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マイクプリ / EQ / コンプレッサー / テクスチャー

レコーディングやミキシングエンジニアにとっての最大の課題は、収録されたサウンドに奥行きをつけ、いかに生演奏を聴いている際の情熱やバイブレーションをトラックやミックスに残すかということです。Portico II Channel はその挑戦を助けるべく開発されました。高い精度のサウンド処理、甘く魅力的で質の高い音、大胆なボディシェイプから微細なニュアンスの調整まで、トラックを仕上げるためにエンジニアが欲するすべての機能が盛り込まれ、イマジネーションを制限することなく扱えます。

Portico II Channel は Rupert Neve Designs のアナログコンソールである 5088 と同じく、高電圧で動作します - フラッグシップコンソールのチャンネルをそのまま取り出した究極のサウンドクォリティを持つチャンネルストリップと言えるでしょう。フル機能のマイクプリアンプを始め、4バンドEQ、コンプ/リミッター、独自の "Texture(テクスチャー)" コントロール、そして正確なレベルメーターを実装しています。

特筆すべきは、Portico II Channel のさまざまな新機能 - Texture コントロールを装備したバリアブル "Silk(シルク)" 回路、細かな設定が可能な "ディエッサー"、複数のVCAフィルターでの検知機能、トランジェント操作に最適化されたハイパスフィルターとパラレルコンプレッションブレンド - です。これらの強力かつ豊富な機能群は、どれもシンプルな操作で効果的に扱えるという点も魅力的です。Portico II Channel、それはレコーディングアーティストの夢であり、思い描いた結果を具現化するためのツールです。

入力セクション

マイクロフォン、ライン、DIの3つのソースに対応し、入力信号を忠実に扱います。マイクロフォン入力はパッドなしで最大 26 dBu の信号を扱い、10 kΩ、ノンリアクティブインプットレジスタンス仕様です。このことで様々なスタジオマイクロフォン、とくに低価格のマイクロフォンに見られるハイインピーダンスのものでも本来の性能を十二分に引き出すことができます。基礎的なゲインコントロールは、6 dB ステップのゲインレンジで最大 66 dB までの設定が可能で、±6 dB のトリムコントロールで細かく調整することができます。トランジェントに最適化されたハイパスフィルターは、20~250 Hz の周波数設定によって不要な低域を的確にカット、軽減することができます。そして、マイクプリの必須機能である48Vファンタム電源、位相反転、シグナルインジケーター、ミュートスイッチが用意されています。このプリアンプは Rupert Neve Designs の誇るTLAノンリアクティブ設計により、マイクロフォンからの抵抗を受けず、広い帯域においてノイズ値 2 dB の高い水準を保ったまま動作します。

フロントパネルのDI入力には、トランスフォーマーカップルの 3 MΩ 仕様のディスクリート FET DI回路が採用されています。トランスフォーマーは、マイクロフォンとDI入力の両方に最適化されたものが使用されます。低インピーダンスのマイクロフォンから、パッシブ回路のエレキギターやベースなどの楽器まで、入力ソースの魅力を最高の状態で扱います。ゲインコントロールはマイク入力と同様、ゲインレンジとトリムコントロールで適切なレベルに設定することが可能となっています。フロントパネルの "スルー" 端子は、DI入力からの信号をそのまま出力します。DIとギター/ベースアンプを同時に鳴らす際に粗悪なスプリッターを別途用意する必要がなく、便利です。ライン入力もまたノンリアクティブ仕様で、リアパネルのXLRライン入力を接続したまま、フロントパネルでスイッチ切替えができます。ライン入力はトリムコントロールで入力ゲインの調整が可能で、ハイパスフィルターも機能します。

Texture セクション

Texture は、Portico II Channel で注目すべき新機能のひとつで、オリジナルの Portico マイクプリアンプに装備された定評ある Silk 回路をさらに発展させたものです。Texture はソース素材に含まれている音楽的な倍音成分を操作、調整する機能です。その音に対する効果と恩恵は、計り知れないものがあります。たったひとつのつまみで、耳でかろうじて確認できる微細なニュアンスから劇的な効果までを思いのまま、適切に与えることができるのです。この機能は、これまでの一般的な倍音コントロールようにソース素材を破壊することなく、音質と音楽的な整合性を保ったまま処理するように設計されています。Rupert Neve Designs の設計チームは、この機能はどんな楽曲、楽器にも抜群の効果をもたらし、エンジニアが音質劣化のことを気にすることなく積極的に使えるものと確信しています。

Silk 回路は、出力トランスのネガティブフィードバックを低減し、周波数特性を Rupert Neve 氏が過去に設計したビンテージ機器に近づける作用をします。"ブルー" モードではソース素材の低域から中低域の倍音に作用し、サウンドにふくよかさをもたらします。赤の "Silk+" モードでは異なるレベルのコントロールを行い、ソース素材の中高から高域の倍音を強調し、サウンドに輝きを与えます。

イコライザー

Portico II のEQは、サウンド面で定評あるクラシックなデザインのいくつかを組み合わせたものです。伝統的なビンテージ機器の特徴や個性を持ちながら、ダイナミックなブースト/カットから究極的に細かな補正まで、モダンな使い方に対応します。デフォルトでは、EQはマイクプリアンプとハイパスフィルターの後段に位置し、EQ処理した信号をコンプレッサーに送りますが、"ポストコンプ" スイッチひとつでこの並びを逆転することができます。

このEQの低域(LF)バンドは独立してバイパスすることが可能で、一般的なバスEQのシェルビングカーブ以外に、クラシックデザインのピークタイプに切り替えることもできます。ブースト/カット幅は ±15 dB で、35 / 60 / 100 / 220 Hz を帯域周波数として選ぶことができます。中域には2つのバンド(LMF と HMF)が用意され、ともにフルパラメトリック仕様です。バイパススイッチは連動したもので、低域と同様 ±15 dB の増減が可能です。このEQの特徴はQと周波数がバリアブル仕様で、帯域幅は 0.7~5、周波数は中低域で 70 Hz~1.4 kHz、中高域で 700 Hz ~ 14 kHz までをカバーします。中高域(HMF)バンドはさらに、高精度の "ディエッサー" 回路が融合されています。

ディエッサーとは、周波数とQコントロールを使用して、耳障りな周波数の除去や軽減をするエフェクトです。いわば中高域専用のリミッターとなります。これは主にボーカルやスピーチの破擦音(いわゆるサ行の音)を効果的に柔らかくする際に使用されます。ディエッサーをオンにしても、EQレベルが使用できるのが、Portico II の特徴のひとつです。高域(HF)バンドは低域バンドと同様、±15 dB の増減幅とシェルビング/ピークタイプの選択が可能です。帯域周波数も同様に 4.7 / 6.8 / 12 / 25 kHz から選ぶことができます。このEQは非常に精密に設計、組み上げ、調整されており、2台の Portico II を並べることで、優れたステレオEQのようにもお使いいただけます。

コンプレッサー

Portico II のコンプレッサーは高い柔軟性、さまざまなダイナミクス処理に対応する豊富なコントロールと機能を備えます。その核となる動作は Portico 5043 と同じ、2つのコンプレッションモード : FF(フィードフォワード)とFB(フィードバック)が用意されたVCAによる処理を行います。"FB" は音楽的かつ心地よいサウンド効果をもたらすビンテージモードで、"FF" は入力信号に対してより正確に動作するモダンモードとなります。このコンプレッサーは、1:1 からリミッターとして扱う際に便利な高圧縮(40:1)まで設定が可能です。スレッショルド値は -30 dBu~+20 dBu で、アタックタイムは20~75ミリ秒(ピークモード時は0.1ミリ秒)、リリースタイムは100ミリ秒~2.5秒まで、ソース信号のトランジェントを操作するのに十分な設定範囲が用意されています。もちろん、コンプレッション後の音量を最大 20 dB 補正するメイクアップゲインも装備します。また、2台の Portico II でステレオソースを扱う際のリンクスイッチとリンク端子も装備しています。

Portico II のコンプレッサーは斬新なダイナミクス処理を提供します。"HPF to SC" スイッチによってハイパスフィルターはコンプレッサーのVCA回路に組み込まれ、サイドチェインフィルターとして使用できます。強烈な低域を持つサウンドソースを処理する際、余分な低域によってVCAのレスポンス特性が変化することがあります。この場合、ハイパスフィルターでソース信号はそのままにVCAに送る信号の低域のみをカットすることで、コンプ本来のレスポンスを取り戻します。"ピーク" スイッチはコンプレッサーのアタックをより素早くする際に便利です。アタックタイムは約0.1ミリ秒で、ドラムやパーカッションなどの急激なトランジェントでも確実なコンプ処理を行います。"ピーク" スイッチをオフにした場合、コンプレッサーは通常の "RMS" モードとなり、入力レベルの平均値に対してアタックとリリースタイムの設定に従って動作します。

"ブレンド" は原音とコンプレッションされた信号のミキシングを行います。この機能は、自然なダイナミクスを保ちつつ、強いコンプレッション効果を得る際に有効です。現代的なテクニックでは、強烈なコンプレッションでドラムサウンドにパンチを与えることが可能ですが、これにより歪みが発生したり、ダイナミックレンジが損なわれる場合があります。そこで原音を混ぜることにより、これらの犠牲を補います。Portico II のブレンド機能を使用することで、このコンプ効果のためにミキサーチャンネルをひとつ潰したり煩雑な接続をすることなく、魅力ある強い効果と自然なサウンドに仕上げることが可能となります。

Portico II のコンプレッサーには外部機器と接続するサイドチェイン機能も用意されています。"センド" と "リターン" 端子で外部のEQやフィルターに接続し、より細かなサイドチェイン処理が可能です。"リターン" 端子はまた、ダッキング効果を演出する際の "キーイン" としても利用できます。例えばスピーチ音声を Portico II のリターンに分配することで、喋ったタイミングで Portico II を通した音楽や演奏などの信号レベルをコンプレッサーで抑えることができます。あるいは Portico II にリバーブやディレイなどの出力を通し、リターンに原音を分配した信号を入力することで、早いパッセージの演奏ではエフェクト音が抑えられ、ロングトーンの際は十分にエフェクト効果が聴こえるようになり、演奏の明瞭感と十分なエフェクト効果の両立に便利です。2台の Portico II でステレオソースを扱う際のリンク端子もサイドチェイン端子とは別に設けられています。

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