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ステレオ・リミッター・アンド・マイクプリアンプ

2基のクラスAマイクプリとDI入力、2基の ELOP リミッター、そして2基のFETタイプ "ブリックウォール" リミッターでいかなるトーンをも手懐けてしまう SLAM!® は、真空管、トランスフォーマー、テクノロジーと Manley Laboratories 秘伝のトリックとの組み合わせによって生まれました。

さあ、ラウドにいきましょう!

SLAM! フロントパネル
SLAM! リアパネル

SLAM! とは "Stereo Limiter And Micpre" の略ですが、ペアの素晴らしいリミッター(実際は4つ)、クラスAの真空管マイクプリ、DI、VUメーター(ラウドネスを的確に捉えられるよう、3もしくは 6 dB アッテネートできるスイッチも配されています)とピークプログラムメーターを装備し、実にその名前以上の機能を提供します。

クラシックギアの中でも特にリミッターには LA-2A、1176、2264 など、誰もが認める素晴らしいモデルが存在します。これらのサウンドが1台のステレオチューブユニットで実現したなら - これが SLAM! に2種類のリミッターが搭載されている理由です。SLAM! では、エレクトロオプティカル回路 ELOP® による Manley 伝統のリミッティングと、1176 を代表とするいくつかの銘機で用いられているFETベースの超高速・ブリックウォールリミッターが融合されています。サイドチェインフィルターを使えばリミッター動作に不要な低域をカットできるようになるため、簡単かつ便利に、さまざまな場面でご活用いただけることでしょう。FETベースのリミッターではデジタルレコーディングされた信号の最適化と、そのブリックウォールの特性によって、クリーンからクランチ、あるいはパンチをサウンドに与えつつ、思いのままラウド感を調節することが可能です。このように、ボーカル処理からミックスのマキシマイズまで多才なリミッター処理を実現するのが SLAM! です。

入力

SLAM! は真空管マイクプリアンプを両方のチャンネルに装備。位相反転、ハイパスフィルター、そして背面パネルにはファンタム電源スイッチが用意されており、SLAM! のために新開発されたチューブ回路が最大 60 dB のゲインを実現します。また、リミッターを使用するとさらに 20 dB を稼ぐことが可能で、この余裕たっぷりのゲインにより、出力の低いリボンマイクを使った優しい歌声の収録でも十分に対応できます。この入力アッテネーターは可変パッドとしても機能しますので、声の大きいロックシンガーのシャウトでも問題になることはないでしょう。

DI入力では楽器の音色を直接トラックに送ることができます。このDI入力は全挿し時の 100 kΩ から半挿し時の 10 MΩ まで、1/4インチ端子に接続するソースに合わせてインピーダンスを適切に選択することが可能です。さあ、入力しましょう!

ELOP リミッター

Manley の誇る、エレクトロオプティカルレベリングアンプの回路を用いたリミッターです。定評のボーカル収録にはもちろん、新装備されたサイドチェーンハイパスフィルターにより、ミックスや様々なトラックのリミッター/レベリング処理に活躍するでしょう。ELOP が人気の理由に、たったふたつのノブだけで適切なレベルとダイナミクスの設定が行えてしまう、シンプルな設計が挙げられます。これは素早さと正確性が求められるプロの現場からの要望を実現したもので、その直感的なコントロールと無駄のない信号経路、厳選されたパーツにより、音質面でも操作面でもモチベーションを刺激してくれます。サイドチェイン機能ではスイッチの切り替えで異なるハイパスフィルターの周波数を設定可能です。

FETリミッター

FETをベースにした新設計の超高速 "ブリックウォール" リミッターです。このリミッターは正確でクリアなリミッター効果から、一般的なFETリミッターに見られる程良い粗さまで、幅広い処理と効果を得ることができます。リリースコントロールを操作するだけで様々な彩りが可能です。例えば、"CLIP" に設定した場合、往年のリミッターのような丸みをもたらします。この回路では、求められる「音」をとにかく最優先に考え、実験と設計の手直しを繰り返していきました。その結果、非常に広範囲で有効なダイナミクスコントロールを得ることができました。これにより、ブリックウォールリミッターとして機能する速いアタック設定をしつつ、長めのリリースをとることで、余分な装飾のない自然さを保つことができます。あるいはリリースを早くしてクランチの効いたラウドなサウンドに仕上げることも可能です。

アタックコントロールも同様に一般的なものではありません。往年のリミッターのようなサウンド効果をもたらすことも可能ですが、スレッショルド以上の信号レベルをパスしないブリックウォールリミッターとしてもしっかりと機能します。パンチの効いたラウドなサウンドを是非ご体験ください。SLAM! はクリーンで穏やかなものから温かみと迫力のあるラウドなものまで、アナログ信号のレベルを最適になものにするベストなツールです。

ELOP とFETリミッターを同じユニットに収めた特筆すべき利点は、何と言っても「同時使用が可能」なところでしょう。どのリミッターでも個性的な特徴とサウンドが存在します。2種類の強力な世界標準のリミッターを組み合わせることで、それぞれの利点を生かしつつ、より幅広い処理と何ものにも代えがたい、質の高いサウンドを得ることができます。

SLAM! は非常に優れたメーターも備えています。フルサイズのVUメーターは入力レベル、そして出力レベルをしっかりと監視することができます。そして ELOP リミッターのゲインリダクションにおいても、しっかりとラウドネスを視覚で捉えることができます。また、非常に反応の良いLED式のピークメーターも装備しています。入出力レベルやFETリミッターのゲインリダクションも表すことができ、他にも様々な表示設定が可能となっています。

ほぼすべての Manley のダイナミクスプロセッサーがそうであるように、SLAM! もまた、リンクで使用する際には各コントロールを同じように設定にしなくてはなりません。よくある「左チャンネルだけ」を設定すれば済むという仕様ではありません「左マスター」のステレオリンク機能は、設定操作を簡潔にする一方、モノミックスをサイドチェインに使用します。SLAM! では、「マスターの無いリンク」を採用することで、リアパネルの端子を通じて複数台の SLAM! をリンクさせることができます。この際、すべてのチャンネル設定は等しく行わなければなりません。この手法により、マスタリングにおいてチャンネルごとのピークレベルを正確に捉え、正しいダイナミクス処理を行うことができます。

SLAM! の電源ユニットは外付けとなり、電源スイッチは外部の専用パワーサプライに装備されています。電源ユニットを外付けにすることで、余分な熱と磁界から高精度のオーディオ機能を守ります(注:内蔵電源が必ずしも悪いわけではありません。多機能で回路がぎっしり詰まった SLAM! では十分なスペースが取れず、この方法が最善と判断したためです)。電源ユニットはアルミキャスト製のシャーシに覆われ、電源供給には16ピンコネクターの図太いマルチコアケーブルを使用します。

SLAM! にはまた、マイクプリアンプを排し、ポットの代わりにステップ式コントロールを用いたマスタリング専用バージョンも用意されています。Manley Labs のコンプレッサーとEQはもはやマスタリングの定番機器として認知されています。従って、音楽制作の最終処理を行う究極のアナログラックには SLAM! を欠かすことはできません。SLAM!、Variable Mu そして Massive Passive のコンビネーションにいくつかのデジタルプロセッサーを加えることで、完璧なマスタリングツールセットを構築できます。同様に Manley のマイクロフォンを加えれば、究極のレコーディングチェーンが完成します。これらのギアは技術の進化や流行に左右されない、常に確かなサウンドを得ることができる一生もののツールとなることでしょう!

SLAM! Mastering Version

SLAM! Mastering Version フロントパネル
SLAM! Mastering Version リアパネル

マスタリング・バージョンの SLAM! は、ポットの代わりに高精度のステップ式コントロールを用いたステレオの ELOP + FETリミッターです。マイクプリアンプを排し、あらゆる機能をマスタリング専用として特化させています。リミッター部の動作は通常バージョンを完全踏襲しています。以下、マスタリング・バージョンの特筆すべき点についてご紹介します。

  • マイクロフォンプリアンプやDI入力は装備されていません。マイクプリは SLAM! の名の由来のひとつですが、マスタリングエンジニアには必要のないものです。これに従い、各チャンネルの入力切り替えスイッチは、ELOP とFETリミッターのモード設定にそれぞれ置き換わります。また、背面パネルのファンタム電源スイッチは、1/4インチアンバランス入力とバランスXLR入力との切り替えスイッチに置き換わります。
  • ELOP リミッターのレシオを 10:1、5:1、3:1、2:1 から選択できます。また、Auto HF(レシオが 1.5:1 から高域になるにつれ 10:1 まで徐々に変化する)機能を追加しました。これはディエッサーに似た効果で、ELOP の 200 Hz サイドチェイン機能と併用してより効果的な処理を行うことができます。
  • FETリミッターは、ノーマル(NORM)、50%、LP Lim、BOTH、CLIP からモードを選択できます。
    "50%" は、リミッター信号に原音を混ぜる設定です。これはFETレシオを半減させることと似ていますが、クリーンなミックス処理に有効です。
    "LP Lim" は、音量レベルが高い際に、高域に対して必要以上にゲインリダクションが行われてしまう際に使用します。空気感を損なうことなく、歪みを抑えながら迫力を上げたい場合に有用と言えるでしょう。このモードでは通常モードより多くの高域をリミッター回路からパススルーします。
    "CLIP" は、固定のスレッショルドクリッパー回路を使用します。これはXLR入力で約 -2 dBFS / + 18 dBv で作用します。通常使用では、出力信号が + 18 dBv 以上になるのを97%防ぎます。このことで、信号過多による音楽的に好ましくない歪みの発生から逃れることができます。
    "BOTH" は、"LP Limit" と "CLIP" を同時に機能させます。このモードでは、極限のラウドネスを得ながらも、アタックの潰れがなく、サウンドの明瞭さが失われるのを防ぎます。
  • 通常バージョンの左側に装備されている "LIMIT LEFT" スイッチは、SLAM! の完全バイパススイッチに置き換わります。これはマイクプリを装備しないマスタリングバージョンのみで実現できるハードワイヤーバイパススイッチです。
  • 通常バージョンの右側に装備されている "LIMIT RIGHT" スイッチは、リミッターバイパスボタンに置き換わります(真空管とトランスフォーマーはアクティブなままです)。
  • マスタリング・バージョンでは、設定の再現とマスタリングのための的確な操作が行えるようノブがステップ式コントロールに置き換えられます。そのほとんどは 1 dB ステップで、いくつかの部分で 1/2 dB、あるいは 2 dB ステップとなっています。

マスタリング・バージョンはマイクプリが無い分、通常バージョンと比べサウンドはよりストレートになっています。そしてL/Rのバランスはさらに磨き上げられ、新たに装備されたリミッターモードは、音をより良くするために積極的に活用していただけるようになっています。

既存の通常バージョンを後からマスタリング・バージョンへ改造することはできません。その逆もしかりです。

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