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HEADWAY EDM-1&EDB-2 サウンド・チェック!

JazzLifeに掲載された試奏記事です

HEADWAY EDM-1EDB-2 サウンド・チェック!


価格:EDM-1=¥32,000+税、EDB-2=¥49,000+税

EDB-2(左)とEDM-1

取材:布施雄一郎 撮影:桧川泰治(人物)

HEADWAYから、アコースティック・ギターをはじめ、ヴァイオリンやウッド・ベースなど、アコースティック楽器のサウンドを最大限に活かすクラスA回路を内蔵した2タイプのプリアンプ/DIが人気を博している。
シンプルながらも、音質とユニークな機能を搭載した「EDM-1」「EDB-2」の“旨味”を、竹中俊二氏と池田達也氏に吟味してもらおう。

試奏 竹中俊二氏


「平面的に聴こえがちなピエゾ・ピックアップの音に、押し出し感がプラスされ、艶やかに変化してくれる」 竹中俊二

EDM-1

EDM-1」の第一印象は、とにかく音がいいということ。これは後で語る「EDB-2」でも同じ印象ですが、アコースティック・ギターを直接アンプで鳴らした場合と、EDM-1を通してアンプで鳴らした場合の音を聴き較べると明らかですが、平面的に聴こえがちなピエゾ・ピックアップの音に、押し出し感がプラスされ、艶やかになります。
このパワーのあるダイレクト感がいいですね。しかもフルアコなどのシングルコイルのピックアップでも、まったくノイズがない。これは素晴らしいです。
3バンドのEQは、トレブルを上げると音色が明るくなり、ミッドは太さというように、プレイヤーがいじりたくなる帯域に設定されています。Q幅(フィルターでコントロールできる帯域の幅)が広めのようなので、緻密に調整するというよりは、感覚的に高域、中域、低域をコントロールでき、その効果も分かりやすいです。
そしてアンチフィードバック機能の“レンジ”コントロールが、楽器名で連続的に調整できるのがユニークですね。
基本的にはハイパスフィルターで、これで低音感を調整することができます。
4段階のインピーダンス・セレクター機能は新しいですね。これも次の「EDB-2」にも共通していますが、ベルト・クリップが付属されていたり、マイク・スタンドに取り付けて、手元で操作もできる設計なので、ギターだけでなく、ヴァイオリンなどのアコースティック楽器にもぴったりでしょうね。音に高級感があり、厳選されたパーツが使われているんだろうなと感じる、品質の高いプリアンプ/DI。
シミュレーター系を使わずに、手軽にピエゾピックアップのよさを最大限に活かしたいという人にお薦めでしょう。

EDB-2

一方の「EDB-2」は、EDM-1の品質の高いサウンドを踏襲しながら、さらに細かく作り込んでいけるプリアンプ/DI。EQも5バンドが用意されていて、音作りの幅が大きく広がっていますし、ノッチフィルターも、周波数とQ幅を調整可能です。このノッチフィルターは、そもそもはハウリング対策用の機能だと思いますが、とても効きがいいので、音作りにも活用できそうです。


そして、ピエゾ・ピアックアップの音とマイクを混ぜて鳴らせる2ch仕様なので、マイクと組み合わせることで、音にエア感をプラスできます。1点、この内蔵ファンタム電源は+18Vなので、コンデンサー・マイクを使う際は仕様の確認が必要です。なお、EQなどは、どちらのチャンネルにかけるか、あるいは両チャンネルにかけるかを設定することができます。

このままラインでPAに送って、空間系エフェクトをかけてもらったり、あるいは自分でエフェクターと組み合わせて使えば、より完成度の高い音作りが可能と思います。小さなツマミですが、操作感もいいですし、一度音を作り込んでしまえば、ステージでは微調整程度で済むので、まったく問題なさそうです。
マイクとミックスして、積極的に音作りをしたいという人に適したモデルだと思います。


池田達也が2モデルをウッド・ベースでインプレッション!
ピエゾから出力される微弱な信号を余計な色付けをすることなく増幅してくれる

池田達也
http://www007.upp.so-net.ne.jp/tatsuya-bass/

EDM-1

ベース用として販売されているプリアンプのほとんどは、マグネティック・ピックアップを搭載したエレクトリック・ベースを対象にして作られており、さらにインピーダンスが高く出力ゲインが小さなウッド・ベース用のピエゾ・ピックアップ(以下ピエゾ)にはしっくりとこないものもあるのですが、その点、EDM-1はピエゾの使用を踏まえた3段階の中から最適なインピーダンスが選択可能で、ピエゾから出力される微弱な信号を余計な色付けをすることなく増幅し、トリートメントを施してくれる印象です。アコースティク楽器用にチューニングされた3バンドEQは、素早いサウンドメイクが可能で、演奏場所によって低音がブーミーに感じられる場合はレンジ・コントロールが重宝するでしょう。手のひらに乗るコンパクト・サイズで、付属のベルト・クリップでベルトに装着したり、マイク・スタンドにも取り付け可能ですから、演奏の合間に体勢を崩すことなく手元で微調整を行なうことができるのは大変魅力的に感じます。アウトプット・ジャックをXLR端子のDIアウトに変換するアダプターが付属しており、プリアンプとしてのみならずDIとしても活用できる点に加え、アダプターを装着すればミキサーからファンタム電源の供給を受けることができる点も見逃せません。

EDB-2

まず、以前の発売されていたモデルEDB-1に比べ、ノッチ・フィルターとEQを使用するチャンネルを選べる様になった点がうれしいですね。僕はウッド・ベースの場合、ピエゾ・ピックアップと小型コンデンサー・マイクをブレンドして鳴らす場合が多いのですが、ピックアップのチャンネルにはノッチは必要なくても、マイクの方はフィードバックが起きやすいので時にノッチやEQの必要性を感じるのですが、ノッチを操作するとピックアップの音色までが変わってしまうことに抵抗を感じていました。その点EDB-2は、ノッチを使用するチャンネルを選択できる点に加え、さらにパネルの表示もシンプルで分かりやすくなっている点に魅力を感じます。EQとノッチの双方を駆使した幅広いサウンドメイクに期待が膨らみます。また、AUXIN端子が装備されていますので、日々の練習からソロ・パファーマンスまで様々な用途で活用できるでしょう。ふたつのピックアップを併用する際に必要なフェイズ・スイッチの装備、コンデンサー・マイクを使用する際にファンタム電源を送れる点など、アコースティック楽器用のプリアンプとして求められる様々な機能が搭載されています。


EDM-1

EDB-2」の高い品質を踏襲したクラスAプリアンプ回路を内蔵し、より手軽に使えるように超コンパクト・サイズに機能を凝縮した、シングル・チャンネルのアコースティック・プリアンプ/DI。インピーダンス・レンジの切り替え機能やピックアップ・タイプに応じたファンタム電源供給機能を搭載し、接続する楽器
の信号を最大限に引き出してくれる。ステージでの使用を考慮した堅牢なアルミ製シャーシで、可搬性にも優れている。

SPEC ●EQ:3バンド ●レンジ・コントロール ●9Vファンタム電源:TRSフォーンの“Ring”、“Tip”に供給可能 ●機能:インピーダンス・セレクター、グランドリフト・スイッチ、ミュート・スイッチ、マイク・スタンド取り付けホール(5/8インチ)装備 ●付属品:DIアウト変換アダプター、ベルト・クリップ ●乾電池(9V )、ACアダプター(別売)、またはミキサーからのファンタム・パワーによる電源供給対応 ●外形寸法:66(W)×110(D)×30(H)mm ●重量:300g


EDB-2

実用的かつ高音質を追求したデュアル・チャンネル仕様のアコースティック楽器用プリアンプ/DI。ふたつの異なる楽器を接続したり、ひとつの楽器で異なるピックアップをブレンドして鳴らすことも可能。幅広いインピーダンス・レンジに対応している。クラスAプリアンプ回路、5バンドEQ、フィードバックを軽減するノッチフィルターを搭載。出力はXLRバランスアウトのほか、モニターに便利なフォーン・ジャック出力も搭載している。

SPEC ●チャンネル:2 ●EQ:5バンド(チャンネル1、2、あるいは両方を選択可) ●ノッチフィルター:Q、Freq、Channel ●インプット・ゲイン:0~32dB ●18Vファンタム電源:TRSフォーンの“Ring”、“Tip”に供給可能 ●機能:位相反転スイッチ、グランドリフトスイッチ、Rangeスイッチ、ミュートスイッチ、iPod(AUX)インプット ●電源:乾電池(9V×2)、またはACアダプター(付属) ●外形寸法:93(W)×138(D)×38(Hmm ●重量:550g


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