローチが⼤きいと私は思います。

- James Rotondi

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