Universal Audio : LUNA マニュアル | Neve® Summing
マニュアル, 2021/05/14
該当製品
Neve 80 シリーズは、大きな影響力を持つ数多のヒット作を支えてきた比類なきコンソールです。ドキュメンタリー『サウンド・シティ』で有名になったこのクラシックなアナログコンソールは、3次元的なノンリニア性と重厚なアナログ感によって、ミックスに活力と色気を与えます。
AMS Neve とのパートナーシップにより、LUNA レコーディング・システム専用として開発された Neve Summing エクステンションは、1272 バス・アンプリファイアを含む象徴的な Neve 80 シリーズコンソールのサミング回路全体を再現しています。
*Neve Summing LUNA エクステンションは、有償オプションとなります。
主な特徴
- 初の本格的な Neve アナログサミングのエミュレーションで、ミックスに幅、奥行き、個性を加える
- Neve の象徴的な 1272 ラインアンプを使って、個々のチャンネルまたはミックス全体をまとめる
- Neve 80シリーズコンソールならではの複雑なノンリニア性と音楽的なクリッピングを得る
- バスごとにヘッドルーム、トリム、インピーダンスコントロールを調整し、ミックス全体で繊細なトーンを形成する
本物の Neve Summing をあなたのミックスに
Neve Summing は、単なるプラグインを超越する、LUNA のミキサーに組み込まれた「拡張機能」です。オリジナルの Neve 80 シリーズコンソールのフェーダーテーパーやパンロウなど、ソースチャンネルとバスチャンネルのあらゆる特性を再現します。このワークフローにおいては、複数のプラグインウィンドウを管理する必要がありません。バスごとにヘッドルームを調整して色付けとダイナミックの強化を行います。
Neve Summing の恩恵と魅力
オーディオソースが Neve 80 シリーズコンソールのトランスやカスタムメイドのオペアンプ、とくに人気の高い 1272 ラインアンプを通過すると、ランダムなアナログのノンリニアさが組み合わさって、倍音の「魔法」が生まれます。その結果、サミングされた信号に個性、深み、奥行きが加わって、まとまりのある、活気に満ちたミックスが実現します。
細部に至るこだわり
UA は、2年以上に渡り、複数のビンテージ Neve 80 シリーズコンソールとそのコンポーネントを分析/研究しました。もちろん、オリジナルのサービスマニュアルにも目を通し、クラスAのトランス/トランジスタ回路に関する重要な見識を得ています。UA のエンジニアチームは、ハードウェアのすべてのノンリニア性とクリッピングの特性を完璧に再現し、オリジナルと見分けがつかないほどの結果を生み出しました。
Neve Summing の入手方法
Neve Summing エクステンションは別売です。デモや購入は、LUNA の[MANAGE]ページから行えます。エクステンションは LUNA 自体に実装されているため、購入後、別途ダウンロードの必要はありません。
Neve Summing を使用する
Neve Summing は、Neve コンソールのバスチャンネルのサウンドとヘッドルームの特性を、LUNA のサミングバスに反映させるものです。Neve Summing はバストラックとメイントラックに追加することができます。
LUNA ネイティブのサミングバス/メインチャンネルと、Neve Summing バス/メインチャンネルのフェーダーテーパーには違いがあります。このため、Neve Summing の設定を行うと、当該バスとそのバスに送られるすべてのトラックフェーダーの刻みやふるまいが変化します。
Neve Summing を追加する
- バス、もしくはメイントラックの[INPUT]内にある “CONSOLE” ボタンをクリックし、Neve Summing を選択します。
- ヘッドルーム、トリム、インピーダンスを設定します。
複数のトラックで調整を行う場合は、目的のトラックをいくつか選択してから、いずれかのトラックコントロールを操作します。この場合、トラックグループ(キーコマンド “command + G”)または選択グルーピング(LUNA メニュー[Mixing]>[Selection Grouping]、またはキーコマンド “control + G”)を有効にする必要があります。
Neve Summing のコントロール
HR(ヘッドルーム)
チャンネルのヘッドルームとサチュレーションの量を調整します。このノブを上げていくことで、サチュレーション、さらにはディストーションに至る特性を得ることができます。ノブをクリック&ドラッグで回すか、ダブルクリックして値を直接入力します。このコントロールはゲイン補正されるため、ヘッドルームを調整しても音量の変化は最小限に抑えられます。なお、低インピーダンス設定時は、ゲイン補正が行われても、ユニティゲインより音量は大きくなります。ヘッドルームは、Neve Summing の内部動作基準レベルを調整し、信号が処理にプッシュされないようにします。最良のレベルマッチングを可能にするだけでなく、サウンドの幅を広げるため創造的に使用することもできます。
ヘッドルームを微調整することで、ノンリニアなI/Oディストーションとコンプレッション特性を、信号の入力レベルとは切り離して調整することができます。ヘッドルームは、dB値が小さくなるほど大きくなります。
ヘッドルームは、+4dBから+28dBまでを2dB刻みで調整できます。“HR” ノブが正午の位置(デフォルトの位置)にあるとき、値は16dBとなります。高いdB値に設定すると、信号がプッシュされやすくなります。処理を少なくして色を抑えたい場合は、低い値に設定してください。
TRIM(トリム)
ヘッドルームとインピーダンスの設定によって生じたゲインの変化を補正し、サミングバス全体のレベルを調整します。ノブをクリック&ドラッグで回すか、ダブルクリックして値を直接入力します。このノブは、1272 ラインアンプからの出力レベルを調整します。設定可能な範囲は、±6dBです。
HI Ω / LO Ω(インピーダンス)
バスまたはメインチャンネルのインピーダンス特性を、ハイもしくはローから選択します。デフォルトでは、ハイインピーダンスの設定となっています。ハイインピーダンスとローインピーダンスでは、オーディオの特性やゲインレベルが異なるため、目的の素材やバスにどちらが適しているかをお試しください。通常、ローインピーダンス設定では、未処理のオーディオよりも音量が大きくなります。インピーダンススイッチ(HI : 1200Ω / LO : 300Ω)をクリックすることで設定を切り替えます。
IN / OUT(バイパス)
バイパスは、Neve Summing を通して処理された信号と、未処理のオリジナルの信号とを比較する場合に便利です。“IN / OUT” スイッチをクリックすることで設定を切り替えます。バイパス時はVUメーターが非点灯となり、ネイティブのCPUリソースの消費が抑えられます。
フェーダーについて
コンソールサミング LUNA エクステンションは、関連するバスとメイントラックの刻みとふるまいを変え、オリジナルに忠実なフェーダーテーパーを表示します。コンソールサミング LUNA エクステンションが有効になっているバスにトラックをルーティングすると、バスやメイントラックのフェーダーテーパーだけでなく、ソーストラックのフェーダーテーパーも変化します。