5015 Mic Pre / Compressor

5015 は、マイクプリアンプとコンプリミッター部が完全に独立したアナログマイクプリ/コンプレッサーモジュールで、トランスフォーマーカップルのマイクプリ部は同じ Portico シリーズの 5012、コンプ部は 5043 に装備されているものを踏襲しています。
5015 は Rupert Neve Designs の傑出した音質と現代のレコーディングスタジオで必要とされる柔軟性を持ち合わせているのが魅力です。縦型/横型のふたつのモデルが用意され、5バンドEQである 5033 と組み合わせることでプリアンプ、ダイナミクス、EQをまとめた Portico のチャンネルストリップを形成することも実現します。
また、5015 にはルーティングオプションが用意されており、マイクプリの出力はパッチケーブルを使用せず、スイッチひとつでコンプレッサーに直接送ることが可能となっています。

マイクロフォンプリアンプ

マイク入力は "T.L.A." (アンプをトランスフォーマーのように扱う)構成を用いたバランス(非フローティング)仕様です。これにトロイダルタイプのコモンモードリジェクション仕様のローパスフィルターを備えることで、150kHz以上の高周波を排除します。そしてユニティーゲインですべてのオーディオ帯域において+25dBuの入力信号を入力パッドなしに扱うことができるよう T.L.A. は入力トランスの後段に配置されています。この設計により、電子バランスとトランスバランス、両方の利点を持ち合わせることに成功しました。

最大72dBのマイクプリゲインを始め、位相反転、ミュート、ファンタム電源、20~250Hzの範囲で連続可変できるハイパスフィルターなど 5012 の機能が 5015 にも盛り込まれています。そしてもちろん、豊かな温かみと存在感を備える伝統のサウンドをもたらす "Silk" 回路も実装しています。

コンプレッサー

5015 のコンプレッサーはスレショルド、レシオ、アタック、リリース、メイクアップゲインをフルコントロール可能です。さらにソース素材に合わせて2種類のVCAモードが用意されています。

V.C.A.とは、Voltage Controlled Amplifier (またはAttenuator) の略で、電圧を利用してゲインをコントロールします。電圧を用いたコントロールデバイスは多く存在します。真空管を使用したものや、ディスクリートのもの、統合されたソリッドステート回路、ナチュラルなノンリニアデバイスなど、それぞれの回路設計やパーツ、挙動によって固有のキャラクターを備えます。その多くは素晴らしい、魅力的かつ音楽的に仕上げることができます。(もちろんそうではないものもあります。) Portico 5015 のコンプレッサーは 5043 と同様、非常に正確かつローノイズ、低歪のV.C.A.回路を搭載し、特別なキャラクターがないのが特徴です。

V.C.A.の動作は電圧制御に適したものに変換されたオーディオ信号の一部を使用します。このことで素早い応答速度を実現しながら歪みを抑えることができます。このバランスが絶妙で、応答速度が速すぎる場合、余計なゲインコントロールが生じます。逆に遅すぎる場合は信号過多になったり、コンプレッションが信号の頭に効かなかったりします。この応答速度とタイミングの精度がコントロールパラメーターの "アタック"、イニシャルコントロールされたゲインの持続時間が "リリース" もしくは "リカバリー" パラメーターとなります。これらの要素がコンプレッサーサウンドを形成する上で大きな役割を果たします。

低ノイズ、低歪オペレーション

5015 を設計した際に最も注力したのは、可能な限りノイズとハーモニックディトーションを抑えることでした。慎重を重ねたシグナルパスとクラスAオペレーションの回路が、5015 の特徴的な甘く、囁くような静けさを実現しています。

すべての Portico シリーズの入力と出力にはトランスフォーマーとほぼディスクリートのコンポーネントで構成されたアンプが使用されています。ラインアンプも同様です。シグナルチェーンに加えることで、様々なシグナルソースのサウンドクォリティを引き上げることができます。とくに元がデジタルのソースには最適です。Portico 5015 はハイエンドのオーディオチェーンに入れても遜色なく、存分にその性能を発揮することができるのです。

トランスフォーマー入出力の利点

音質に関する回路設計の細かなノウハウは徐々に明白になってきました。例えば、20kHz以上の周波数は確実に人間の音質に関する知覚に影響することが研究によって知られるようになりました。しかし、この科学的根拠によって証明される以前から、優れたミュージシャンやエンジニア達は機器の技術計測結果が同じであったとしても、実際に耳にするサウンドが全く異なることを知っていました。

音楽的な調和が取れない奇数倍音は微量であっても、音質に致命的な影響を与える場合があります。また、シグナルパスが外来ノイズや干渉を受けた場合、シグナルチェーン全体の質を著しく損なうことがあります。特に多くのコントロールルームでは、外的要因対策が不十分なアウトボード機器が使われています。このような機器のグランド処理は大抵貧弱で、深刻な問題を引き起こす可能性を持っています。現代の機器ではコスト面や利便性のために”電子バランス”回路を採用しています。この仕様の回路はベンチマークテストにおいて、とても良い計測値が得られますが、作業環境によってはその測定通りの結果や十分なパフォーマンスを発揮するとは限りません。

これらの問題を解決するため、入力と出力回路はグランドから影響を受けないようにしなければなりません。つまり、処理に必要な信号のみがシグナルパスを流れるようにする - トランスフォーマーはこの問題を解決するために用いられます。大型のトランジスターと上質の大型トランスフォーマーが備わってこそ、Rupert 氏の設計による伝統の甘いシルキーサウンドへと到達するのです。そして今日、Rupert Neve Designs の Portico モジュールによって、同様の品質とサウンドをよりコンパクトかつ低コストで提供することに成功しました。

これらのモジュールは自由に組み合わせて使用することができ、ハムノイズの発生や R.F. 干渉、あるいはそのほかの影響、コネクター接点、グランド処理、信号レベルやインピーダンスなど細心の配慮が必要な部分を気にすることなく活用できます。また、Portico モジュールはそれぞれが完全なプロ仕様のシグナルプロセッサーであり、個々に使用した際でも素晴らしい結果をもたらします。これがトランスフォーマーを入出力に使用した理由のひとつです。

特徴

Silk - シルクサーキット

この機能には特筆すべき点が沢山ありますが、簡単に言ってしまえば、ヴィンテージモジュールを使用した際のようなサウンドクォリティにエンハンスするための機能です。Silkボタンをオンにするとネガティブフィードバックが減少し、そして周波数分布に作用することで非常に甘く音楽的な結果をもたらします。まずはご自身の耳でご確認ください。

Mute - ミュート

プリバスアウト/ポストメーターの出力をミュートします。
このスイッチは、ファンタム電源をオンにする際や音を出さずに適切な信号レベルを設定する際に便利です。

High Pass Filter / HPF - ハイパスフィルター

ハイパスフィルターはシグナルチェーン内のどの場所においても有用な機能です。そしてマイクプリアンプでも重要な役割を持っています。マイク収録時に不要な低周波をカットする際に便利です。特に建物から発生するランブルノイズ、空調のモーターノイズ、ハムノイズなどに有効です。5015 のHPFは20 ~ 250Hzの範囲でカットオフ周波数を自由に設定でき、不要なノイズを適切にカットします。

Phantom Power - ファンタム電源

スタジオコンデンサーマイクロフォンに48Vの電源を供給します。

Phase Inverts / Ø - 位相極性

ソースの位相を180°反転させます。

COMPRESSION -コンプレッション

信号レベルが "スレッショルド" の設定値以下であった場合、ゲインコントロールは機能せず、入力レベルがそのままリニアに出力されます。信号レベルが "スレッショルド" 値に達し、それ以上になった場合、ゲインは”レシオ”設定に従ってコントロール (コンプレッション) されます。

GAIN - ゲイン

コンプレッサーはオーディオ信号のレベルを抑えるプロセッサーです。そのため、オンにした際とオフにした際の出力音量が異なります。ゲイン(メイクアップ)でコンプレッサーによって抑えられたゲインの補正をします。Portico のコンプレッサーモジュールには、-6~+20dBの範囲の(メイクアップ)ゲインコントロールが用意されています。一般的にはコンプをオンにした際とオフにした際の音量が同じになるように設定します。

RATIO - レシオ

コンプレッサーのゲイン圧縮比を設定します。
設定範囲は 1:1 ~ LIMIT(約 40:1)

Threshold - スレッショルド

コンプレッサーが動作する信号レベルを設定します。信号レベルが設定値以上に達した際にコンプレッサーが機能します。
設定範囲は -30 ~ +20dBU

ATTACK TIME - アタックタイム

コンプレッサーの開始時間を設定します。
設定範囲は 20 ~ 75 ms(ミリ秒)

RELEASE / RECOVERY TIME - リリース/リカバリータイム

コンプレッサーによるゲインコントロールの持続時間を設定します。
設定範囲は 100ms ~ 2.5S(秒)

STEREO Operation - ステレオ動作

LINKボタンをオンにした場合、リンクコネクター同士が繋がれたユニットのコンプレッサーが連動します。2台の5015でステレオ信号を扱う際に便利な機能です。この機能はV.C.A.の動作のみが同期しますので、2台のパラメーター設定はほぼ同じに揃えておく必要があります。揃っていない場合、ステレオバランスが崩れる場合があります。

DUCKING - ダッキング

LINK機能は通常、コンプレッサー同士の連動に使用しますが、リンク入力に別のオーディオ信号を入力して、コンプレッサー入力とは違う信号をコンプレッサーのゲインコントロールに使用することもできます。

REDUCTION METER - リダクションメーター

コンプレッサー部のメーターはゲインリダクション、つまりコンプレッサーによってどの程度のゲインレベルが抑えられているのかを表示します。このメーターは通常のレベルメーターとは逆に、右側から点灯します。

仕様

マイクプリ

ゲイン
Unity ~ +66dB / 6dBごとの12ステップ
+トリムコントロール ±6dB(ゲインステップに対しての微調整)

最大出力レベル
+24dBu、@20 ~ 40kHz

周波数特性
メイン出力、負荷なし
-3dB @ 18Hz、-3dB @ 160kHz

ノイズレベル
メインアウトで計測、unweighted、22Hz ~ 22kHz、150Ωターミネート
–100dBu以下 @ユニティゲイン
-62dBu以下 @66dBゲイン
-128dBu以下 @EIN

THD+N (高周波歪み率)
10Hz ~ 80kHz以下、+20dBu出力
0.002%以下 @ 1kHz
0.020%以下 @ 20Hz

Silk回路
2次倍音、0.2%以下

ハイパスフィルター
カットオフ周波数:20Hz ~ 250Hz
スロープ:12dB/oct

ミュート
メイン出力のみに適用

ファンタム電源
DC +48V ±1%

コンプレッサー

ゲインレンジ
-6dB ~ +20dB(メイクアップコントロール)

スレッショルド
-36dB ~ +22dB

レシオ
1.1: 1 ~ “リミット”(40:1)

アタック
20ms ~ 75ms(ミリ秒)

リリース
100ms ~ 2.5秒

FF/FB (VCAモード)
FF(Feed-Forward)または FB(Feed-Back)

リンク
VCAの動作に作用するための信号端子、複数の5015を数珠繋ぎでリンク可能

最大出力レベル
+25dBu(トランスフォーマーフローティングバランス出力)

周波数特性
メイン出力、ユニティゲイン
-3dB @ 18Hz、-3dB @ 150kHz

ノイズ (主に2次倍音)
メインアウトで計測、unweighted、22Hz ~ 22kHz、40Ωターミネート、ユニティーゲイン
-103dBu以下 @ コンプレッサーオフ
-92dBu以下 @ コンプレッサーオン

THD+N (高周波歪み率)
2kHz、+20dBu出力、メイン出力、負荷なし
0.001%以下 @ コンプレッサーオフ
0.06%以下 @ コンプレッサーオン

電源

電圧範囲:DC 9 ~ 18V、12W
接続端子:5.5mm X 2.5mm DCジャック、センター+
電源消費:1.0A @9VDC、730mA @12VDC、570mA @15VDC、480mA @18VDC

Porticoシリーズについて

Portico (ポルティコ)、それは建設用語でグランドエントランスや門戸を意味します。私たちRNDチームは、期待への "扉" という意味を込め、この言葉を採用しました。Portico シリーズはプリアンプやアナログのオーディオプロセッサーで構成されており、これらは単独で使用することも組み合わせて使用することも可能で、大規模アナログコンソールなどの中でも重要な鍵となります。

ハイクォリティのミキシングコンソールは強力かつ多様なオーディオツールを供給する反面、選択肢が非常に限られます。そしてその導入コストは莫大になりがちで、不要なもの(や機能)も多く付随しているケースがあります。Protico シリーズは非常に高いクォリティと絶妙な機能を備え、かつ入手しやすく、どこにおいても使用できます - 余分なものは一切ありません。

ビンテージモジュールのサウンドに精通した多くの業界人からの意見を取り入れた Portico シリーズは、最高にして最も信頼の置ける回路設計をベースにしています。

価格

Portico 5015H (Horizontal / ヨコ型), ハーフラックサイズ

実勢価格 205,000円(税別)
JANコード:4530027320875

※2016年8月12日(金)価格改定
旧市場実勢価格:230,000円(税別)
以下の販売店ページからご購入いただけます

5211-RM

実勢価格 11,000円(税別)
JANコード:4530027320936
ハーフラックPORTICO 1台をラックマウントするキット、ブランクパネルとジョイントがセット

5221-RM

実勢価格 8,000円(税別)
JANコード:4530027320943
ハーフラックPORTICO 2台をラックマウントするキット、ジョイントブロック
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