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Universal Audio UAFX Pedal Series : プロ・オーディオ界の巨人がストンプボックス市場に進出(レビュー編)

レコーディング・スタジオになくてはならないプロ・スペックの機器を手がけるハイ・エンド・ブランドが “本気で”練り上げたギター用エフェクト・ペダル。そこには「回路の魔法」までもがモデリングされているのだ。

UAFX Golden Reverberator [Reverb]

UAFX Golden Reverberator

シミュレーターとは信じがたい迫真の残響

空間の深淵まで届くような“本物”のクラシック・サウンドを宿した極上のリヴァーブ・ペダル。一流スタジオ御用達のUADアルゴリズムをベースにしているとはいえ、どうハンディをつけても既存のペダルでは太刀打ちできない真に迫ったエミュレーションの数々に思わず息を飲む。ただ響きが美しいだけではない。“SPRING 65”ではバネが散らばった時のスプラッシーで不規則な金属の軋みが、“PLATE 140”に至っては据え置きの“EMT 140”が巨大な鉄板を震わせた時の耳の後ろが痒くなる「痺れ」にも似た残響までもが見事に再現されている。ギター・アンビエントの世界を一新させかねない、破格のウィザード・マシンだ。

Controls
▲Controls。“PRE DELAY”(リヴァーブ始動までのタイム)が地味に便利。3モード以外にも“224”系エフェクトを2つ追加可能だ。
Rear Panel
▲Rear Panel。拡張モデルのダウンロードはUSB Type-C端子で行なう。ステレオ設定以外に、デュアル・モノ・オペレーションにも対応。

[Specifications]
●コントロール:Decay、Predelay、Mix、Bass、Treble、Mod
●スイッチ:ON/OFF、Preset、Effect Type(Spring 65/Plate 140/Hall 224)、Store、Effect Mode(A/B/C)、Pair
●端子:Mono In、Stereo In、Mono Out、Stereo Out、USB Type-C
●サイズ:91.2mm(W)×146.8mm(D)×65.8mm(H)
●電源:9VDC (400mA以上)
●価格:open price(市場想定税別価格 : ¥42,000前後)


UAFX Astra Modulation Machine [Modulation]

UAFX Astra Modulation Machine

リアルを追求した「揺れ」が出音を粋に演出

古くからギター・サウンドに馴染みのあるBBDタイプのコーラスやアンプ・トレモロなどを集めた、モジュレーション専用機。今回、ほとんどのエフェクトがギター専用に設計されたものであるため、正確に再現された古い機材特有の雑味の乗ったチープでどこかホッとするシグナル・ラインが、実によくアンプのトーンに馴染む。追加エフェクトとして発表されているのは、定番のオレンジ・フェイザー“PHASER X90”と、60年代初頭のブラウン・フェイス期のアンプにのみ搭載されていたマルチ真空管による複雑なハーモニック・トレモロ“DHARMA TREM 61”。不必要に「盛らない」このリアルさこそがUAサウンドの真骨頂だ。

Controls
▲Controls。“SHADE”はモジュレーションの輪郭を微調整する隠し味的なコントローラー。フランジャーにドライ音を足すことも可能。
3 Mode Switch
▲3 Mode Switch。モードは3ポイント・トグル・スイッチで選択。“STORE”を下に長押しすると現在の設定がプリセットとして保存される。

[Specifications]
●コントロール:Speed、Depth、Intensity、Shade、Shape
●スイッチ:ON/OFF、Preset、Mode、Effect Type(Chorus Brigade/Flanger DBLR/Trem 65)、Store、Effect Mode(A/B/C)、Pair
●端子:Mono In、Stereo In、Mono Out、Stereo Out、USB Type-C
●サイズ:91.4mm(W)×147mm(D)×65.3mm(H)
●電源:9VDC (400mA以上)
●価格:open price(市場想定税別価格 : ¥42,000前後)


UAFX Starlight Echo Station [Delay]

UAFX Starlight Echo Station

名機ディレイたちのエッセンスをここに集約

伝統的なエコーやディレイの挙動を至上の臨場感で再現するスペシャルなディレイ・ユニット。やはり目玉は、テープ・エコーの名機“Echoplex”を完璧に再現した“TAPE EP-III”だろう。滑らかかつ軽快なディレイの振幅に、あの特殊な可動ヘッドを指でゆっくり動かした時と全く同じ、纏わりつくような不穏なうねりが見事に再現されている。他にもUADプラグインとして話題となった“COOPER TIME CUBE”がダウンロードできるなど、UAだけのハイ・クオリティなエフェクトが目白押しだ。メンテナンス・フリーにしてこの驚異のサウンド……真のヴィンテージを知るプレイヤーにこそ手にとって欲しい逸品だ。

Controls
▲Controls。6パターンのリズム分割に対応する。“Golden Reverberator”と当機は、“MIX”ノブでキル・ドライが可能。
Foot Switch
▲Foot Switch。“TAP TEMPO”入力用のフット・スイッチは、“PRESET”と共用。筐体に僅かなスラントが設けられているため、とても踏みやすい。

[Specifications]
●コントロール:Delay、Feedback、Mix、Color、Mod
●スイッチ:ON/OFF、Tap Tempo/Preset、Division、Effect Type(Tape EP-III/Analog DMM/Precision)、Store、Effect Mode(A/B/C)、Pair
●端子:Mono In、Stereo In、Mono Out、Stereo Out、USB Type-C
●サイズ:91.2mm(W)×146.8mm(D)×65mm(H)
●電源:9VDC(400mA以上)
●価格:open price(市場想定税別価格 : ¥42,000前後)

取材・文:今井 靖 Yasushi Imai

※The EFFECTOR BOOK Vol.51の掲載記事より転載

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