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Townsend Labs : Sphere™ でさらなる指向性の扉を開く

By Chris Townsend | 2016年10月24日

Sphere マイクロフォンモデリング技術では、9つのポーラー・パターン(指向性)を選択することができます。モデリング元のマイクにないパターンでも、です。クールでしょう?

一般的なマルチパターンマイクでは、前後のカーディオイドカプセルからの出力バランスを電気的に混ぜ合わせることによって、指向性の調整を可能とします。無指向性は前後の出力バランスが等比でサミングされることで生成されます。双指向性の場合は前後の差異(逆相サミング)によって、です。カーディオイドの場合は、シンプルに前面からの出力のみが使用されます。

ハイパーカーディオイドは、カーディオイドと双指向を等比でブレンドすることによって生成されます。スーパーカーディオイドは、カーディオイドとハイパーカーディオイドを等比でブレンドした結果です。サブカーディオイドはオムニとカーディオイドを混ぜ合わせることで生み出されます。

興味深いことに、無指向と双指向の反応を知れば、カーディオイドやスーパーカーディオイド等、その他のパターンはこの2つの中間体として見つけることが可能となります。たとえモデル元のマイクが2つのパターンしか備えていない場合でも、Sphere はこの理論を基に9つの指向性パターンを生成します - この処理結果は、実際にマイクの電気回路によって生み出されるそれと非常に近くなります。

例えば、Neumann U87 にはオムニ、カーディオイド、双指向の3パターンのみが用意されていますが、Sphere モデルでは、これにサブカーディオイド、ハイパーカーディオイド、その他4つの中間パターンを扱うことが可能です。これは基本的に、実際の U87 の回路をハイパーカーディオイドを生成できるようモディファイすることに相当します。

Neumann U47 のカーディオイド設定は、(Neumann がカーディオイドと呼んでいても)実際にはスーパーカーディオイドとハイパーカーディオイドの間にあります。よって Sphere の 47 モデルでカーディオイドを選択した場合でも、実機と同様にスーパーカーディオイドのようなパターンになります。指向性は常にある程度周波数に依存する面を持っているため、一言では片付けられない複雑なものです。たとえ U47 が名目上のスーパーカーディオイドパターンを持っていたとしても、低域では無指向に近づき、高域になるにつれて指向性が強まっていく傾向があります。

スモールダイアフラムコンデンサーでは異なるパターンを実現するために、複数の交換可能なカプセルが用意されていることがよくあります。例えば AKG C451 シリーズのマイクには、オムニ、カーディオイド、ハイパーカーディオイド、そして双指向のカプセルを取り付けることが可能です。Sphere では、これらの4つのパターンの中からいずれかを選択可能ですが、オリジナルでは不可能な他の5つのパターン(スーパーカーディオイド等)を選択することもできます。

カーディオイドの特性から全ての指向性へと近づけていくことも可能でしょう。なぜなら、これは無指向と双指向とが等比で構成されているからです。しかし、単なる無指向性、もしくは単なる双指向性からそれ以外のパターンを生成するには、はるかに「創造的な」仕事となります。例えば、双指向性のリボンマイクを使ってそれを無指向性とする物理的に有用な方法はありません。このような場合にはオンアクシスの周波数特性が一般的なパターンと結合され、新しいタイプのマイクロフォンが効果的に生み出されます。

もし本当に一般的な双指向のリボンサウンドから無指向、あるいはカーディオイドマイクを生成したいのであれば、Off-Axis Correction™ 機能を理解してください。

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