sEマイクで始めるホーム&スタジオレコーディングのテクニック:#5 アコースティックギターレコーディング【2chステレオ MS方式編】

sE Electronics マイクを使ったレコーディングに役立つTipsをご紹介します。ナビゲーターは AT-Music 代表の辻 敦尊さんです。

こんにちは。AT-Music の辻です。

今回もアコースティックギターを例としながらMS方式と呼ばれる2本のマイクを使ったレコーディング方法について説明していきたいと思います。ご存知の方はどれくらいいらっしゃるものですかね?色々な場面で用いることができる方式の一つですのでこれを機会にぜひ知ってもらえたらと思います。

それから、今回もギターの演奏では渡辺具義さんにご協力いただきます。
※演奏に使用したギターは Martin HD-28V、弦は Martin MSP-3100(012〜054)です。 

MS方式とは

MS方式のMはMid(中央)を意味し、SはSide(側面)を意味します。つまり音源に対して正面の音と側面の音を収音し、その収音した2種類の音素材を基にLRのステレオ信号を合成していく方式のことです。この説明だけではピンとこない人も心配しないで下さい。これから説明していく具体的な手順をご覧いただければその仕組みなどを理解してもらえると思います。それでは手順説明へ入っていきましょう。  

手順について

はじめに 

今回は指向性を単一指向性(カーディオイド)の他、双指向性(フィギュア8)や無指向性(オムニ)に切り替えることができる sE2200aII というマイク2本を使って説明を進めていこうと思います。そしてDAWは Steinberg Cubase Pro 8 を例に説明していくようにします(Cubase 以外のDAWでも同様の操作は可能ですので自分でお使いのDAWに置き換えながら読み進めてみて下さい)。

  1. 2本あるマイクの内1本を単一指向性(Mid用)に、もう一本を双指向性(Side用)にセットします。
    ※下図の矢印で示している銀色のスイッチが指向性を切り替えるスイッチです。単一指向性の場合は中央にセット、双指向性の場合は左側にセットします(赤枠部分は指向性の種類を示しているマークになります)。
  2. アコースティックギターとの距離は約30cm、位置と高さはギターの15フレットの直線状あたりに2本のマイクを立てます。この時単一指向性にセットしたマイクはギターのねらったポイントがマイクの正面にくるように、双指向性にセットしたマイクは単一指向性マイクに対して指向性が90度を向くようにセッティングします。

    アドバイス!
    使用するマイクの大きさや形状によってはマイク同士が物理的に干渉しないように考慮する必要があります。今回使用した sE2200aII の場合であれば下図のような2パターンでのセッティングが考えられると思います。
  3. それぞれのマイクからの音をDAWへレコーディングします。
  4. 双指向性マイク(Side)のトラックだけ複製します。
  5. ①複製したトラックと元のトラックの定位をそれぞれLeftとRightに振り切り、②複製したトラック側だけフェーズを反転させます。
    ※複製元のトラック側だけフェーズを反転させるのでもかまいません。
    アドバイス!
    この先は手順5で設定した2つのトラックを一組(Sideトラック)として扱っていきますのでチャンネルリンクやグループ化しておくと便利でしょう。
  6. Sideの音が配置されている2つのトラック(Sideトラック)の音量は一致させながら、Midの音と音量バランスを取ります。

    ポイント!

    Midの音に対してSideの音量が大きいほど左右への拡がり感は強く感じられます。  

収録した実際のサウンドについて

それではMS方式で収録した実際のサウンドを聴いていただきましょう。
※良いモニター環境で聴いていただけるほど、その効果をよく感じていただけるかと思いますのでスマホなどで確認される方はイヤフォンやヘッドフォンで聴いてみていただけたらと思います。

 
(Midに対してSideの音量を70%~80%くらいにしたサウンド)


(Midに対してSideの音量を40%~50%くらいにしたサウンド)

※前回と同じく今回も使用したオーディオインターフェースとマイクプリは Universal Audio Apollo Twin MkII です(エフェクト処理などはおこなっていません)。サウンドサンプルに対してはノーマライズ処理だけを施している状態となります。  

いかがでしたでしょうか?

モノラルレコーディングとのサウンドの差はもちろん、前回ご紹介したORTF方式ともやはり違った印象の拡がり感が感じられたかと思います。この方式はアコースティックギター以外にもドラムやピアノなどのレコーディングでも有効だと思いますので一度試してみてもらえたらと思います。  

それではアコースティックギターをテーマとしたレコーディング方法はこの辺りまでとして、次回はエレキギターのアンプレコーディングをテーマにお届けしたいと思います。

ぜひ次回もご覧ください。

渡辺具義(わたなべともよし)

Musicians Institute (Hollywood校) 卒。

アーティストやタレントのライブサポート、レコーディング、アレンジ等で活躍。 (SMAP、つのだひろ、つるの剛士、城南海、LiLiCo、松下奈緒、南里沙、すみれ、野沢香苗、 等)
リットーミュージックより多数のギターの教則本を出版。
アコースティックギターアルバム『眠れる森のJazz Guitar』をitunes storeにて発売中。

辻 敦尊(つじあつたか)

音楽家・クロスメディアアーティスト

中学時代より作曲とギターを始め、20歳からプロとしての音楽家活動をスタート。
また、音楽家としての活動と並行しながらコンピュータ系のエンジニアとしても長年活動。
企業向けに音を中心としたコンテンツ制作や開発協力などをおこなう事が多く、ここ数年では音楽分野以外にも3Dコンテンツ制作に関する執筆業やサラウンドや立体音響コンテンツ制作、映像コンテンツ制作、プログラミングなど幅広いジャンルで制作プロジェクトに関わっている。

AT-Music 代表

AT-Music ホームページ

関連記事

ページトップへ