MBT : Master Bus Transformer
トーンを極める
60年以上に渡り、オーディオトランスは Rupert Neve 氏のオーディオ回路設計における哲学の基盤となるものであり、Rupert Neve Designs のカスタムトランスは、すべての RND 製品にとって不可欠な要素です。
名高いトランスを搭載する MBT は、素材を甘くする、強化する、ドライブさせる、ワイドにする ─ など、理想的なトランスフォームのために設計されています。驚くほど風味豊かなオプションを提供し、音楽的な色付けを施すための究極のツールとなります。
シェルフ EQ でトーンに魔法をかける
3オクターブ・レンジ、ゆるやかなスロープ、最小限のフェイズ・シフト。完全に新しい2バンドのシェルフ EQ セクションは、シンプルさとエレガンスに重きを置いて設計されました。このスムースで音楽的な EQ は、MBT の他のセクションと相互作用させることで、より適切な結果をもたらします。
各帯域は、+/- 9 dB のゲインコントロールが可能。LF EQ のコーナー周波数は 30 Hz から 240 Hz まで、HF EQ のコーナー周波数は 3 kHz から 24 kHz まで可変となります。
“LF” 帯域は、素材に正確な重さとパワーを与えるための低域を調整、あるいは強調する際に有用です。
“HF” 帯域は、幅広いコーナー周波数を選択できるため、中高域からトップエンドにかけた調整に有用で、トラックに輝きと透明感を与えます。
MBT のエキサイティングな使い方のひとつは、各セクションがどのように相互作用するかを見つけ出すことです。EQ を最初に調整することもあれば、他のセクションが設定されるまでそのままにしておく場合もあるでしょう。いずれにせよ確かなことは、MBT はあらゆる場面で実験を促してくれるということです。
Color Comp で新しい息吹を吹き込む
完全に新しいオプティカル・コンプレッサー設計により、Color Comp はオプトセルの非線形歪みとカラフルな特性を強調することに長け、素材に新たな生命感と深みをもたらします。
Color Comp には、選択可能な2つのレシオ、スイープ可能なサイドチェーン・ハイパス・フィルター、可変スレッショルドとリリース、20 dB のA級メイクアップ・ゲイン、パラレル処理用のブレンド・コントロールが搭載されています。
コンプレッサーのレシオを 2:1 (LO) に設定すると、繊細でスムーズなコンプレッションが得られます。5:1 (HI) に設定すれば、よりドラマチックな動作となります。
可変サイドチェーン・ハイパス・フィルターは、コンプレッサーのサイドチェーン回路から低域を除去します。20 Hz から 350 Hz までスイープ可能なこのコントロールは非常に柔軟なトーンシェーピングを実現し、ローエンドはそのままに、必要に応じてソースの他の帯域のダイナミクスを制御します。
また、Color Comp にはブレンド・コントロールも備わっているため、非圧縮の素材と並列でコンプレッション回路を使用することができます。大胆なコンプレッションの影響による高域成分やダイナミックレンジのロス、トランジェントのスカッシュなどを抑えたい場面でとくに有用となるでしょう。
スレッショルドは 0 dBu から +24 dBu まで可変で、信号がスレッショルドを通過するとゲインリダクション LED が点灯します。ただし、Color Comp はわずかなゲインリダクションが生じただけでも、心地よいノンリニアの倍音成分が加わっていきます。そのため、ゲインリダクションが反応を示さない程度でも、Color Comp を試してみることをお勧めします。この倍音は、コンプレッサーの設定をより極端にするにつれ、さらに明らかになっていきます。
リリースは、100mS から 1.5S まで可変です。 より高いレシオとより速いリリースに設定することで、アタックによる積極的な「ポンピング」を得ることが可能です。
最後に、Color Comp には 20 dB のA級メイクアップ・ゲインが用意されています。 これは、コンプレッション前後のレベルマッチングに使うだけでなく、Super Silk セクションにある段間トランスを駆動し、倍音成分をさらに強化する面でも有用です。
Width で新たな次元を見つける
Width セクションは、ローエンドのフォーカスを損なうことなく、ステレオ感を広げられるように設計されています。
これは、受賞歴のある Master Buss Processor の Stereo Field Editor (SFE) セクションに備わる “Width” コントロールにインスパイアされたものですが、MBT の Width セクションにはいくつかの重要な違いがあります :
- MBT の Width コントロールは加算のみで、より極端な設定向けにレンジが広くなっています。
- 可変ハイパス・フィルター(50 Hz ~ 800 Hz)を備え、中域と高域が広がってより多くの空間を作り出す一方で、低域はミックスの中心に保たれます。
- 過度に高域が強調されないよう、Width 成分の高域には微妙なテーパリングが施されます。
Super Silk
約20年前に登場した Silk 回路は、Rupert Neve Designs のユーザーに長く愛されています。はじめはシンプルなオン/オフ・スイッチとして利用できるものでしたが、その後選択可能な Red / Blue モードと可変 Texture コントロールを備え、あらゆるソースの偶数次および奇数次の倍音成分を強化するコントロールとして知られています。
Super Silk は、この愛すべき技術に最新の進歩をもたらします。Red、Blue、Harmonics、Zener Drive の独立したコントロールに加え、回路に入る(または回路から出る)ゲインを調整する機能を備えます。MBT によって、ハーモニック・マニュピュレーションはまったく新しいレベルに到達しました。
- RED : 中高域と高域の倍音を強調し、輝きと光沢感を与えます。
- BLUE : 低域と中低域の倍音を強調し、より重みや深みを生み出します。
- HARMONICS : 全体的な音楽の倍音成分を増やし、BLUE と RED の両方と相互作用します。
- ZENER DRIVE : ダイオードベースのソフトクリップ回路。MBT がクリッピングに近づくにつれ、よりアグレッシブなトーンをもたらします。
- SILK IN : Super Silk セクション全体の有効/無効を切り替えます。MBT では、最も要望の多かった機能の1つである “Silk Purple” を実現しました。