概要

ARP は、LUNA に付属する MIDI エフェクトです。この機能豊富なアルペジエーターは、作曲や演奏時に、新しくユニークなアルペジオパターンを発見するのに有用なツールです。お使いのシンセサイザーに興奮と活力をもたらし、創造性が一層広がることを願っています。

クイックスタート

ヒント : お手元に MIDI コントローラーがない場合、LUNA インストゥルメント : Shape などを追加したトラックにマウスを使っていくつかのノートを入力し再生ボタンを押すか、LUNA の画面上のキーボード、あるいは MIDI KEYBOARD モードを有効にしてコンピューターのキーボードから演奏をお試しください。

まずは ARP に触れてみましょう。例として、インストゥルメントトラックに Shape を追加し、入力が有効になっていることを確認します。

1. Shape を追加したインストゥルメントトラックで［MIDI FX］をクリックします。
2. 開いたフォーカスブラウザから Universal Audio ARP を選択します。

3. MIDI コントローラーの鍵盤を押さえると、そのノートに対しアルペジオが演奏されます。
メモ : コードを弾いた場合、ARP はそれを分散してモノフォニックでのアルペジエーションを行います。

4. “ARPEGGIATION TYPE” で、アルペジエーションパターンを12種類の中から選択します。
5. “RATE” で、アルペジオのタイムディビジョンを設定します。
6. “GATE TIME” を変更し、パターン内の各ノートを長さを調整します。
7. “SWING” は、パターンにスウィング感を与えます。
8. 4つの “PRESETS” ボタンは、保存されているレート設定を素早く切り替える時に使用します（詳細は後述します）。

ここまで、ARP の機能をほんの一部だけですがご紹介しました。さらなる詳細については、以下をお読みください。

ARP のコントロール

ARP のユーザーインターフェイスは、非常にシンプルです。コントロールは、上から「同期とテンポ」、「アルペジエーション」、「キーボード」の3つのグループに分かれています。

同期とテンポ

SYNC　

“SYNC” をオン（ ボタンが点灯した状態）にすると、ARP のテンポは LUNA セッションのマスターテンポと同期します。

SYNC を有効にした場合、LUNA セッションからテンポ情報を受け取るため、ARP の “TEMPO” および “TAP” ボタンは無効になります。SYNC を無効にすると、TEMPO と TAP コントロールが有効になります。

START GRID

“SYNC” がオンの状態で、LUNA のトランスポートを動作させた時に、アルペジエーションを開始するタイミングを設定します。例えば、スタートグリッドを 1/1 に設定した場合、LUNA のトランスポートコントロールが次小節の先頭に到達した時にアルペジエーションが開始されます。1/4に設定すると、次の4分音符の先頭でアルペジエーションが再生します。

このコントロールは、SYNC が有効で、LUNA のトランスポートが動作している時のみに有効となります。トランスポートが停止している状態で鍵盤を弾くと、通常通りに即時アルペジエーターをトリガー可能です。

TEMPO

“SYNC” がオフになっている場合、アルペジエーターのテンポがここに表示されます。数値を上下にドラッグするか、ダブルクリックして値を直接入力することで変更を行えます。SYNC を有効にすると、アルペジエーターのテンポは LUNA セッションのマスターテンポトラックに追従するようになるため、ここでの設定は行えなくなります。

オートメーションによるテンポ変更を活用すると、興味深い効果を得ることができるでしょう。

TAP

このボタンをタップすることでもテンポの設定が行えます。ただし、このボタンは “SYNC” がオフの場合にのみ有効となります。

アルペジエーション

ARPEGGIATION TYPE

ARP では、12種類のアルペジエーションパターンを選択できます。

• UP :
  最低ノートから最高ノートに向かって上昇するアルペジオを繰り返します。
  
• DOWN :
  “UP” とは逆の動作を行います。
  
• UP DOWN :
  最低ノートから最高ノートに向かって上昇し、最高ノートから最低ノートに向かって下降するアルペジオを繰り返します。
  
• DOWN UP :
  “UP DOWN” の逆の設定を行います。
  
• UP HOLD DOWN :
  最低ノートから最高ノートに向かって上昇し、最高ノートから最低ノートに向かって下降するアルペジオを繰り返します。ただし、最高ノートと最低ノートは、2度演奏されます。
  
• DOWN HOLD UP :
  “UP HOLD DOWN” と逆の動作を行います。
  
• IN OUT :
  コード演奏時、中心に近いノートから外側のノートに向かうアルペジオを繰り返します。
  
• OUT IN :
  “IN OUT”と逆の動作を行います。
  
• ALT LOW :
  最低ノートから順に高い音へと変化していくアルペジオを繰り返します。
  
• ALT HIGH :
  “ALT LOW” と逆の動作を行います。
  
• AS PLAYED :
  演奏された順でアルペジオが演奏されます。
  
• RANDOM :
  ランダムな順でアルペジオが演奏されます。

GATE TIME

アルペジエーションのノートの長さを1～199％の範囲で設定します。100%に設定すると、各ノートは “RATE” で設定した長さと等しくなります。例えば、RATE : 1/4、GATE TIME : 100％に設定すると、1/4音符の長さでアルペジーションが行われますが、RATE : 1/4、GATE TIME : 50％の設定では、1/8音符として演奏されます。

ゲートタイムを100％以上に設定すると、後続のノートと重なっていきます。この設定は、モノフォニックシンセサイザーを操作する場合に興味深い（時には予想外の）結果をもたらすでしょう。

RATE

アルペジオのタイムディビジョンを設定します。このドロップダウンメニューで基本の音符を決め、“NOTE DIVISION” で、全音符、付点、3連の設定を行います。

NOTE DIVISION

“RATE” の追加設定です。例えば “RATE” を1/4に設定し、ここで全音符を選択した場合、4分音符ごとのタイミングでアルペジオが演奏されます。中央の “・” を選択した場合は、付点4分音符のタイミングでアルペジオが演奏されます。

SWING

アルペジオにスウィングを適用します。設定可能な範囲は、0〜100%です。

RATE PRESETS

保存されたレート設定を素早く切り替えることができます。選択中のプリセットはハイライト表示され、別のプリセットをクリックすることで瞬時に変更が行えます。“RATE” の値が変更されると、このボタンに反映され、新しい値が提示されるようになります。

この “PRESETS” ボタンは、RATE と NOTE DIVISION の設定のみを保存するために使用します。

キーボード

OCTAVES

アルペジエーションのオクターブ範囲を設定します。例えば設定を1（デフォルト値）にした場合、送信されるノートのみがアルペジエーションの対象となります。それ以上の値（2～5）に設定した場合は、最大4オクターブの範囲でパターンが繰り返されます。

一部の楽器（例えば Minimoog）では、その設計上、演奏可能な音域に制限があります。制限を超える音域を含んだ演奏を行った場合、部分的に音が鳴らない場合がありますが、これは正常な動作です。“OCTAVES” の値を小さく設定することで、この現象を回避できます。

LATCH

このスイッチをオンに設定した場合、離鍵してもアルペジエーションが継続されます。ラッチング時の挙動は、“LATCH MODE” メニューで設定します。

LATCH MODE

このドロップメニューで、ラッチング時の挙動を決定します。

• RESET :
  ラッチを無効にするか、別のノートを送信するまで同じアルペジオを繰り返します。
  
• TRANSPOSE :
  ラッチを無効にするか、別のノートを送信するまで同じアルペジオを繰り返します。1つのノートを演奏するとパターンがトランスポーズされ、演奏されたノートがアルペジエーションパターンの最低ノートになります。
  
• NOTE ADD :
  ラッチを無効にするまで、同じアルペジオを繰り返します。アルペジエーターが動作している間、さらにノートを演奏すると、その新しいノートがアルペジエーションパターンに追加されます。
  
• LIVE ADD :
  ラッチを無効にするまで、同じアルペジオを繰り返します。アルペジエーターが動作している間、さらにノートを演奏すると、そのノートがホールドされている間だけ、一時的にその新しいノートがアルペジエーションパターンに追加されます。
  
• THRU :
  ラッチを無効にするまで、同じアルペジオを繰り返します。アルペジエイターが動作している間、新たに演奏されたノートにアルペジオは適用されないため、アルペジエーションパターンに合わせて演奏を行うことができます。

KEY RANGE

ARP の有効範囲を設定します。設定範囲外の音域に送信されたノートに対しては、アルペジエーションがバイパスされます。範囲の調整は、垂直ハンドルをドラッグするか、低音と高音の値をダブルクリックして新しい値を直接入力します。