The Black Keys : UADプラグインとともにヒットを生み出す

The Black Keys - Patrick Carney (ドラマー) と Dan Auerbach (シンガー/ギタリスト) - は、芸術面、商業面、そして制作に対する識見や野心といったあらゆるレベルにおいて、素晴らしい音楽的進化のストーリーを体現しています。

オハイオ州アクロンの Carney の地下室にある Tascam 38 でホームレコーディングされた彼らの初のインディーアルバム The Big Come Up から、ロサンゼルスの Sunset Sound Studio 2 でスーパープロデューサー Danger Mouse (Brian Burton) とともに制作した新たなナンバーワンアルバム Turn Blue に至るまで、ローファイさとインスピレーションに満ちたアナログ精神をここまでモノにしてきたバンドは他に見当たりません。一方で、彼らの最近の数枚のアルバムでは映画的なサウンドスケープへの接近と、デジタル時代を受け入れながらも有機的で、ありのままのアナログサウンドを大事にするトップクラスのエンジニアリングとが驚くほどうまく結びついています。

Carney も Auerbach もそれぞれが熟練のプロデューサーです。Auerbach は Dr. John、Hacienda をはじめとする数多の作品のプロデュースを行い、中でも Lana Del Rey の Ultraviolence では2013年のグラミーでプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。Carney は The Sheepdogs、Tennis、Houseguest といったバンドをプロデュースしています。ここでは制作工程について、そしていかにUADパワードプラグインが彼らの入念なバランス感覚において欠かせないキーツールとして機能しているかについて語ってくれました。

- Turn Blue は Brian Burton と作る3枚目のレコードですね。“The Weight of Love” といった曲は Brothers 収録の “Too Afraid to Love You” で見られるような映画的方向に大きく向かっていますね。

Patrick Carney : すべてのレコードが違う音に聞こえるはずだよ。多分経験を重ねるにつれ、いろんなタイプの音楽を取り込んでいるからだろうね。毎回、レコーディング、ソングライティング、プロデュースについて新たに学ぶことがあるんだ。Brian とはもう7年仕事をしてきたけど、今じゃ3ピースバンドみたいなもんさ。理想的な協力体制を築けていて、一緒にあらゆるパーツを見つけては洗練させていってる感じだよ。

プロセスについてお伺いしてもよろしいでしょうか?

Patrick Carney : ベースラインを一緒に書いて、ギターとドラムのパートは微かく調整していくよ - ほとんどのドラムに関しては俺が、ギターパートは Dan か俺どちらかが最初のアイデアを持ち込んでスタートするかな。そこからは Brian も加わり、ベースと鍵盤も加えてまるで4ピースのようにレコーディングやアレンジを進めていく。実際には2人だけのバンドだけどね。


スタジオでずっと Turn Blue の作曲、アレンジ、レコーディングを行うのは大変でしたか?それとも、解放感を覚えましたか?

Dan Auerbach : 以前はスタジオで作曲していたからそんなに新しい経験じゃなかったかな。曲は小さなアイデアから生まれるんだ - 興味を惹かれる些細な事がきっかけとなる。 正解も間違ったやり方もないんだよね。鍵盤を除き、楽器や音色作りにはほとんど時間を割かなかった。かねてから熟知している楽器を使い、代わりにメロディーや構成等、楽曲そのものに集中することに時間を使ったね。

Patrick、ここ5年のあなたのドラムサウンドは初期作品と比べてより太く、よりクランチー、よりアンビエントなサウンドへと格段に進化しましたね。

Patrick Carney :  まぁ、俺はドラムサウンドに関してうるさいし、Dan も自分のギターサウンドに対して強いこだわりを持っているからね。俺たちは2人ともサウンドを思うままにすることは得意なんだけど、エンジニアには彼らならではのトーンを期待して任せきってるよ。ドラムサウンドに関して言えば、ドラムの周りにちょっぴりスペースを感じられて、タムは丸くあって欲しいね。だけど、反射音は好きじゃない。ある意味、ルームサウンドもいらないくらいかな。Hi Records (メンフィスの名門レーベル) のようなハイハットにしたい。キックは古いメンフィスロックみたいな、70年代初期のサウンドにしたい。スネアには瑞々しさ、深さ、太さが欲しいのと同時に共鳴は一切いらないな。

Dan、あなたのギターとボーカルは独特なトーンですね。サウンドを得る際に心掛けていることはどういったものでしょう?

Dan Auerbach : マイキングに関しては「控え目に」「シンプルに」がより良い結果を生むと思っている。ボーカルに関しては Shure SM58 のようなハンドヘルドのダイナミックマイクが好きで、曲によってより繊細でディテールが欲しい時にだけラージダイアフラムのマイクを使っているんだ。ギターにはアウトボードとはまた違うリバーブを内蔵した小型の真空管アンプがいいね。

いくつものリグを試す必要はないってことですね?

Dan Auerbach : 俺はシンプルさを信じているからね。何もそそらなければ違うペダル、アンプ、ギターを試してみるけど、一度ギターとアンプの最高の組み合わせを見つけたらその後のセッションはずっとそれでいくだろうね。結局はプレイヤーってこと。ギアではないんだ。

"UADプラグインはとにかく凄いね。ここ数年来、全てのプロジェクトで使っているよ。"

Patrick、ドラムのサウンド作りと録音方法に関して特別な方法があれば教えていただけますか?

Patrick Carney : ほとんどいつも4本のマイクで録っている。基本はキックに Electro-Voice RE20、スネアは SM57、オーバーヘッドに Coles のリボンマイクを2本。"Glyn Johns テクニック" を基にね。(いくつかのバリエーションは存在しますが、古典的な Glyn Johns テクニックは、キックマイク、スネアマイク、シンバル/フロアタム用のサイドマイク、そしてキックとスネアのほぼ中央およそ3フィート上にある単一のオーバーヘッドから構成されます。)

どういう経緯でこの手法にたどり着いたのですか?

Patrick Carney : レコーディングを始めたころはあちこちにマイクを置いていたなぁ。初めて行った商業スタジオにはたしか12本もマイクがあってね、それを全部使っちゃおうって思ったんだ!少ないマイクで録ることについての理解が深まったのは4作目以降じゃなかったかな。正しい位置にマイキングすることでドラムサウンドがずっと良くなったよ。でも一朝一夕じゃなかった。初めて Glyn Johns テクニックを試した時はそりゃあもうクソみたいな音でさ...しかし5~6バンドを同じ手法で録り続けてみたら、グレートなサウンドを得られるようになったんだ。このトリックはドラマーへシンバルに対してクレイジーにならないよう告げてくれる。実際、俺もクラッシュシンバルはほとんどいつもオーバーダビングしてるよ。

クラッシュをオーバーダビングすることについて詳しく教えていただけますか?どんなメリットがあるのでしょう?

Patrick Carney : Brothers を作ったころから始めたんだ。当時は自分のドラムセットに組み込むクラッシュシンバルを持ってなかったから、文字通り本番のトラッキングでシンバルを叩くことはなかった。結果的にオーバーヘッドに余裕が生まれる分、それを通じてドラムの厚みや太さみたいなのをより実感できるようになる。あと、必ずしもオーバーヘッドは2本必要なわけじゃないよ。Brothers の大半のレコーディングは Mark Neill にお願いしたんだけど、彼は1本の古い Neumann KM 84 をオーバーヘッドに使ったんだよね。それは最近俺が Glyn Johns テクニックに切り替えるまでやっていたのと同じ手法だった。それが全てさ。たしかに、フロアタムが重要な曲があればそこにスポットでマイクを置くかもしれないけど、アタックが欲しいだけだから控え目にするだろうね。

UADプラグインがあなたのレコードや様々なプロジェクトにもたらすものとは、どのようなものでしょうか?

Dan Auerbach : 最近のUADプラグインは素晴らしいね。直感的ですぐに良いサウンドが得られるし、好みのサウンドにするためのエディットも簡単。ここ数年のプロジェクトで欠かせなくなっているよ。

Patrick Carney : SSL G S Bus Compressor プラグインは、微量のゲインリダクションのために俺のドラムバスの頭にたいてい使われる。各ドラムを個別でコンプレッションするより、メインバスですべてのドラムをまとめてコンプレッションすることが多いんだ。

EQには Pultec EQP-1A プラグイン、サチュレーション効果が欲しい場合には Studer A800 Multichannel Tape Recorder プラグインか、Ampex ATR-102 Mastering Tape Recorder。リバーブが欲しい時にはサブミックス全体を Ocean Way Studios プラグインか EMT® 140 Classic Plate Reverberator プラグインを立ち上げたリバーブバスにちょっとだけ送ってあげるよ。

俺はナイスなアンティークのプレートリバーブの実機も持っているんだけど、UAD EMT 140 はそれに肉薄しているね。俺のプレートはダークなサウンドがするんだけど、UAD EMT 140 の高域を僅かに落としてあげるともはや聴感上の違いは判らないと思うよ。

Ocean Way Studios プラグインに関してはいかがですか?

Patrick Carney : ドラムのまわりに僅かな空間を作ってくれる感じかな。ルームマイクとしてカーディオイドの Neumann U47 をキットの近くに置き、Ocean Way Studios プラグインを使うんだ。スラップバックや大きなリフレクションもなく、まさにちょうどいい感じでね。

ドラムサウンドのための「秘密兵器」と呼べるプラグインは他にありますか?

Patrick Carney : Galaxy Tape Echoプラグインは俺のもうひとつのお気に入りプラグイン。シンク機能はとくにスネアにダブエコーを掛けてON/OFFをオートメーション化したい時なんかに便利だよね。

ミキシングにUADプラグインを使いますか?

Patrick Carney : ミキシングの際には Precision Limiter プラグインがお気に入り。いつもミックスバスに置いて 2〜4 dBの間でリミッティングを得ようとするんだけど、正しく設定すれば完全にトランスペアレントな感じで使えるよ。そこが好きなんだ。また、UAD SSL G-Series Bus Compressor プラグインを 4 dBくらいのピークで使う時にはオートリリースを使って Precision Limiter プラグインにヒットさせることもあるよ。

UAD SSL G-Series Bus Compressor のあとに Manley® Massive Passive EQ プラグインを使うこともあれば、Pultec EQP-1A を直接 Precision Limiter に突っ込むこともある。似非マスタリングでね!でもさっきも言った通り、すべてにおいて俺は新しいことを学んでいるところだよ。

Photos of Patrick Carney: CJ Hicks

- James Rotondi

ページトップへ