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reProducer Audio : ボーカリスト今井マサキが Epic 5 を選んだ理由

松任谷由実や吉田拓郎など、名だたるアーティストのライブツアーでコーラスを務め、FNS 歌謡祭や MUSIC FAIR などの音楽番組でコーラスアレンジを手掛ける今井マサキ氏。彼のプライベートスタジオでは reProducer Audio Epic 5 がリファレンスモニターとして使われています。

ボーカルやコーラスのメロ譜を書く作業をここでしている


- ここでは普段どんな作業をしているのですか?

このスタジオは最近使い始めたばかりで、やることは譜面を書いたり、まだデスク作業が中心です。僕は普段あまり楽曲を制作する側ではなく、TVの歌番組やコンサートのために、主にボーカルやコーラスのメロ譜を書いたりする作業をここでしています。

- 多数の機材がありますが、他にはどんな作業を?

基本的にはギターを練習したりしています(笑)。もともとギターがすごく好きで、「ギターかっこいいな」「ギターソロが弾けるようになりたいな」とか、そういう感じで練習していたので、仕事で弾けるなんて思ってもいなかったんですよ。でも、家で細々とやるよりはヘタクソでもどんどん売り込んでいこうと思って、ギターもやりますって感じでプレゼンしたりして。

▲今井氏のプライベートスタジオ。マンションの一室にある6畳の部屋を使用している

- 実際にステージでもギターを弾いていますよね?

はい、ユーミンのツアーではコーラスをやりつつ、バッキングを弾いたり。ツアーのギタリストにも色々教わりながら、そういうチャレンジをさせてくれる現場なので、すごく楽しんでいろんなことをやらせてもらっています。今回のツアーには Universal Audio の OX と Carr のアンプを持って行って、OX からラインアウトで出しています。コーラスの場合、後ろでアンプを鳴らすとマイクに被ってしまうのでラインで出すんですが、最近は Dream も気になっています。ツアー中にアンプが突然鳴らなくなった時の対策をローディチームと話していて、Dream が1個あれば、つなぎ変えてラインで出せるよねと。ただ、真空管アンプのことをわかっていないと、ラインで音を作ってもそれっぽくしかならないから、真空管アンプを買ってこのスタジオで遊んでいます。爆音は鳴らせないのでアッテネーターをかまして調整したり。本当に自分の遊び場ですね。

- インターフェイスやプリアンプなどもセットされていますね。

オーディオインターフェイスは Universal Audio Apollo で、僕が運営しているボーカルスクールのスタジオには Apollo 8 を入れています。1176 などのプラグインを使えるのがありがたいし、リバーブも Lexicon 480L のパーカッションプレートが好きでいつも使っています。プラグインをかけながら録れるのも便利ですね。最初はアナログのアウトボードでそういうことをやっていたけど、インターフェイスの中でかけ録りできるのがとてもいい。持ち運び用の Volt 1Apollo Twin も持っています。

プリアンプ/インターフェイス
▲下から Universal Audio の Apollo と 6176(チャンネルストリップ)。6176 は歌録りの際にプリアンプとして使用している

- ボーカルやコーラスを録音する際に使うのですか?

はい。歌唱指導もしているので、人の歌を録ることも多くて、そういう時に UAD プラグインも重宝しています。あとは舞台の仕事にも携わっているので、舞台で使う曲のガイドメロディをDAWに打ち込んだりしますね。

- コーラスアレンジもDAWでやるのですか?

それはあまりないですね。基本は Finale で作って、譜面に起こしてから DP を立ち上げて、仮歌やハモを録って2ミックスにします。TVの仕事では仮ミックスをして仮歌を渡すことが多くて、本チャンのミックスはしないので、歌を録って、再生して、そのデータをメールを送るような感じです。なので基本的には気持ち良く聴ける環境を目指しています。

今井マサキ

Epic 5 はコーラスのどこに誰がいるかがすごくわかる


- Epic 5 はどういう理由でチョイスしたのですか?

ニラジ(カジャンチ)さんと浅田(祐介)さんのインタビューを読んで買い換えたんです。ニラジさんが「時代に合わせてスピーカーを変えていく」というようなことを話されていたじゃないですか。それまで僕は B&W のスピーカーを使っていたんですが、あの記事を読んで「確かに時代と共に違うな」と思って Epic 5 を購入しました。あれほどの音のプロフェッショナルが使っているならそれがいいんじゃないかと思って、セッティングもニラジさんのまんまLF-TRIMを1クリック下げて。僕は昔から人の意見がすごく大事で、髪の毛を切る時も今どんなのが流行っているのかを美容師さんに聞いて、そういうプロフェッショナルな人に「今こういうの流行ってるよ」「こういう感じのがいい」とか言われたら、それに従うという感じですね。僕らにはないセンサーを持っている人達の意見を感じ取るようにして、それを取り入れていきます。だからこのスピーカーも、ニラジさんの記事を読むまでは自分でこだわって買った B&W をいい音だと思っていましたが、「時代の音」というのは自分の中にない発想だったから、すごく面白いなと。

- 今井さんにとって「時代の音」とは?

昔ユーミンが「今の人達はコンピュータを使って自宅で録ったりできるし、スタジオではない環境で録る人もどんどん増えてきているけど、レコーディングの空気感を録音することはできないんじゃないかな」って言っていたんです。ユーミンはすごいスタジオでずっとレジェンドの人達と作り続けてきて、テープを回していた時代は全部録りっぱなしだったので、その空気感を全部詰め込んでいますけど、今は歌っていないところのデータはエディットで消していくじゃないですか。トリムしてフェードを書いて、歌い出したところからフェードして、コーラスデータも全部バラバラになっている。空気感というよりは、すベてが研ぎ澄まされたようなデータがずっと並んでいる。そういう作品を聴くには、時代に合っていないスピーカーだと、輪郭がボヤけて聴こえていたのかもしれない。だとしたら、今の音を再生しようとしている新しいメーカーの、Epic 5 のようなパッシブラジエーターが底で鳴っているスピーカーは今までなかったし、自分が今までいい音だと思っていた基準がちょっと塗り替えられるんじゃないかなと思っています。

モニタースピーカー
▲reProducer Audio Epic 5。底面のパッシブラジエーターでバランスの良い低音再生を実現した完全アナログのスピーカーだ

- Epic 5 の魅力は?

僕がコーラスアレンジをする時は、ゼロからコーラスパートを作ることもありますが、テレビの歌番組やコンサートの場合は既存の曲を聴いて、その時々のコーラスの人数に合わせて譜面を書き起こしていく作業をします。コーラスだけのデータをもらえればラクなんですが、TVの歌番組だと大抵は2ミックスの音源しか送られてこないので、コーラスパートを聴き取る作業がものすごく多い。そういう作業をするにあたって、Epic 5 のように広い音像で鳴ってくれるスピーカーは、コーラスのどこに誰がいるかがすごくわかるから、音が採りやすいですね。

- 脇を固めるパートを鮮明に聴き取ることができるのですね。

センターのアーティストではなく、アーティストの後ろのコーラスを聴き取るので、音像が真ん中に凝縮されるスピーカーだと、歌はよく聴こえるけどコーラスパートは聴き取りづらくなってしまいます。今までいろんなスピーカーを使ってきたけど、Epic 5 はそこがすごく聴き取りやすい。それとスタンバイモードがあるのがメチャクチャありがたい。スピーカーで面倒臭いのが背面の電源スイッチをいちいちオンオフすることなんです。1個のタップにまとめてポチッとオンオフする手もあるんですが、Epic 5 はスタンバイモードがあるじゃないですか。だから常時オンにしておいて、基本的にはスリープしているけど、音が鳴ったら起動してくれるのはラクだし、エコだし、音いいし、ものすごくありがたい部分ですね。

- インタビュー前に Epic 55Epic 4 を試聴してもらいましたが、Epic 5 と比べてどうでしたか?

全モデルを並べて聴き比べてみましたが、聴かなきゃ良かった…とつくづく後悔しました。Epic 5 でもすごく良かったのに、Epic 55 を聴いてしまうと全然別ものでした。ボリュームを揃えて聴いてみたんですが、こんなに音像の広さが変わるのかと。低音がドカンと来るのかと思ったら、高域が広がるんですよ。ウインドチャイムの位置や高さが全然違うんです。とにかく音像が広い。普通のマンションなので、そんな爆音リスニングはできませんが、小さい音でも聴きたい音が前に来てくれます。鳴った瞬間に「すごい!」ってなりました。

Epic 55
▲Epic 5 の上位機種にあたる Epic 55。上面と底面の両方にパッシブラジエーターを備えている

- 違いは高域にあるんですね。

そうですね。サイズが小さい Epic 4 は低域が強くなる感じがあって、サウンドの重心が下寄りになりますね。LF-TRIMを1クリック下げたら、ベースラインとかがハッキリ聴こえてくるようになって、2クリック下げるとローが落ち着いて、音像が近くなりますね。音が凝縮している感じはしますけど、ボーカルものに関しては、すごく前に出てくるのが特徴ですね。

Epic 5/Epic 4
▲Epic 4(右)は Epic 5(左)をひと回り小さくした小型モデル

写真:桧川泰治

今井マサキ

音楽専門学校を卒業後に大阪から上京。1999年より松任谷由実のツアーにコーラスとして参加しプロのキャリアをスタート。2005年よりフジテレビ系生放送音楽番組「FNS歌謡祭」にてホストバンドのコーラス、コーラスアレンジで参加。以降現在もレギュラー出演。他にも様々な音楽番組において出演、コーラスアレンジ等その活動は多岐にわたる。多数のアーティストや声優、アニメ関連のボーカルレコーディングでディレクション等も担当。

また「50Shades!」「ロッキー・ホラー・ショー」「魔法使いの約束シリーズ」他多数の舞台、ミュージカルでの歌唱指導を担当。

近年、ものまね番組の審査員や、テレビ朝日系音楽バラエティ「関ジャム〜完全燃SHOW〜」では、様々な角度からの解説がわかりやすいと評判になり、年々活躍の幅を拡げ、その活動は多岐にわたる。

2010年4月より東京・三軒茶屋にて今井が代表を務めるボーカルスクール「クレッセ・ミュージックスクール」を開校。様々なシーンで活躍するコーラスシンガーを務める講師が多数在籍しており、現在も多くのプロシンガーを輩出。

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