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概要

Shelford 5052 は伝説の 1073 を継承する、シンプルに仕上げられたマイクプリ、ハイパスフィルター、3バンドインダクターEQを装備した縦型モジュールです。Portico II にも装備されているシルク/テクスチャーコントロールやプリ/ポスト "テープ" オプレーションといったモダンな機能装備しています。フルディスクリート設計、±24V電源駆動、クラスAのシグナルパス、カスタム巻きのトランスフォーマーとインダクターによって構成された 5052 は、Rupert Neve のクラッシックデザインの継承と過去の設計での妥協点を払拭し、さらにモダンな機能を融合したビンテージスタイルのチャンネルストリップです。

マイクプリ

シェルフォード時代の Rupert 氏の設計と同様に、5052 のマイクプリアンプは 72 dB ゲイン、ディスクリート、クラスAゲインと細心の注意を払い組み上げられたスクエアコアのトランスフォーマーによって構成されています。さらに、クラシックギアとは異なり、出力トランスフォーマーには Portico II シリーズの "Silk(シルク)" レッド/ブルーと"Texture(テクスチャー)" コントロールを装備しています。これは出力段をドライブし、意図的に最大 4~5% のTHD(トータルハーモニックディストーション、ここでは主に2次や3次倍音)を生み出すことで、トラックに豊かさと厚みをもたらします。もちろんこれは出力段のオーバーロードを引き起こすものではありません。Silk をオフにした際は、トランスフォーマーによる Rupert Neve の際立つ個性を残しつつも、より近代的かつ無垢なサウンドを出力します。このマイクプリアンプには 20~250 Hz 連続可変のハイパスフィルター、マイク/ライン切り替え、48Vファンタム電源、位相反転スイッチも装備されています。

デュアル入出力パス

5052 の出力段は入力と同様にトランスフォーマーカップル仕様となっています。これによりテープマシーンやDAWと 5052 を直接接続することができます。このマイクプリ、EQ、そして Silk / Texture のアナログミックスパスは、5088 や 5060、あるいはその他のビンテージコンソールと同じ流れで、同等の信号をDAWシステムにもたらします。この出力はまた、マイクプリとEQの間に外部のコンプレッサーユニットで処理をする際にも使用します。"TO EQ" スイッチをオンにした場合、マイクプリの音は直接EQに流れ、メインアウトから出力し、チャンネルストリップとして扱うことが可能です。

"ベストクラシック" EQ

3バンド、カスタムタップのインダクターEQを装備した 5052 は、Rupert 氏のビンテージEQの設計を RND でさらに進化させたものです。低域バンドはクリーミーで低域固有のレゾナンスを持つことで知られる 1064 をベースにしています。ただし、1064 とは異なり、5052 のバスバンド(LF)はシェルビングとピークの切り替えが可能です。このことで、よりパンチの効いた奥行きのある、的確なローエンドのコントロールを実現します。インダクターEQであるミドルバンド(MF)は Rupert 氏の代名詞でもある 1073 EQがベースになっています。このEQはボーカルや楽器に心地よさを与えつつ、ミックスの中でより前面に押し出す際には最適です。そしてこのEQの帯域幅(Q)はソースの中で目的の(あるいは問題となる)周波数帯域のみを的確に処理します。トレブルバンド(HF)はモダンとビンテージのハイブリッド設計になっています。1073 のインダクター回路とコンデンサーベースの設計理論を融合させることで、ビンテージトーンと幅広いコントロールを実現しています。Rupert 氏の最も知られたクラシックデザインを受け継ぎ、どのEQセクションにおいても低フィードバックのクラスAディクリート回路が使われ、余分なノイズや着色の発生を防ぎ、大胆なサウンドシェイピングを施した際の不快さを生む要素を排除します。様々な技術革新と最新の電子工学により、35年前には不可能であった点を改善し、5052 では非常に現代的な設計が施されています - そう、これは決してビンテージのクローンではなく、伝統の継承と言うべきでしょう。

電源、接続と設置

5052 は外部のDCパワーサプライから、±24V のDC電源を受けて駆動します。この接続には4ピンコネクターを使用します。パワーサプライとして、RND 5-way Power Supply(5台分の電源供給)とRND 25-way 2U Rack-Mount Supply(25台分の電源供給)の2つのオプションが用意されています。

5052 の背面パネルにはマイクとライン入力にXLRメス、マイクとメイン出力にXLRオス端子が用意されています。5052 はハーフラックサイズで、2台をセットできる木製の 2-way Vertical Rack、通常の19インチラックに9台をセットできる 9-way Rack のオプションが用意され、フラッグシップコンソールである 5088 にもセットすることが可能となっています。

トランスフォーマー入出力の利点

トランスフォーマーに関する議論はここでは場違いであり、不適切です。しかし単なるひとつの要素ではなく、設計全体を含め、それがどんなことをもたらすのか、どのような利点があるのかを知ることは有益なことです。

音質に関する回路設計の細かなノウハウは徐々に明白になってきました。例えば、20 kHz 以上の周波数は確実に人間の音質に関する知覚に影響することが研究によって知られるようになりました。しかし、この科学的根拠によって証明される以前から、優れたミュージシャンやエンジニア達は機器の技術計測結果が同じであったとしても、実際に耳にするサウンドがまったく異なることを知っていました。

音楽的な調和が取れない奇数倍音は微量であっても、音質に致命的な影響を与える場合があります。また、シグナルパスが外来ノイズや干渉を受けた場合、シグナルチェーン全体の質を著しく損なうことがあります。とくに多くのコントロールルームでは、外的要因対策が不十分なアウトボード機器が使われています。このような機器のグランド処理は大抵貧弱で、深刻な問題を引き起こす可能性を持っています。現代の機器ではコスト面や利便性のために "電子バランス" 回路を採用しています。この仕様の回路はベンチマークテストにおいて、とても良い計測値が得られますが、作業環境によってはその測定通りの結果や十分なパフォーマンスを発揮するとは限りません。

これらの問題を解決するため、入力と出力回路はグランドから影響を受けないようにしなければなりません。つまり、処理に必要な信号のみがシグナルパスを流れるようにする - トランスフォーマーはこの問題を解決するために用いられます。大型のトランジスターと上質の大型トランスフォーマーが備わってこそ、Rupert 氏の設計による伝統の甘いシルキーサウンドへと到達するのです。

これらのモジュールは自由に組み合わせて使用することができ、ハムノイズの発生や R.F. 干渉、あるいはそのほかの影響、コネクター接点、グランド処理、信号レベルやインピーダンスなど細心の配慮が必要な部分を気にすることなく活用できます。また、Shelford モジュールはそれぞれが完全なプロ仕様のシグナルプロセッサーであり、個々に使用した際でも素晴らしい結果をもたらします。これがトランスフォーマーを入出力に使用した理由のひとつです。

特長

MIC GAIN - マイクゲイン

最大 72 dB のゲインレンジで 6 dB ステップの設定とトリムコントロールでゲイン設定に対して ±6 dB の微調整が可能です。

TRIM - トリム

マイクゲイン設定、またはライン入力に対して ±6 dB のゲイン微調整を行います。

SILK / TEXTURE - シルクテクスチャー

ミックス全体のサウンドを損なうことなく倍音量を操作して魅力あるサウンドに仕上げるためのバリアブルコントロールです。Silk 回路は、ビンテージとモダンなキャラクターから選択可能な、"レッド" と "ブルー" モードを装備しています。レッドモードは中域と高域のサチュレーションと強調を行い、ブルーモードは主に低域に作用します。テクスチャーコントロールは出力段をドライブし、意図的に最大 4~5% のTHDを生み出すことで、トラックに豊かさと厚みをもたらします。

INDUCTOR EQ - インダクターEQ

Rupert Neve 氏が70年代中盤に設計したビンテージモジュールと同じインダクターを使用したEQです。

High Pass Filter / HPF - ハイパスフィルター

ハイパスフィルターはシグナルチェーン内のどの場所でも有用な機能で、不要な低域をカットする際に使用します。とくに建物から発生するランブルノイズ、空調のモーターノイズ、ハムノイズなどに有効です。

LOW EQ - バスバンドEQ

シェルビングとピークの切り替えが可能で、15 dB のブースト/カットが行えます。35 Hz、60 Hz、100 Hz、220 Hz に設定できます。

MID EQ - ミドルバンドEQ

200 Hz、350 Hz、700 Hz、1.5 kHz、3kHz と 6 kHz の低域から高域までの特定帯域を ±15 dB のブースト/カットを行います。MID HI Q スイッチで帯域幅を切り替えられます。

HF EQ - トレブルバンドEQ

シェルビングとピークの切り替えが可能でで、15 dB のブーストとカットが行えます。周波数は 8 kHz と 16 kHz に設定できます。

Phantom Power - ファンタム電源

スタジオコンデンサーマイクロフォンに48Vの電源を供給します。

Polarity / Ø - 位相極性

ソースの位相を180°反転させます。

LEVEL METER - レベルメーター

8セグメントのLEDメーターで出力レベル(プリ "Silk")を表示します。緑黄赤の3色で信号レベルを表示します。5052 が出力段でクリップした際、最上部の赤色のLEDの点灯がしばらく継続し、信号過多であることを示します。

仕様

最大入力レベル
+25 dBu @ 20 Hz~20 kHz

最大出力レベル
+25 dBu @ 20 Hz~20 kHz

周波数特性
メイン出力、負荷なし
-3 dB @ 2.5 Hz、-3dB @ 125 kHz

ノイズレベル
メインアウトで計測、unweighted、22 Hz~22 kHz、40 Ω ターミネート、ユニティーゲイン
–102 dBu 以下

THD+N (全高調波歪み率)
10 Hz~80 kHz 以下、+20 dBu 出力
0.002% 以下 @ 1 kHz
0.120% 以下 @ 20 Hz
0.010% 以下 @ 20 kHz

EQ部:

ノイズレベル
メインアウトで計測、unweighted、22 Hz~22 kHz、40 Ω ターミネート、すべてのゲイン=0
–92 dBu 以下

THD+N(高周波歪み率)
10 Hz~80 kHz 以下、+20 dBu 出力
0.020% 以下 @ 1 kHz
0.140% 以下 @ 20 Hz
0.070% 以下 @ 20 kHz

仕様は予告なく変更となる場合があります。

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