sEマイクで始めるホーム&スタジオレコーディングのテクニック:#3 アコースティックギターレコーディング【モノラル編】

sE Electronics マイクを使ったレコーディングに役立つTipsをご紹介します。ナビゲーターは AT-Music 代表の辻 敦尊さんです。

こんにちは。AT-Music の辻です。

ボーカルレコーディングからはじまったこの連載ですが、今回はアコースティックギターのレコーディングについて触れていきたいと思います。また、sE Electronics 社の5種類のマイクを使用してそれぞれのマイクの音色やキャラクターの違いについてもお届けできればと思っています。

今回もゲストミュージシャンを招いているのでここで紹介させて下さい。ギタリストの渡辺具義さんです。渡辺さんとは過去の仕事の中でもギターのレコーディングに使用するマイクについて会話をすることが何度かあったので、すぐに「この企画は渡辺さんに協力してもらおう!」と思ったわけです。

それでは早速はじめていきましょう。  

マイクのセッティングについて

その1【マイクの高さと位置】

今回は1本のマイクで録ることをテーマに説明していこうと思うのですが、最初にマイクを立てる高さと位置について説明しようと思います。高さはギターの指板と同じくらいの高さ、マイクを立てる位置はギターの指板の12フレットから15フレット辺りを基本とします。

その2【マイクの向き(角度)】

次にマイクの向きですが、サウンドホールとマイクを立てた位置との中心辺りを狙ってセットします。
※ギターの指板の方向に向けていくほど低音成分が減っていくので曲調やアレンジに合わせて向きを調整してみるのも良いでしょう。

ポイント!
一般的なアコースティックギターと違ってサウンドホールが中央に無いタイプのギターなどでは実際の楽器の鳴りを聴きながらセッティング位置を決めていくことになるのですが、これまでの経験上サウンドホールがギターのボディの上下に空いているようなタイプの場合には上側のサウンドホールに合わせてマイクの高さを上げ、ネックのジョイント部分辺りにダイアフラムの向きを合わせていくのが良いように思います。

その3【マイクとギターの距離】

マイクのダイアフラムと、ギターの狙ったポイントとの距離が約30㎝くらいになるように調整します。
※他の楽器が近くで鳴っていたりする場合などは後ほど登場してくるリフレクションフィルターを付けたり、もう少しだけマイクとギターの距離を近い位置にセットすることもよくあります。

マイクで収録した実際のサウンドについて

それでは5種類の異なるマイクを上記セッティングで収録した実際の音を聴いていただきましょう。
※今回使用したオーディオインターフェースとマイクプリは Universal Audio Apollo Twin MkII、DAWは Steinberg Cubase Pro 8、収録時も収録後もEQ処理やエフェクト処理は行っていません。またサウンドサンプルに対しても同じ値でノーマライズ処理だけを施している状態となります。

このマイクは X1 シリーズの中でエントリーモデルの位置にあり、手に入れやすい価格であることから実際のサウンドが気になる人も多いのではないでしょうか? 

実際のサウンドはこちらになります。

マイクの基本的な仕様としてはカプセルタイプがパーマネントバイアス方式コンデンサーマイク(2/3インチダイアフラム)、指向性はカーディオイド、周波数特性は20 Hz - 20 kHzとなっています。 

このマイクは以前のモデル X1 をブラッシュアップしたバージョンとなっており、X1A と比較した場合、大きな違いとしてはダイアフラムのサイズが挙げられます。

マイクの基本的な仕様としてはカプセルタイプ :が1インチトゥルーコンデンサー、指向性 はカーディオイド、周波数特性は20 Hz - 20 kHzとなっています。

このマイクはリボンタイプのマイクとなっており、他の X1 シリーズのモデルと比べるとマイクプリのゲインを少し高めに設定する必要があります。そして双指向性(フィギュア8)タイプのため、後方から入り込む不要な音を考慮する必要があります。今回の収録ではリフレクションフィルター RF-X でその対策を取るようにしてみました。

マイクの基本的な仕様としてはタイプがパッシブ(2.5µm アルミニウムリボン)、指向性はフィギュア8、周波数特性は20 Hz - 16 kHzとなっています。

このマイクは前回のボーカルレコーディングでも使用しましたし、どんな音源でも比較的オールマイティーに使用できるコストパフォーマンスにも優れたマイクだと思います。

マイクの基本的な仕様としてはカプセルタイプ が1インチトゥルーコンデンサー、指向性 はカーディオイド、周波数特性は20 Hz - 20 kHzとなっています。

このマイクはペンシルタイプでスモールダイアフラムを搭載していることから他のマイクと比較しても非常にフラットな周波数特性を持っています。普段のレコーディング仕事でもこのシリーズはよく使ってきているので、今回この新しいモデルを試せることは個人的に楽しみでもありました。

その具体的なサウンドはこちらです。

マイクの基本的な仕様としてはタイプがスモールダイアフラムトゥルーコンデンサー、指向性はカーディオイド、周波数特性は20Hz - 20kHzとなっています。

いかがでしたでしょうか?
それぞれのマイクの違いを感じていただけましたか?少しでも参考にしていただけたのであれば嬉しいです。

私自身も初めて使ったマイクがいくつもあったので参考になりましたし、前回ボーカルレコーディングで使用した sE2200 はやはり好印象でした。X1 シリーズは以前のモデルを何度か試したことがあったのですが、今回使った最新モデルでは確実にその進化を感じられました。X1S などは最大許容音圧レベル(SPL)が160 dB(-20dbのPadをONにした場合)ということでしたので、スネアドラムのレコーディングなどでもぜひ試してみたいと感じました。

それでは今回はこの辺りまでとして、次回はマイクを2本(2chステレオ)に増やしたパターンでのアコースティックギターレコーディングをテーマにお届けしたいと思います。

ぜひ次回もご覧ください。

渡辺具義(わたなべともよし)

Musicians Institute (Hollywood校) 卒。
アーティストやタレントのライブサポート、レコーディング、アレンジ等で活躍。
(SMAP、つのだひろ、つるの剛士、城南海、LiLiCo、松下奈緒、南里沙、すみれ、野沢香苗、 等)
リットーミュージックより多数のギターの教則本を出版。
アコースティックギターアルバム『眠れる森のJazz Guitar』をitunes storeにて発売中。

辻 敦尊(つじあつたか)

音楽家・クロスメディアアーティスト

中学時代より作曲とギターを始め、20歳からプロとしての音楽家活動をスタート。
また、音楽家としての活動と並行しながらコンピュータ系のエンジニアとしても長年活動。
企業向けに音を中心としたコンテンツ制作や開発協力などをおこなう事が多く、ここ数年では音楽分野以外にも3Dコンテンツ制作に関する執筆業やサラウンドや立体音響コンテンツ制作、映像コンテンツ制作、プログラミングなど幅広いジャンルで制作プロジェクトに関わっている。

AT-Music 代表

AT-Music ホームページ

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