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リファレンス・チャンネル・ストリップ

VOXBOX® は、銘機 Manley Mono Mic Preamp に ELOP コンプレッサー、3バンドのピークディップEQ、そして ELOP をベースとしたリミッター/ディエッサーを備えるチャンネル・ストリップです。

ELOP コンプは VOXBOX のために低レシオ設定が施された新仕様で、EQはハイとローがピークタイプ、ミドルがディップタイプとなっています。またDI入力も装備しており、その名を "BASSBOX" にしても良いくらい、楽器 - 特にエレキベースのサウンドとの相性は抜群です。

なんだか凄そう!だけど、これは一体なに?!

VOXBOX はその名の通り、本来は歌声を処理するために設計されたボイスプロセッサーです。しかし時が流れ、現在ではハイエンドのチャンネルプロセッサーとして認識されています。近年では VOXBOX を用いることで、大きなメジャースタジオに赴くことなくそれ同等のクォリティーをプライベートスタジオでも実現できるようになり、より注目されています。オールチューブのシグナルパスが歌、楽器の収録、オーバーダビングに活力を与えてくれるでしょう! 必要な機能をすべて装備しつつもシンプルでいて個性的、扱いやすく柔軟、そして時代に左右されない確立されたスタイル - 全てにおいて妥協がありません。

もちろん、最も重要なのは、誉れ高い "Manley" サウンドであることです。VOXBOX は、Manley Laboratories の代名詞とも言えるサウンドと機能をしっかりと備えるプロセッサーです。

クール!ではどんなものに適しているのでしょう?

VOXBOX の設計は、歌声の処理を念頭に行いました。しかし実際には他の楽器でも素晴らしい結果をもたらすことに気付きました - 設定次第では、ドラムス、ベース、ギター、キーボードにも適しています。ステレオ使用は?もちろんOKです!コンプレッサーとディエッサー/リミッターのそれぞれにステレオリンクが用意されています。洗練された設定が施された特別なコンプと極上のEQにより、ミキシングやプリマスタリングにも最適です。もはや歌声だけに使うのはもったいないでしょう。"VOXBOX" という名は、初期設計の名残りと思ってください。

マイクプリ

VOXBOX のマイクプリアンプは、一世を風靡したマイクプリ Manley Mono Microphone Preamplifier のクローンです!このマイク入力トランスは Manley の独自設計で、自社工場内で職人の手によって製造されています。スタジオコンデンサーマイクロフォンの必須機能である48Vファンタム電源はフロントパネルのスイッチひとつで安定供給されます。パッシブ回路が採用されたシンプルで効果的なベースカットスイッチは、不要な低域やポップノイズのカットに使用します。インプットアッテネーターは可変パッドとして入力信号を適切なレベルに整えてチューブ段に送ります。これはバランスライン入力からの + 4 dB の信号にも、フロントパネルの1/4インチDI入力にも使用可能です。出力にはトランスフォーマーバランスのXLRと1/4インチ標準フォーン端子の両方が用意されています。

ゲインスイッチは洗練されたバリアブルフィードバックコントロールが用いられ、単に増幅範囲を設定するだけではなく、スルーレートと回路の「旨味」をも変化させ、音量以上に信号を最適にします。このことでレイドバックしたメロウな感じから、アグレッシブで前面に張り付く感じまで、設定次第で多用な演出が行えます。そしてまた、+ 31 dBu に対応する広大なヘッドルームもこの回路の強みです - これは一般的なプロ機器よりも 5~10 dB ほど余裕があり、音楽はスーパークリーンなクラスA真空管回路のみを通過します。このピュアなアプローチこそがデジタル処理によって生まれる電気的な雑味を和らげ、最終的なサウンドをより素晴らしく仕上げるために Manley が提案するひとつのアドバンテージです。

コンプレッサー

洗練されたコンプレッサーは、Manley が誇る ELOP リミッターのオプトアイソレーターアプローチをベースにしたものです。元々リミッターとして設計された ELOP のレシオを 3:1 に設定し、アタックとリリースを加えています。特筆すべきは、ソース信号が真空管にヒットする前にコンプレッションを行うことで、余分な歪みや周波数特性の変化といった悪影響を回避する点にあります。これによって、信号過多によるマイクプリのクリップや、電気回路全段へのダメージを回避するのです。

Manley はまた、最大で4つの異なる時定数をおなじみのパラメーターであるアタック、リリース、スレッショルドを用いて同時に扱うというサイドチェインの新しい考え方を開拓しました。このアプローチを彼らは「パラメトリックコンプレッション」と呼び、往年の銘機をベースにしながら最適な設定とプリセットを開発しました - 速い ELOP リミッター、敏捷な LA-2A の T-4 モジュール、少しゆったりした LA-3A など、ここでは特別な設定が行えます。簡単な操作で、パワフルでパンチのあるドラムサウンドからスーパーソリッドなベース、あたかもエンジニアがフェーダーを慎重に手で動かしてレベルを整えるような効果、そしてボーカルには透明感と滑らかさがもたらされます。

VOXBOX はオプトベースのダイナミックプロセッサーとして、ミックスの処理にも適しています。その場合はもちろん、2台揃えてステレオリンクしましょう!

EQ

多くのリクエストを受け、VOXBOX のEQには Plutec EQ のミドルバンドを装備しました。もちろん、単に移植しただけではありません。20 Hz~150 Hz の低域に6つ、6.4 kHz~20 kHz の高域にも6つの帯域設定を加え、3バンド合計で33の周波数帯域を扱うことができます。そしてインダクターEQだけが備える魔法のような低域と、クラスA回路だけが放てる心地良い高域がここにあります。EQの入力ソースは、ライン入力、プリアンプアウト、インサートリターンから選択することができます。このスイッチはまた、プリアンプのバイパススイッチ、もしくは外部プロセッサーや異なるトラックの切り替えとしても使用することができます。

ディエッサー/ミッター

このセクションは様々な歯擦音を処理できるように設計されました。オリジナルの ELOP リミッターをベースにし、パッシブのLCネットワークでディエッシングを可能とするこの回路は、ディッサーとしてもピークリミッターとしても機能します。ディエッサーとして使用する場合、3 kHz~12 kHz までの4つの周波数を選択することができます(3 kHz 設定は不快な歯擦音を和らげるのに最適です)。そして5つ目のポジションでは、伝統の LA-2A タイプのリミッターとして機能させたい時に使用します。この設定の場合、プリEQで信号を整えるコンプレッサーを掛け、EQ処理後にこのリミッターでピークを抑えることができます。ディエッサーかリミッターか、必要に応じて設定することができます。

メーター

VOXBOX は、自照式の Sifam 製VUメーターを備え、スイッチでソース信号を切り替えることができます。ライン入力、プリアンプ出力、最終出力の音量レベルを表示し、コンプレッサーのゲインリダクションと、ディエッサー/リミッターの動作を監視することも可能です。

VOXBOX にはこれら以外にも優れた機能や設計が施されています。ウォームアップミュートは、真空管回路に十分な電力が供給され、安定したサウンドが提供できるまでの準備時間をとして設定され、接続機器へのダメージを防ぐのにも役立ちます。そして念入りな防磁処理、スマートグラウンディング、サイレントスイッチなどは目に見えるものではありませんが、Manley サウンドを支える重要な要素です。そしてこの多機能のオールインワンユニットは、信号ロスの最大の要因となる接点を大幅に減らし、テープ(DAW)に直接、ピュアなサウンドを届けます。操作面もシンプルで、欲しい効果を効率良く得ることができるでしょう。

最後にもうひとつ大切なこと、この設計は決して機能や装備から始めているものではありません。すべては Manley、そしてみなさんが求める音、質感を実現したいという「想い」からスタートしています。これが良い音と使いやすさの秘訣です - 機能や装備はその結果でしかありません。VOXBOX、それは定評の Manley サウンド を「あなたの音」にするためのコンボツールです。

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