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Manley Laboratories

Stereo Variable Mu Limiter Compressor

リミッター・コンプレッサー

Stereo Variable Mu® Limiter Compressor は、音楽制作の最終段階においてミックスをしっかりと馴染ませ、磨き上げるためのコンプリミッターです。オールチューブ、オールトランスフォーマー仕様、完全なるアメリカ生産で、以前カスタムで受注していたハイパスサイドチェインモディファイは標準装備となりました。

Stereo Variable Mu Limiter Compressor は、国内外問わずマスタリングリングスタジオの定番機器として君臨し、Manley Laboratories を代表するプロフェッショナルスタジオギアとなっています。

Stereo Variable Mu Limiter Compressor ​フロントパネル
Stereo Variable Mu Limiter Compressor リアパネル

Stereo Variable Mu Limiter Compressor は何年にもわたる Manley のベストセラーであり、同社の顔と言っても過言ではありません。すでにマスタリングスタジオの定番として長きに渡り、数え切れないヒットレコードを生み出してきました。そしてこれからもそうあり続けるでしょう。"Mu" という言葉は、真空管における "ゲイン" を意味し、"Variable Mu" は Manley の登録商標となっています。これは "リモートカットオフ"、あるいは真空管の再バイアスによってコンプレッション効果を得るものです。この手法を用いたオールチューブ仕様のコンプレッサーで他に有名なものは Fairchild 670 でしょう。従って、ビンテージモデルである 670 が入手困難である現在、他では得難い特別なコンプレッション感をもたらすこのタイプのコンプレッサーは Stereo Variable Mu Limiter Compressor のみと言えます。

その挙動の概念を簡単に説明するとこうです - この技術の中核となるのは 5670 という特別な双三極管であり、この真空管に再バイアスをかけることでサイドチェーンによる電圧コントロールを行い、ピークリダクションとコンプレッションの動作を生み出します。真空管を使うことで、ゲインの変化を滑らかにするのです。

コンプレッションモードはソフトニーでレシオはおよそ 1.5:1 に設定され、リミットモードではニーはより鋭く、レシオは 4:1 から開始し、12 dB 以上のリミッティングでは最大 20:1 の高い圧縮比となります。このタイプの圧縮は、リミッティング効果の強さと比例してソフトニーに変化していきます。また、入力を上げて、出力を下げ、コンプレッションをほとんどかけない状態にすることで、特徴的な歪み(サチュレーション)効果を生み出すことができます。

Stereo Variable Mu Limiter Compressor の入力コントロールは、左右チャンネルが連動した設定となっていますが、これはモノラル信号の扱いに適していないということではありません。独立したスレッショルドと出力コントロールとソースレベルでチャンネルごとの音量を操作することができます。そしてステレオ入力コントロールはリンクモードをオンにした際に、その利便性がより明確になります。この良さは、他では得難いものがあります。ファイナルミックス、2トラックの処理、マスタリングのコンプとリミッター処理、Stereo Variable Mu Limiter Compressor が定番である理由がここにあります。あるエンジニアはこのように評しています「ミックス全体がほど良い甘さのクリーム一杯に包まれた感覚だ。」さあ、Stereo Variable Mu Limiter Compressor で音楽の「美味しい部分」をしっかり引き出しましょう。

2009年12月以降に出荷された Stereo Variable Mu Limiter Compressor は、すべてにハイパスサイドチェインモディファイが標準装備されます。この装備によって、フロントパネルスイッチがチャネルごとにひとつ、合計でふたつ追加されます。この機能をオンにすると、100 Hz 以下の周波数帯域にサイドチェインが反応しなくなります(100 Hz = -3 dB 仕様)。この仕様は、低域によるコンプレッサー全体への影響するのを防ぎます。とくに強いベースラインを含んだ音楽や、低域が強調されたミックスを扱う際、意図しないコンプレッションが発生した場合に有効です。

このフィルターは1オクターブ低くなるたびに 6 dB 下がる、なだらかな1ポール仕様です。100 Hz で 1~3 dB、50 Hz で 4~6 dB カットされ、周波数が低くなるに従って、音量が制限されます。(20 Hz 以下の)低域がゲインリダクションに与える影響はほんのわずかになります。例えば非常に強いバスドラムを含む音楽を処理する際、ハイパスフィルターをオンにすることで、バスドラムが鳴るたびに音量が下がるダッキング効果の発生を防ぎます。

Stereo Variable Mu Limiter Compressor には他にもいくつかのモディファイオプションが用意されています。

M/S(ミッド/サイド)オプションは Stereo Variable Mu Limiter Compressor にM/S方式のステレオエンコーディングとデコーディング機能を追加し、ステレオイメージの可能性の扉を開きます。例えば、位相が合致している成分のみにコンプ効果を適用し、位相がずれている部分はそのままにすることで、ステレオ感を強調することができます。あるいはよりモノラル感の強いミックスを必要とするケース:例えば放送やレコードカッティング用に仕上げる際は、位相がずれている部分を抑えて位相が合致している部分はそのままにすることも可能です。なお、M/Sオプション搭載時には、フロントパネルのスイッチの配置が一部変更されます。HP SC スイッチはひとつにまとまり、電源スイッチはリアパネルに配置されます。

M/Sオプションは Stereo Variable Mu Limiter Compressor 本体をご注文いただく際に追加することが可能です。

VARIABLE MU の真空管について教えて下さい。6386? 5670? 6BA6 T-Bar Mod?

現在の新しいユニットは 6386 ではなく、5670 真空管を使用しています。オリジナルのアメリカ GE 製の 6386 の供給量は減少し、ノイズレベル、低マイクロフォニック、マッチングなど Manley の水準を満たす個体を入手することができなくなったため、5670 に切り替わりました。

5670 管で音は変わりますか?

6 dB までのリミッティングに関しては、ほぼ同じです。それ以上のレベルでは 5670 管バージョンの方が、オリジナルの 6386 管バージョンよりも音の「コンプ感」が強くなります。音楽によってはそれが良い作用となる場合がありますが、そうではないこともあります。これは使い方、設定に依存します。この問題を解決する方法として "T-Bar Mod" オプションがあります。これは一対の 6BA6 五極管をひとつの三極管として結線し、双三極管の 5670(または 6386)に置き換えます。Stereo Variable Mu Limiter Compressor に T-Bar Mod を施す場合、6BA6 管はセクションごと、ステレオセットごと、つまりすべての管において完璧にマッチングが取れている必要があります。なおかつ、低ノイズ、低マイクロフォニックで低コストでなければなりません。このオプションによって、6BA6 は 6386 管とほぼ同じリミッティングカーブで機能します。なお、T-Bar Mod 搭載モデルはメーターも専用のものへと変更されます(通常バージョンとは目盛りの表記が異なります)。

T-Bar Mod はStereo Variable Mu Limiter Compressor 本体をご注文いただく際に追加することが可能です。

入力レベルを上げてリミッティングさせた場合とスレッショルドを調整してリミッティングした場合、違いはどのようになるのでしょう?

リミッティングによるサウンドキャラクターはそんなに変わりませんが、歪み(サチュレーション)によるキャラクターの違いは明白です。入力レベルのコントロールは入力トランスの後段、真空管の前段に位置します。従って、この入力コントロールで真空管に送る信号量を積極的に操作することができます。ゲインリダクションは真空管のDCバイアスが負の方向に振れた場合に行われます(通常、スレッショルドがその量を決定付けます)。真空管には限界があり、それがノンリニアになる前のゲインを抑える負のバイアス量を決定付けます。そしてオーディオ信号は正負の間で振れるため、より大きな振れ(大きい音量)の信号ほどより大きな負のゲインコントロールボルテージを生み出し、それが真空管をレッドゾーンまでプッシュすることになります。6386 / 6BA6 / 12BA6 などの真空管は、THDが発生するまでの限界値が 5670 のような真空管よりもはるかに大きいため、これがキャラクターの違いを生み出しています。高い信号レベルがその後の真空管や出力段のトランスフォーマーをドライブし、サウンドキャラクターの違いを発生させるのです。

Stereo Variable Mu Limiter Compressor Mastering Version

Stereo Variable Mu Limiter Compressor Mastering Version フロントパネル
Stereo Variable Mu Limiter Compressor Mastering Version リアパネル

Manley は、その創業時から世界中のマスタリングスタジオと密接に関わっています。これまで多くのエンジニアたちからの要望を受け、彼らのために特別な機器を製造してきました。その中にはオールチューブテープヘッドアンプ、デジタルコンバーター、高出力真空管モニターアンプ、カスタムのモニターコンソールが含まれており、設計から設置まで全てを請け負ってきました。

プロフェッショナルなマスタリングスタジオの業界標準機となる Stereo Variable Mu Limiter Compressor Mastering Version は、厳選された金属皮膜の抵抗、Grayhill 製の美しい金メッキ接点のスイッチを装備し、完璧なる再現性、精確性、そして信頼性を実現します。1/2 dB ごとの細かなステップで、精密な設定が必要とされるマスタリング作業において的確な操作をもたらします。パーツの選定から製造、調整、仕上げに至るまで、これは通常バージョンを単純にマスタリング用に「改造」したものではなく、新たに設計し、製造されたものなのです。

既存の通常バージョンを後からマスタリング・バージョンへ改造することはできません。その逆もしかりです。

マスタリング・バージョンと通常バージョンの違いについて

Stereo Variable Mu Limiter Compressor Mastering Version と通常バージョンとの大きな違いは、以下のコントロールを厳選された金属皮膜抵抗と金メッキ接点の Grayhill 製ステップ式スイッチで行う点にあります:

  • 入力 : - 4~+ 4 @ 2dB ステップ
  • 出力 : - 11 ~ 0 @ 1/2 dB ステップ
  • スレッショルド : - 11~+ 1、1/2 dB ステップ @ リミッターモード、1/4 dB ステップ @ コンプレッサーモード
    (コンプレッサーモードの際は 6 dB の調整幅となります)
  • アタック : 15ms、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90ms
  • リリース : 200ms、400ms、600ms、4s、8s

上記のスイッチ設定以外は、通常バージョンの仕様をご参照下さい。

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