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Nektar Technology : DP-1 マニュアル

マニュアル, 2022/07/29

該当製品

DP-1 は、Nektar AURA と Panorama T ユーザーに提供される、明快なドラム・サンプル・プレイヤー・インストゥルメントです。

Nektarine のブラウザ経由でサンプルがロードされると、DP-1 が自動的に起動します。

DP-1 の各インスタンスは、どの MIDI ノートが送られてきても常にルートピッチで発音します。言い換えると、そのピッチはピッチパラメーターで調整することになります。現在サポートされているサンプルフォーマットは、WAV、AIFF、MP3、OGG Vorbis です。既存のオーディオファイルのライブラリがある場合、5.5 オーディオファイルの追加 で説明したように、親フォルダをマウントするのが最も良い方法です。マウントされたフォルダとそのサブフォルダ内のコンテンツは、Nektarine を介して利用可能になるため、Audio Folder のタグタイプが選択されていれば、サブフォルダはタグのように選択することが可能です。タグについて詳しくは、5.10 タグを使用してパッチを検索する をご覧ください。

Nektarine のパッドプロファイルに最大16個の DP-1 を起動し、マルチパッチ・キットとして保存することが可能です。Nektarine が DAW でホストされている場合、すべての設定は DAW のプロジェクト/ソングと一緒に保存されます。

DP-1 の概要

DP-1 のユーザーインターフェイスは、3つのセクションで構成されています。

  1. サウンドエディットパラメーター : オーディオ・ファイルのロードや、音創りに関するパラメーターが並びます。
  2. FX セクション : “1982” モード・リサンプリング・アルゴリズム、コンプレッサー、イコライザー、出力音量調整に関するパラメーターが並びます。
  3. モジュレーションセクション : ここでベロシティーとプレッシャーにさまざまなモジュレーションを割り当てることで、さらに生き生きとしたダイナミックな演奏をサポートします。

サンプルのロード

DP-1 にサンプルをロードするにはいくつかの方法があります。

  1. 5.2 オーディオ、パッチ、マルチパッチファイルのロード方法 で説明したように、Nektarine のブラウザからオーディオサンプルまたは DP-1 パッチをロードします。
  2. DP-1 の “ロード(LOAD)”ボタンをクリックし、OSのファイルブラウザを開きます。システム上のオーディオファイルを選択し、"Open "をクリックします。
  3. オーディオファイルをOSのファイルブラウザからサンプルネームエリア(“LOAD” ボタンの右側)にドラッグ&ドロップします(下図参照)。

ワンショット/ピッチ

ワンショット(ONE SHOT)

“ONE SHOT” ボタンはデフォルトで有効になっており、トリガーされるたびにその時間だけサンプルが再生されます。

このボタンがオフに設定されている場合、サンプルはノート/パッドから指を離すまでの間だけ発音します。ボーカルなど、サンプリングされた「フレーズ」をトリガーする場合には、“ONE SHOT” をオフに設定することが望ましい場合があります。

ピッチ(PITCH)

ロードされたサンプルのピッチは、“PITCH” ノブを使用して、最大 ±24 の半音幅で調整することができます。DP-1 は多くのクラシックサンプラーと同様に、ピッチを0より低く設定すると音が長くなり、0より高く設定すると短くなります。ピッチはベロシティーとプレッシャーによって変調を与えることができます。

アタック/ディケイ/スロープ

アタック(ATTACK)

音が最大音量に達するまでの時間を、0.0ms ~ 10s の範囲で設定します。ベロシティーによって変調を与えることもでき、例えば低いベロシティーレベルでの音の打撃を和らげることができます。

ディケイ(DECAY)

アタックタイムを経過し、音が減衰するまでの時間を設定します。デフォルト値は 10sですが、ディケイの効果はスロープパラメーターにも影響されます。ベロシティーによって変調を与えることもでき、その変化に応じて音を短くしたり長くしたりすることができます。

スロープ(SLOPE)

この設定は、指数関数的(0)から線形(100)、最大値で対数(200)までのディケイカーブを決定します。オーディオサンプルがディケイパラメータの影響を受けないようにするには、“DECAY” と “SLOPE” ノブの両方を最大(右端)の位置に設定する必要があります。スロープを高く設定すると、音量は最後まで最大に保たれます。パラメーターを中央へ動かしていくと、カーブは徐々に直線的なディケイに近づき、最小にすると急峻になり、「スナップの効いた」サウンドを作り出します。スロープは、ベロシティーによって変調を与えることができます。

フィルター

DP-1 のフィルターは,12dB / Oct のラダー型アナログローパスフィルターをモデルとし、20Hz~ 20 kHz の範囲で設定できます。

Env>Filt

アタック/ディケイ/スロープのエンベロープ動作を、フィルターのカットオフ周波数にルーティングします。Env>Filt の最小値では、エンベロープがフィルターに影響を与えることはありません。このパラメーターを左から右に動かすと、フィルターに送られるエンベロープモジュレーションの量が徐々に増加します。Env>Filt は、“CUTOFF” が最大値よりも低く設定されている場合にのみ、フィルターに影響を与えます。Env>Filt は、ベロシティーによって変調を与えることができます。

ドライブ(DRIVE)

DP-1 のアナログフィルター・エミュレーションにサチュレーション効果を加えることができます。0(デフォルト値)~ 100 の範囲で設定可能です。“DRIVE” ノブを高く設定すると、高いレゾナンス設定で自己発振する量も増加します。ドライブは、ベロシティーとプレッシャーによって変調を与えることができます。

カットオフ(CUTOFF)

100(デフォルト値)の設定では、フィルターが可聴域に影響を与えることはありません。最大から最小にすることで、周波数が徐々に削られていき、カットオフポイント以下の周波数が通過するようになります。カットオフは、ベロシティー、プレッシャー、Env>Filt によって変調を与えることができます。

レゾナンス(RESONANCE)

このパラメーターは、カットオフポイントの周波数を強調するため、エンファシスまたはQと呼ばれることもあります。0に設定すると、レゾナンスが可聴域に影響を与えることはありません。パラメーターを左から右に動かすと、サウンドに与える影響が徐々に大きくなります。

1982

“1982” ボタンを有効にすると、DP-1 がクラシックな8ビット・ドラムマシンのサウンドを提供します。1982 モードのサンプルレートとフィルターは、FXセクションで編集できます。

1982 モード

1982 モードを有効にすると、ロードしたサンプルは、8ビットモノラルで再生されます。このアルゴリズムは、周波数特性、低ダイナミクス、MuLaw アルゴリズム、D/A回路を含むビンテージサンプラーのすべての要素をエミュレートするものです。

サンプルレート(SMP RATE)

1982年モードのリサンプリングレートを 4kHz ~ 16kHz の範囲で設定します(デフォルト値 : 12kHz)。

フィルター(FILTER)

1kHz 〜 15kHz の範囲でローパスフィルターを設定します(デフォルト値 : 10kHz)。元来、主にドラムマシンやサンプラーのオーディオエイリアシングやその他のアーティファクトをフィルタリングするために使用されてきましたが、今日ではその「汚れ」が求められる場面が多々あります。ここでの調整により、さらに自由な色付けが可能となります。

コンプレッサー(COMPRESSOR)

DP-1 のコンプレッサーには、代表的なパラメーターを一括調整できるメタ・コントロール “アマウント(AMOUNT)” ノブが搭載されています。これにより、1つのノブを回すだけで、コンプレッション効果を非常に簡単に調整することができます。また、コンプレッサーの入力ゲインを調整することで、掛かり具合を微調整することができます。コンプレッサーを有効にするには、“COMPRESSOR” スイッチを有効にしてください。

ゲイン(GAIN)

コンプレッサーへの入力ゲインを -/+6dB の範囲でブースト/カットできます。

アマウント(Amount)

コンプレッションの量を 0 〜 100 の範囲で設定します(デフォルト値 : 30)。0に設定した場合、スレッショルドは 0dB でレシオは 2 : 1、100に設定した場合、スレッショルドは -20dB でレシオは 8 : 1となります。ゲインを上げると、圧縮比率をさらに上げることができます。

イコライザー(EQUALIZER)

2バンドから構成されるEQセクションは、ドラムサウンドをシンプルにシェイプするためのものです。ローバンドにはゲインコントロール、ハイバンドにはセミパラメトリックが搭載されています。

ロー(LOW)

ピークタイプのフィルターゲインコントロールです。-/+24dBの範囲でブースト/カットできます(デフォルト値 : 0)。周波数は 100Hz、Qは 0.3 に設定されています。

ハイ・フリケンシー(HI FREQ)

Qは 0.75 に設定されており、周波数範囲は 20Hz ~ 16kHz のセミパラメトリックとなっています。

ハイ・ゲイン(HI GAIN)

ハイ・バンドを -/+24dB の範囲でブースト/カットできます。

ベロシティーモジュレーション(VELOCITY)

DP-1 は、4つのモジュレーション・モディファイアを搭載しています。その内3つはベロシティ用です。各モジュレーターはピッチ、ボリューム、カットオフなど異なるターゲットにルーティングでき、ターゲット・パラメーターを異なる強さで変調できます。

ベロシティーセンド(x3)

3つあるベロシティースロットは、ベロシティーがモジュレーションターゲットに与える効果を調整するものです。中央値では、ベロシティーはターゲットに何の影響も与えません。正の値は、ターゲットを最小から現在の設定値までモジュレートします。負の値は、ターゲットを最大から現在の設定値まで変調します。

ベロシティーターゲット(x3)

ベロシティーセンドコントロール下のフィールドをクリックし、Volume(ターゲット1でのみ選択可能)、Voice Level(ターゲット2でのみ選択可能)、Pitch、Attack、Decay、Slope、Env>Filter、Cutoff、Resonance、Drive から選択します。

プレッシャーモジュレーション(PRESSURE)

AURA のパッドプレッシャーを利用するには、まず、関連する MIDI メッセージを各パッドが送信できるよう設定しておく必要があります。手順については、4.8 パッドプレッシャー(Pressure)を参照してください。DP-1 のプレッシャースロットをコントロールするには、パッドが “After Touch” および “Poly” を送信するよう設定されている必要があります。

プレッシャーセンド

ベロシティーと同様に、プレッシャーセンドは -/+100 の範囲で、中央の 0 の位置がニュートラルとなります。プレッシャーはベロシティーとはまったく異なるコントロール要素となるため、このコントロールは、現在のパラメーター設定からプレッシャーセンドパラメーターで決定された目的地までを変調するという一般的な方式を採用しています。

プレッシャーターゲット

プレッシャーセンドコントロール下のフィールドをクリックし、Voice Level、Pitch、Cutoff、Resonance、Drive の5つのモジュレーションターゲットから選択します。

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