Universal Audio : LUNA マニュアル | ARM - Accelerated Realtime Monitoring
マニュアル, 2021/05/14
該当製品
Accelerated Realtime Monitoring™(以下、ARM)は、LUNA ならではの、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの統合によって、信頼される UAD プラグインをリアルタイムに使った録音を行いながら、可能な限りの低レイテンシーを提供する機能です。
ARM は、Apollo の Console アプリに精通している方にとってはおなじみのリアルタイム UAD プロセッシング、入力ルーティング、キューミキシングといった機能と利点を提供しますが、Console アプリを使う必要はありません。
ARM は、グローバルに有効/無効を切り替えられます。ARM を活用することで、モニター、ヘッドフォン、キューなどの出力で入力信号をモニターする場合にレイテンシーを最大限抑えられます。
ご注意ください : ARM は、4x サンプルレート(176.4 kHz / 192 kHz)には対応していません。
ARM の有効化
ARM は、システム全体で有効/無効を切り替えます。ARM を有効にすると、オーディオトラック、インストゥルメントトラック、ARM AUX 対応のバスなど、関連するすべてのコンポーネントに影響を与えます。
ARM を有効にする
- LUNA ウィンドウ上部にある[Global]設定で “Toggle ARM Mode” ボタンをクリックします。
- ミキサービューで、トラックの録音可能/入力可能ボタンの左にある “ARM” トグルボタンをクリックします。
- LUNA メニューから[Transport]>[Accelerated Realtime Monitoring]にチェックを入れます。
- レコード・ワークフロー内にある “ARM” ボタンをクリックします。
ARM AUX を有効にする
- ARM を有効にします。
- ミキサービューで、バストラックの “ARM” ボタンをクリックします。
- 開いた[ACCELERATED REALTIME MONITORING]ドロップダウンメニューから、バスに割り当てる ARM AUX を選択します。
- ARM AUX を使わない場合、NONE を選択します。
オーディオトラックで ARM を使用する
ARM および録音/入力モニターが有効な状態のオーディオトラックは、Apollo のDSPを介したニアゼロレイテンシーをもたらします。この時、UAD プラグインのみをモニターすることができます。Audio Unit(以下、AU)プラグインをインサートすること自体は可能ですが、当該トラックの録音/入力モニターを無効にするか、ARM を無効にするまではバイパス状態となります(ARM は Apollo に搭載されているDSPを使用するため、録音/入力モニターが可能な状態のオーディオトラックで使用できるプラグインは、UAD プラグインに限られます)。
ARM を有効にして録音を行う場合、すべての Record FX と Unison インサートを使用できます。標準インサートスロットでは、最初の4つのスロットに置かれた UAD プラグインが使用可能となります。トラックの録音/入力モニターを無効にする、あるいは ARM を無効にした場合、(最大で)8つのインサートすべてが使用可能になります。
LUNA と ARM は、Apollo ハードウェアの入力チャンネルのミュート/アンミュートを直接制御します。この時、LUNA の録音可能/入力可能なトラックで使用されている Apollo の入力チャンネルではミュートが解除され、それ以外の Apollo の入力チャンネルではミュート状態となります。
インストゥルメントトラックで ARM を使用する
ARM を有効にすると、LUNA インストゥルメントと AU インストゥルメントは自動的に低ホストバッファで動作し、その後、低レイテンシーのプラグインプロセッシングとルーティングのために Apollo へと送られます。
インストゥルメントトラックで録音を行う時、ARM を使用することで、インストゥルメントトラックのオーディオ処理を行う UAD プラグインから最速のレスポンスを得ることができます。
バストラックで ARM を使用する
ARM は、2つの低レイテンシー AUX バスをサポートします。通常、これらはリバーブやディレイといったタイムベースのエフェクトをリアルタイムでモニターするために使用します。
LUNA セッション内の任意の2つのバスを ARM AUX として設定することができます。ARM AUX に設定された2つの AUX は、Apollo Console の AUX エンジンを介してオーディオを処理します。つまり、これらの AUX は、Apollo のDSPによって動作するミキサー(Console)に直結され、UAD プラグインを使用した低レイテンシーのプラグインプロセッシングを実現します。この時、当該する AUX では UAD プラグインが有効な状態に設定され、かつ LUNA ミキサー内でセンドが正しく割り当てられている必要があります。
バストラックで ARM を設定するには、ARM を有効にしてからバストラックの “ARM” ボタンをクリックし、開いたドロップダウンメニューから AUX 1 または AUX 2 を選択します。ARM が有効となっている時、2つの ARM AUX バスのみが録音/入力モニター可能な状態のトラックから信号を受けます。
ARM AUX に設定したバストラックに関する注意点
- ARM が有効かつ録音または入力モニターが可能な状態である時、バスに直接ルーティングされたトラックはバスを介して出力されません。代わりに、メイン出力から出力されます。
- 不要なレイテンシーが付加されることを回避するため、ARM AUX バスでは位相調整が行われません。したがって、リバーブやディレイなどのタイムベースのエフェクトのみの使用を推奨します。
LUNA のバッファ、レイテンシー、遅延補正
LUNA は、録音あるいは再生時に、ハードウェアのI/Oバッファ設定を自動制御します。オーディオトラックおよびバストラックのシステムバッファサイズは、512サンプルです。ARM モードでオーディオトラックを録音または入力可能に設定にするか、ARM AUX バスにルーティングした場合、そのオーディオバッファはほぼゼロの状態になります。
インストゥルメントトラックでは、ARM の有効/無効に関わらず、バッファサイズが128サンプルに固定されます。
すべてのオーディオトラックとインストゥルメントトラックは再生時に自動遅延補正が行われ、既存の素材と同期します。
ARM の設定が各コンポーネントに及ぼす影響
ARM の設定によって、各要素は以下のように影響を受けます。
Apollo ハードウェアの入力が有効となっているオーディオトラック
- ARM 無効時 :
LUNA が信号の流れを管理します(CPUベースによる処理)。 - ARM 有効時 :
低レイテンシーモニタリングのために、オーディオトラックは Apollo のDSPリソースを使用します(Apollo ハードウェアによる処理)。サポートされる ARM の最大チャンネル数に従って、Apollo のモニターとCUE出力に対し、可能な限りの低レイテンシーを提供します。
インストゥルメントトラック
- ARM 無効時 :
LUNA インストゥルメント、AU インストゥルメント、UAD プラグイン、および AU プラグインを使用できます。 - ARM 有効時 :
LUNA インストゥルメント、AU インストゥルメント、UAD プラグイン、および AU プラグインを使用できます。トラックを録音/入力可能状態にすると、AU プラグインはバイパスされます。
ARM AUX 1/2
- ARM 無効時 :
LUNA が信号の流れを管理します(CPUベースによる処理)。 - ARM 有効時 :
低レイテンシーモニタリングのために、AUX トラックは Apollo のDSPリソースを使用します(Apollo ハードウェアによる処理)。サポートされる ARM の最大チャンネル数に従って、Apollo のモニターと CUE 出力に対し、可能な限りの低レイテンシーを提供します。
CUE
- ARM 無効時 :
LUNA が信号の流れを管理します(CPUベースによる処理)。 - ARM 有効時 :
低レイテンシーモニタリングのために、CUE は Apollo のDSPリソースを使用します(Apollo ハードウェアによる処理)。サポートされる ARM の最大チャンネル数に従って、Apollo の CUE 出力に対し、可能な限りの低レイテンシーを提供します。
UAD プラグイン
- ARM 無効時 :
利用可能なDSPリソースの限り、UAD プラグインを使用してオーディオを処理できます。
UAD プラグインは、Unison インサート、最大4つの RECORD FX インサート、最大8つの標準インサートで使用できます。なお、Unison インサートと RECORD FX インサートに関しては、常に録音されます。 - ARM 有効時 :
利用可能なDSPリソースの限り、UAD プラグインを使用してオーディオを処理できます。
UADプラグインは、Unison スロット、最大4つの RECORD FX スロット、最大4つの標準インサートスロットで使用できます。なお、Unison インサートと RECORD FX インサートに関しては、常に録音されます。
LUNA エクステンション(Tape / Summing)
- ARM 無効時 :
LUNA エクステンションを使用してオーディオを処理できますが、録音はされません。 - ARM 有効時 :
LUNA エクステンションは無効になります。ARM を無効にすると、オーディオ処理が再開されます。
AU プラグイン
- ARM 無効時 :
AU プラグインを使用してオーディオを処理できます。AU プラグインは標準インサートでのみ使用可能です。 - ARM 有効時 :
オーディオパスやバストラックで使用されている AU プラグイン(AU バーチャルインストゥルメントを除く)は、無効となります。ARM もしくは録音/入力可能を無効にすると、オーディオ処理が再開されます。
利用可能な ARM リソース
LUNA は、使用可能な ARM モニターチャンネル数を常に表示できます。この数は、ARM 有効時に録音可能にしているトラック数に従って、変化します。
ARM チャンネルは、Apollo の DSP を使用します。利用可能な ARM の最大チャンネル数は、LUNA と接続されている Apollo の仕様と物理的な入力によって異なります。
利用可能な ARM チャンネル数
- Apollo ラックモデル (Apollo Silver を除く) : 16
- Apollo Silver : 10
- Apollo x4 : 12
- Apollo Twin : 10
- Arrow : 2
ARM リソースの消費について
- 録音または入力が可能な状態に設定されているオーディオトラックは、チャンネルごとにモノラル1つ分の ARM リソースを消費します(モノラルトラックでは1つ分、ステレオトラックでは2つ分を消費します)。
- 録音または入力が可能な状態のトラックから ARM AUX 1 または AUX 2 に割り当てられているバスの場合、モノラル2つ(ステレオ1つ)分の ARM リソースが必要です。
例 : 2つのバスに接続されたステレオオーディオトラックは、6つのモノラル(3つのステレオ)分の ARM リソースを必要とします。ARM バスが割り当てられていないモノラルオーディオトラックは、モノラル1つ分の ARM リソースを消費します。
利用可能な ARM リソースを確認するには、レコード・ワークフローを開き、ARMを有効にします。