Arrow で超簡単レコーディング!第5回 ベースを録る!!

Universal Audio のオーディオインターフェイス Arrow の使い方や特性についてご紹介します。ナビゲーターはギタリスト / 作編曲家 / 音楽プロデューサーの小川 悦司さんです。

UNIVERSAL AUDIO の新しいオーディオインターフェイス Arrow を掘り下げるこの連載の第5回目はベース録りについて紹介したいと思います。


定番のライン録音でアンプのサウンドを手に入れる

ベース録りといえば定番はライン直(ちょく)。またはベーシストの用意しているプリアンプ経由というのが一般的でしょう。もちろんベースアンプのスピーカーにマイクを立てて録ることもありますが、自宅録音ともなればそれはあまり現実的ではないかもしれません。今回の録音に当たっても、ベーシストは自前のプリアンプを持ってきてはいましたので、そこで音を作って録るという選択肢もありました。


しかしながら実は UAD Software が 9.5.2 になり、なんと Ampeg SVT-VR Classic Bass Amplifire のプラグインが無料バンドルになったのです。となれば使わない手はありません。(接続先は Arrow のHi-Z端子になります)

Ampeg から1969年にリリースされた大定番のハイパワーチューブアンプ。ジャンルを超えて使えるアンプですが、今回はこれをちょっと変わった使い方も含めてご紹介します。


今回のセッティング

使用したベースは YAMAHA の5弦ベース。5弦ベースはいまや当たり前の時代ですが、実は登場したのは70年代後半。このアンプが発売された当時に5弦ベースなど使っている人は当然いなかったわけで、メーカーも想定してはいなかったはず。しかしながらやはりその底力は相当なもので、5弦ベースももちろん完全にカバーしてしまうという素晴らしいアンプなのです。

今回はベースを弾いてくれたのは米澤美玖グループでいつも一緒に演奏している古屋賢人氏。若手ながらジャズからポップス、ロックまでマルチに活躍する素晴らしいベーシストです。詳しい情報は下のプロフィールをご覧ください。


アンプの設定

アンプはもちろん UNISON で使用。インサーションエフェクトは使用せず、ベースから Ampeg を経由した音をレコーディングしました。



アンプのセッティングは以下の通りで、チャンネルはノーマルチャンネル。Volume は大きくあげれば自然なクリップ感が得られますが、少し控えめに設定。スピーカーシミュレーションをでデフォルトの設定で使用しました。



まずはデモ曲をお聴きください。途中のベースソロ以外はアンプの設定はこのままです。




エフェクト処理について

途中の歪みサウンドの設定が気になる方もいるとは思いますが、まずは曲中のベースサウンドを仕上げる際に使ったエフェクトを紹介しておきましょう。


・コンプには UA 1176SE Classic Limiting Amplifiers (Legacy) を使用

ベースパートはしっかり安定していて欲しいもの。多くの場合コンプやリミッターなどダイナミクスを整えるエフェクトを使用します。

今回はスタジオの定番 1176 を使用してみました。比較サンプルをお聴きください。



比較すると、1176 をかける前の音は Ampeg のみの音で、今回の設定では軽くクリップした70年代風の音ですが、5弦の音が少し飛び出ている箇所が目立ちます。これに対して 1176 を経由した音はレベルが均一になっているのがわかるはずです。コンプ感は当然ありますのでこの部分は好みがあるとは思いますが、嫌であれば Presicion Channel Strip のコンプを使うという手もあります。


・ EQ には Presicion Channel Strip を使用


さて、レベルが揃ったら補正です。少しローエンドを抑えてミッド〜ハイの出た感じのサウンドにしたかったので、26Hz から下を 5dB カットしてその分 100Hz 付近を少しブースト。また 3KHz 付近を 5dB つついてみました。

これも比較サンプルを用意したので聴いてみてください。ベースだけで聞くと上の方が元気になって明る過ぎる感じもしますが、この曲のアンサンブルならこのくらい出ていてもOKです。



ベースソロの歪みは!?

さて、最後に今回のベースソロのサウンドについてですが、これはレトロな歪み系のサウンドにしてみました。

歪みにはいわゆる歪み系エフェクトを使ったのではなく Ampeg をクリップさせて歪みを作りました。しかもアンプ2台重ね!?です。

1台目のアンプで軽くクリップさせておいて、収録後の DAW のインサーションにさらに Ampeg を入れたのです。

設定はVolume を上げ目にして、キャビネットを選択して最後にトーンでサウンドメイクしています。実はサウンドの決め手はキャビネットの選択が一番大きなファクターになるのでこれは是非実機で試していただきたいと思います。





さて、いかがだったでしょうか?次回は Arrow でアコギを録ってみます。お楽しみに!!

古屋 賢人

1992年山梨県甲府市生まれ。 中学生の頃に聞いたMR.BIGの演奏に感銘を受け、本格的にベースを始める。高校卒業後、尚美ミュージックカレッジ専門学校へ進学。在学中にKENSOのベースプレイヤー三枝俊治氏に2年間師事し、演奏のいろはを学ぶ。 卒業と同時に、音楽教室での講師業や、同校での演奏助手を始める。 また、サポートミュージシャンとしての活動も開始。 現在、popsからjazzまでジャンルを問わず活動の幅を広げている。 主にpops、rockなどを得意としており、歌いやすく、楽曲に沿ったベースラインには定評がある。 〔共演(敬称略)〕 織田 浩司、咲岡里奈、佐藤寛之、Charito....etc

小川悦司

ギタリスト / 作編曲家 / 音楽プロデューサー

ギタリストとして竹本孝之、今井優子、牧野由依、 劇団四季、中川ひろたかなど、ロックからジャズ、ミュージカル、子供向けの音楽まで、幅広いジャンルのサポートやレコーディングに参加するほか、「ポケモン」「ビーダマン」「オハスタ」「生き物地球紀行」などのTV番組関連、また「アイシールド21」や「ウィザードリィ外伝」などゲーム音楽のレコーディングにも数多く参加。楽器フェア等各種催事では長年にわたってYAMAHAやHookUp、Internetなど国内外のメーカー、ベンダーのステージデモを担当。作編曲家、サウンドプロデューサーとしても五十嵐はるみ、折重由美子、米澤美玖、JAZZ LADY Projectなどのジャズ〜フュージョン系からソーシャルアイドルnotallなどまで幅広いジャンルのアーテイストを手掛ける。また、櫻井哲夫の全国ツアーオケやモーターショーの音源制作、USJのサウンドデザイン、菅沼孝三、川口千里、大高清美、梶原順らのDVDや出版物への楽曲提供、「アニソン・エクササイズ」の音楽監修も行っている。執筆家としての関連著書も非常に多く、その発行部数はトータル1000万部以上にのぼる。

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