スタジオやステージに最適なオーディオネットワーク
Apollo x16D は、Universal Audio のエコシステムに Dante® ネットワーキングを採用し、原音に忠実かつ柔軟なオーディオ・ルーティングをイーサネット上で実現するオーディオインターフェイスです。また、その周辺機器である Apollo e1x(Unison™ プリアンプ)と、Apollo e2m(ステレオ・ヘッドホンアンプ/ラインインターフェイス)を追加することで、ステージやスタジオのための完璧なプロフェッショナル・ネットワークオーディオ・システムを構築できます。
Dante は、ゼロに近いレイテンシーと完璧に安定した状態で非圧縮デジタルオーディオをやり取りでき、CAT5e/6 ケーブルを介して長距離間でマルチチャンネル・オーディオを送受信することができます。
リモートコントロール可能なマイクプリアンプによるマルチルームでのレコーディングから、拡張可能なモニタリングや、FOHの柔軟性まで、Apollo ネットワークオーディオは強力な新しいワークフローを切り開きます。ここでは、私たちのお気に入りの使用例を6つ紹介します。
特に Apollo ネットワークオーディオの性能を最大限に活用するには、最後の2つの使用例を確認してください。Apollo E シリーズと Apollo x16D は、スタジオとステージの両方にエンドツーエンドのソリューションを提供します。

使用例① レコードのサウンドをステージで再現する
レコードのようなサウンドでライブを聴かせるには、素晴らしいパフォーマンスだけでは不十分です。熟練のFOHエンジニアと適切なツールも必要となります。Apollo x16D を Dante ネットワークに接続することで、エンジニアはスタジオグレードのプラグインをステージに持ち込むことができ、ファンが慣れ親しんだスタジオ作品のサウンドを簡単に再現できます。
Apollo e1x(Unison™ プリアンプ)を使用すれば、プロフェッショナルなプリアンプのキャラクターをライブミックスに簡単に付加することができます。Apollo x16D と組み合わせることで、Apollo e1x は Dante ネットワーク上のどこにいても Unison マイク/ライン・プリアンプを使用できるため、最も重要なソースに、Neve、SSL、API といった伝説的なマイクプリアンプのトーンを与えることができます。入力インピーダンス、ゲインステージのスイートスポット、ハーモニックサチュレーションなど、その全てが再現されます。
そこから UAD プラグインでさらに処理を行い、お気に入りのスタジオプロセッシング・チェーン(スターチャンネル )を再現し、最新のヒップホップ・ボーカルサウンドからアルバムに採用されたギタートーンまで、すべてを1つのラック内で実現し、Dante 経由で完全に統合することができます。
プロのFOHエンジニアが使用するライブプロセッサーには、Auto-Tune Realtime X や、EL8 Distressor、dbx 160、UA 1176LN などのクラシックなコンプレッサーがあります。それに加え、Studer A800 テープレコーダーや、ボーカルマイクのノイズを除去するのに最適な C-Suite C-Vox Noise & Ambience Reduction プラグインなど、これまでライブでは使用できなかった特別なツールも用意されています。

使用例② ミキシング環境を正確に測定する
ライブサウンドで完璧なミックスを実現するには、どの会場においても測定を行い、PAシステムを最適化することが不可欠です。Smaart のようなFFTスペクトル測定ソフトウェアは、デジタル音楽技術の台頭以来、PAシステムの微調整や、様々な会場での一貫性の確保に役立ってきました。
これらのシステムでは、効果的な測定のために、非常にクリアなフロントエンドを必要とします。無指向性の測定用マイクを用いるのが一般的ですが、配置やプリアンプ/コンバーターの音色変化によって性能が低下する可能性があります。
Dante を搭載した Apollo e1x は、精密なオーディオ測定に最適です。デジタル制御された再現性の高いゲインを備えたリファレンスグレードのマイクプリアンプであるため、既存のネットワークオーディオ・システムに簡単に統合できます。PoE と48Vファンタム電源に対応しており、アナログからデジタルへの変換ステップを減らすことでシグナルチェーンを合理化します。特に内蔵のスレッドマウントを使用して、マイクを最適かつ柔軟に配置できます。その結果、より正確な測定を新たなレベルで実現します。


使用例③ 会議やライブイベントに最適な音声を実現する
多くの場合、従来のライブサウンドに加えて、クリアな会話用の音声が求められます。しかし、同じ環境で両者を完璧にミックスするには、多様な処理技術が必要となるため、特有の課題が生じることがよくあります。
Dante ベースの Apollo システムは柔軟性が向上し、これまでにないほど素早くそれらを両立させることができます。C-Suite C-Vox のような音声に最適化されたプラグインを利用することで、ステージ上のハウリングのリスクを抑えながら、ノイズのない完璧な会話を実現。その後、UAD Console ソフトウェアでプラグインシーンを切り替えることで、システムのアナログ側を変更することなく、バンド演奏のための全く異なるセットアップを瞬時に呼び出すことができます。
Apollo e2m(パーソナル・モニタリング・デバイス)を使用すれば、各パフォーマーまたはスピーカーに独自のモニターミックスを簡単に送ることができ、正確なキューミックスを全体に提供できます。しかし、Apollo e2m は単なるパーソナルモニターではなく、1/4インチ・ステレオライン入出力を備えたオーディオインターフェイスとしても機能します。つまり、キーボードや UAFX ペダルなどのアンプモデリング・システム、その他のラインレベル信号を Dante 経由で直接接続することができ、追加のプリアンプやインターフェイスを必要としません。


使用例④ 放送を最高のサウンドで実現する
Dante ネットワークオーディオ・システムにとって、マルチルームの放送施設ほど適した用途はないでしょう。実際、BBC ワールドサービスや NFL メディア・ヘッドクォーターズなどの大手制作会社は、ライブやコンテンツ収録に Dante ネットワークオーディオを採用しています。
Dante は、個々のA/V制作セットをイーサネット経由で1つのミキシングルームに送ることができるため、放送を効率化するのに最適です。さらに、Apollo X Gen 2 インターフェイスの多彩な機能(イマーシブ・マルチチャンネル・モニタリングのサポートやSonarworks *によるルーム補正機能など)と組み合わせれば、Apollo x16D が放送用の音声に最適なソリューションであることは明らかです。
放送中は時間との戦いです。Apollo e1x のようなオートゲイン機能を搭載したプリアンプがあれば、ノブやフェーダーを一切操作することなく、素早く正確にレベルを設定できます。また、施設内の1つのミックスポイントから、Dante 経由で全てのレベル設定を行えるのは非常に便利です。
業界最高峰のプラグインをリアルタイムで統合できる Apollo x16D は、放送局の頭脳となるでしょう。

使用例⑤ ハイエンド・ネットワークレコーディング・スタジオを構築
Apollo ネットワークオーディオは、ライブサウンドや放送用途に最適なソリューションというだけではありません。Dante を完全に装備したスタジオで Apollo x16D を使用すれば、Apollo と同じリアルタイムプロセッシング、クリアなコンバージョン、無敵のワークフローを実現し、さらにイーサネット経由のオーディオ伝送による柔軟性も得られます。Unison テクノロジーを活用しながら、デジタルルーティングによるパーソナライズされたモニターミックスを作成することができます。

使用例⑥ ライブサウンド用のスターチャンネルとパーソナルなモニターを用意する
Apollo x16D、Apollo e1x プリアンプ、Apollo e2m ステレオライン・インターフェイスを組み合わせれば、究極の Dante 統合ライブサウンド・システムを構築できます。最も重要なソース用のスターチャンネル入力を使って、お気に入りのスタジオサウンドをステージ上で再現し、従来のウェッジモニターやインイヤー・モニターにミックスを簡単に分配できます。

文:オースティン・ライオンズ