ヒントと秘訣 - LA‑2A Collection

UAD Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection は、シルバー、グレー、そしてオリジナルの LA-2 ハードウェアユニットが有する本物のサウンドと特長を忠実に再現しています。この強力なプラグインコレクションを最大限に活用する方法について、コツをお教えしましょう。

Teletronix LA-2A Leveling Amplifier の心臓、伝説のT4オプトエレクトリカルメカニズムは頭を抱え込むほどに難解なコンプレッション技術ではありますが、その操作は非常に簡単です。事実、LA-2A ではたった2つのメインコントロールノブ(Gain と Peak Reduction)の操作だけで調整を行うことが可能です。LA-2A Classic Leveler Plug-In Collection では抜かりのない機能追加、そして(パッと聴いた程度では判りにくいかもしれませんが)微細な味わいの違いを持つ LA-2A モデルのバリエーションが揃っています。

Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection に含まれる3つの LA-2A:グレー、シルバー、オリジナルの LA-2

LA-2A Collection – 3つの異なるフレーバー

Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection には、グレー、シルバー、そしてオリジナル LA-2 の3つのユニットが含まれます:

  • UREI が製造したシルバーパネルの LA-2A は、速いタイムコンスタントとトランジェント処理で高く評価されています。ドラム、パーカッション、ベースをはじめ、最も幅広い用途に適する多才なモデルです。
  • Jim Lawrence によるオリジナル、60年代半ばのパサデナ製ユニットに敬意を表したグレーモデルは、リードボーカルやコーラス、キーボード、そして(緻密なプレイの)アコースティックやエレキギター等、中速のコンプレッションが求められる素材によく用いられます。
  • LA-2 は最も初期の Teletronix ユニットの魔力を捉えたモデルで、反応時間が最も遅く、50年経過した発光パネルから得られる独特の「メロウ」なサウンドを提供します。レガートするボーカル、ストリングス、そしてホーンに最適です。“If it sounds good, it is good!” という格言はご存知ですよね?

最適なコンプレッションの設定

LA-2A の専売特許であるT4フォトセルはかなりシンプルな原理で動作します。入力信号が増加すると、T4セルのライトパネルが明るくなっていきます。光が明るくなるにつれ、フォトレジスタのインピーダンスが増加し、ゲインが減少します。入力レベルが減少すると、光は暗くなっていき、抵抗器のインピーダンスは減少します。LA-2A のフロントパネルには2つのメインノブがあります:Gainは最大40dBの出力ゲインを扱い(メイクアップゲイン)、Peak Reductionは他のコンプレッサーでは「スレッショルド」と呼ばれるものに相当します。

リードボーカルに適した設定例 (LA-2A Silver)

一般的には、チャンネルフェーダーをユニティゲインに設定してLA-2Aをチャンネルストリップにインサートし、ピークとトランジェントが十分収まるようにゲインリダクションを調整し、安定化されたレベルをミックス内で適切に落ち着くようゲインを調整して戻します。これを実感できるよう、例として単独のボーカルトラックとシルバーのLA-2Aを用意しました。ゲインリダクションメーターを見てピークリダクションの頻度を確認しながら、耳を使って求めるサウンドが得られているかを判断します。

まずは、LA-2A で整える前のリードボーカルトラックです:

元のボーカルがやや荒っぽく感じたので、LA-2A Silver の Ross Hogarth による "Lead Vocal" プリセットを出発点として高いPeak ReductionとGain(50%)に設定し、強いコンプレッションを掛けました。また、チャンネルセンドを使って別の LA-2A Silver を起動し混ぜ合わせ、よりアグレッシブなコンプレッションを加えています。さらにサウンドを整えるため、コンプレッサーの後にEQを追加して中高域を引き出し、ローエンドを少しロールオフさせています。このサウンドは純粋無垢なものではありませんが、真空管を通したようなボディ感とあたたかさを持った素敵なサウンドです:

グレーの LA-2A をベースギターに使用した場合はとても自然な感じが得られます。コンプレッション前のFenderジャズベースラインを聴いてみましょう:

そしてこのベースラインへ、中〜低スレッショルド、40%のGAIN設定で、LA-2Aによる歪みとあたたかみを加えた結果です:

LA-2A のシンプルなコントロールは素晴らしいのですが、なぜレシオ、アタック、リリースといったコントロールがないのか - その理由について疑問に思われるかもしれません。ユニットのサウンドキャラクターに関わるこれらの設定は、実のところ固定されています。平均圧縮比は3:1で、平均アタックタイムは約10ミリ秒、リリースタイムはリリースの半分で約60ミリ秒、残りは1〜15秒の間になります。覚えておいてください - これはプログラムと周波数に依存するコンプレッサーのため、何が入ってくるかによって反応が微妙に異なってきます。このちょっとした予測不能な部分が、ミックスの中で思わぬ良い効果をもたらすケースがあるかもしれません。もしあなたが無類のツマミストであれば、恐れずこの独創的でシンプルなデザインの LA-2A のコントロールをお愉しみください。

最適なEmphasisの調整

LA-2A の R37 Emphasisコントロール(フロントパネルの左下にある「セットスクリュー」ノブ)はコンプレッサーのサイドチェイン入力のシェルフフィルター回路を制御し、周波数を制限したコンプレッションを行う場合に使用します。

高い周波数帯域のコンプレッションの強調に便利なEmphasisコントロール

デフォルトポジションは、右一杯に回した状態です。この場合、サイドチェーン信号はフィルタリングされず、スレッショルドを超えるソース信号の全周波数において均等なゲインリダクションがもたらされます。Emphasisコントロールを反時計回りに回していくと、サイドチェーン信号のフィルタリングが増して低周波数成分を徐々に減少させ、コンプレッサーの動作はそれ以外の周波数帯域に敏感に反応するようになります。結果、高周波数成分がより強くコンプレッションされていくのです。サイドチェーンはコンプレッサーに入力される素材に対してどのように振る舞うべきかを伝えてくれる、手引きのようなものとも言えるでしょう。まずは LA-2A Silver で処理する前のドラムトラックをお聴きください:

次は、Emphasisコントロールを左一杯に設定して、ステレオドラムミックスの中でスネアドラムの「バシッ」とした感じを際立たせたものです。スネアが望む所に収まっておらず、キックの存在感が少々強過ぎると感じたのですが、Emphasisによって重要な低域成分を損なうことなく中域のスネアドラムにちょっとしたパンチを与え、うまくまとめ上げることができました。

ニューヨークパラレルコンプレッション

「ニューヨーク」コンプレッションテクニック、それはマンハッタンに拠点を置くオタクなエンジニア達によって開発されたことに由来しています。 通常、LA-2A のようなコンプレッサーはチャンネルインサートとして使用されます - コンプレッサーはダイナミクスプロセッサーであり、それ自体が「エフェクト」ではなく、モノラル楽器の個々の音量レベルを最大限に制御するために使われてきました。それとは異なるアプローチとなる「ニューヨーク」コンプレッションテクニックでは、1つ以上のドラムのステレオミックスを別々のバスチャンネルに送り、一方のバスチャンネルでは控えめに、そしてもう一方ではかなりアグレッシブにコンプレッションを掛け、それらのチャンネルレベルバランスを好みに合わせて調整していきます。この手法によって、コンプレッションされていない(もしくは控えめの)素材が備えるダイナミクスを保ちながら、ヘビーにコンプレッションされた信号のサウンドとキャラクターを加えることが可能となります。不要な高域ノイズを避けるために、アグレッシブにコンプレッションされた側のバスチャンネルへのオーバーヘッドやシンバルの送り量を控えめにするエンジニアも中にはいます。もちろんこれはドラムバランスにも影響しますので、適切な混ざり具合が見つかるまで各チャンネルのコンプレッサー設定を見直す必要があるでしょう。前述のEmphasisを使って適度なインサートコンプレッサーを掛けたドラムサンプルと比べどれくらいアグレッシブになるか、その違いに注目してください:

他の例

もう少し LA-2A の効能を見てみましょう。まず、ピアノとの相性は抜群です。また、多くのビンテージギターアンプと組み合わせでは、真空管のあたたかみをより引き出してくれます。それではブリティッシュコンボのリズムギターを、ドライから:

そして、LA-2A Gray による適度なコンプレッションを加えた例です:

続いて、アコースティックピアノの例です。まずはコンプレッションなしの状態です:

LA-2 の "JJ Bright Piano Warmth" プリセットを適用すると...:

ほとんどのエンジニアは、LA-2A を非常にダイナミックな「ライブサウンド」素材に最適であると論じますが、異なる3つのフレーバーを備える LA-2A Collection の可能性は無限大です。常識にとらわれず、ご自身だけの使い方、設定をどんどん見つけてください。そして、新しい発見を共有していただければ幸いです。

- James Rotondi

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