Interview1

小松 K.M.D. 久明@LUNATIC FEST.

LUNA SEA 25thアニバーサリー最終章として行われた史上最狂のロックフェス「LUNATIC FEST.」。このオープニングアクトにLUNA SEAは、LUNA SEA前夜の名を冠した"LUNACY"として出演しました。このステージを「Midas Heritage 3000」アナログコンソールと「Apollo 8」 UAD アナログエミュレーションエフェクトでサポートしたサウンドエンジニア 小松"K.M.D.”久明氏にお話を伺いました。

- まず今回のフェスと音響システムについて教えていただけますか?

LUNATIC FEST.は、LUNA SEA が主宰ということで出演バンドも含め、すべて皆メンバーのフレンドシップの中で行われているフェスです。両日のLUNA SEA、LUNACYの他、初日に、X JAPAN、DEAD END、DIR EN GREY、Fear,and Loathing in LAs Vegas、SIAM SHADE、LADIES ROOM、coldrain、TOKYO YANKEES、the telephones、9mm Parabellum Bullet、2日目に、BUCK-TICK、D`ERLANGER、GLAY、[Alexandros]、MUCC、KA.F.KA、AION、minus(-)、ROTTENGRAFFTY、凛として時雨、が出演しています。MOONステージが一番大きく、FATE、SHINEというのは少し小ぶりなステージになっていますが、どちらのステージにもスピーカー本数が用意してあってかなりラウドな音が出るようになっています。これらの音響システムはクレア・ジャパンがまとめてサポートしていてMOON、FATE、SHINEの各ステージともCLAR i5スピーカーとサブウーファーが組まれています。

- オープニングアクトで出演したLUNACYについて教えてください。

Midas Heritage 3000 アナログコンソール
MOONステージにトリで出演するのは月と海を意味する皆が知っている"LUNA SEA"。両日のオープニングアクトとしてFATE、SHINEステージに出演する"LUNACY"は、LUNA SEAの前身となったバンドなんです。

今回LUNA SEA は、"LUNACY"を復活させてFATE、SHINEステージという客席にも近いところに出てくる。今のLUNA SEAとは異なるバンドとして出てくるので、最初に出てくるLUNACYの音と、最後に出てくるLUNA SEAの音が一緒だったら面白くない。ファンに愉しんでもらう為にステージングやセットリストも昔のものを出してくるので、音も追従していったら面白いと思ったんですよ。

どんなアプローチが面白いかなと考えたとき、今から25年前に出てきたバンドという意味でバンドの歴史にもあったコンソールでミックスしてみたいと思ったんです。今回のこのMidas Heritage 3000 は90年代のコンソールで、チャンネルインサートにも当時あったアウトボードを揃えました。その中でも何か光るポイントを入れたくてApolloのリアルタイムエフェクトを使ってアナログエミュレーションでエフェクト処理をしようと思ったんですよ。 古い機材に対して全部が古いんじゃなくて、新しい機材が入った時にどんな音色感で聴こえるのかすごく楽しみでした。

- LUNACYとして出演するにあたって事前にLUNA SEAからサウンド面でのリクエストはありましたか?

特に無かったんですが、サウンドを昔ながらのロックに持って行くということでその辺りのイメージ感は3年間LUNA SEAのサウンドエンジニアとして付き合ってきた中で僕自身の判断でも出来るようになってきていました。SUGIZOさんにLUNACYのステージはアナログコンソールでやりますと伝えたらすごく喜んでくれましたね。一番初めにLUNA SEAと仕事をさせてもらったのが2011年のさいたまスーパーアリーナだったんですが、その時もMidas Heritage 3000のアナログコンソールでミックスして結果を出したんです。なので僕とっても初心に戻ってサウンドを作るというような感覚がありましたね。

- LUNA SEAとして出演するMOONステージ側のシステムを教えてください。

MOONステージのYAMAHA PM5D
YAMAHAのデジタルコンソールPM5DとDANTEの伝送で組んでいます。その2011年のさいたまスーパーアリーナの時は”アナログコンソールでロックバンドらしい太い音を出す”というテーマでMidas Heritage 3000でミックスを行っていました。その後、長いツアーを行っていくにあたって様々なコンソールを試してみたところYAMAHAのデジタルコンソールがLUNA SEAが持つロックの太さだけじゃない繊細さやダークなところも表現できて非常に良かったんです。アナログでミックスするとそのコンソールの色として一色に染まる可能性あるんですが、サウンド作りの幅という意味でYAMAHAのプレーンな音は様々なカラーリングに持って行けるんです。MOONステージでは、25周年アニバーサーリーとして10ヶ月間に渡って構築してきたツアーと同じシステムを用意して"完成されたLUNA SEA"を見せるという趣旨なりますね。

- サウンド面での対比という試みはとても面白いですね。今回 ”LUNACY”のステージでApollo 8はどの様に使われましたか。

Apollo Console 上で入出力を設定してマルチエフェクターとして使っています。ドラムリバーブにAMS RMX16 Digital Reverb、ボーカルにLexicon® 224 Digital Reverb プラグインを立ち上げ、これらを2系統のモノラル入力ステレオ出力のリバーブとして使っています。また、Apollo Consoleのダイレクトアウトを使ってStuder® A800 Multichannel Tape Recorder プラグインをボーカルのディストーションインサートとして使いました。
初期LUNA SEAのボーカルには多少歪みが入っているところがあるんですが、現代では作れない歪感なのでその部分も再現してみたかったんです。今回、アナログコンソールの良いところ、アナログ臭いところにApollo 8がプラスされてより深みのある、上質のアナログを作れるんじゃないかと思ったんですよね。それは2日間ともすごくよく出来たな、表現できたなと感じています。

- 今回のリバーブはどの様にセレクトしましたか?

Apollo/UADのLexicon® 224 Digital Reverb プラグインを実際に聴いてみたら本当にLexiconの音だったんですよ。僕はずっとTC Electronicsの M5000というリバーブを持って使っていて、その中にあるLexicon のHallシミュレーションが最高に好きだったんですよ。それが故障して使えなくなってしまいましてね。大きなライブハウスに行けばTCのリバーブが置いてあることが多いんですけど、そこでもLexicon のシミュレーションをセレクトしていました。違うメーカーのリバーブであってもLexiconのシミュレーションがあるっていうのは皆にとって評価が高いというか、もう感覚に入っているというのが実際だと思いますね。楽器、ボーカルにオールマイティーに使えるのはやっぱりLexiconの音なんじゃないかと思います。

AMS RMX16 Digital Reverbの方は、僕が20代にエンジニアを始めた頃に、外タレと仕事をしていると彼らがよく持ってきていたんです。その時の印象が残っていて、ドラムの音がキレイだとか、サックスの音がキレイだとか・・・、AMSっていいな、いつか使ってみたいなって思っていましたよね。とても値段の高いリバーブだったのでPAで使ったことはありませんでしたけど、今回Apollo/UADエミュレートされていることでそれが叶いました。(笑)

- AMS RMX16 Digital Reverb を実際に使ってみて印象はいかがでしたか?

粒立ちがよくてとても音が明るいですよね、ひとつひとつの粒がしっかりしていてドラムが前に出てくるという感じがあります。スネアの音とかが好きな感じになりますね。YAMAHAのリバーブを使う場合はリターンフェーダーのEQを結構使って輝く音を演出するんですけど、AMS RMX16 Digital Reverbはそれをやらなくても十分に粒があって明るい。そこが良いところでしたね。

- 導入テストの際は以前のモデルApollo Quad(シルバー)でしたが、今回導入された新しいApollo 8 (ブラック)の印象はいかがでいたか。

まず、レベルマッチングがいいなと思いましたね。以前のモデルより歪みにくい。そしてSN感がすごく良いな思いましたよ。ディストーションなんか使うと大抵ザーと、ノイズが聞こえてしまう。デジタルマルチエフェクターのディストーションパラメータを使ったとしてもノイズが聴こえるんですけどそういうものが一切ない。すごくキレイ。最高ですね。SNが良いというのは使い易いということにも繋がります。とにかくSN感がすごく良いという印象があります。

Lexicon® 224 Digital Reverb プラグインや、Studer® A800 Multichannel Tape Recorder プラグインにはエミュレーション元となるヴィンテージ機材のノイズのパラメータがあるんですが、そこは入れた方がロックバンドにはいい感じがしました。女性ボーカルの歌い上げや弾き語りなんかに使う場合は、そこは外した方が良いかもしれないですね。

- 今後どのように使って行きたいですか。

画像提供: LUNATIC FEST.実行委員会
コンサートツアーというのはいろんな形があります。大きなトラックに全部の機材を積んで何ヶ月にも及ぶツアーの時にマルチエフェクターとしての Apolloはすごく音質的に魅力的です。かつ、キャラバンと言われる車一台で回るライブハウスツアーの時にApolloを持ち回ることによって、クオリ ティーキープと呼んでいるんですけど、あるライブハウスではいいリバーブがあって、一方では無くてといった先々で音色が変わってしまうことがあることに対 して、常に同じサウンドをキープできるようになるのもすごくいいなって思います。セッティングしたものをリコールできるので誰々のツアーはこれでと設定をストアして行くことによって、次にツアーを回るときにあの人のパターンはこれでだなってリコールもできますね。

久しぶりにワクワクする機材に出会った感じです。Apollo 8にはNEVEやAPIのUNISONマイクプリエミュレーションもありますし、やりたいことは色々描いているんですけど、まだ言いたくないですね(笑)

interviewee

小松 久明 Komatsu " K.M.D " Hisaaki

1984年(財)ヤマハ音楽振興会 音響部に所属。久松史奈、西村由紀江、谷口崇のハウスエンジニアを担当。1997年(有)オアシス設立、Sound Schedule、大黒摩季、石野真子、手嶌葵、LUNA SEAのコンサートSRオペレートなどを手がける。 洗足学園音楽大学 音楽・音響デザインにてコンサート音響の指導も行なっている。

OASIS Sound Design inc.http://www.oasis-sd.com
LUNATIC FEST.http://lunaticfest.com/


inteviewer & photo : Ryuji Seto