Universal Audio : Hemisphere Mic Collection マニュアル
マニュアル, 2023/10/18
世界最高峰のマイクサンドを解き放つ、Hemisphere プラグイン
Hemisphere Mic Collection には、UA Sphere モデリング・マイクと同じ受賞歴のある技術が使われており、UA Standard シリーズ・マイクと組み合わせることで、象徴的なマイクの本格的なサウンドを得ることができます。
- ダイナミック、リボン、コンデンサー・マイクの伝説的なサウンドを、UA Standard シリーズ・マイクで利用可能
- レコーディング後でも、マイクのオーディションや、近接効果、フィルター、アクシス(軸)の調整が可能
- Neumann、Sennheiser、AKG など、代表的なマイクの豊かなサウンドを体験**。
- Apollo インターフェイスと併用すれば、ニアゼロレイテンシーで、リアルタイムにビンテージマイクのサウンドを得ながら収録することが可能
*Apollo / UAD バージョンの Hemisphere は、2023年11月にリリース予定です。
**モデリングされたすべての製品の名称はそれぞれの所有者の商標であり、Hemisphere のサウンドモデル開発中に研究された特定の製品を示す目的としてのみ提供されています。
Hemisphere のバージョンについて
Hemisphere プラグインには、2つのバージョンがあります。
- UAD-2 (DSP)
Apollo を使用すると、Hemisphere を介し、ニアゼロレイテンシーでモニターやレコーディングが楽しめます(もちろん、UAD-2 DSP アクセラレーターでも動作します)。 - UADx (Native)
Apollo や UAD-2 ハードウェアがなくても、DAW のソフトウェア・モニタリングを利用してモニターやレコーディングが楽しめます。
Hemisphere のインストール
Hemisphere Mic Collection は、UA Standard シリーズ・マイクをお持ちの方全員に無償提供されるプラグインです。マイクを登録して Hemisphere を入手するには、UA Connect アプリを使用します。UA Connect アプリに関する詳細は、こちらのページ をご参照ください。
Hemisphere を使う
Hemisphereは、UA Standard シリーズ・マイクとともにお使いいただけます。Hemisphere を使えば、マイクモデルの選択、近接効果、軸、フィルター設定などのパラメーターを調整することができます。これらは、録音前、録音中、録音後であっても、変更可能です。
Hemisphere Mic Collection プラグインの詳細は、以下の通りです。
ソースマイクを選択する
- ソースマイク(プラグインの左下に表示されている小さいマイク)をクリックして、ソースマイクの選択ウィンドウを開きます。
- お使いの UA Standard マイクをダブルクリックして選択し、ウィンドウを閉じます。ウィンドウを閉じずにマイクを選択するには、マイクをシングルクリックします。 ウインドウを閉じたい場合は、右上の [X] をクリックします。
マイクモデルを選択する
- マイクモデル(プラグインの中央に表示されている大きなマイク)をクリックして、マイクモデルの選択ウィンドウを開きます。
- 任意のマイクモデルをダブルクリックして選択し、選択ウインドウを閉じます。ウィンドウを閉じずにマイクモデルを選択するには、マイクをシングルクリックします。ウインドウを閉じたい場合は、右上の [X] をクリックします。
次または前のマイクモデルを選択するには、Hemisphere プラグインのメイン画面でマイクモデルにカーソルを合わせ、マイクモデルの左右にある矢印をクリックします。
ヒント : Hemisphere プラグインのメイン画面上部の ⓘ をクリックすると、各マイクモデルに関する情報の表示/非表示を切り替えられます。
選択できるマイクモデル
各 UA Standard マイクは、ソースとなるマイクの技術と物理的特性に対応した、異なるマイクモデルの選択肢を提供します。詳しくは、後述します。
マイクのフィルターを設定する
フィルター(Filter)・コントロールを使って、マイクモデルのフィルターの設定が行えます。各マイクモデルには3つのマイクフィルター設定が含まれます。
フィルター・コントロールを調整すると、ノブの下のラベルが現在のフィルター設定を表示します(コントロールを離すと、この表示は消えます)。
注意 : これらの値は、パラメーター・オートメーション・レーンでは Off、Low、Med、High と表示されます。
マイクの近接効果を調整する
プロキシミティ(Proximity)・コントロールは、マイクをソースに近づけたり遠ざけたりした時のマイクの反応の変化をモデリングしています。
ヒント :
- プロキシミティ・コントロールを時計回り(0より上)に調整すると、処理された信号の低域成分が増加します。
- プロキシミティ・コントロールを反時計回り(0より下)に調整すると、処理された信号の低域成分が減少します。
- マイクモデルごとに近接効果が異なるため、このコントロールの変更は、モデリングされたマイクの特性によって、微妙になることもあれば、顕著になることもあります。
マイクを軸上で回転させる
アクシス(Axis)・コントロールを使って、マイクを事実上、軸から外れるように回転させることができます。アクシス・コントロールは、ソースに対してマイクカプセルを軸からずらした時の周波数特性の変化をモデリングしています。
マイクモデルごとに軸外特性が異なるため、このコントロールの変更は、モデリングされたマイクの特性によって、微妙になることもあれば、顕著になることもあります。一般的に、マイクの軸を調整するのは約45度以下が有効です。アクシス・コントロールでは、マイクカプセルを180度まで回転させることができ、高い設定値にするほど、より変わった結果を得られます。
マイクの位相を反転させる
位相キャンセル(逆相)の問題を修正するため、あるいはクリエイティブな目的のために、マイク信号の位相を逆にしたい場合があります。位相キャンセルは、2本のマイクが同じソースを異なる方向から狙ている場合(例えば、スネアのトップとボトムなど)や、2本のマイクが同じソースを狙っていてカプセルの位置がずれている場合に起こります。
この問題を修正するため、またはクリエイティブな目的のために、フェイズ(Ø)スイッチを180°設定に切り替えることで、マイクの位相を反転させることができます。
出力レベルを設定する
出力レベル(OUTPUT)スライダーは、Hemisphere の処理によるレベル変化を補正するために使用します。このコントロールでは、±12 dB の出力レベル補正が可能です。
プラグイン処理の切り替え
プラグインをバイパスするには、電源(POWER)スイッチを “o” の位置に切り替えます。
Hemisphere マイクモデル
Hemisphere Mic Collection には、以下のマイクモデルが含まれています :
SC-1
- LD-47K
47は、究極のスタジオ・マイクとして、ビートルズやフランク・シナトラをはじめ、数え切れないほどのメジャー・アーティストに愛用されてきました。ボーカルだけでなく、アコースティックギターやベースでも素晴らしいサウンドを奏でます。 - LD-67 NOS
Neumann が新古品パーツから製造した67をベースにしています。 67は、Paul McCartney の “Hey Jude”、Mick Jagger の “Sympathy for the Devil”、Ian Gillan の “Highway Star”、そして Nirvana の “Nevermind” などで、リード・ボーカルに採用されたことで知られています。 - LD-87 Vintage
70年代中期のスプリット・バックプレート・カプセル・マイクは、現代の87とは少し異なるサウンドです。最適なアプリケーションとしては、ボーカル、アコースティック ギター、ギター アンプなどが挙げられます。ここでは、オリジナルのローカットとパッドの音色特性が完全にモデリングされています。 フィルター “1” ではローカットフィルターが有効になり、“2” ではパッドが有効になり、“3” では両方の機能が有効になります。 - LD-103
Billie Eilish や Justin Timberlake など多くのアーティストに愛され、今やそれ自体がクラシックとなっているモダンなマイク。8 kHz ~ 12 kHz の領域に存在感があるこのマイクは、ボーカル、アコースティック ギター、その他の弦楽器に最適なサウンドを提供します。 - LD-12
豪華なハイエンドの光沢と輝きを備える、象徴的な50年代のマイク。 歯擦音を過度に強調することなく、豊かで息づかいの感じられるボーカルに最適です。 ピアノやドラムのオーバーヘッドにも良いでしょう。 - LD-251
6072チューブと真鍮製カプセルを備えたクラシックなオーストリア製マイクをベースにしています。251は、史上最も高く評価されているマイクの1つであり、Joni Mitchell や Celine Dion などの著名なユーザーが数多く名を連ねています。 ボーカルの他、ピアノやドラムのオーバーヘッドに使っても良いでしょう。 - LD-414 US
史上最も普及しているコンデンサーマイクの1つ。 414 EB と本質的に同じナイロン カプセルを採用しているため、サウンドは似ていますが、少しニュートラルな印象があります。ピアノ、ストリングス、ドラムのオーバーヘッド用のステレオペアとして使用する際に有用な、優れたマイクです。 - LD-800
今ではそれ自体がクラシックとなった、日本のマイク。 モダンなポップやヒップホップのボーカル収録に最適で、Mariah Carey をはじめとする数え切れないほどのアーティストにも愛されています。 アコースティックギターやストリングスとの相性も抜群です。
SD-1
- DN-7
Bruce Swedien は、このマイクを使って Michael Jackson “Thriller” のボーカルを収録しました。 多くの用途において、DN-7 はこれまでに作られた最高のコンデンサーマイクと肩を並べる存在となるでしょう。このモデルは「A」バージョンです。アクシス・コントロールを180度に設定すると、マイクはウィンドスクリーンが取り付けられていない状態となります。 一部のエンジニアはこのサウンドを好んで採用します。 - DN-20
放送からキックドラムまで、幅広い用途に対応する業界標準のラージダイアフラムダイナミックマイク。強調されたプレゼンスと、シャープな高域のディップによって歯擦音を最小限に抑えるため、ナレーションにもよく使われます。フィルター・コントロールでは、、400 Hz 以下の特性を 4.5 dB 低減する「ベースチルト・ダウン」オプションを含みます。 - RB-77DX
史上最も象徴的なマイクの1つ。Bing Crosby、Ray Charles、Frank Sinatra、Elvis Presley、B.B. King、Johnny Cash など、数え切れないほどの伝説的ミュージシャンが77でレコーディングを行なっています。また、その特徴的な外観は、David Letterman や Larry King を含む多くの著名人のデスクも飾ってきました。主にボーカルマイクとして有名ですが、金管楽器でも素晴らしいサウンドを得られます。 - DN-88
スムーズで均一的なサウンドを持つ優れた万能ダイナミックマイク。中低域の豊かさと高域の明瞭度は圧倒的。88は、Phil Collins のハンドヘルド・ボーカル用として選ばれたこともあります。ベースアンプやタムにも有用です。 - DN-441
数え切れないほどのレコードで使用されているクラシックな441をモデリング。 Fleetwood Mac、Tom Petty、Tame Impala といったアーティストに愛用されており、ボーカル、スネアドラム、ギターアンプに適した、バランスの良い自然なサウンドを提供します。
SP-1
- SD-K54
優れたトランジェント特性を提供する薄いニッケル・ダイアフラムを特徴とする珍しいスモール・ダイアフラム・コンデンサー・マイク。Larry Carlton、Ry Cooder、Yo Yo Ma、Joe Pass、Kenny Burrel、そして Eric Clapton などのアコースティックギターや、ストリングスの収録に採用されてきました。 - SD-56
デュアル・ニッケル・ダイアフラムと AC701 チューブを備えた、クラシックなスモール・ダイアフラム・コンデンサー・チューブ・マイク。アコースティックギターやその他の弦楽器に最適ですが、スネアのボトムに使用しても良い結果を得られます。 - SD-84
カーディオイド・パターンのクラシックなスモール・ダイアフラム・コンデンサー・マイク。 84は、その緻密でありながらコントロールされたトップエンドが高く評価され、ピアノ、アコースティックギター、オーバーヘッドなど、数え切れないほどのレコードで採用されてきました。 - SD-86
KM84 タイプのカプセルを背中合わせにしたスモール・ダイアフラム・コンデンサー・マイク。KM86 は鮮明なリアリズムと多用途性で高く評価され、モータウンの主要なマイクとして使われました。スネア(トップとボトム)、アコースティックギター、ギターアンプで素晴らしいサウンドを奏でます。 - SD-451
業界標準となったモジュール式エンドアドレス・スモール・ダイアフラム・コンデンサー・マイク。75 Hz と 150 Hz のローカット・フィルター・オプションは、オリジナルマイクからモデリングされています。ピアノやスネアのボトム、オーバーヘッドなどによく使用されます。