Universal Audio : LUNA マニュアル | API Summing
マニュアル, 2021/05/14
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50年に渡る歴史的なアルバムのサウンドを支えてきた API コンソールが伝説と称されるのには理由があります。Stevie Wonder のTalking Book や Fleetwood Mac の Rumours、The Cure の Pornography や Radiohead の Hail to the Thief など、API のクラシックアナログコンソールが放つミッドフォワードのパンチは、アグレッシブかつ多次元的な色付けをミックスに付加します。
API とのパートナーシップにより、LUNA レコーディング・システム専用として開発された API Summing エクステンションは、伝説的な API コンソールに実装されていた 2520 オペアンプとカスタム出力トランスを再現し、ミックスに API の定評あるアティテュードとトーンをもたらします。
*API Summing LUNA エクステンションは、有償オプションとなります。
主な特徴
- 初めての本格的な API アナログサミングのエミュレーションで、ミックスにパワーと透明感、ミッドレンジのパンチを与える
- API のバス/マスター用サミングモジュールを活用して、個々のチャンネルまたはミックス全体をまとめる
- API ならではの複雑なノンリニア性と音楽的なクリッピングを得る
- バスごとにヘッドルームとトリムコントロールを調整し、ミックス全体で繊細なトーンを形成する
本物の API Summing をあなたのミックスに
API Summing は、単なるプラグインを超越する、LUNA のミキサーに組み込まれた「拡張機能」です。API ならではのバスチャンネルにおけるディテールをミックスに取り入れることができ、これまでのサミングプラグインとは一線を画します。このワークフローにおいては、複数のプラグインウィンドウを管理する必要がありません。バスごとにヘッドルームを調整して色付けとダイナミックの強化を行います。
API Summing の恩恵と魅力
オーディオソースが API コンソール、とくに人気の高い 2520 オペアンプとカスタム出力トランスを通過すると、ランダムなアナログのノンリニアさが組み合わさって、音楽的な倍音とトランジェントクリッピングが生まれます。その結果、サミングされた信号にパンチや深み、個性が加わって、活気に満ちたミックスが実現します。
細部に至るこだわり
UA は、複数の API コンソールを分析/研究しました。もちろん、オリジナルのサービスマニュアルにも目を通し、Neve 80 シリーズのピュアな電流加算型とは対照的な、ディスクリートのクラスA回路と電圧/電流のハイブリッド式サミング回路に関する重要な見識を得ています。UA のエンジニアチームは、API コンソールのフェーダーテーパーとパンロウなど、ハードウェアのあらゆるノンリニア性とクリッピングの特性を完璧に再現し、オリジナルと同様の存在感を得るに至りました。
API Summing の入手方法
API Summing エクステンションは別売です。デモや購入は、LUNA の[MANAGE]ページから行えます。エクステンションは LUNA 自体に実装されているため、購入後、別途ダウンロードの必要はありません。
API Summing を使用する
API Summing は、API コンソールのバスチャンネルのサウンドとヘッドルームの特性を、LUNA のサミングバスに反映させるものです。API Summing はバストラックとメイントラックに追加することができます。
LUNA
ネイティブのサミングバス/メインチャンネルと、API Summing
バス/メインチャンネルのフェーダーテーパーには違いがあります。このため、API Summing
の設定を行うと、当該バスとそのバスに送られるすべてのトラックフェーダーの刻みやふるまいが変化します。
API Summing を追加する
- バス、もしくはメイントラックの[INPUT]内にある “CONSOLE” ボタンをクリックし、API Summing を選択します。
- ヘッドルーム、トリムを設定します。
複数のトラックで調整を行う場合は、目的のトラックをいくつか選択してから、いずれかのトラックコントロールを操作します。この場合、トラックグループ(キーコマンド “command + G”)または選択グルーピング(LUNA メニュー[Mixing]>[Selection Grouping]、またはキーコマンド “control + G”)を有効にする必要があります。
API Summing のコントロール
HR(ヘッドルーム)
チャンネルのヘッドルームとサチュレーションの量を調整します。このノブを上げていくことで、サチュレーション、さらにはディストーションに至る特性を得ることができます。ノブをクリック&ドラッグで回すか、ダブルクリックして値を直接入力します。このコントロールはゲイン補正されるため、ヘッドルームを調整しても音量の変化は最小限に抑えられます。なお、低インピーダンス設定時は、ゲイン補正が行われても、ユニティゲインより音量は大きくなります。ヘッドルームは、API
Summing
の内部動作基準レベルを調整し、信号が処理にプッシュされないようにします。最良のレベルマッチングを可能にするだけでなく、サウンドの幅を広げるため創造的に使用することもできます。
ヘッドルームを微調整することで、ノンリニアなI/Oディストーションとコンプレッション特性を、信号の入力レベルとは切り離して調整することができます。ヘッドルームは、dB値が小さくなるほど大きくなります。
ヘッドルームは、+4dBから+28dBまでを2dB刻みで調整できます。“HR”
ノブが正午の位置(デフォルトの位置)にあるとき、値は16dBとなります。高いdB値に設定すると、信号がプッシュされやすくなります。処理を少なくして色を抑えたい場合は、低い値に設定してください。
TRIM(トリム)
ヘッドルームとインピーダンスの設定によって生じたゲインの変化を補正し、サミングバス全体のレベルを調整します。ノブをクリック&ドラッグで回すか、ダブルクリックして値を直接入力します。このノブは、ラインアンプからの出力レベルを調整します。設定可能な範囲は、±6dBです。
IN(バイパス)
“IN” と表示されているバイパスボタンは、API Summing を通して処理された信号と、未処理のオリジナルの信号とを比較する場合に便利です。“IN” スイッチをクリックすることで設定を切り替えます。バイパス状態では、VUメーターは非点灯となり、ネイティブのCPUリソースが節約されます。
メーター
API Summing のVUメーターは、-12dBFSで0を示すように調整されています。
フェーダーについて
コンソールサミング LUNA エクステンションは、関連するバスとメイントラックの刻みとふるまいを変え、オリジナルに忠実なフェーダーテーパーを表示します。コンソールサミング LUNA エクステンションが有効になっているバスにトラックをルーティングすると、バスやメイントラックのフェーダーテーパーだけでなく、ソーストラックのフェーダーテーパーも変化します。