ベテランのヒップホップ/エレクトロニック・プロデューサー:Arabian Princeは25年もの着実なキャリアを積んできました。 今でも、彼は留まることを知りません。 NWAのオリジナルメンバーであり、その後スターとなったDr.DreやIce Cubeと共に、Arabianのサウンドは初期のウエストコースト・ヒップホップシーンとディープなユーロ・エレクトロポップの影響を反映しています。 もっと最近では、Arabian はリミックスやアニメやテレビゲームの音楽を担当するなど多岐にわたって活動しています。 私は、世界を飛び回り、スタジオプロジェクトに大忙しの彼をつかまえ、インタビューを試みました。
あなたは、お父さんがラジオ局で働いていた時に、そのラジオ局に乗り込んでいき、ミックステープを作ってキャリアをスタートさせましたね。そこからあなたのキャリアはどのように進んでいったのですか? 次のステップは何だったのですか?DJですか?
ああ、その通りだよ。 僕の父がラジオ局で働いていたときに、僕のキャリアはスタートしたんだ。 そこから僕はスタートし、80年代はじめに 地元のたくさんのスクールダンスDJになったんだよ。 それが僕の音楽キャリアに拍車をかけたんだ。 僕の父は音楽業界にいて、ラジオ関係の仕事をしていたし、僕の母も実際ピアニスト兼音楽教師だったんだよ。 だから僕は成長過程でたくさんの音楽的影響をうけたんだ。
学校では、単なる考えの延長で、“・・・ちょっと待てよ! 多分、スクールダンスでDJできるぞ!”という感じだったんだ。 だから、僕はDJの仕事を始めたんだよ。 そして、その仕事はウエストコーストで凄い勢いで成長していった。 80年代はじめ、僕らは小さな学校から始まって、近所のコミュニティーセンターへ、そして大きなホールへ、それからコンベンションセンターへ、そして最後には一ヶ月に一度、10,000人収容できるLAスポーツアリーナでDJをするようになったんだ。 コンサートなんかじゃあなくて、僕が話しているのは、たった4人のDJと10,000の観客なんだよ。 そのくらい大きく成長したんだよ。
それが音楽での僕のキャリアの始まりだった。 なぜなら、もし僕らがただDJしているのを観るために10,000人もの観客を集められるのなら、それだったら、僕ら自身の音楽を作ろう!ということになったんだ。 僕らはドラムマシーンやシンセサイザーを引っ掻き回し始めたんだ。 そして、それが僕の音楽キャリアの始まりだったんだよ。
コンピューター・ベイスのレコーディングや編集方法が導入された時、それはあなたにとって大きな追い風でしたか?
そうだね。 僕は子供の頃からずっと「テクノ野郎」だったからね。 物を分解して、どのように動くのか学ぶんだ。 僕が音楽を始めた時、早い時期からシーケンサーやドラムマシーンについて勉強していたし、準備万端だった。 僕は君が考えつく全てのキーボードやシーケンサー、ドラムマシーンを持っていたよ。 君が考えつく全てのアウトボードギアの一つひとつ、コンプレッサーからリバーブやゲイツとか全てのものさ。だから、僕はスタジオでそれらすべてを所有できたんだ。 その後、すべてがデジタルに変わった時、僕はその最先端をいってた人達の一人だった。 「これはすごいや!今では、これを僕のコンピューターを使ってできるのかい?もうテープをめちゃくちゃにしなくてもいいんだね?」という感じで、僕は初期のデジタル・オーディオシステムに乗り換えた最初の一人だったんだ。
その後、僕がそれまでつかっていたアウトボードギアの多くがデジタルに変わったことを知って、本当に興奮したよ。昔、僕らは実際に古いアナログボードを使ってきた。でも今では、古いアナログボードのサウンドを新しいソフトウェアでできるんだ。本当に気に入っているよ。

あなたが80年代サウンドから、エレクトロ・クラッシュをサンプリングするのが好きなのは知っていますよ。
そう、そう!そうなんだ。 僕らが80年代にそのサウンドを作ったんだからね。僕の友人、Egyptian LoverとDr.Dre、そして僕が当時、ウェストコーストでエレクトローファンクなものを作ったんだ。 今ではそれをデジタルなものにしている。 僕は実際、みんなと賭けたんだ。みんなは僕にこう言ったよ、「アナログなやり方なしでコンピューターだけを使って、同じタイプの音楽を作ったり、同じサウンドを創るなんてできっこないよ」ってね。 言うまでもなく、僕はそれら多くの賭けに勝ったよ。 すべては、自分が欲しいサウンドを得るのに自分の持っているギア、ソフトウェアとどのように使うかってことなんだ。 だから、確かに僕は古風なやり方でサウンドをだすのが大好きなんだね。
あなたが使っているメインのデジタルオーディオワークステーションは何ですか?
現在、僕のスタジオでは、Dコマンドコンソール搭載のPro Toolセットアップを使っているよ。
いいボードですよね。
そうだね。 それに、多分僕は他のソフトウェアすべてを持っていると思うよ。 Pro Tool以外では、Cubase、Logic、ReasonとLiveも使っている。 何をするかによって、また実際のスタジオで誰と仕事をするかによって使いわけている。 そうすることによって、僕はフレキシブルになれるんだよ。 僕は決して、ひとつのギアしか使わないような人間じゃあない。 一昔前、一切コンピューターを使わずに音楽を創っていた時は、みんな、使えるものは何でも使っていたと思うよ。 ハンマーやゴミ箱、何でもかんでもだ(笑)。 だから、僕は同じように、これを予想していた。 僕は手当たり次第に何でもギアを使うよ。
あなたはUAD-2プラグインをずっと使ってますけど、特に気に入っているものはありますか?
僕のお気に入りの一つは、新しいTrident A-Rangeプラグインです。僕らの初期の時代に使っていたボードだったからね。 カリフォルニア州のTorranceにAudio Achievementsというスタジオがあって、そこで僕達は、すべてのNWA(Niggaz Wit Attitudes)関係の曲を作った。 そこが、僕らが初期のたくさんのエレクトロな曲を作った場所でもあったんだ。 そこにあるのが僕のお気に入りのボードさ。
ある時点で、実際、僕はそのボードを購入しようとしてたよ。 それらは古くて、入手するのが困難だった。 そのボードを持っている人は、誰も手放したがらないんだよ。 そのボードの所有者達は何があっても、処分したりしないんだ。 実際、僕はTrident のプレアンプとアウトボード・プレアンプをいつくか持っているよ。 でも、いつも修理しないといけない。 僕は常に微調整しなくちゃあならなかったよ。
だから、Tridentのデジタルバージョンを手にするようになって、今では24トラックや32トラックをTrident(A-Rangeプラグイン)を使ってミックスしているよ、可能であればね。 (笑)すべての曲を、昔のサウンドと同じ音にするのに、Tridentを使ってミックスしているだ。
それに、本当に正確なんだよ。
Tridentサウンドの良さは何でしょうか?
サウンドがとても暖かいし、それに低音がいいね。 つまり、Tridentで低音を持ち上げても、歪みがない。 僕らは当時、大きなベースサウンドが特徴で知られていたんだよ。 当時僕らは、大きくて長い低音Rolandの808ドラムマシーンをよく使っていた。
たくさん他のコンソール、アウトボードギアも使っていたから、本当にサウンドをディストーションや割れたりさせないようにするのは大変だったよ。 Tridentボードを使って―僕らは好きなだけ荒く扱えるし、しかも良いサウンドを作り出せるんだ。
他のプロジェクトでも、そのボードを使ったのですか?
ああ。 僕は今、Cash Money Records のLil’Wayneレーベルと契約したアーティストのプロデュースをしている。 彼女の名前は、T. Lopezといって、彼らのレーベルの新しいポップアーティストなんだ。 彼女の新曲は、“Everybody Loves Bass”というよ。 まあとにかく、それが適切なタイトルだ(笑)。 僕らはその曲を作るのにUADプラグインをたくさん使ったよ。
初期のNWA
他のプラグインでは何が気に入ってますか?
もちろん、Neve社のものは好きだ。 Neve社のものを嫌いな奴なんかいないよね。 それと僕は、あちこちでFATSO Jr.と使っている。 SSL G Series バス・コンプレッサーのバスコンプレッサーは本当に、本当にいいよ。 マルチバンドのものもたくさん使っているよ。
僕はよくサウンドの微調整をするんだ。 僕はストックサウンドを使わない主義に大賛成だ。 僕は使う予定のたくさんのサウンドやドラム音をロードアップして、ドラム音をプレミックスするんだよ。 スネアドラム音も取りこんで、プラグインを使って操作し、変えてみたり、圧縮してみたり、EQを使ってみたりして、それから新しいサンプルとして保存しなおす。 僕の音楽ではよくやっていることなんだ。
だから今では、曲を取り込むと、ダブルエフェクトができるんだよ。 僕はすでに前もってエフェクトをかけて、EQ処理もしていて、音を本当に良くしている。 それから、それを再度戻して、Neveや他のものをつかって処理し、サウンドをよりよくするんだよ。
つまりあなたが曲に取り掛かる前に、すでにサウンドやドラム音を用意していて、オリジナルなサウンドに仕上げるっていうことですか?
ああ、その通りだ。 そうする理由は、今ではみんながプラグインを持っていて、みんながドラムを持っているからだ。 だから、僕の音楽のサウンドを他の奴らのサウンドとの違いは、僕は時間をかけて、すべてにおいて独特なサウンドを創っているってことなんだよ。
昔は、2つとして同じ音を出すドラムセットはなかった。 そその2つのドラムは同じ会社が製造したかもしれない、でも、それはそのドラムがどのように作られ、どのように音調整をしたかによって違っていた。 みんな、自分自身のオリジナルのサウンドを奏でることができた。でも、今では、みんなドラムマシーン、サンプラーやシーケンサーを持っている。 みんな同じ音をだすんだよ。 だから、ちょっと考えて、「待てよ、僕は僕自身のオリジナルなサウンドを創るんだ。」 と思わなければ、他のみんなと同じでしかなくなる。
あなたは大抵、ドラムマシーンやライブラリーを使っているのですか? 時々、本物のドラマーをスタジオで使ったりするのですか?
個人的には、僕は滅多にドラマーをスタジオに使わないよ。なぜって、僕はいつも地方で仕事をしているからね。 僕はいつもドラムマシーンばかり使っているよ。 808、909そして古いドラムマシーンが大好きだ。 誰と仕事をするかで何を使うか決まってくる。 もし、ダンスミュージックと作るなら、僕は絶対にドラムマシーンをつかうね。 もしR&B風の曲を作るなら、本物のドラマーを連れてくるよ。
でも僕がすることは、僕がデジタルでたくさんのことをやったうえで、パーカッションニストを連れてくるね。
それと、キーボード部分も自分でやっているのですか?
弾けるよ。 まあ、僕の母ほどではないけどね。 僕の母は、僕が小さい頃に教えようとしたんだ。 だけど、僕は彼女のように音符が読めないことに嫌気がさして辞めた。 でも弾けるよ。 耳で教わったんだ。 まあまあ上手に弾けるよ。
私は、あなたがRolandのプラグイン愛好家ファミリーの一人だと思ってましたよ。 Dimension-DやSpace Echoのようにね。 それらのプラグインをよく使っていましたか?
もちろん。 僕はヨーロッパのエレクトロミュージック・シーンではProfessor Xとして、他のプロジェクトに関わっている。 僕をArabian Princeとしても知っているけど、僕はよりKraftwerkタイプのエレクトロミュージック作曲者であるProfessor Xとしても知られている。 よりデジタル化された音楽だよ。
ここアメリカとヨーロッパで、エレクトロミュージックが流行しているのはどちらですか?
むこうでは、盛り上がりがすごいよ。 だから、僕はそのスタイルの音楽をやるし、Rolandのプラグインを使っている。 (Rolandのプラグインは)それにピッタリなんだ。 それを使うと、エレクトロミュージックにボックスリバーブサウンドやディレイサウンドにビンテージ感を与えるんだよ。 サウンドを本当に、本当に良く、エレクトロっぽくするんだ。
最近、ColdCaveという新しいインディバンドの曲を聴いたんですけど、彼らの曲の音質はとてもローファイに聞こえたのです。 その後、彼らのインタビューを聞く機会があって、その時、彼らは古いCasioのキーボードを使っていると言っていたわ。 それで、私は「なるほど!どうりでそんなサウンドだわ」と思ったのです。
ああ。 でも素晴らしくないかい?
君がそんなことを言うのはおもしろいね。 僕はちょうどMusicians Instituteでスピーチをした。 彼らは僕に生徒達に話しをさせるために呼んで、それで僕は生徒達に向かってスピーチをしたよ。 僕は、今日では、我々はただ店に行って、300ドルくらいでレコーディングスタジオを買えることを当たり前だと思っている。 真面目にさ。 ちょっと店に行って、300ドル、500ドルくらい払えばレコーディングスタジオを買える。 そして、それを自分のラップトップにダウンロードすれば、音楽を作れるのさ。
でも、忘れちゃならないのは、何もないところから、ヒットレコードが世に出回っているってことだよ。 Sweet Dreams(Eurythmics)は、Casioのキーボードで作られていて、未だに偉大なレコードのひとつだ。 今日にいたるまで、クラブでこのレコードがかかったら、人々は熱狂するんだよ。 この曲はCasioのキーボードで作曲されたんだ―電池が入っている小さなキーボードでね!(笑) 本当に信じられないよ。
あなたがDJをする時、本当のヴァイナルでプレイしますか?それとも、あなたがスタジオで予め作ったミックステープを持込みますか?
ちょっとずつ両方だね。 僕は自分オリジナルのマッシュアップを作るのが好きなんだ。 だから、僕は予め少しつくっておいて、それから(コンピューターに)入れるようにしている。 僕は地元にいるときだけVinylを使う。 でも僕はよく海外に行くから、TrackorやScratch、それに時々Seratoを使う。 僕にとっては、マッシュアップやそれに準ずるものを入れておくほうが、ずっと簡単なんだよ。 格好良く仕上がるしね。 自分がプレイして、ドラム音を付け加えたい曲を取り出して、編集して短くしたり、変えたりできるんだ。

たくさんバーチャル・インストルメントを使っているのでは?
たくさんバーチャル・インストルメントを使っているし、たくさんバーチャルドラムもさ。
Universal Audioユーザーに何かアドバイスをいただけますか? 例えば、決めのベースサウンドをだすにはどのプラグインを使ったらいいかとか。
もちろん! 僕はこうやって仕事をしているよ。 まず始めに、自分の主要なベースサウンドを何であるか決め、そしてそのルートサンプルが何であるか見極めるんだ。 もしそれがサンプルではなかったら、曲の中でエフェクトをかけなければならない。 でも、まず僕がしようとするのはルートサンプルを探すことだ。 そして、それをFATSO Jr.やTrident A-Rangeのようなものにかける。 サウンドをちょっと増強させるんだよ。 EQをちょっと加えて、何かちょっとひと工夫加えるのさ。
それから、どんな仕事かによって違うけど、もしエレクトロミュージックに取り組んでいるなら、Rolandのキーボード等を使うのさ。ちょっとトリップしているように見せるんだ。 それが終了次第、別のサンプルとして再度保存して、新しいサンプルと一緒にオリジナルのサンプルを実際にかけてみる。 それから、その一緒にしたサンプルをちょっとだけ相殺するんだ、ミリ秒単位でね。 だからそれらは消え去らないし、むしろ増強されたサウンドになるんだよ。
それに、そのサウンドは実際古い感じに聞こえる。 古い型のキーボードは決してぴったりと音をださないんだ。 それが今日のシーケンサーの象徴とするところさ、全て完璧だ。 ちょっとだけ感情的なものが欲しいかったり、ちょっとだけ一線をずれていたり、それが曲をファンキーにするし、人間らしく聞こえるんだ。 僕はいつも自分の音楽に人間的な要素を取り入れるようにしている。 その作業を終了したら、多分僕はNeveを使って、そのサンプルを編集する。 もしくは、ちょっとDreamVerbをかけてみたり、まあ色々なことをしてみるよ。
1176(プラグにリンク)についてはどうですか? 使ってますか?
ああ、当然使っている。 作業の終盤にかけて使っている。 僕は作業の終わりかけに、1176をミックス全体の少し「甘味料的なもの」として使っているよ。
よくコンプを使うほうですか?
そうだね。 確かによくコンプをかけるよ。 何の仕事に取り掛かっているかによって違うけどね。 ある一定のものは圧縮できない。 808ドラムマシーンとかね。 808ドラムマシーンを圧縮するのは本当に大変なんだ。 もしそれを圧縮したら、ドラムからのレゾナンスをカットしてしまうんだ。 でも他のたくさんのもの、例えば手拍子音やスネア等については、確かに僕は圧縮するのが大好きだ。
何かあなたに聞き忘れたことはあるかしら?
君は、なぜプラグインをとても気に入っているか、僕に聞き忘れているよ! なぜなら簡単に入手できるし、価格に比べてどれだけの機能をUAD‐2に期待できるか・・・つまり、それが僕のハードドライブに搭載されているんだ。 僕は数百万ドルに値するギアを持っているってことだよ。 僕はわざわざ外出して、Trident A Range コンソールや古いNeveと同じ効果を得る為に、25万ドルもの費用を追加しなくていいんだ。 たぶん、この地球上どこにもDimension Dと同じことができる人なんて見つけられないだろうね。
それと、PultecsとFairchild。 この2つは本当に、本当に貴重なギアだ。 でも、そういうものを今では目にすることはない。 もし目にしたとしても、スタジオで使えるような状態ではないと思うよ。 だからUADカードなら、出掛けて、ちょっとだけお金を費やして、スタジオにあるような何百万ドルもするようなギアと同じ価値の機能を得ることができるんだ。 それにいつでも好きな時に使える―それだけさ。 だから僕は大好きなんだよ。
これ以上の褒め言葉はないわ。 ありがとう、Arabian。
