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Universal Audio : LUNA マニュアル | Moog® Minimoog

マニュアル, 2021/05/14

該当製品

Moog Music 社とのパートナーシップから生まれた Minimoog LUNA インストゥルメント*は、Bob Moog 氏による先駆的なシンセサイザーの驚くほど正確かつ刺激的なエミュレーションです。

クラシックな Moog オシレーターとラダーフィルターのあらゆるニュアンスを完璧に捉え、ディスクリートのトランジスターVCAモデリングを活用することで、Parliament-Funkadelic から Kraftwerk、Dr. Dre など、誰もが愛するこのクラシック・インストゥルメントのディテールを忠実に再現しています。

*Minimoog LUNA インストゥルメントは、有償オプションとなります。

実機について

1970年から1981年にかけ Moog Music 社によって製造された Minimoog Model D は、ポピュラー音楽のために設計された初のシンセサイザーです。Minimoog が登場する以前のシンセサイザーは主にモジュラー式で、非常に大きく、高価なものでした。そのため、シンセサイザーは大学などの学術機関か、レコード会社、広告代理店所有のスタジオでしか触れることのできない、一般のミュージシャンにとっては手の届かない存在でした。

Minimoog は、世間のシンセサイザーに対するイメージを覆す、まったく新しい楽器でした。持ち運び可能で(当時としては驚くほど軽く、たった 14.5 kg)、パッチベイを排したノンモジュラー式、かつ従来の大型モジュラーシンセサイザーの数分の一ほどという価格はまさに衝撃的でした。そのため、限られた予算で活動を行うミュージシャンにとっては、極めて現実的かつ刺激的な選択肢となったのです。

それらの要因に加え、ライブパフォーマンス時の表現力の高さも相まって、Minimoog は商業的な成功を収めます。今や当たり前となったピッチベンドホイールとモジュレーションホイールを初めて搭載したキーボードであり、ギターやサックスのソロには欠かせないピッチベンドやビブラートを提供する点、また手早く操作が行え、プリセットというものがない時代に音色のリコールを簡単に行える点などは大きな魅力でした。

そして Minimoog を語る上で欠かせないのが、その素晴らしく「ファット」なサウンドについてでしょう。これは、特許を取得した Moog のラダーフィルターと3つのオシレーター、信号と制御経路におけるさまざまなノンリニア性、そして完璧ではないチューニングシステムによるものです。ノンリニア性や不安定性に関しては Moog が意図的に設計したものではありませんが(技術的な欠点とも言えます)、結果としてファットなサウンドや自己発振するフィルタースイープなど、非常に優れたサウンドを生み出すことに繋がりました。

これらの特徴によって、Minimoog は約10年の生産期間中、ほぼすべての競合製品に対して無敵と言える優位性を発揮しました。今日のビンテージシンセサイザーの中古市場でも驚くほどの価格で取引されており、その人気の高さを知ることができます。

メモ : Minimoog “Model D” と呼ばれているものの、実際に生産された Minimoog はこのモデルだけでした。Model A、Model B、Model C は、Moog Music 社のプロトタイプであり、製品化されたものではありません。

Universal Audio の Minimoog へのアプローチ

Universal Audio の Minimoog に妥協はありません。2年に渡る徹底的な研究とクラフトマンシップによって、実機の信号経路、ピッチトラッキング、コントロールソースといったあらゆる詳細を理解するに至りました。

ビンテージのアナログシンセサイザー、とくに50年近く前のユニットともなると、かなりの個体差が考えられます。これは、回路がさまざまな環境下において経年変化しているためです。そのため、すべてのラインから1台の「ゴールデンユニット」を選び出すことはできません。そこで Universal Audio は実機の Minimoog を3台調達し、研究を重ねました。各ユニットを入念に測定/分析し、その特徴が徹頭徹尾、バーチャルインストゥルメントとして反映されるよう注力したのです。

開発チームは、単純に実機の完璧なレプリカを作るだけでは満足せず、目標とする忠実性に到達した後に、LFO/サンプル&ホールド回路や、選択可能なノートプライオリティとレガート、そしてベロシティー感度など、いくつかの便利な機能を追加しました ─ つまり、時代に合った「ピリオド・コレクト(改善のため、実機にこれらの機能を追加すること)」を施したのです。これらの機能は、現代の音楽制作者向けに実装されたものではありますが、100%ビンテージの演奏体験を望まれる場合は、簡単にバイパスすることができます。

Universal Audio の Minimoog は、本物のサウンドと素晴らしい実機の演奏体験を提供するという使命を果たせるものと信じています。数多のヒット曲に使われているクラシックシンセでありながら、真新しいサウンドを奏でられる汎用性の高いシンセサイザーをお探しなら、これ以上の選択肢はありません。

実機と UA インストゥルメントとの違い

ハードウェアとソフトウェアとの間で、いくつかの違いがあることにお気づきかもしれません。単純に機能的な面もあれば(例えば、ヘッドフォン端子やボリュームなどは、LUNA や UA オーディオインターフェイスで処理されるため不要となります)、実機の機能を大幅に拡張するための変更点も含まれています。これらの追加機能へは、主にメインパネル下にある MODIFICATIONS パネルからアクセスできます。

以下は、MODIFICATIONS パネルに含まれる、実機とソフトウェア・インストゥルメントとの違いです。

  • テンポシンクも可能なLFO/サンプル&ホールド
  • 選択可能なノートプライオリティ(LOWEST / LAST)
  • レガート/リトリガーの切り替え(LEGATO / RETRIG)
  • モデュレーションソースの選択
  • モデュレーションアマウントノブ
  • ピッチベンドレンジ
  • ボリューム、フィルターカットオフ、フィルターエンベロープ量に対するベロシティーの感度設定

クイックスタート

まずは Minimoog に触れてみましょう。LUNA インストゥルメントが読み込まれ、入力が有効になっていることを確認してください。

  1. Minimoog のメインビュー上部に表示されている “PRESETS” ボタンをクリックして、LUNA の左側に表示されたブラウザからプリセットを選択します。
  2. MIDI キーボードコントローラーなどを演奏しながら、プリセット名をクリックし、選択します。
  3. お好みのプリセットが見つかったら、鍵盤を弾きながら “CUTOFF FREQUENCY” や “EMPHASIS” ノブ(FILTER セクション)を操作して、フィルターの効果を確認します。
  4. 次に、OSCILLATOR BANK セクションの “RANGE” や “WAVEFORM” ノブを操作して、オシレーターが生み出すさまざまなサウンドを聴いてみましょう。
  5. MIXER セクションで “VOLUME” ノブを操作したり、“ON/OFF” スイッチを切り替えて、オシレーター間のミックスバランスを調整します。
  6. “GLIDE” ノブを操作しながら演奏すると、ノート間のポルタメントを聴くことができます(GLIDE ノブ直下のスイッチがオンであることを確認ください)。
  7. 最後に、LOUDNESS CONTOUR セクションの “ATTACK TIME”、“DECAY TIME”、“SUSTAIN LEVEL” ノブを演奏しながら操作してみましょう。ボリュームエンベロープに変化が起きるはずです。

ここまで、Minimoog の機能をほんの一部だけですがご紹介しました。このシンセサイザーが持つ素晴らしい能力を感じていただけましたでしょうか?さらなる詳細については、以下をお読みください。

概要

実機の Minimoog Model D と同様に、Minimoog LUNA インストゥルメントのコントロールも一目で分かる設計となっており、タブやメニュー階層は存在しません。オーディオ信号とコントロール信号の流れは、おおむね左から右に向かって流れ、各コントロールは、白い縦線、色分けされたスイッチ、そして明確なラベリングによって、論理的なグループ分けが図られています。

Minimoog は、自己完結型のモノフォニックアナログシンセサイザーであり、それ以前の Moog モジュラーシンセサイザーの直系の子孫となります。主な構成要素は、以下の通りです。

  • オシレーター1(OSCILLAOR -1)
  • オシレーター2(OSCILLAOR -2)
  • オシレーター3(OSCILLAOR -3)
  • ノイズジェネレーター(NOISE)
  • オーディオミキサー(MIXER)
  • Moog ラダーフィルター(FILTER)
  • アンプリチュードエンベロープジェネレーター(LOUDNESS CONTOUR)
  • フィルターエンベロープジェネレーター(FILTER CONTOUR)
  • ポルタメント(GLIDE)
  • 追加機能(MODIFICATIONS : ソフトウェアのみ)
    ・ベロシティ感度(VELOCITY)
    ・LFOモジュレーションオシレーター
    ・サンプル&ホールド
    ・モジュレーションミキサー(MODULATION)

フロントパネルは、これらの要素やコントロールがタイプ別(CONTROLLERS、OSCILLATOR BANK、MIXER、MODIFIERS、OUTPUT、MODIFICATIONS)に分けられた、直感的で効率的な設計となっています。すべての要素は単機能のノブとスイッチで調整でき、パッチケーブルではなく色分けされたスイッチを使って各回路を接続していきます。

  • オレンジ : モジュレーションソースをディスティネーション(対象)に接続します。
  • ブルー : オーディオソースのオン/オフを切り替えます。
  • グレー : 演奏に関する機能のオン/オフを切り替えます。
  • 小型のピンスイッチ(2点または3点) : MODIFICATIONS セクション内の追加機能に関する設定を行います。

メインパネル

メインパネルは、実機の Minimoog と同様に、すべてのコントロールが一目で分かるようになっています。このプラグインにはタブやサブメニューはありません。オーディオ信号とコントロール信号の流れは、おおむね左から右に向かって流れ、各コントロールは、白い縦線、色分けされたスイッチ、そして明確なラベリングによって、論理的なグループ分けが図られています。

オシレーターバンク(OSCILLATOR BANK)

オシレーターは、オーディオ信号の発振器です。OSCILLATOR BANK には、ほぼ同一のオシレーターが3つ用意されています。この設計によって、打鍵ごとに最大3つのオシレーターを同時に鳴らすことが可能です。各オシレーターで異なる波形や、オクターブ、ピッチを設定し、隣のミキサーセクションでそのバランスを調整して、深みのある複雑なサウンドを生み出すことができます。

RANGE(OSCILLATOR -1 / 2 / 3)

このノブで、各オシレーターの基本となるオクターブを5オクターブの範囲で選択します。“LO” に設定してピッチをさらに下げ、オシレーターをモジュレーションソースなど他の目的に使用することもできます。

FREQUENCY(OSCILLATOR -2 / 3)

オシレーター2とオシレーター3には、ピッチ調整のための “FREQUENCY” ノブが用意されています。オシレーター1に対し微妙にピッチをずらしてデチューン(豊かなコーラス)効果を得たり、五度上、四度下などにチューニングして、厚みや疑似的なコードサウンドを得たい場合に使用します。

WAVEFORM(OSCILLATOR -1/2/3)

各オシレーターには、6つの異なる波形が用意されています。各波形は異なる倍音成分を持ち、オシレーターに特定の音色を与えます。詳細については後述します。

OSC. 3 CONTROL(OSCILLATOR -3)

オシレーター3へのキーボードコントロールのオン/オフを切り替えるスイッチです。オンに設定した場合、オシレーター3は他の2つのオシレーターと同様に、キーボードやピッチベンドホイールからのコントロールを受けます。オフに設定した場合、オシレーター3は MIDI コントロールから切り離され、固定ピッチやモジュレーションソースとして使用することが可能です。

OSCILLATOR MODULATION

このスイッチをオンにすると、オシレーター3、フィルターエンベロープ、ノイズ、LFO、サンプル&ホールド・モジュールによって、オシレーターに変調(モジュレーション)をかけることができます。モジュレーションソースは MODIFICATIONS パネルの “MODULATION MIX SOURCES” スイッチで選択します。モジュレーションソースのブレンドは “MODULATION MIX” ノブで調整し、その量を MIDI コントローラーのモジュレーションホイールによって操作します。

オシレーターの波形について

Minimoog が多彩なサウンドを生み出せる理由のひとつは、搭載された波形にあります。

  • 三角波(TRIANGLE):
    三角波は、非常に強い基音成分を持ちながら、わずかに奇数倍音を含みます。倍音の少ないピュアな響きが特徴的で、柔らかいフルートのようなサウンドを作り出すのに適しています。
  • 三角ノコギリ波(TRIANGLE/SAWTOOTH - OSCILLATOR -1/2のみ):
    三角波とノコギリ波のハイブリッドです。三角波よりも多くの倍音成分を含み、多少偶数倍音も含みますが、ノコギリ波ほどの主張はありません。この複合波形は、三角波よりも少しエッジがあるため、ミックスした時にちょっとした抜けの良さを得られます。
  • 逆ノコギリ波(REVERSE SAWTOOTH - OSCILLATOR -3のみ):
    通常のノコギリ波の逆を向いた波形となります。サウンドに大きな違いはありません。主にオシレーター3をモジュレーションソースとして使用する場合の選択肢のひとつとして使用します。
  • ノコギリ波(SAWTOOTH):
    ノコギリ波は波形の中で最も倍音密度が高く、あらゆるナチュラルハーモニクスを比較的強いレベルで含んでいます。厚みのあるブラスサウンドや、強力なリード、シンセベースなどに適しています。
  • パルス波 1(PULSE 1 / SQUARE):
    パルス波は、デューティー比(波の下半分に対する上半分の幅)によって倍音成分が決定付けられます。矩形波はデューティー比が1:1の状態で、三角波と同様に奇数倍音のみを含みますが、よりエネルギーが大きく、ストリングスやクラリネットのようなサウンドを作る場合に良い出発点となります。
  • パルス波 2(PULSE 2 / WIDE RECTANGLE):
    パルス波が方形から長方形に変わると、偶数倍音が増え始め、全体の倍音構成が変化します。ホローなサウンドや甲高いサウンドに向いています。
  • パルス波 3(PULSE 3 / NARROW RECTANGLE):
    パルス波の幅が狭くなるにつれて、奇数、偶数を問わず、低めの倍音が強調されます。その結果、サウンドはより鼻にかかったものになります。
    ヒント : 三角波のオシレーターと、より複雑な波形のオシレーターとを混ぜると、不要な倍音を加えずに特定の倍音を強調することができます。三角波オシレーターのチューニングを相対的に調整することで、この効果を強調できます。

コントローラー(CONTROLLERS)

このセクションでは、チューニング、および MIDI コントローラーから Minimoog を演奏する際のノートやモジュレーションホイールの入力に対する設定を行います。

TUNE

すべてのオシレーターの全体的なチューニングを調整するためのノブです。

オシレーターのチューニングをより精密に行う場合は、コンピューターの “Shift” キーを押しながら “TUNE(全オシレーター)”、または “FREQUENCY(オシレーター2と3)” ノブを操作します。Shift キーを押しながら演奏するのが難しい場合、ARP プラグインのラッチモードを有効にして使用するか、LUNA 内で既存の MIDI ノートを再生してみましょう。

GLIDE

Minimoog のグライド機能は、ポルタメントを調整するものです。ノート間の移行時、なめらかにピッチを変化させたい場合に使用します。値を低く設定すればピッチは早く変化し、高く設定するとゆっくりと変化します。有効にするには、直下にあるグライドスイッチがオンになっていることを確認してください。

グライド機能は実機と同じくプロポーショナルな仕様であり、時間的に一定ではありません。つまり、ノブは移行する「速度」を設定しますが、「時間」を設定するものではありません。1オクターブのインターバルは、小さなインターバルに比べ、完了までに12倍の時間を要します。

MODULATION MIX

MODIFICATIONS パネルの “MODULATION MIX SOURCES” スイッチで設定された、モジュレーションソースA/Bのバランスを調整します。

  • “MODULATION MIX” ノブを反時計回りに振り切った状態では、モジュレーションソースAで選択されたモジュレーションソース(OSC 3 / ENV.2 のいずれか)のみが適用されます。
  • “MODULATION MIX” ノブを時計回りに振り切った状態では、モジュレーションソースBで選択されたモジュレーションソース(NOISE / S&H / LFO のいずれか)のみが適用されます。
  • “MODULATION MIX” ノブが正午の位置にある時、モジュレーションソースA/Bがミックスされ、均等に適用されます。

このノブは、入力されるコントロール信号のソースを選択できるという点で、実機とは異なります。

ミキサー(MIXER)

ここで、3つのオシレーターの出力、外部入力(もしくは Minimoog 自身の出力)、そしてノイズソースをミックスした後に、フィルターへ送ります。

VOLUME、ON/OFF

このセクションに配された5つのノブを操作し、オシレーター1~3、外部入力、ノイズソースの出力レベルを調整します。ソースごとに、専用のボリュームノブとオン/オフスイッチが用意されています。5つの青いスイッチを使用すれば、“VOLUME” ノブの設定を維持したまま、ソースのオン/オフを素早く切り替えることが可能です。オン/オフスイッチは、各オシレーターのチューニングを調整する場合に便利でしょう。

EXTERNAL INPUT VOLUME、ON/OFF

MODIFICATIONS パネルの “INPUT” スイッチが “FEEDBACK(デフォルト)” に設定され、“EXTERNAL INPUT VOLUME” ノブ左のスイッチがオンに設定されている場合、このノブを使って Minimoog の出力をミキサーに戻すことで、より太く、オーバードライブした(もしくは激しく歪んだ)サウンドを得ることができます。

MODIFICATIONS パネルの “INPUT” スイッチを “FEEDBACK” に設定し、“EXTERNAL INPUT VOLUME” ノブと “MAIN OUTPUT VOLUME” ノブを両方とも最大にした場合、ミキサーがオーバーロードし、音階を演奏してもまったく変化しなくなる可能性があります。このことでオーディオインターフェイスを損傷することはありませんが、予期しない大音量によって、聴覚や再生機器(スピーカーやヘッドフォン)を傷めないよう十分にご注意ください。

OVERLOAD

上記の操作によって Minimoog のサウンドが歪み出すと、このインジケーターランプが点灯します。信号の流れとして、外部入力は、メイン出力の後段に位置します。これは、メインの出力音量もオーバーロード量に影響することを意味します。

NOISE VOLUME、WHITE / PINK

ノイズに魅力を感じる方も多いでしょう。ノイズは、単独でも、他のソースとミックスしても、ロケットの発射音からフルートの微妙な息遣いまで、さまざまなサウンドを生み出すことができます。“WHITE / PINK”スイッチでノイズの種類を選択し、“NOISE VOLUME” ノブでその量を調整します。

ホワイトノイズは、白色光のように、すべての周波数を同じ振幅レベルで含んでいます。ピンクノイズは、音響スペクトルの各帯域ごとに均等なエネルギーが含まれており、低周波成分を多く感じられます。

モディファイア(MODIFIRES)

モディファイアセクションは、フィルター、フィルターコンター(FILTER CONTOUR)、ラウドネスコンター(LOUDNESS CONTOUR)の3パートで構成されています。

フィルターは、サウンドの倍音成分を選択的に調整します。コンターコントロールは、時間経過とともに変化するコントロール信号を提供するものです。フィルターコンターは、時間経過とともにフィルターのカットオフ周波数をコントロールします。ラウドネスコンターは、出力音量レベルを時間経過とともにコントロールします。

コンターコントロールについて

コンターコントロール(エンベロープジェネレーター)は、シンセサイザーのサウンドに時間経過に伴う変化をもたらします。Minimoog は、2つのコンターコントロールを備えています。1つは、フィルターのカットオフ周波数を変化させます。もう1つは、ラウドネス(振幅)を変化させます。いずれも、3つのコントロール : ATTACK TIME(アタックタイム)、DECAY TIME(ディケイタイム)、SUSTAIN LEVEL(サスティンレベル)が用意されています。これらのコントロールについての詳細は、以下の通りです。

フィルターコンター

CUTOFF FREQUENCY

Minimoog は、10 Hz ~ 32 kHz の周波数特性を持つ伝統的な Moog Ladder Filter を搭載しています。厚くパンチの効いた強力なサウンドには、このラダーフィルターが欠かせません。このフィルターは、カットオフ周波数より上の高調波成分を、24dB/Octの特性でカットします。カットオフ周波数より下の周波数帯域は、フィルターの影響を受けずに通過します。“CUTOFF FREQUENCY” ノブを反時計回りに操作してフィルターを閉じればサウンドは暗くこもった感じになっていき、時計回りに操作すれば、じょじょに明るくなっていきます。

カットオフ周波数は、“CUTOFF FREQUENCY” ノブを操作して手動での調整が行えますが、後述する “KEYBOARD CONTROL” スイッチ、“FILTER MODULATION” スイッチ、“FILTER CONTOUR” コントロール、“AMOUNT OF CONTOUR” ノブの影響も受けます。

EMPHASIS

“EMPHSIS(エンファシス)” ノブは、レゾナンスとも呼ばれ、フィルターのカットオフ周波数付近の帯域を強調します。このノブを上げて、フィルターのカットオフ周波数を下げることで、フィルターを自己発振状態にし、サイン波のオシレーターとして動作させることも可能です。この時のピッチは、後述する “KEYBOARD CONTROL” スイッチを使用して、キーボードからコントロールすることができます。

AMOUNT OF CONTOUR

“AMOUNT OF CONTOUR” ノブは、フィルターコンターで作られたエンベロープが、フィルターのカットオフ周波数にどれくらい作用するかを決定します。

ATTACK TIME

“ATTACK TIME” ノブは、ノートオンあるいはゲートを受信した時に、“CUTOFF FREQUENCY” ノブを使って設定したカットオフ周波数から “AMOUNT OF CONTOUR” ノブで設定した最大レベルに達するまでの立ち上がりに要する時間を設定します。

DECAY TIME

“DECAY TIME” ノブは、カットオフ周波数に達した後、サスティンレベルまで減衰するのに要する時間を設定します。“DECAY TIME” ノブはまた、“DECAY” スイッチをオンにすることで、ノートオフから完全に音が消えるまでに要する時間(いわゆるリリースタイム)の設定にも使用できます。

SUSTAIN LEVEL

アタックとディケイステージを経過した後からノートが保持されている間、カットオフ周波数をこのノブで設定したレベルで保持します。

FILTER MODULATION

このスイッチをオンに設定すると、MIDI コントローラーのモジュレーションホイールを使用して、フィルターのカットオフ周波数に変調を与えることができます。モジュレーションソースは、MODIFICATIONS パネルの “MODULATION MIX SOURCES” スイッチと CONTROLLERS セクションの “MODULATION MIX” ノブによって設定します。

KEYBOARD CONTROL(1 & 2)

これら2つのスイッチを使用すると、演奏したピッチによってフィルターのカットオフ周波数に影響を与えることができます(キートラッキングとも呼ばれる機能です)。キーボードで高域を演奏するほどフィルターが開いていき、サウンドが明るくなります。このスイッチをオフにした場合、カットオフ周波数がピッチの影響を受けなくなるため、高域を演奏するにつれて音色が鈍くなります。上のスイッチ(KEYBOARD CONTROL 1)は、利用可能なキートラッキングの1/3を、下のスイッチ(KEYBOARD CONTROL 2)は、2/3の量を司ります。両方のスイッチをオンにした場合、利用可能なキートラッキングの全量(1/3 + 2/3 = 1)が適用されることになるため、演奏される音色はキーボード全体で一貫します。

ラウドネスコンター

ATTACK TIME

“ATTACK TIME” ノブは、ノートオンあるいはゲートを受信した時に、ミキサーセクションで設定した最大音量レベルに達するまでの立ち上がりに要する時間を設定します。

DECAY TIME

“DECAY TIME” ノブは、最大音量レベルからサスティンレベルまで減衰するのに要する時間を設定します。“DECAY TIME” ノブはまた、“DECAY” スイッチをオンにすることで、ノートオフから完全に音が消えるまでに要する時間(いわゆるリリースタイム)の設定にも使用できます。

SUSTAIN LEVEL

アタックとディケイステージを経過した後からノートが保持されている間、このノブで設定した音量レベルを保持します。

DECAY ON

このスイッチをオフにすると、離鍵後のリリースステージが極端に短くなります。オンにすると、フィルターコンターとラウドネスコンターで設定されたディケイタイムが、リリースタイムとして適用されるようになります。

このスイッチは、2つのコンターコントロール(フィルターとラウドネス)両方に作用します。

出力セクション

VOLUME

Minimoog のマスター出力音量を設定します。

POWER

Minimoog の電源スイッチです。オンの状態では、スイッチ上にあるインジケーターが点灯します。

モディフィケーションパネル

MODIFICATIONS パネルには、Minimoog のサウンドデザインの幅を大幅に拡張する機能が用意されています。

BEND RANGE

ピッチベンドレンジを±1~12半音の単位で設定します。値を “7” に設定すると、実機の Minimoog Model D と同じレンジとなります。

MODULATION AMOUNT

MIDI コントローラーが接続されていない場合や MIDI コントローラーにモジュレーションホイールが備わっていない場合、このノブを代用として使うことができます。モジュレーションホイールの値をプリセットとして保存する場合に利用するのもよいでしょう。なお、“MODULATION AMOUNT” ノブの設定で、Minimoog の最大モジュレーション量を超えることはできません。

MODULATION MIX SOURCES

モジュレーションA(左)とモジュレーションB(右)のソースを決めるスイッチです。モジュレーションAは、“OSCILLATOR 3” または “ENVELOPE 2(フィルターコンター)” をソースに設定できます。モジュレーションBは、“NOISE”、“SAMPLE & HOLD”、“LFO” から選択可能です。ここで、CONTROLLERS セクションの “MODULATION MIX” ノブで扱うモジュレーションが決定されます。

LFO

オリジナルの Minimoog Model D では、専用のLFOを追加する改造がよく行われました。Minimoog LUNA インストゥルメントの MODIFICATIONS パネルにも、独立したLFOが搭載されています。

LFOの波形は、三角波と矩形波から選択できます。“SYNC” スイッチは、LFOをセッションのテンポに同期させるためのものです。“FREQUENCY” ノブは、LFOの速度を設定します。“SYNC” スイッチがオフに設定されている場合、“FREQUENCY” ノブで設定できる範囲は、0.05 Hz ~ 200 Hz となります。オンの場合、1/64〜全音符の間となります。

KEY MODE

Minimoog は、モノフォニックのシンセサイザーです。Minimoog LUNA インストゥルメントでは、ノートトリガーに関係する2つのオプションが用意されています。

“LOWEST/LAST” スイッチ :
複数の MIDI ノートを受信した時に、どのノートを優先するかを決定します。“LOWEST” に設定すると、受信した最も低いノートが優先されます(これは実機同様の挙動です)。“LAST” に設定すると、最後に演奏されたノートを優先します。

“LEGATO/RETRIG” スイッチ :
レガートで演奏する時に、フィルターエンベロープを再トリガーするかどうかを決定します。Minimoog の場合、ある音を押しながら別の音を演奏することを意味します。

レガート奏法(Minimoog の場合、1つのノートを押さえながら別のノートを演奏すること)の際に、フィルターエンベロープをリトリガーするかどうかを決定します。

INPUT

ミキサーセクションの “EXTERNAL INPUT VOLUME” の入力ソースを選択するスイッチです。“FEEDBACK” に設定すると、Minimoog のマスター出力(メインボリュームの後)が戻されます。“EXTERNAL” に設定すると、Apollo の入力から受け取ったオーディオを処理することができます。ただし、この外部(EXTERNAL)入力は、完全には機能しませんのでご注意ください。

フィードバックループについて :

実機のユーザーは、出力の1つを短いオーディオケーブルを介して外部入力と接続することで、フィードバックループを発生させユニークな効果を得ていました。これは、よく知られる「裏技」であり、多くのユーザーは、ケーブルを使わず、好きな時にフィードバックループを発生できるようスイッチを組み込んでいました。

VELOCITY

Minimoog LUNA インストゥルメントは、実機の Minimoog Model D にはない機能を備えています。その1つが MIDI ノートベロシティをコントロール信号として使用出来ることです。この事によって、打鍵の強弱による表現が可能になります。ノートベロシティはこの箇所で、フィルターカットオフ周波数(CUTOFF FREQUENCY)とフィルター(FILTER CONTOUR)とアンプリチュード(LOUDNESS)のエンベロープにコントロール信号として送る設定が出来ます。それぞれのノブを上げる事で、ベロシティによる変化が増します。
ヒント:これらの設定は、他の同じ要素のコントロールソースと相互的に影響します。例えば、フィルターエンベロープを効かした音色にフィルターカットオフにベロシティコントロールを追加した(ノブを上げた)場合、エンベロープによるカットオフコントロールをもっと絞めた(エンベロープレベルを下げた方)が、より望ましいエンベロープのベロシティコントロールを設定出来ます。そして、ベロシティコントロール設定をしてから他のカットオフ設定を調節して、全体的で最適な設定をします。

Minimoog LUNA インストゥルメントでは、実機の Minimoog Model D では実現できなかった、MIDI ベロシティーをコントロール信号として使用することができます。ノートベロシティーは、MODIFICATIONS パネルに備わるノブを使って、“FREQUENCY CUTOFF”、“FILTER CONTOUR”、“LOUDNESS” の各パラメーターに割り当てることができます。値を “0” に設定すると、実機と同様にベロシティーは無効となります。ノブを時計回りに上げていくと、関連するデスティネーションへのベロシティーの影響が大きくなります。なお、これらのコントロールは、コントロールしている対象と相互作用し、他のコントロール信号の設定が結果に影響することを覚えておいてください。

演奏に関するヒントとテクニック

Minimoog の操作パネルはシンプルですが、非常に奥深いものです。ここでは、Minimoog をいかに面白く、また予想外の方法で使用できるかについて、いくつかの例をご紹介します。

FM効果

Minimoog では、1つのオシレーターを使ってもう1つのオシレーターを変調することで、興味深いFM(Frequency Modulation)効果を得ることができます。

  1. オシレーター1のレンジを16'または8'に設定します。
  2. オシレーター3のレンジを16'または8'に設定します。
  3. “OSC.3 CONTROL” スイッチをオフにして、オシレーター3をキーボードコントロールから切り離します。
  4. MODIFICATIONS パネル内 “MODULATION MIX SOURCES” スイッチを “OSC.3” に設定します。
  5. メインパネルの “MODULATION MIX” ノブを反時計回りに振り切ってください。
  6. ミキサーセクションで、オシレーター1以外をすべてオフにし、オシレーター1 のボリュームが適度に上がっていることを確認します。
  7. MIDI キーボードコントローラーを演奏しながら、モジュレーションホイールを上げて行きます。オシレーター3の “RANGE”、“FREQUENCY”、“WAVEFORM” を変更し、その効果を確認してみましょう。

クリエイティブなスイッチ操作

工夫次第では、Minimoog のブルーとオレンジのロッカー・スイッチを使って演奏に新たな要素を取り入れることができます。例えばオシレーター1に対し、オシレーター2と3を特定のピッチにあらかじめ設定しておくことで、演奏中にコードやハーモニーを加えることができます。

  1. オシレーター2のピッチをオシレーター1の5度上に設定します。
  2. オシレーター3のピッチをオシレーター1の4度下に設定します(“OSC.3 CONTROL” スイッチをオンにします)。
  3. ミキサーセクションで、オシレーター1のスイッチをオンに、オシレーター2と3のスイッチを一旦オフに設定します。
  4. フレーズを演奏しながら、任意のタイミングでオシレーター2と3のスイッチをオンにして、ハーモニーを味わってください。

ヒント : Minimoog の多くのコントロールは、LUNA や MIDI CC メッセージによってオートメーションが可能です。

オートメーションと MIDI CC

Minimoog は強力なオートメーション機能を備えています。これによって、作曲、演奏、そしてミックス時に、よりクリエイティブなサウンドデザインの可能性を感じていただけることでしょう。

CONTROLLERS セクション

OSCILLATOR BANK セクション

MIXER セクション

MODIFIERS セクション

OUTPUT セクション

MODIFICATIONS パネル

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