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Universal Audio : LUNA マニュアル | Ampex® ATR-102 Master Tape

マニュアル, 2021/05/14

該当製品

Ampex® テープマシンでマスタリングするまでレコードとは言えません

UAD Ampex ATR-102 Mastering Tape Recorder プラグインと LUNA エクステンション は、あなたの音楽に最後の「アナログ・ポリッシュ」をもたらし、レコーディングをレコードに仕上げます。Ampex Corporation から認証を受け、世界中のプロフェッショナルたちから信頼を得ている ATR-102 プラグインは、業界標準である Ampex マシンの個性あふれるダイナミクス、カラフルな周波数特性、そしてテープサチュレーションを忠実に再現しています。

*ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、有償オプションとなります。

主な特徴

  • オーディオのレコーディング史上、最も人気のある2トラックテープマシンで、ミックスにアナログの魅力を加える。
  • クラシックな Ampex テープによるサチュレーション、選択可能なテープタイプ、カラーを活用してミックスをまとめる。
  • ATR-102 のトランス、アンプ、リプロ・パスなど、回路全体を通したオーディオ処理が可能。
  • ATR-102 LUNA エクステンションが、アナログテープならではのリッチなマスターレコーディングを提供。

業務用2トラックとして最も支持されるモデル

ATR-102 は、そのまとまりのあるサウンドとパンチ力、そしてテープの微妙な飽和感や色味の表現力によって、1976年以来、世界中のレコーディング/マスタリングスタジオで愛用されています。

ATR-102 Mastering Tape Recorder LUNA エクステンションは、実機の持つダイナミクス、周波数特性、サチュレーション特性を忠実に再現しています。UAD ATR-102 LUNA エクステンションは、Ampex Corporation によって精査/認証されており、そのサウンドはお墨付きです。

LUNA レコーディング・システムと完全統合

LUNA レコーディング・システム内では、Ampex ATR-102 を LUNA エクステンションとして使用することができます。この場合、Ampex ATR-102 は LUNA のミキサーに組み込まれる形となり、プラグインとして個別に管理する必要はありません。Ampex ATR-102 は、LUNA のマスターフェーダーとバス上で、実機のダイナミクス、周波数特性、サチュレーション特性をそのままに、アルバムクオリティーのリッチな Ampex サウンドを提供します。

本物のキャリブレーションコントロールとテープタイプ

ATR-102 のハードウェアと同様に、このプラグインでもさまざまな信号経路(Input、Sync、Repro)、テープスピード/エンファシスEQ(NAB、CCIR、AES)、テープフォーミュラ(GP9、456、900、250)の組み合わせを選択できます(家庭用/民生用テープも含む)。

Ampex ATR-102 Master Tape の入手方法

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは別売です。デモや購入は、LUNA の[MANAGE]ページから行えます。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションを購入すると、UAD プラグイン(Mac / Windows)と LUNA エクステンション(Mac のみ)がセットとして入手できます。

Ampex ATR-102 Master Tape のパラメーター

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、家庭用/民生用テープを含めたさまざまなテープスピード/エンファシスEQとテープフォーミュラの組み合わせを選ぶことが可能です。入力(録音)ゲインノブと “Cal” ボタンは、レベル調整やテープを飽和させるためのメインコントロールであり、必要に応じ色濃いサウンドを提供します。

その他、Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションには、ヘッド幅(1/4インチ、1/2インチ、1インチ)の選択や、キャリブレーションレベル、バイアスEQ、ノイズのオン/オフ機能が用意されています。

Ampex ATR-102 Master Tape を使用する

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションを使用することで、LUNA ミキサーのバスとメイントラック上で直接 Ampex ATR-102 テープマシンを通したサウンドとメカニカルパラメーターにアクセスすることができます。LUNA エクステンションは、Ampex の回路設計とテープフォーミュラのトーンと個性のすべてを備えています。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、LUNA ミキサー内でネイティブに動作し、テープマシンをプロセッシングチェーンの最後(ポストフェーダー)に配置して、従来のコンソールとミックスダウンデッキによるシグナルフローを再現することも、他のプロセッサーの前段(プリフェーダー)に配置することも可能です。

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、UAD-2 プラグインバージョンと比較して、レイテンシーが劇的に抑えられ、機能セットが合理的にカスタマイズされています。Ampex ATR-102 LUNA エクステンションは、UAD-2 プラグインバージョンのヘッドスタック、スピード、テープフォーミュラ、ゲインコントロールカードを踏襲していますが、テープディレイやユーザーが調整可能なワウ&フラッターといった一部の機能が削られています。また、左右で独立したチャンネルコントロール、マニュアルキャリブレーション(テストトーン、MRLモード、ディストーションメーター)、クロストーク、ヒスとハムコントロールも同じく削られています。

ATR-102 は、バスまたはメイントラックの[MASTER TAPE]スロットに追加することができます(バストラックとメイントラックそれぞれ個別にマスターテープデッキを設けることができます)。セットアップは、テープスピード(IPS)、テープフォーミュラ(TAPE)、キャリブレーションレベル(CAL)、ヘッド幅(HEAD)を調整するところから始めるか、プリセットを選択します。テープスピードを下げた場合(例 : 15IPS、7.5IPS)、テープの「質感」が目立ち始めるため注意が必要となってくるでしょう。このようにして基本的な設定が行えたら、入力ゲインレベルを決め、テープ/回路の色や彩度を調整します。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、プリフェーダーまたはポストフェーダーに配置することができます。デフォルトでは、メイントラックではプリフェーダー、バストラックではポストフェーダーに適用されるようになっています。

MASTER TAPE ブラウザでは、テープスピード、ヘッド幅、テープフォーミュラ、バイアス、EQなど、マスターテープデッキに関するあらゆる設定が行えます。LUNA ミキサーとフォーカスチャンネルでは、テープスピード、ヘッド幅、テープフォーミュラなどを合理的にコントロール可能です。

操作の概要

憧れのテープサウンド

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、実機がもたらすアナログの「甘さ」をそのまま再現します。実際に磁気テープを通しているかのように、クリーンなサウンドから、ほどよいサチュレーションを含んだ倍音豊かなサウンドまで、さまざまな質感を得られます。

メイントラックとバストラック

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションの最大の特徴は、LUNA の中でテープミックスダウンサウンドを存分に得られるところにあります。クラシックなテープミックスダウンサウンドを得るためには、メイントラックの[MASTER TAPE]スロットにLUNA エクステンションを追加します。バスにテープサウンドを適用する場合は、各バスの[MASTER TAPE]スロットに LUNA エクステンションを追加します。

複数のテープフォーマット

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは7種類の磁気テープモデルが用意され、微妙な音質変化、歪み、テープの圧縮特性といった違いが含まれます。テープスピードやヘッド幅によって選択肢が異なるため、すべてのテープスピードやヘッド幅ですべての磁気テープを選択できるわけではないことを覚えておいてください。

複数のテープヘッド

オリジナルのハードウェアはヘッドブロックを交換できるよう製造されていたため、ヘッドを交換し回路を再調整するだけで、1/4インチと1/2インチのテープを使用可能なシステムにすばやく変更することができました。トラック幅が広くなると、僅かながらも安定性、忠実性、ノイズなどの改善が見られます。また、さらなる音質向上のために、1インチのテープに対応したヘッドを取り付ける改造も人気がありました。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、3種類のテープヘッド幅を正確にモデリングし、選択可能となっています。

複数のテープスピード

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、実機同様に4種類のテープスピード : 3.75、7.5、15、30IPS(インチ・パー・セカンド)が用意されています。テープ速度によって、周波数特性、ヘッドバンプ、歪み感などが異なります。3.75IPSに設定した場合、固有のローファイ感を得ることができます。

キャリブレーションレベル

テープマシンでは、キャリブレーションレベルの選択によって、入力から出力までのユニティゲインをテープの磁束密度に基づいて設定することができます。この設定は、レコーダーへの入力レベルに対するテープの応答特性に影響します。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、4つのキャリブレーションレベルを選択できます。

副次的なノイズ

テープレコーダーには、電気的に、また機械的に発生するノイズが含まれます。かつて、「望ましくない」テープノイズは否定的なものと捉えられ、より素晴らしいテープマシンの開発を押し進める要因でもありました(究極は「ノイズの無い」デジタルレコーダーです)。しかしノイズはテープやテープマシンのサウンドを特徴づけるものとして、今日では広く認識されています。

Ampex ATR-102 は、実機が持つハム、ヒス、ワウ、フラッター、クロストークなどの特性をモデリングしていますが、必要に応じ、これらを無効にすることも可能です。

トランスフォーマー

オリジナルのハードウェアでは信号への色付けにも繋がるアイソレーショントランスが採用されています。Ampex ATR-102 は、ハードウェアに搭載されているトランスのふるまいまでもシミュレートしています。

オートキャリブレーション

本来、ノンリニアの応答特性を持つ磁気テープレコーダーが、ノイズや歪みを最小限に抑えてオーディオ信号を再生するためには、電気回路の精密な調整が必要となります。キャリブレーションは、テープ、テープスピード、エンファシスEQ、テープ幅などに基づいて行われます。実際はテープ、スピード、エンファシスEQ、ヘッド幅のセッティングを変えるごとに、ハードウェアの再調整を入念に行う必要があります(変更がなくてもシステムの摩耗や揺れのために定期的に行う必要があります)が、Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、ボタン1つですべての電子回路をチューニングするオートキャリブレーション機能を備えています。

手動による調整

いくつかのキャリブレーションコントロールは、個別に調整可能です。プレイバックEQ、レコード(テープ)EQ、レコードバイアスは、オートキャリブレーション後の微調整や、よりクリエイティブな目的での使用に有用です。

Ampex ATR-102 の設定

Ampex ATR-102 は、バス、もしくはメイントラックに追加することができます。追加したトラックごとに調整/プリセット選択が可能です。

Ampex ATR-102 をトラックに追加する

1. バス、もしくはメイントラックの[MASTER TAPE]インサートをクリックし、ATR-102 を選択します。

2. マスターテープスロットに主要なコントロールセットが表示されます。また、マスターテープデッキは LUNA ウィンドウ左のブラウザに表示されます。

マスターテープスロットでは、最も重要な要素 であるテープ、テープスピード、ヘッド幅を設定することができます。また、マスターテープデッキのオン/オフを切り替えることも可能です。詳細設定は、LUNA ウィンドウ左に表示されるブラウザで行えます。

MASTER TAPE ブラウザのコントロール

ブラウザで AmpexATR-102 を設定する

1.[MASTER TAPE]スロットの上端、青色で “ATR-102” と表示されている箇所にマウスを合わせると、表示が切り替わります。中央の四角い箱をクリックしてください。

2. LUNA ウィンドウ左側に MASTER TAPE ブラウザが表示されます。
3. ブラウザ内のパラメーターを手動で設定するかプリセットを選択し、ATR-102 によるサウンドを決定します。

右下に表示されている “∧” ボタンをクリックすると、さらなるコントロールが開きます。

ノブ類は、マウスによるクリック&ドラッグ、またはダブルクリックによる数値入力で調整可能です。ボタン類は、クリックで設定を切り替えます。

テープデッキのプリ/ポストフェーダー設定

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションは、プリまたはポストフェーダーいずれかのエフェクトとして設定が行えます。メイントラックにおいてはデフォルトでプリフェーダーに設定されており、マスターブリックウォールリミッターや他のプロセッサーを後段に配置するという現代のワークフローに対応します。バストラックにおいてはデフォルトでポストフェーダーに設定されており、他のバス処理の後段でテープサウンドが適用される形となっています。

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションをプリまたはポストフェーダーとして設定する

1.[MASTER TAPE]の列をクリックして、ATR-102 LUNA エクステンションをバスまたはメイントラックに割り当てます。
2.[MASTER TAPE]スロットにカーソルを合わせて、“•••” をクリックします。
3. テープデッキをプリフェーダーに挿入するには、“Insert Pre Fader” にチェックを入れます。
4. テープデッキをポストフェーダーに挿入するには、“Insert Pre Fader” のチェックを外します。

この設定は、MASTER TAPE ブラウザでも行えます。

プリセットを使う

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションには、著名な ATR-102 ユーザーとのコラボレーションによるプリセットが用意されています。プリセットには、テープサウンドを再現しながら色付けが抑えられたマスタリング向けの “Classic”、“Clean” から、高入力によるサチュレーションの効いた “Pushed” まで、さまざまな種類が含まれます。さらに明確な色付けが欲しい場合は、“Vintage” をお試しください。

プライマリコントロールとセカンダリコントロール

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションのパネルには、2つのモードがあります。「クローズド」モードでは、メインパネルでプライマリコントロール(通常、最も使用されるコントロール)が使用でき、テープリールが表示されます。「オープン」モードでは、セカンダリコントロールとしていくつかの追加パラメーターが表示されます。セカンダリコントロールパネルへは、AMPEX ラベルの右下に表示されている “∧” ボタンをクリックしてアクセスします。

プライマリコントロール

メーター

左右のチャンネルの信号レベルを表示します。このメーターは、モデリングによって実機のメーターの挙動を忠実に再現します。必要に応じて、入力または出力レベルをピークまたはVUモードで表示するよう切り替えることも可能です。

このエクステンションは、内部レベル : -12dBFSを基準に動作します。したがって、“REPRODUCE” が赤矢印のポジションに設定されている場合、フルスケールデジタル(0 dBFS)から-12 dBのレベルのデジタル信号は、メーター上、0dBに相当します。

IN/OUT

このスイッチは、メーター表示する信号ソースを設定します。そのスイッチは実機にはなく、実機のメーターは出力レベルのみを表示します。
IN:テープマシーンの入力レベルを示します。
OUT:テープマシーンの出力レベル、REPRODUCE(出力)ゲイン設定を通過した信号レベルを示します。

これらのスイッチを切り替えて、メーターに入力あるいは出力どちらのレベルを反映させるかを設定します(入力メーターは、実機にはありません)。

  • IN : テープマシンへの入力信号レベルを表示します。
  • OUT : テープマシン(REPRODUCE 設定を通過直後)の出力信号レベルを表示します。

RECORD

テープ回路への入力信号レベルを調整します。設定可能な範囲は、-∞dB(オフ)から+9.3dBです。デフォルト値は0dBです。ノブを“Option + クリック” すると、値が0dBに戻ります。

なお、画面上の目盛り表示(0〜10)は、dB値を表すものではありません。

“RECORD” は、このエクステンションの主要な「色」を調整するものです。本物同様、このレベルを下げるとクリーンなサウンドになり、上げると高調波倍音による飽和感や色味が強くなります。また、エクステンションからの出力レベルも上がります。ユニティゲインで動作させたい場合、“REPRODUCE” ノブを使って補正します。

REPRODUCE

メーターに信号が送られる前の、バーチャルテープから出力される信号レベルを調整します。設定可能な範囲は、-∞dB(オフ)から+9.48dBです。デフォルト値の0dBは「キャリブレーションポジション」で、赤矢印が記されています。ノブを“Option + クリック” すると、値が0dBに戻ります。このパラメーターは、“AUTO CAL” によるオートキャリブレーションの影響を受けません。

なお、画面上の目盛り表示(0〜10)は、dB値を表すものではありません。

LINK

“RECORD” と “REPRODUCE” を連動させてレベルを調整する場合に有効にします。“RECORD” や “REPRODUCE” の調整時、不用にレベルが上下することを防ぎます。

セカンダリコントロール

セカンダリコントロールパネルへは、AMPEX ラベルの右下に表示されている “∧” ボタンをクリックしてアクセスします。このパネルは、再度 “∧” ボタンをクリックすることで閉じることができます。

エンファシスEQ

“NAB” または “CCIR” ボタンは、有効となるエンファシスEQとハムノイズの周波数を決定します。NAB カーブと CCIR カーブは、テープスピードが7.5IPS、または15IPSいずれかの場合に選択できます。テープスピードが30IPSに設定されている場合、実機ではEQが AES カーブで固定されているため、NAB / CCIR いずれの設定も無効になります。テープスピードが3.75 IPSの場合は、(実機の通り)NAB カーブが適用されます。

NAB

NAB(一般的な米国標準)に設定すると、ハムノイズの周波数は 60 Hz になります。CCIR(ヨーロッパなどの標準)に設定すると、ハムノイズの周波数は 50 Hz になります。

テープスピードとエンファシスEQは、元来、ノイズや地域標準に対する録音時間の実用的なコントロールとなっていました。過去には、テープマシンの起源(米国または欧州)によって内蔵されているEQエンファシスが定められましたが、Ampex ATR-102 のような後期のマシンでは、両方の回路を利用することが可能でした。

CCIR

CCIR(IEC1 とも呼ばれる)は技術的に優れたプリエンファシスEQと考えられ、イギリスのレコードによって広く知られるようになりました。テープ全盛期の「ブリティッシュ・サウンド」は、このEQが一部を担っていたとさえ言われています。NAB(IEC2 とも呼ばれる)は、独自のサウンドを持つアメリカの標準規格でした。30IPSにおける標準は、AES です。Ampex ATR-102 で30IPSに設定した場合、このEQが適用されます。

BYPASS

バイパススイッチは、エクステンションによる処理を有効/無効を切り替えます。処理されたサウンドと元の信号とを比較する場合に便利です。

POWER

エクステンションの電源をコントロールします。オフにすると、エミュレーションが無効になります。この時、メーターとLEDが消灯して各コントロールの操作も行えなくなり、リソースの消費量が軽減されます。

テープスピード(30 / 15 / 7.5 / 3.75)

テープトランスポートのスピードをIPS(インチ・パー・セカンド)で決定します。テープスピードは、レコーダーの忠実度とそれに伴う「ヘッドバンプ」に影響します。ヘッドバンプとは、磁気テープで生じる低域成分の周波数シフトのことを指し、主な周波数が回転スピードに応じて変化します。

テープスピードを選択するには、ノブをクリック&ドラッグして回すか、値を直接クリックします。

15IPSは、低域のヘッドバンプとあたたかみのあるサウンドを特徴とし、ロックやアコースティックな音楽に向いているとされます。30IPSは、低いノイズフロア、高い忠実性、そしてフラットなレスポンスが特徴で、クラシックやジャズなどに向いているでしょう。7.5IPSと3.75IPSの設定では、周波数シフトやその他のアーティファクトが大きくなり、いわゆる「テープ感」が際立たってきます。

テープフォーミュラ、ヘッド幅、エンファシスEQは、テープスピードによって、その設定範囲が決まります。

TAPE

テープフォーミュラ(テープの種類)を選択します。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、7種類の磁気テープがモデリングされています。テープフォーミュラを選択するには、“TAPE” ボタンをクリックして切り替えるか、値を直接クリックします。アクティブなテープフォーミュラは黄色で表示されます。

利用可能なテープフォーミュラとデフォルト値は、現在のテープスピードとヘッドの設定によって決まります。

各テープフォーミュラには、微妙な音質変化、歪み、テープの圧縮特性といった違いが含まれます。一般的に、キャリブレーションレベルが低いほど、サチュレーションやディストーションに達するまでに必要な信号レベルは高くなります。

CAL

キャリブレーションレベルは、テープキャリブレーション/フラックスレベルを自動的に設定します。これは、ハードウェアの操作でも必要とされる設定と同等のもので、エクステンションの(ユニティー)ゲインを妨げることなく、基準となるテープ/フラックスレベルを設定します。

キャリブレーションレベルを選択するには、“CAL” ボタンをクリックして切り替えるか、値を直接クリックします。アクティブなキャリブレーションレベルは黄色でハイライトされます。初期値は、+6dBです。

キャリブレーションレベルの設定は、エクステンションの動作レベルに影響を与えるため、エクステンションへの入力に対するレベル補正として使用できます。例えば入力が大き過ぎる場合、キャリブレーションレベルを下げることで “RECORD” の設定を変えずに信号レベルを下げ、テープサチュレーションに影響を与えることができます。

“NOISE” が有効なっている場合、ノイズフロアは、キャリブレーションレベルの設定から影響を受けます。

磁気テープが進化するにつれ出力レベルが増加し、相対的なノイズフロアは減少しました。通常、マシンはテープの出力レベルに合わせて調整されますが、ヘッドルームを残してより広いスイートスポットを得たり、電子機器のクリッピングを防ぐために、不十分なキャリブレーションに留める場合もあります。そのため、エクステンションでも、推奨レベルに合わせてキャリブレーションする/しないを選択することができます。

例えば、テープフォーミュラとして “456” を選択し、キャリブレーションレベルを “+6(NABテープ標準より6dB高い)” に設定している場合、基準磁束レベルは355nWb/m(1メートルあたりのナノウェーバー)であり、THDが3%に達するポイント(最大動作レベルと呼ばれます)よりも10dB低くなります。したがって、テープを456、CALを+6、AUTO CAL を有効にして、-12dBFSの1kHzテストトーンをエクステンションに送った場合、出力レベルは入力レベルと一致し、テープ上の磁束密度は355nWb/mとなります。

テープメーカーが推奨するテープフォーミュラごとのキャリブレーション設定を以下の表に示します。

Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションのプリセットには、一般的によく使用される、テープフォーミュラ、テープスピード、CAL、EQ設定が用意されています。

ヘッド幅

ここでは、テープヘッドに関する設定を行います。ヘッド幅は1/4、1/2、1インチのいずれかから選択できます。

ヘッド幅を選択するには、“HEAD” ボタンをクリックして切り替えるか、値を直接クリックします。アクティブなヘッド幅は黄色でハイライトされます。

なお、テープスピードが “3.75” と “7.5” に設定されている場合は、1/4インチのヘッド幅しか選択できません。

AUTO-CAL

Ampex ATR-102 は、テープシステム固有のノンリニア性を補正するために、シンク(レコード)EQ、リプロダクション(プレイバック)EQ、そしてレコードバイアスを調整可能な、個別のキャリブレーションコントロールを備えています。実機では、テープフォーミュラ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅を変更するたびに、システムをキャリブレーションするのが一般的です。

“AUTO-CAL” ボタンをクリックすると、選択されているテープフォーミュラ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅に合わせて、キャリブレーションパラメーター(HF EQ、SHELF EQ、REPRO HF、REPRO LF、BIAS)が自動的に「フラット」な状態になるよう調整されます。

デフォルト設定(プリセット “Default Setting”)では、AUTO-CAL が有効になっています。この時、テープフォーミュラ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅を変更するたびに、キャリブレーションパラメーターの値が変化します。AUTO-CAL が無効の場合、テープフォーミュラ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅を変更しても、キャリブレーションパラメーターは変化しません。

AUTO-CAL を有効にすると、手動で行ったキャリブレーション設定は失われます。AUTO-CAL を実行する前に、手動設定をプリセットとして保存することをお勧めします。AUTO-CAL が有効な状態でキャリブレーションパラメーターを調整すると、“ON” LEDは赤色の点灯に変わり、システムがキャリブレーション状態ではなくなったことを示します。個々のコントロールを「フラット(キャリブレーション済みの状態)」に戻すには、コントロールの上に記されたラベルをクリックします。

レコードEQ

レコードEQコントロール(HF EQ、SHELF EQ)は、テープの録音回路に適用され、サチュレーションの特性に影響を与えます。テープで記録される前の信号の高域成分に作用し、バイアス調整とシステムのフィルター効果によって失われた高域成分を補正します。

“HF EQ” は、テープに録音される信号の高域を強調します。

“SHELF EQ” は、HF EQ に加えてテープのノンリニア性を補正する場合に使用します。この調整は、Ampex のファクトリーキャリブレーションには含まれていませんが、手動によるキャリブレーションやクリエイティブな音創りに有用なものです。

リプロEQ

リプロEQコントロール(REPRO HF、REPRO LF)はヘッド後段のコントロールで、テープ再生のキャリブレーションを行います。周波数特性をフラットに保つためのフィルターとして使用され、テープの周波数損失やヘッドの磨耗を補正します。

“REPRO HF” は、テープ再生の高域成分を調整します。

“REPRO LF” は、テープ再生の低域成分を調整します。

バイアス

録音信号のバイアス量を調整します。バイアスとは、録音ヘッドにおいてオーディオに適用される可聴範囲を超えたオシレーターと定義され、録音反応を調整することができます。理想的なバイアス設定は、最高の録音感度と低歪みを実現します。意図的にオーバーバイアスを掛けることは、「テープコンプレッション」としてよく使われる手法で、あたたかい飽和感のあるサウンドを生み出します。一方、アンダーバイアスは、オーディオが途切れ途切れになるような歪みやその他のノンリニアな反応を得るために使用されることがあり、極端に低い設定では、オーディオが完全にドロップアウトする場合もあります。

バイアス電圧、HF / SHELF EQ、エンファシスEQ(CCIR、NAB、AES)はすべて連動し、録音された信号にリニアな特性をもたらします。「フラット」な設定(キャリブレーション済みの状態)は、テープ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅によって決まります。

NOISE

オンにすることで、テープフォーミュラとテープスピードの設定に準じ、ハムとヒスノイズが追加されます。

テープスピード、ヘッド幅、テープフォーミュラ、エンファシスEQの組み合わせ

以下、設定可能なテープスピード、ヘッド幅、テープフォーミュラ、エンファシスEQのすべての組み合わせを図で示します。

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