sEマイクで始めるホーム&スタジオレコーディングのテクニック:#2 ボーカルレコーディング後編

sE Electronics マイクを使ったレコーディングに役立つTipsをご紹介します。ナビゲーターは AT-Music 代表の辻 敦尊さんです。

こんにちは。AT-Music の辻です。

第2回目となる今回は、前回の続きとして「ボーカルレコ―ディング後編」をお届けしたいと思います。前編ではハードウェアまわりのセットアップが中心でしたが、後編ではソフトウェアまわりを主に説明していきたいと思います。それでは早速説明をはじめていきたいと思いますが、その前に今回ゲストとしてボーカリストを招いているのでここで紹介させてください。  

今回ボーカリストとして参加してくださる大西真由さんです。

大西真由さんはご自身で作詞や作曲をされたり、機材まわりにも普段から興味を持っているシンガーさんなんです。ライヴなどの時にはご自分のマイクを持ち込んだりもされているほどだそうで、今回このような企画があると説明したところ快く引き受けて下さいました。

それではここから具体的な手順説明に入っていきたいと思います。

※今回はオーディオインターフェイスのダイレクトモニタリング機能を使用したパターンでセットアップ手順を説明していくようにします。

  1. DAW(Steinberg Cubase Pro 8 を例に説明していきます)を起動し、オーディオインターフェイスのドライバ選択やハードウェアバッファーサイズを設定します。今回は先ほど説明したとおり、ボーカルレコーディング時のリアルタイムモニターにはオーディオインターフェイスのダイレクトモニタリング機能を使用しますので、ハードウェアバッファーサイズはレーテンシー値を気にすることなく安定して動作が行える値に設定します(例として512を設定)。
  2. 使用するオーディオインターフェイスに合わせて入出力系統の名称設定などを行います。今回はDAWに Cubase Pro 8 を使用していますのでVSTコネクションで設定を行ないます。
  3. ボーカルをレコーディングするためのオーディオトラックを作成します。そして "手順2" で設定した内容を基に作成したトラックに対して入出力系統のアサイン(割り当て)を行ないます。
  4. 次にボーカリストにスタンバイしてもらいますが、この時マイクからの距離は20cm~30cmくらいを目安にすると良いでしょう。これはどのマイクメーカーも30cmくらいの距離から入る音を基準に設計している事が多いためです。そしてマイクの高さはダイアフラムの部分がボーカリストの口の直線上から数センチ程度上に位置するようにセットします。 
  5. ダイレクトモニタリング用にリバーブを調整します。この時、Universal Audio Apollo シリーズなどのように、ダイレクトモニタリング用とDAW用に同じリバーブをセッティングできるオーディオインターフェイスだと、レコーディング時でもDAW経由でのプレイバック時にもリバーブの質感を合わせることができるのでとても便利だと思います。
  6. ここまで準備が整ったらDAWからオケをプレイバックし、ボーカリストにテストで歌ってみてもらいましょう。そしてそれに合わせてマイクプリアンプの入力レベルを調整していきます。この時入力レベルは音量が大きくなる箇所で-10db程度、平均的には-20dbから-13dbあたりでレベルメーターが振れるのを基準に設定していくと良いでしょう。また入力レベルの他にも、ボーカリストが歌いやすいモニターの音量やリバーブ感の調整も行います。
    ※ボーカリストのモニター用ヘッドフォンに流れている信号は複数系統に分配できるヘッドフォンアンプなどを用いてDAWをオペレートする人も確認できるよう にしておくと色々な場面でコミュニケーションしやすくなると思います。
    ポイント!
    レコーディング時にコンプレッサーなどのエフェクトを掛け録りすることは曲や録音するパートよっては必要になりますし、それが効果的な場合も多くあります。もしボーカルにコンプレッサーを掛け録りする際はスレッショルドを-20db~-13dbくらい、レシオを2:1、アタックは35msくらい、リリースは360msくらいに設定することから始めてみると良いと思います。アウトプットのレベルは音が歪むことがなく演奏者がモニターしやすい音量を基準に決めていくと良いでしょう。
  7. ここまで準備が整ったらこの先は実際のレコーディングです。なお、プレイバックの信号に掛けるリバーブの質や量は必ずしもレコーディング時と同じが良いとも言えないのですが、まずは同じ質感で掛けておくことから始めると良いと思います。
  8. ポイント
    もしレコーディングするスタジオが乾燥していたり、ボーカリストが緊張している事などでリップノイズが気になるような事があったら、水分を口に含めるように配慮してあげることも大切です。できれば温かめの飲み物を準備してあげたりすると効果も大きいと思います。

それでは、ここまでセッティングした環境で録音した実際のサウンドを聴いてもらいと思います。


「WinterSong」作詞・作曲・編曲:辻敦尊

いかがでしょうか? 今回使用したマイク sE2200 のサウンドの質感もなかなかだったのではないかと思います。

次回は sE2200 とは違う種類のマイクを使いながらアコースティックギターのレコーディングについて説明していきたいと考えています。

是非次回もご覧いただければと思います。  

大西真由(おおにしまゆ)

中学時代にミュージカルスクールに所属、高校で1年間イギリスへ留学。帰国後、音楽事務所に所属しコンピレーションアルバムに多数参加。

洋楽カバーやミュージカル曲、ラップなど幅広い歌唱とロリータボイスが面白いシンガー。道頓堀リバークルーズのテーマソング歌唱や、Lil'B feat. Mayu Onishi としての活動が注目されている。現在は作詞作曲にも力を入れている。ライブごとに違った表情をみせるため"女優シンガー"と言われている。

iTunes:Mayu Oonishi      
Facebook:Mayu Onishi      
Twitter:@MayuOnishi     
Instagram:mayuonishi0821

辻 敦尊(つじあつたか)

音楽家・クロスメディアアーティスト

中学時代より作曲とギターを始め、20歳からプロとしての音楽家活動をスタート。
また、音楽家としての活動と並行しながらコンピュータ系のエンジニアとしても長年活動。
企業向けに音を中心としたコンテンツ制作や開発協力などをおこなう事が多く、ここ数年では音楽分野以外にも3Dコンテンツ制作に関する執筆業やサラウンドや立体音響コンテンツ制作、映像コンテンツ制作、プログラミングなど幅広いジャンルで制作プロジェクトに関わっている。

AT-Music 代表

AT-Music ホームページ

関連記事

ページトップへ