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Universal Audio : 5分で知る UAD プラグイン(7)Oxide Tape Recorder

今回は、Universal Audio が誇るテープシミュレーター・プラグイン Oxide Tape Recorder について、その魅力と実践的な使い方をご紹介します。デジタル環境のミックスに「アナログの温かみ」を求めている方は必見です。

シンプルで使いやすい最高峰のテープ・テクノロジー


2010年、Universal Audio はアナログ・エミュレーションの世界に革命を起こした Studer A800 プラグインを発売しました 。それに続く Ampex ATR-102 とともに、これらのテーププラグインは世界中のエンジニアのワークフローに絶大なインパクトを与えてきました。

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▲Studer A800(左)と Ampex ATR-102(右)

その最高峰のテープ・テクノロジーを、よりシンプルで使いやすいパッケージに凝縮したのが、この Oxide Tape Recorder です。トラックに挿すだけで、音楽的でミックスに馴染むテープサウンドを瞬時に得ることができ、レコードのような明快さ、パンチ、そして温かみを与えてくれます。

Oxide
▲Oxide Tape Recorder

サウンドメイクの鍵となる主要なコントロール


Oxide の操作は非常に直感的ですが、いくつかの重要なポイントを押さえることで、さらに狙い通りのサウンドを作ることができます。

インプットとアウトプットの調整

テープサウンドの肝はインプットコントロールにあります。これはテープに録音するシグナルレベルを調整するためのパラメータです。インプットレベルを低く(VUレベルを低く)設定するとクリーンでヘッドルームのあるサウンドになり、逆にレベルを上げていくと、より多くのテープサチュレーションやコンプレッション感を得ることができます。インプットを上げて音量が大きくなった分は、アウトプットコントロールを下げて、オリジナルの入力シグナルと同じ音量(ユニティ・ゲイン)になるよう補正するのが基本のテクニックです。

    IN OUT

    テープスピード(IPS)の選択

    テープの回転速度を7.5 IPSと15 IPSから選ぶことができ、それぞれ異なる周波数特性や歪みのキャラクターを持っています。15 IPSではロックやアコースティック音源に最適な、温かみのある低域のヘッドバンプ(低域の持ち上がり)が得られます。またノイズフロアが低く、フラットな周波数レスポンスを持つのが特徴です。7.5 IPSではより大きな周波数シフトが付加され、色付けの強いサウンドを演出します。

      テープスピード

      EQ(エンファシス)規格の選択

      アメリカ規格の NAB と、ヨーロッパ規格の CCIR を切り替え可能です。NAB はハムノイズの周波数が60Hzとなるアメリカ規格で、独自のユニークなサウンドを持ちます。CCIR はハムノイズが50Hzとなり、テープ絶頂期のブリティッシュサウンドとして知られる、技術的にも優れたEQカーブです。

        EQ

        シグナルパス

        INPUT モードではテープを通さずに電子回路のみを通したサウンドをエミュレートし、REPRO モードではテープに録音・再生したサウンドと電子回路のサウンドをモデリングします。

        シグナルパス

        ノイズリダクション(NR)

        アナログテープ特有のヒスノイズやハムノイズを除去する機能です。

        NR

          ミックス&レコーディングでの実践的な使い方


          ミックスダウン時のポイント

          クラシックでまとまりのあるマルチトラック・テープのサウンドを得るためには、各トラックの最初のインサート(他のEQやコンプ等の処理を行う前)に使用するのが推奨されています。また、サブミックス・バスに挿したり、ステレオアウトプット・バスに挿して2トラック・レコーダーへのミックスダウンをシミュレートするのも効果的な使用方法です。

          Apollo インターフェイスでのリアルタイム処理

          Apollo を使用している場合、Console アプリのインサートスロットに使用すれば、限りなくゼロに近いレイテンシーでリアルタイムの掛け録り(モニタリングとレコーディング)が可能です。なお、Apollo X Gen 2 シリーズには標準で Oxide Tape Recorder がバンドルされています。

          プロのサウンドを即座に得るアーティスト・プリセットの活用


          Oxide には、エンジニアの John Paterno 氏がデザインした素晴らしいカスタムプリセットが収録されています。 プリセット名にはWarm(純粋なアナログの艶)やDrive(サチュレーションやコンプレッション)といった目的別の記述に加え、「+3VU」や「0VU」といったターゲットVU値が記載されています。ソースのピークがこのターゲットVU値になるようにインプットを調整することにより、デザイナーが意図した通りの最適なサウンドを正確に引き出すことができます。

            プリセット

            アナログテープの質感とレコードらしさを簡単に得られる


            Oxide Tape Recorder は、DAW環境に本物のアナログテープの質感とレコードらしさを簡単にもたらしてくれる強力なツールです。複雑な設定を気にすることなく、直感的な操作で極上のサウンドが得られるため、ぜひトラックの第一段にインサートして、その魔法のようなまとまりとパンチを体感してみてください!

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